ムービー
[GC 2008#25]ハロウィンの発売が待ちきれない恐怖のゲーム,「Dead Space」に迫ってみよう
このところ,業界関係者の間などでは,「いいんじゃない,Dead Space」と,評価が高まりつつある本作だが,GCでは一般客が入れるブースに展示はなく,EAのプレス/バイヤー向けカンファレンスルームで紹介が行われただけ。EU諸国の中でも独自の厳しい基準を作って暴力ゲームに対応しているドイツなだけに,こちらでも発売は難しいような気がするが,一般展示がなかったのは,そういったレーティング周りの問題もあったのかもしれない。
ゲームの説明をしてくれたのは,EAのRedwood Shoresスタジオでプロデューサーを務めるRich Briggs氏だ。これまでライセンスゲームをいくつか担当してきた同氏が,オリジナルIPを作るに当たって一番に狙ったのは,「恐怖を描いたゲーム」であった……というような話はE3のときにも書いたので,興味がある人はそちらも参照していただきたいが,何か得体の知れないエイリアンに肉体を乗っ取られて,クリーチャーと化した船員が徘徊する宇宙船内をたった一人,なんとか生きのびて脱出を図るというのが,本ゲームの骨子だ。
デモを見るだけではよく分からなかったのだが,この宇宙船Ishimuraは,めちゃくちゃ巨大な船という設定らしい。なにしろ,小惑星をガリガリ削り取って鉱物資源を採集/精錬し,惑星がすっかりなくなるまでそれを繰り返す“アステロイドイーター”(あるいは,アステロイドクラッシャー)と呼ばれるタイプの船だというから,そのスケール感たるや相当なものだろう。
宇宙船からの脱出劇と聞いて,同じようなロケーションが延々と続くのではないかと心配だったが,それなりにいろいろな場所が登場する模様。マップは全部で12面あり,プレイ時間として12〜15時間を想定しているが,アチーブメントなどのやり込み要素を全部達成しようとすれば,当然だけどもっと時間がかかる。
武器の購入やアップグレードなどには資金が必要で,資金は船内のいろいろな場所に落ちていたり,倒したクリーチャーをルートしたりすることで得られる。話を聞く限りだと,「BioShock」などといったタイトル同様,探索がゲームプレイの重要なファクターになりそうだ。工具類は「ベンチ」と呼ばれる機械でアップグレードでき,また弾薬や特殊スーツなどは「ショップ」で購入することになる。
ストーリー表現に関しては,ときどき落ちているオーディオログを再生することで,Ishimuraに何が起きたかが分かる仕組みになっており,ムービーによる直接的な状況説明は出てこないらしい。アドベンチャーゲーム的な謎解き要素も重視しており,単純な物探しパズルのほか,TKモジュールという物体を動かせる工具(武器として使うが)で,いろいろな物を移動させて先へ進む道を開くといった,手の込んだものも用意されているとのこと。
主人公が戦闘の専門家でないこともあってか,ゲームの難度は全体的に高めに調整されており,この「死にやすさ」が恐怖感を高める要素にもなっている。ただ,不条理なほどプレイヤー側が弱いとそれはそれで興ざめなので,前述のように襲いかかってくる敵の弱点を見極め,頭を使って戦っていくことにゲームとしての面白さの軸を置いているそうだ。
なお,恐怖感を醸し出すのに重要なサウンドは,状況によって曲がダイナミックに変わっていく仕組み。何もいないはずなのに,急にサスペンスタッチのBGMが流れてくれば誰しも身がまえるというわけである。
サウンドで思い出したが,E3でも印象的だったのが,ローディング画面などに流れる「きらきら星」(Twinkle twinkle little star)の調べだったりする。うまくいえないのだが,このかわいい童謡がDead SpaceのBGMとして流れると,なんだか妙に怖いのである。きらきら光る小さな星の中では,世にも恐ろしいことが起きているという皮肉なんでしょうか,これ。
ちなみに,Briggs氏本人は,トロフィーやアチーブメントといったやり込み要素に関しては,「ゲームの本質的な要素ではない」とあまり好きではないらしいが,「やはり多くのプレイヤーが望んでいることでもあるので導入しました」とのこと。なんというか,割と正直な人である。シングルプレイに特化したゲームデザインなので,マルチプレイも用意されないのだという。
Briggs氏によると現在の開発状況は90%以上であり,コンテンツの制作は終わっている。あとは,バグフィックスやバランスの調整などが残っている段階だ。
ちなみに,Xbox 360版とPLAYSTATION 3版での内容的な違いはなく,ダウンロードコンテンツなどについては,「決まってはいるが,まだ言えない」とのことであった。
2008年ハロウィンの発売が予定されているDead Space。日本での発売については未定であるものの,海外版をそのまま遊んでしまうような我々PCゲーマーにとっては,あまり関係のない話かもしれない。もともと日本語版のないタイトルも多いし。というわけで,ハロウィンに(たぶん)襲ってくる恐怖を期待して待とう。
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