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[GDC 2011]カジュアルゲームの雄,PopCap Gamesが語る「Bejeweled」ができるまで。世界中でヒット中のパズルゲームは,どのようにして作られたのか
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印刷2011/03/05 13:30

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[GDC 2011]カジュアルゲームの雄,PopCap Gamesが語る「Bejeweled」ができるまで。世界中でヒット中のパズルゲームは,どのようにして作られたのか

画像集#001のサムネイル/[GDC 2011]カジュアルゲームの雄,PopCap Gamesが語る「Bejeweled」ができるまで。世界中でヒット中のパズルゲームは,どのようにして作られたのか
 Game Developers Conference 2011で,今をときめくPopCap Gamesの設立者の1人で,Chief Creative Officerを努めるJason Kapalka氏によるレクチャー「Classic Game Postmortem Bejeweled」が行われた。PopCapといえば,Bejeweledシリーズのほか,BookwormシリーズやZumaシリーズなど,カジュアルタイトルの人気作を開発/販売しているほか,日本語版も発売された「Plants vs. Zombies」なども手がける,欧米カジュアルゲーム市場のトップメーカーだ。
 とはいえ,なんといっても稼ぎ頭はBejeweledシリーズ。今回はそのBejeweledがどのようにして生まれたかをKapalka氏が語るというレクチャーだ。 Kapalka氏が独自に付けたサブタイトルは,「The Secret History of Bejeweled」。同社のPR担当には絶対に聞かせたくない秘密の話をするというから,期待が持てる。とはいえ,話の中には完全な嘘も混じっていると付け加えて,来場者の笑いをとったりするところは,さすがにただ者ではない感じだ。

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 最初に同氏は,PopCap Gamesの歴史から話をスタートさせた。そもそもの始まりは,PopCapを設立した3人のうちの2人,John Vechey氏とBrian Fiete氏がカレッジの課題として制作したAttack Retrieve Capture(ARC)というゲームを作ったことにある。あまり聞き慣れないタイトルだが,Kapalka氏の説明によれば,「Counter-Strikeのようなゲーム。ただし,1997年のタイトルなので画面は2D。テロリストの代わりに円盤が出てくる」とのこと。よく分からないが,このARCはKapalka氏が Senior Producerを努めるオンラインゲームサイトのTotal Entertainment Networkを通じてサービスが行われていたが,同社を退職したKapalka氏とVechey氏,そしてFiete氏の3人は,1999年にARCの諸権利を売り,2000年,新たにゲームメーカーを設立して,ゲーム市場に乗り出すことにしたのだ。

 彼らの会社の名称は「Sexy Action Cool」で,Kapalka氏が映画のポスターに並んでいた文字を見て,そのまま付けたというのだから,思いつきの域を出ない。彼らが制作した「Foxy Porker」は要するに脱衣ポーカーで,ポルノ業界とも関係があったという。いきなり,なんだかすごい状況になってしまったが,金銭的にはうまくいったとのこと。とはいえ,結局Kapalka氏らがこのゲームおよびポルノ業界から学んだのは,「人は半分だけ堕ちることはできない。完全に堕ちるか,やめて家に帰るかだ。我々は家に帰ることにした」という事実だったという。よく考えると当たり前のことを言っているみたいだが,なんだか感動的である。

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 その後,彼らは会社の名前をSexy Action CoolからPopCap Gamesに変えて,ちゃんとしたゲームを作ることに決めた。さらにKapalka氏は,Sexy Action Coolでよほど懲りたのか,会社の名前は一生ついて回るものだからよく考えて付けること。とくにママに知られたときに,彼女がどう思うか考えること。さらにカナダの人は,アメリカに入るときに会社の名前を書くことになるので注意すること,と訴えている。訴えられても困るが,気をつけよう。

 そんなPopCapが最初に制作したのが,「Diamond Mine」だ。彼らがこのDiamond Mineのアイデアをどこからちぎって(Rip off)きたのかと言えば,ロシアのゲーム「Shariki」や「テトリス」,そして「テトリスアタック」,さらに「コラムス」などだそうで,さらに,さまざまなタイトルのどこを使ったかを図式にした複雑きわまりない系統図も作成しており,なんだかどこまで信用していいのかよく分からない。
 おそらく,皆さんもそう思っているでしょうけど,本当はそうじゃなくて,1999年に彼らが作った「Colors Game」が基本となっているのです,とKapalka氏は話をひっくり返した。もっとも,Colors Gameは,システムこそBejeweledと似ているが,非常にプレイしづらいものだったという。その最大の理由は,すべてが同じ四角形で,色が違うだけだからだ。つまらないとKapalka氏が言うと,制作したVechey氏は,そのとおりだが,システムは面白いはずだと主張したという。
 そこで,まず形を変えることにし,多彩な色を持ち,幾何学的な宝石を選んだという。さらにアニメーションやサウンドを洗練し,できあがったのがブラウザゲームのDiamond Mine,のちのBejeweledなのだ。

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 Kapalka氏は,Bejeweledの開発において「うまくやれたこと」として以下の点を挙げている。

・専門家の意見に従わなかった
最初に見せたオンラインゲームサービスの専門家は,口をそろえて「これはゲームじゃない」と否定的だった。だが,結果は好評だった

・市場の動向に気がつかなかった
彼らがBejeweledを制作していた頃,まさにITバブルが崩壊し,ネットサービスが次々に倒産した。もし,それに気づいていたら,ネットゲームは作らなかった

・投資してもらうことも,売ることさえも考えなかった
Microsoft Zoneにゲームをアップしてもらうためには月に1500ドルかかる。それを3人で割ればたかがしれている。細かいことは考えないようにした

・自分達の作りたいゲームを作った
ママを使ってテストして,彼女がプレイできれば,誰でもプレイ可能だと判断した。ただし,ママのためにゲームを作ったわけではなく,自分達が遊びたいものを作った

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 Javaで作られた最初のBejeweledがリリースされたのが2001年なので,今年は記念すべき10周年を迎えることになる。2001年には「Bejeweled Delux」もリリースされ,2004年には「Bejeweled 2」が,そして2007年には「Bejeweled Twist」,さらに2008年にはiPhoneの「Bejeweled iPhone」,2009年には「Bejeweled Blitz」と矢継ぎ早にリリースされ,ついに2010年,「Bejeweled 3」が発売になった。予想どおり好調な売り上げを記録しているようで,PopCapのカジュアルゲーム市場における立場は現在のところ盤石のように思える。

 ちなみに次回作として予定されている「Bejeweled Blitz Carnage」は,バーでの対戦機能が実装されており,負けた人が勝った人に一杯おごるというシステムになっているそうだが,あまり信用しないほうがよさそうだ。
 Kapalka氏によれば,Bejeweledシリーズは,現在までに約5000万本が売れており,約5億人のプレイヤーがいるとのこと。彼らがプレイした総時間は,約70億時間に達し,それは約79万8000年に相当する。79万8000年を分かりやすく説明すると,紀元前9400年(おそらく氷河期)から70人のプレイヤーがノンストップでBejeweledをするのと等しいのだそうだ。あまり分かりやすくなかったかもしれないが,そういうことらしい。

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 右に左に話が飛び,本当なのか面白いウソなのかすぐには分からないような話題や,ちょっと書きづらい,きわどいジョークが次々に飛び出すレクチャーは,PopCapの持つ雰囲気に通じるものがあるような気がする。こういうレクチャーを聞けるところが,GDCの醍醐味の1つかもしれない。ともあれ,10周年を記念して,晴れの舞台でBejeweledの話ができたと語るKapalka氏は,そのことに感謝しつつ,20年後もまたBejeweledの話ができれば嬉しいとしてレクチャーを終えた。
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    Bejeweled Twist

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    Bejeweled 3

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