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  • AMD
  • 発表日:2009/01/08
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オーバークロック耐性と省電力が力強くアピールされた,Phenom IIローンチイベント
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印刷2009/01/13 11:11

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オーバークロック耐性と省電力が力強くアピールされた,Phenom IIローンチイベント

もはやお馴染みの土居憲太郎氏(上)と森本竜英氏(下)
画像集#002のサムネイル/オーバークロック耐性と省電力が力強くアピールされた,Phenom IIローンチイベント
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 2009年1月10日,AMDの日本法人である日本AMDは,東京・秋葉原でエンドユーザー向けイベント,「Don't think〜兄貴と紳士のお正月だよAMD」を開催した。
 今回は,新世代クアッドコアCPU,「Phenom II」発売記念ということもあり,会場には大勢のPCユーザーが“集結”。とくに,日本AMDの“兄貴&“紳士”,土居憲太郎,森本竜英両氏が登壇したセッション,「AMDプラットフォーム・ロードマップアップデートおよびデモ」では,来場者が道路にまで溢れ,一種異様ともいえるほどの熱気に包まれていた。本セッションの内容を中心に,イベントをレポートしてみよう。

 なお,イベントではロジクールが新型のゲーマー向け周辺機器,「G13 Advanced Gameboard」を紹介しており,その模様は10日の記事でお伝えしている。興味のある人は併せてチェックしてほしい。



ライブならではのハプニングもありつつ

オーバークロック耐性と省電力が強くアピール


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Phenom X4 9950のPステートは2.6/1.3GHzの二つで,TDPは最低でも69W。これに対してPhenom II X4 940では3.0/2.3/1.8/0.8GHzの4段階となり,0.8GHz動作時には49Wとなる(※サムネイルをクリックすると別ウインドウでスライド全体を表示します)
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Phenom II X4 940と「AMD 790GX」グラフィックス機能統合型チップセットを組み合わせると,アイドル時におけるシステム全体の消費電力は58Wに抑えられるという
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どういうわけかPhenom II X4 940(173W)のほうがPhenom X4 9950(161W)より消費電力が高いという決定的瞬間(?)。実際には,4Gamerのレビューでも検証結果が出ているとおり,前者のほうが消費電力は低い
 さて,セッションではまず,土居憲太郎氏がPhenom IIのパフォーマンスを解説した。
 Phenom II――正確には「Phenom II X4 940 Black Edition/3.0GHz」(以下,Phenom II X4 940)――の実力については4Gamerでもレビュー記事でお伝えしている。また,製品概要も2009年1月8日のニュース記事でお伝えしており,セッションの内容も多くが後者とオーバーラップしていたが,いくつか新情報もあった。

 例えば新しい省電力機能,「Cool’n’Quiet 3.0」。AMD社内では「Phenom Classic」と呼ばれることがあるという第1世代Phenomと比べて,Phenom IIではPステート(≒動作ステート)の数が増えており,P3ステート動作時の動作クロックは800MHzまで下がるが,そのときのTDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)は49Wになると明らかになっている。

 というわけで,会場ではPhenom II X4 940と,「Phenom X4 9950 Black Edition/2.6GHz」(以下,Phenom X4 9950)の消費電力をワットチェッカーで計測するというデモが行われたのだが,なぜか後者のスコアが低く表示されるというハプニングが発生。土居氏が「今のはなかったことに(笑)」とフォロー(?)し,会場が笑いに包まれるという一幕もあった。
 もう一つ,Phenom IIのパフォーマンスで強調されたのがオーバークロック耐性の高さである。こちらもデモが行われ,「AMD OverDrive」(以降,AOD)を使って(CPUの動作電圧を決定する情報である)VIDを0.1V高めただけで,用意されたPhenom II X4 940搭載の空冷システムが,あっさりと3.8GHzで動作する様子が示されている。

AODを使い,VIDを0.1V高めた状態で,あっさり3.8GHzの動作に成功
画像集#007のサムネイル/オーバークロック耐性と省電力が力強くアピールされた,Phenom IIローンチイベント

渡辺氏が分類するPhenom IIの「オーバークロック耐性」。3.2〜3.6GHzなら常用が可能ではないかとのことだ
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 オーバークロックについては,専門店「OVERCLOCK WORKS」の渡辺光比呂氏がゲストで登場し,「(Phenom IIは)3.2〜3.6GHzが常用できるクロックではないか」と,テスト結果を踏まえた自説を展開。さらに,「BIOSでコア電圧を上げてもAOD上の『CPU VID』には“変更された結果”が反映されないが,実際には上がっているため,この状態で『CPU VID』を変更すると,BIOSで設定したコア電圧に対して加減される」と説明し,BIOSからコア電圧をやや高め,そのうえでAODから微調整するとオーバークロックしやすいとアドバイスしていた。

 さて,土居氏は最後に恒例の「ロードマップ」も披露。イベントで示されたロードマップは2008年の時点でAMDが公開したものと変わっていなかったが,45nmプロセスで製造される新製品としては,L3キャッシュを省略したクアッドコア製品「Propus」(開発コードネーム)や,3コア版の「Phenom II X3」が用意されるとのことだ。

会場で示されたロードマップは,基本的に,AMDが2008年に公開したものから変わっていないようだが,土居氏は「AMDのロードマップはいきなり変わるので(笑)ここにはない面白い製品を紹介できるかもしれない」と,AMDの“弱点”を逆手にとって,今後の展開に期待を持たせていた
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森本氏は本邦初公開のOpenCLデモを披露

「TotalMedia Theatre」に関する新情報も


OpenCLのレイヤーは計算するデバイス(=コンピュートデバイス)を抽象化。その上で動作するアプリケーションはコンピュートデバイスを意識する必要がないとメリットを強調
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 ところで,Phenom IIからは少し離れるが,森本氏は,

  • Avivo Video Converterの使い方
    〜本アプリケーションのUIにはクセがあるため,「動かない」という問い合わせが多いのだそうだ
  • (GPUを用いた汎用コンピューティングのためのAPIである)OpenCLベースの流体デモ

を実演。本邦初公開となる後者は,現状ではCPUのみの対応となるが,「OpenCLは,コンピュートデバイスが何であっても関係なく動作する」と,森本氏は強調していた。

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問い合わせが多いというAvivo Video Converterの使い方を,森本氏がステップバイステップで説明。パフォーマンスをアピールしつつ,「無料なのでぜひ使ってほしい」と呼びかける
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OpenCLベースで各種シミュレーションを行えるソフトウェア。ビーカー状の物体を木の板で上下2分割し,上に水,下にニトロを置き,ニトロを爆発させる……というデモが行われた

 また,「従来は,『動作する』というレベルだったが(笑),UIが一新されて使いやすくなっている」(森本氏)という,AMDオリジナルのメディアビューワ「AMD Fusion Media Explorer 2.0」が,2009年春に日本語版で登場すると予告されている。

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AMD Fusion Media Explorerの新バージョン2.0もデモが行われた。「UIが一新され使いやすくなっている」(森本氏)
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AMD Fusion Media Explorerから,写真を表示させるデモの様子。バイクに乗っているのは森本氏自身だそうだ

アークソフトの堀 肇氏は,ATI Radeon HD 4850搭載グラフィックスカードを搭載するシステムで,CPU負荷を10%程度に抑えつつ,SDムービーをリアルタイムでHDアップスケールできると,実演していた。発売が間近に迫っているそうなので期待しよう
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 また,最近AMD(やNVIDIA)のイベントへ積極的に参加しているArcSoftは,アップスケール技術「SimHD」の最新版が,ATI Radeon環境でSDビデオをフルHD解像度へリアルタイムアップスケールできるようになったことと,SimHDを採用した同社製メディアプレイヤーソフト「TotalMedia Theatre」が「いま流通関係を調整しているところで,それがクリアになれば発売できる」ことを明らかにした。間近に発売が迫っている新型プレイヤーは,日本語化されると同時に,Windows 7を先取りしたUIを搭載するという。

 なお,ArcSoftの日本法人であるアークソフトの堀 肇氏に,セッション終了後に話を聞いたところ,OpenCLのSDKがリリースされれば,SimHDはすぐにでもOpenCLへ対応させる予定があるとのこと。また,2009年中には,「HD解像度へアップスケールしたビデオを,トランスコードして『HDビデオ』として保存するソフトウェア」を,何らかの形でリリースできる見通しであると,今後の展開を明らかにしていた。まだ最終決定ではないが,TMPGEncなど,既存のトランスコードソフトに対応したプラグインの形で提供されることになるようだ。


熱気に包まれたAMDイベント

Phenom IIへの期待度は高い


Phenom II X4 940の購入者&予約者限定のプレゼントキャンペーンが行われたことで,開場前からご覧の行列ができていた
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 冒頭でも簡単に触れたが,定期的に開催されている日本AMDの秋葉原イベントのなかでも,今回はとくに盛り上がっていた印象だ。修辞的な意味ではなく,文字どおり真冬とは思えない熱気で会場が包まれていたあたりからは,Phenom IIに対する期待の高さが窺えた。実際,Phenom IIの出足は好調のようで,夕刻,秋葉原の様子を見てきたスタッフから「2店を除きほぼ完売」という知らせを受けた土居氏が嬉しそうにしていたのが印象的だった。

 2008年,ATI Radeonを大きく飛躍させたAMDだが,同社の将来を占ううえで,やはりCPUは欠かせない。久しぶりに競合と戦える製品が登場し,ロードマップもかなりの具体性を帯びるあたりからしても,今年のAMDには明るい話題が多そうだ。

ちなみにこれは,「Dragon」プラットフォームに用意された,もう一つの公式イメージ。アジア風の竜だが,「なんかトカゲっぽいので(笑)」(土居氏)日本ではこちらではなく,全世界仕様といえる欧州風のものが採用されたとのことだ
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