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[GDC 2009#28]初めて手がけたゲームが評価されてGDCデビュー。インディーズゲームの星「PixelJunk Eden」開発秘話
Edenは色鮮やかな世界を舞台に,宝探しをするアクションゲームだ。ガーデンと呼ばれる世界で構成されており,“オシレーター”と呼ばれるもの(発振回路のことだが,この世界とどう関係があるのかはよく分からない)を使って,この世界を冒険する。オシレーターは時間の経過とともに徐々に減っていくHPのようなもので,ゼロになるともとの世界に戻されてしまうのだが,「クリスタル」を手に入れると回復する仕組みだ。うまくオシレーターを維持しつつ,「スペクトラ」といわれるアイテムをなるべく多く獲得するのが目的だ。
各ステージには不思議な形をした植物があり,これらを足場にしてジャンプしながらスペクトラを探す。プレイヤーキャラクターはワイヤーを使え,反動をつければより遠くへ跳ぶことも可能だ。画面写真を見てもらえれば分かるとおり,独特な色使いのゲームで,この雰囲気にあったテクノやハウスミュージックが用意されている。グラフィックスとサウンドのディレクターが同一人物だからこそ表現できる一体感といえるだろう。
Edenの植物は生きているような不思議な動きをするのだが,Baiyon氏は最初,この動きをランダムで動かすようにプログラマーに指示していたという。だが,そのサンプルを見てみると,想像していたものとはかけ離れており,美しさが表現できていなかった。そのため最終的には,Baiyon氏自身がさまざまな動きのパターンを描いていったのだ。Edenをプレイすれば分かるのだが,植物の動きはかなり複雑。すべて手作業で描いたときくと,なんというか,頭の下がる思いだ。しかも単純に動きがいいというだけでなく,「どこを切り出しても格好よくしたい」とコンポジションにも徹底的なこだわり,頑張りすぎで作業中に突然鼻血が出たこともあるそうだ。
ちなみにゲームに登場する植物は,焼き鳥から垂れる油や道に流れる水を見たときに閃いたという。鼻血からはインスピレーションを感じなかったようでなによりだ。
文字どおり鼻血が出るほどのこだわりは,なにもグラフィックスだけではない。グラフィックスにマッチさせるため,音楽も徹底的に作りこんでいった。ただし,ゲームミュージックを作るというイメージではなく,CDのアルバムを作るような感覚で曲作りを行っていったというのだ。ほかのゲームの音楽は,聴くと「ゲームの曲」と分かることが多いが,Edenの音楽は違う。前述したように「ゲームの曲」として作っていないせいか,明らかに別物なのだ。それでいてゲームの世界にマッチしており,2009 Independent Games FestivalのExcellence in Audio部門にノミネートされたのもうなずける出来だ。
なお,4月には五つのステージが追加されるEdenの拡張パック「PixelJunk Eden Encore」がリリースされる予定だ。
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