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「ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMING」レビュー。ASUS製ゲーマー向けRTX 2080 Tiカードの特徴と性能を知る
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印刷2018/10/03 00:00

レビュー

ASUS製ゲーマー向けRTX 2080 Tiカードの特徴と性能を知る

ASUS ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMING

Text by 宮崎真一


 日本時間2018年9月26日,NVIDIAの「Turing」アーキテクチャを採用する新世代GPU「GeForce RTX 2080 Ti」(以下,RTX 2080 Ti)搭載グラフィックスカードの販売が開始となった。
 4GamerではすでにNVIDIAのFounders Editionを用いてRTX 2080 TiというGPU自体の評価は行っているが,グラフィックスカードメーカーの各社オリジナルデザインのRTX 2080 Ti搭載モデルは,Founders Editionとどのような違いがあるのだろうか。

 ASUSTeK Computer(以下,ASUS)からの同社オリジナルデザイン採用モデル「ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMING」を借りることができたので,その特徴と性能に迫ってみたい。

ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMINGメーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:テックウインド(販売代理店) info@tekwind.co.jp
価格:未定(※2018年10月3日現在)
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ファン制御法の異なる2種類のVBIOSと,従来から継続の動作モード3種を採用


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 RTX 2080 TiというGPU自体のスペックはGPUレビュー記事を参照してもらうとして,さっそくROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMINGのスペックを確認していこうと思うが,まず工場出荷時設定の動作クロックはベース1350MHz,ブースト1650MHz。前者はNVIDIAのリファレンスそのままだが,後者はリファレンスより105MHz,Founders Editionより15MHz高いので,製品型番に「OC」とあるとおり,メーカーレベルのクロックアップ(=Factory Overclocked)モデルということになる。

 Turing世代のROG STRIXシリーズとしてROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMINGが採用する新要素としては,「Performance Mode」(以下,Pモード)と「Quiet Mode」(以下,Qモード)という2つの基本動作モードがあり,それをグラフィックスBIOS(以下,VBIOS)の切り換えという形で切り換えるような仕様になっている点が挙げられる。工場出荷時設定はPモードだ。

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 VBIOSの切り換えによって性能重視か静音性重視かを切り換えられるというのは,AMDがリファレンスデザインの一部で採用し続けている「Dual BIOS Toggle Switch」と同じという理解で差し支えない。ASUSによると,PモードではQモードと比べて冷却性能が27%高く(それによってより高いブーストクロックを狙えるように)なり,QモードではPモードと比べて静音性が13%向上するという。また事実として,アイドル時にGPU温度が55℃を下回ったときGPUクーラーのファン回転を停止させる「0dB Technology」はQモードでのみ利用できる仕様に変わっている。カードの動作設定ツールはお馴染みの「GPU Tweak II」(※今回試したのはVersion 1.8.5.3)だが,0dB Technology関連項目が出てくるのはQモード限定だ。

ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMINGのQモードに対してGPU Tweak IIを実行したところ。「Simple Mode」メニューの右上に「0dB Fan」が表れ,ここから0dB Technologyの有効/無効を切り換えられるようになる。工場出荷時設定は有効
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 一方,「OC mode」「Gaming mode」「Silent mode」という3つの動作モードが用意され,それぞれ動作クロック設定が異なっているのは従来のROG STRIXから継続する仕様である。GPU Tweak IIの「Simple Mode」から切り換えられる仕様なのも変わらない。

GPU Tweak IIの「Simple Mode」からOC mode,Gaming mode,Silent modeと動作モードを変えてみた例。中央の「GPU Speed」に出るブーストクロックがモードごとに異なるのが分かる
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 工場出荷時設定はのGaming modeで,その動作クロック設定は前述のとおり。OC modeだとベースクロックは1350MHzのまま,ブーストクロックはGaming mode比で15MHz高い1665MHzとなって,Power Target(電力目標,以下日本語表記)も110%へと10%上がる。一方,Silent modeはNVIDIAのFounders Editionと同じベース1350MHz,ブースト1635MHzというクロック設定になり,電力モードが90%へと下がるようになっていた。いずれの動作モードでもメモリクロックはリファレンスと変わらない14GHz相当だ。
 いま述べた3モデルの動作クロックはPモードとQモードで変わらない。

Advanced Modeでは,ブーストクロックなどオーバークロック関連の細かな設定変更が可能。これもASUS製グラフィックスカードのユーザーにはお馴染みのものだ
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 なお,GPU Tweak IIのSimple Modeはいま紹介した動作モード切り替えくらいしか行えないが,「Advanced Mode」に切り換えると,メーカー保証の範囲外で細かな動作設定変更を行えるようになる。
 たとえばブーストクロックは「GPU Boost Clock」というスライドバーから1403〜1897MHzの範囲を1刻みで変更可能。あるいはそのすぐ下にある「User Define」をクリックすると,コア電圧とコアクロックの関係を示したグラフが表示され,そこでユーザーは706mVから1100mVまでの10か所について,動作電圧と動作クロックの関係を指定できるようになる。なお,今回テストに用いたGPU Tweak IIに「NVIDIA Scanner」関連項目は用意されていなかった。

GPU Boost ClockでUser Defineを選択すると,コア電圧と動作クロックのグラフが表示され,グラフ中の10か所のマーカーを動かすことで各電圧における動作クロックの変更が可能になる。なお,右上の「Linear」をクリックすると2点のマーカーを指定し,その間を直線で結ぶグラフとなる
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 また,「GPU Voltage」というスライドバーを使えば,工場出荷時設定に対して何パーセント盛るかを0〜100%から1%刻みで,「Memory Clock」は11.9GHz相当から16.1GHz相当の範囲を10相当刻みで,「Temperature Target」(温度目標)は「GPU Temp Target」から65〜88℃の範囲を1刻みでそれぞれ変更できる。
 GPU Temp TargetでUser Defineを選択した場合,「GPU Boost 4.0」で新たに用意された「Second Temperature Target」(第2温度目標,以下日本語表記)も変更できる。

GPU Temp TargetからUser Defineを選択したところ。コアの温度と動作クロックの関係を示すグラフから,温度目標や第2温度目標を自由にカスタマイズできる
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約305mmのカード長かつクーラーは2.7スロット仕様と大きなROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMING


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 ここからはROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMINGのカードそのものを概観していこう。
 そのカード長は実測約305mm(※突起部除く)で,堂々の30cm超え。RTX 2080 Ti Founders Editionの同267mmと比べると約38mm長い計算になる。基板長自体も実測約292mmあった。
 さらに言えば,マザーボードへ差したとき,マザーボードの垂直方向へI/Oブラケットから基板は約25mmはみ出しており,Founders Editionと比べるとそのサイズは明らかに大きい。

300mm超級のカード長で,I/Oブラケットからもはみ出たサイズのROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMING
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 GPUクーラーは2.7スロット仕様で,90mm角相当のファンを3基搭載している。
 このファンはASUSが「Axial-tech Fan」と呼ぶ,ファンの羽と外枠が一体成型されたもので,同社によると,同社のハイエンド製品で採用されていた「Wing-Blade Fan」と比べて,Axial-tech Fanではエアフローが27%,風圧が40%向上しているという。

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ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMINGを側面から見たところ。GPUクーラーは2.7スロット仕様となるため,厚みもかなりある
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羽根と外枠が一体化しているAxial-tech Fan。エアフローと風圧が向上し,冷却性能が上がっているそうだ

 ファンの回転数は,両端の2基と中央の1基を個別にGPU Tweak IIから制御できる。GPU Tweak IIのAdvanced Modeにある「Fan Speed」が両端の2基,「Fan2 Speed」が中央にある1基の設定となる。
 どちらのスライドバーも設定できる内容は同じで,「Manual」を選択すれば回転数を22〜100%の範囲を1刻みで固定できる。また,「User Define」ではコアの温度と回転数の関係を示したグラフから任意の5か所を自由にカスタマイズすることも可能だ。

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Advanced ModeにはFan SpeedとFan2 Speed,2つの設定項目があり,前者で両端2基のファン,後者で中央の1基のファンの回転数を変更できる
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どちらのファン設定も変更できる内容は同じ。Manualを選ぶと,ファンの回転数を%表示で固定可能。画面は50%に設定しているところだ
User Defineでは,コアの温度と回転数の関係を示すグラフから,マーカーで記された4か所をユーザーが指定できる(左)。上部に見える「ExFan1」は,「FanConnect II」によりカードに接続したケースファンの制御用のものだが,ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMINGには外部接続用のファンコネクタは用意されていないため,実際には利用できない。右はQモードでのファンの回転数設定例。GPUコアの温度が55℃以下でファンの回転が停止するようになっている
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NVLinkインタフェースとStealth Mode用プッシュスイッチ
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 ファンを挟むように設けられている溝のところと本体側面および背面のROGロゴ部にはLEDが埋め込んであり,「Aura Sync Lighting」(Version 1.2.0.3,以下 Aura Sync)から,色や光り方を設定することができる。なお,LEDはAura Syncからだけでなく,本体背面側の「Stealth Mode」有効/無効切り替え用プッシュスイッチからも点灯/消灯を切り換えられるようになっていた。

Aura SyncからLEDの色や光り方を設定可能。光り方は,常時点灯の「Static」,ゆっくり明滅を繰り返す「Breathing」,点滅する「Strobing」,色が順次変わっていく「Color Cycle」,それに音楽やGPUのコア温度により色を変化させる「Music」と「GPU Temperature」の計6とおりある
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 Aura Syncからの無効化だと,システムの電源投入後,Aura Syncが起動するまではLEDは光ってしまうのだが,Stealth Modeを有効化した場合,電源投入時から消灯状態を維持する。

工場出荷時設定の赤色点灯(左)と,Aura Syncから点灯色を緑(中央),青(右)とそれぞれ変更したところ
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LEDの色を変更すると,カード背面側にあるROGロゴ部の色も同時に変わる
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 補助電源コネクタは8ピン×2の構成で,このあたりはFounders Editionから変わりなし。外部出力インタフェースはDisplayPort 1.4a×2,HDMI 2.0b(Type A)×2,USB 3.1 Gen.2 Type-C×1という構成で,Founders Editionと比べるとDisplayPort 1.4aが1系統減り,代わりにHDMI 2.0bが1系統増えた格好だ。

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補助電源コネクタは8ピン×2という構成。一段低い奥まった箇所に実装されているため,カード上部の空間にコネクタが大きくはみ出るようなことはない
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外部出力インタフェースは,現行世代のVR HMDを意識したためか,HDMI 2.0bが2系統となっている。5系統のうち同時利用できるのは4系統までなのはFounders Editionと同じだ

Dual BIOS Switch。外部出力インタフェース側がPモードとなる
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 前段で紹介したPモードとQモードの切り替えは,基板上でNVLinkインタフェースの近いところにあるトグルスイッチ「Dual BIOS Switch」から行う。VBIOSを切り換える都合上,動作モードの切り換えはシステムの電源がオフになっているときしか利用できない点は要注意だ。


電源部は16+3フェーズの豪華仕様


 GPUクーラーの取り外しはメーカー保証外の行為であり,取り外した時点でメーカー保証は失効することを断りつつ,今回はレビューのため,特別にクーラーを取り外してGPUクーラーと基板を見ていきたい。

GPUクーラーを取り外したところ。基板に固定されているのがReinforced Frameだ
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 というわけで取り外してみるが,すると,搭載するヒートパイプは6mm径のものが6本であることに気付く。ヒートパイプは銅製の枕を介してGPUの熱を受けるという,よく見る仕様だが,これを「MaxContact Technology」と呼ぶASUSによれば,従来型のヒートスプレッダと比べてGPUとの接地面積が2倍になっており,結果としてより高い熱伝導効率を実現できているそうだ。
 また,ヒートパイプとヒートスプレッダからなるパッシブクーラー本体を外すと,基板の上に金属製フレームが載っているのも分かるが,これは基板のねじれやたわみを防ぐ「Reinforced Frame」で,搭載しない状態と比べてカードの強度は3倍に高まっているという。

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GPUクーラーの底面側。電源部の熱を熱伝導シート経由で受ける仕様にもなっていた。フィンの放熱面積も20%向上しているという
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Reinforced Frameと背面カバーも外してみた。前者はヒートシンクを兼ねるが,後者は純然たる補強板という理解でいいようだ

 基板のほうに目を移すと,電源部は16+3フェーズ構成という,かなりの規模になっていた。NVIDIAのFounders Editionも13+3フェーズなので相当なのだが,ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMINGでは基板の物理的なサイズが大きいことを活かして,電源周りのさらなる強化を図っているわけだ。

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電源部は16+3フェーズ。Founders Editionと同じく,電源部はGPUを左右から挟むような実装になっている
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基板の背面側。電源部の部材が一部こちらにも載っていることと,「CG150P」という型番を確認できる

大きなほうの電源部。SAP II DrMOSとしてTexas Instrumentsの「CSD95480RWJ」を採用している
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 ちなみにこの電源部には,一般的なものと比べて2.5倍の製品寿命を誇るとされるコンデンサ「SAP II Capacitor」,コイル鳴きを抑えたチョークコイル「SAP II Choke」,発熱が少なく電力供給量が多い「SAP II DrMOS」,それにオーバークロック用のヘッドルームを最大限に高めるという導電性高分子タンタル固体電解コンデンサ「SAP II POSCAP」を採用している。ASUSはこれらの部材をひっくるめて「Super Alloy Power II」(以下,SAP II)と呼んでいた。

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小さなほうの電源部。採用する部材は大きなほうと変わらない
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電源部の背面に載っている部材がSAP II POSCAPである

 搭載するメモリチップはMicron Technology製のGDDR6「MT61K256M32JE-14」(14Gbps品,チップ上の刻印は「8QA77 D9WCW」)。8Gbit品のチップを11枚搭載することでメモリ容量11GBを実現している。

メモリチップはMicron Technology製MT61K256M32JE-14だった。基板上にはメモリチップ1枚分の空きパターンもあるのだが,TU102のフルスペック版GeForce登場に向けた準備だろうか?
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Pモードの動作モード3種,そしてQモードのGaming modeでテストを実施


 テスト環境の構築に話を移そう。今回は工場出荷時設定であるPモードのVBIOSで,OC mode,Gaming mode,Silent modeの3つの動作モードすべてでテストを実施。さらにPモードとQモードの違いを見るべく,QモードのGaming modeでもテストを行うことにした。
 テストに用いるグラフィックスドライバはテスト開始時の最新版となる「GeForce 411.63 Driver」を利用。また,とくに断りがない限り,Windowsの「電源プラン」は「高パフォーマンス」となる。
 そのほかのテスト環境はのとおりだ。

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 テスト方法は4Gamerのベンチマークレギュレーション22.0準拠。解像度は,RTX 2080 Tiが4Kを想定していることから,3840×2160ドットと2560×1440ドット,1920×1080ドットの3つを選択した。


Pモード&Gaming modeはFounders Edition比で若干のスコア向上。OC modeの効果は限定的


 以下,グラフ中に限り,「STRIX 2080 Ti(P,OC)」「STRIX 2080 Ti(P,Gaming)」「STRIX 2080 Ti(P,Silent)」「STRIX 2080 Ti(Q,Gaming)」といった感じで,カード名を省略のうえ,VBIOSのモードと動作モードを簡単に併記することと,RTX 2080 TiのスコアはFounders Editionのものを採用することをお断りしつつ,「3DMark」(Version 2.5.5029)の結果から見ていこう。

 グラフ1は「Fire Strike」における総合スコアをまとめたものだが,PモードのGaming mode,すなわち工場出荷時設定のROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMINGはRTX 2080 Tiに対して1〜2%程度高いスコアを示し,さらにOC modeへ切り換えたROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMINGは3〜4%程度高いスコアを示した。Silent modeだとRTX 2080 Tiとほぼ同じだ。
 Gaming mode同士で比較したとき,PモードとQモードでスコアが横並びとなる点も押さえておきたい。

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 続いてグラフ2はそのFire Strikeにおける「Graphics test」の結果を抜き出したものだ。
 総合スコアと比べると,RTX 2080 Tiに対するROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMINGの相対的なスコア差はほんのわずかながら広がっており,PモードのGaming modeはRTX 2080 Tiに対して2〜3%程度,OC modeは4〜5%程度高くなった。
 ここでもPモードとQモードのGaming modeで大きなスコア差は生じていないが,あえて言えば「Fire Strike Ultra」で約1%と若干開いた。

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 ソフトウェアベースの物理演算を行うCPUテストの結果を「CPU score」としてまとめたものがグラフ3だ。CPUが揃っているため,スコアはキレイな横並びとなっている。

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 CPUとGPUの両方の性能がスコアに影響を及ぼす「Combined test」の結果がグラフ4で,ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMINGはPモードのGaming modeでRTX 2080 Tiに対して1〜3%程度高いという,GPU scoreをおおむね踏襲する結果を示した。OC modeだとRTX 2080 Tiに対して2〜6%程度高いスコアを示す点もおおむね変わっていない。
 PモードとQモードのGaming mode間にスコア差がほぼないのも同様だ。

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 DirectX 12のテストとなる「Time Spy」の総合スコアをまとめたものがグラフ5となる。
 ここでRTX 2080 Tiに対してPモードのGaming modeは約2%程度,OC modeは約4%高いスコアを示す。一方でSilent modeのスコアはRTX 2080 Ti比で約98%と,若干ながら下回った。
 また,PモードとQモードのGaming modeを比較すると前者が後者より2〜3%程度高いスコアを示している。

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 グラフ6はTime SpyにおけるGPUテストの結果を抜き出したものだが,全体としてかなり「メリハリのきいた」スコアになっている。RTX 2080 Tiと比べてPモードのOC modeは約106%,Gaming modeは約103%,Silent modeは97〜98%程度だ。
 また,総合スコアを踏襲する形で,PモードとQモード2つのGaming modeにも2〜3%程度のスコア差が生じた。

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 同じくTime SpyからCPUテストの結果を抜き出したものがグラフ7だが,こちらはFire Strike同様,スコアがキレイに揃っている。

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 以上を踏まえつつ,実ゲームタイトルでのテストに入っていこう。
 グラフ8〜10は「Far Cry 5」の結果で,ここでは工場出荷時設定であるPモードのGaming modeがRTX 2080 Tiと比べて1〜3%程度高い平均フレームレートを示す一方で,Silent modeにおけるスコアの落ち込みが目を惹く。とくに3840×2160ドット条件だとSilent modeの平均フレームレートはGaming modeと比べて約93%に留まってしまう。電力目標が90%に抑えられている影響は決して無視できないようだ。
 ただ,なら電力目標が110%に拡張されているOC modeのスコアは伸びるのかというと,残念ながらそういう傾向は出ていない。

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 「Overwatch」のテスト結果をまとめたものがグラフ11〜13だ。
 ゲームの仕様上,フレームレートは300fpsが上限となるため,1920×1080ドット条件だとスコアの頭打ちが見られる。そこで,それ以外の解像度を見ていくと,RTX 2080 Tiに対してPモードのGaming modeは平均フレームレートで5〜9%程度,最小フレームレートで約9%と,明らかに高いスコアを示した。OC modeはそんなGaming modeから若干スコアを伸ばし,3840×2160ドットでRTX 2080 Tiより約12%高い平均フレームレートを出すに至っている。ここだとSilent modeのスコアはRTX 2080 Tiとほぼ互角だ。
 なお,PモードとQモードを比較すると平均フレームレートで4〜5%程度と看過できないスコア差が生じている点も押さえておきたいところである。

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 グラフ14〜16の「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」(以下,PUBG)では,1920×1080ドットはCPUのボトルネックによりスコアが丸まりつつあるものの,それ以外のテスト条件だとPモードのGaming modeは平均フレームレートで3〜5%程度,最小フレームレートで4〜6%程度,それぞれRTX 2080 Tiより高いスコアを示している。
 一方でOC modeのスコアはGaming modeとそれほど大きくは変わらないスコアに留まる。Silent modeは平均フレームレートだとRTX 2080 Tiと変わらない一方,最小フレームレートは若干下回る結果になった。

 QモードのGaming modeだと最小フレームレートはむしろRTX 2080 Tiより若干高いので,PモードのSilent modeにおける最小フレームレートは温度目標が90%となる影響を受けているのだろう。

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 「Fortnite」の結果がグラフ17〜19だが,ここでPモードのGaming modeはRTX 2080 Tiに対して平均フレームレートで3〜4%程度,最小フレームレートで3〜6%程度高いスコアを残した。
 平均フレームレートでRTX 2080 Tiと比べると,OC modeは104〜107%程度,,Silent modeは96〜98%程度で,Silent modeの落ち込みが比較的大きい。またQモードのGaming modeは解像度が上がるにつれてPモードのGaming modeから引き離されており,高負荷環境における冷却性能の違いがスコアに影響を与えていることを確認できる。

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 次にグラフ20〜22は「Middle-earth: Shadow of War」(以下,Shadow of War)の結果となる。ここでPモードのGaming modeはRTX 2080 Tiに対して平均フレームレートで2〜3%程度,最小フレームレートで1〜3%程度,それぞれ高いスコアを示した。3DMarkのFire Strikeと同様の伸びといったところだろうか。
 OC modeを選択することによるスコアの伸びは大きくなく,フレームレートで言えば最大でも2fpsに留まるため,OC modeの恩恵を感じるのは難しいだろう。一方,Silent modeと,QモードのGaming modeにおけるスコアはRTX 2080 Tiと同じか若干低いレベルとなった。

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 「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」(以下,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチ)の総合スコアをまとめたものがグラフ23だ。ここでPモードのGaming modeはRTX 2080 Tiに対して1〜4%程度高いスコアを示した。OC modeは3840×2160ドット条件でRTX 2080 Tiに対して約6%高いスコアを示し,同条件でSilent modeは約3%低いスコアを示しているので,全体として「高解像度条件ではメリハリの利いたスコアになっている」ということになるだろう。

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 グラフ24〜26は,そんなFFXIV紅蓮のリベレーター ベンチにおける平均フレームレートと最小フレームレートのまとめである。平均フレームレートは総合スコアを踏襲したものという理解でいい。最小フレームレートのほうはCPU性能に依存する部分が大きいが,それでもOC modeが3840×2160ドットで唯一50fpsに達している点はなかなかインパクトがある。

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 性能検証の最後は「Project CARS 2」だが,グラフ27〜29を見ると,相対的なCPUボトルネックによって1920×1080ドットではスコアの頭打ちがあると分かる。それ以外の解像度だと,PモードのGaming modeでRTX 2080 Tiに対して平均フレームレートで3〜4%程度高いスコアを示す一方,OC modeではそこからの上積みがほぼないのも見てとれるだろう。
 対してSilent modeはRTX 2080 Tiを下回った。QモードのGaming modeも同様だ。

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OC modeで消費電力は大幅に増大。GPUクーラーの冷却性能と静音性は申し分なし


 メーカーレベルのクロックアップモデルでは消費電力の増大が懸念されるわけだが,ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMINGの消費電力はどの程度なのだろうか。とくにOC modeは電力目標が110%に引き上げられているため,かなり気になるところだ。
 そこで,「4Gamer GPU Power Checker」(Version 1.1)を用いて,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチ実行時におけるカード単体の消費電力推移をまとめたものがグラフ30となる。

 このグラフでやはり目に付くのはOC modeで,一見して400Wを超えるケースが多く,500Wを超える局面すらあるのはなかなかのインパクトだ。電力目標を引き上げている関係上,消費電力の増大には覚悟が必要だということなのだろう。
 また,同じ理由により,Silent modeでは消費電力が200〜300W程度で推移するケースが多くなっており,消費電力が確実に下がっているのを見てとれる。

※グラフ画像をクリックすると横に引き伸ばした拡大版を表示します
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 折れ線ではざっくりしたところしか分からないということで,グラフ30における中央値をまとめたものがグラフ31となる。
 ここで興味深いのは,OC modeの消費電力が明らかに大きく,Silent modeの消費電力が明らかに小さいこと以上に,PモードとQモード,2つのGaming modeにおける消費電力がRTX 2080 Tiと変わらないことだ。ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMINGはRTX 2080 Ti Founders Editionより動作クロックが高いわけだが,電源回路も豪華なので,多フェーズを動的に制御する機構がFounders Editionより優れている可能性はあるだろう。

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 念のため,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いてシステム全体の最大消費電力も比較してみることにしよう。
 ここではWindowsの電源プランを「バランス」に設定。さらに,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点をタイトルごとの実行時,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」としている。

 その結果はグラフ32のとおりだが,結果はグラフ31を踏襲している。アプリケーション実行時のスコアはOC modeが明らかに一段上,またSilent modeが明らかに一段下で,残る3条件はおおむね横並びだ。

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 「GPU-Z」(Version 2.11.0)を用いて計測したGPU温度も確認しておきたい。ここでは,温度約24℃の室内で,テストシステムをPCケースに組み込まず,いわゆるバラックに置いた状態から,3DMarkの30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともども,GPU-Zから温度を取得することにした。

 その結果がグラフ33だ。
 ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMINGとRTX 2080 Ti Founders Editionでは温度の制御法もGPUクーラーも異なるため,横並びの評価にあまり意味はない。その点は注意してほしいが,ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMINGはOC modeの高負荷時でも70℃を切っており,GPUクーラーの冷却性能は相当に優秀だと言っていいだろう。
 Qモードはファンの回転数を落としているため,高負荷時の温度は75℃とP Modeから10℃以上も高い。また,0dB Technologyによりファンが停止するため,アイドル時の温度も50℃と高めである。

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 最後にROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMINGの動作音も確認しておきたい。今回はカードに正対する形で30cm離した地点にカメラを置き,アイドル状態で約1分間放置した後,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチを約4分間実行したときの様子を,合計約5分のビデオにまとめることにした。ここではPモードとQモードの両方でGaming modeを選択している。

 まずはPモードからだが,最初の1分間はアイドル時となるため,ファンの回転数が低く,動作音も小さい。その後,ベンチマークが動き出すと次第に動作音が大きくなっていき,ベンチマーク実行3分後(=動画の冒頭から4分後)には回転数が最高に達して,動作音もやはりそれなりの大きさとなっている。とはいえ,このクラスの製品としては十分静かで,ケースの中に入れてしまえばまず気にならないレベルだ。


 一方のQモードだが,最初の1分間はファンが停止しているため,聞こえるのは周りの環境音のみ。そしてベンチマークを実行するとその20秒後にファンが回転を始めるのだが,その後も回転数はあまり上がらず非常に静かである。ベンチマーク実行3分後(=動画の冒頭から4分後)の音をPモードと比較してもらえれば,Qモードにおける静音性の高さが分かりやすいだろう。


 ただ気になったのは,PモードでもQモードでもコイル鳴きと思しき高周波ノイズが聞こえた点。その音量はたいして大きくなく,Pモードならファン動作音のほうが大きいのだが,それでも,コイル鳴きを抑えるSAP II Chokeを実装しているにもかかわらず高周波ノイズが聞こえた点は,個体差もあるとはいえ少々気になった。


工場出荷時設定のPモード+Gaming modeで性能向上を実現し,かつ静かなROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMING


製品ボックス
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 以上のテスト結果から,工場出荷時設定であるPモードかつGaming modeで,ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMINGはRTX 2080 Tiよりも数%高い性能を発揮できるカードだと言える。OC modeで増大する消費電力に見合った性能向上が得られるわけではなく,また個人的には,アイドル時に0dB Technolgoyを利用できるのがQモードのみになったのは機能的に前世代からの退化という気もするのだが,そもそも2.7スロット仕様の大型クーラーはファンが回転しても十分に静かなので,基本的には工場出荷時設定のまま使うのがROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMINGについては正解ではなかろうか。

 もちろん,Qモードを「静音性を向上させる選択肢の1つ」とは紹介できるだろう。ファンの回転数が落ちるためGPUコアの温度は高くなってしまうが,それでも温度は許容範囲内に収まっているため,「RTX 2080 Ti搭載カードを搭載する環境で性能と静音性を両立させる」ことの可能性を示せているからだ。
 とはいえ,基本動作モードの切り替えにあたって,いちいちシステムをシャットダウンして,物理的にスイッチを切り換えなければならない点は使い勝手が悪い。動画を視聴するときだけQモードへさくっと切り換えられる,くらいになってくれるとQモードの価値は上がると思うのだが……。

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 価格は現在のところ未定ながら,よりシンプルな仕様のRTX 2080 Tiカード「DUAL-RTX2080TI-O11G」のデビュー時における価格が18万3384円(税込)なのを考えると,税込で20万円を下回るというのは正直,考えにくいところだ。
 ただRTX 2080 Tiカード自体がそもそもトンデモなく高価なわけで,このレベルの価格帯における数万円を誤差だと考えられるのであれば,高性能なGPUクーラーを搭載するROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMINGは有力な選択肢の1つになり得るだろう。

ASUSのROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMING製品情報ページ(英語)

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