インタビュー
「アリス マッドネス リターンズ」の魅力と欧米ゲーム業界の現状と未来を,アメリカン・マギー氏に語ってもらった。すでに第三作も準備済み?
11年の歳月を経て,アリスがワンダーランドに帰ってきた。
エレクトロニック・アーツが2011年7月21日にリリースしたアクションゲーム,「アリス マッドネス リターンズ」(PC/PlayStation 3/Xbox 360)は,2000年10月に発売された「アリス イン ナイトメア」の続編だ。前作は,ちょうどこのサイト(4Gamer)を立ち上げたころの作品なうえ,筆者自身がアリスをそれなりに読み込んでいることもあり,非常に記憶に強く残る,懐かしい作品だ。ルイス・キャロルの原作「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」の雰囲気をうまいこと再現しつつ,そこにホラーの要素を加えたダークな演出が人気を集めたタイトルであり,日本でもファンが多い。
そんなマギー氏が,アリス マッドネス リターンズの日本発売にあたって来日し,メディアのさまざまな質問に答えてくれたのだ。
ロサンゼルスから上海に拠点を移し,欧米のゲーム業界とは一定の距離を置きながら,好きなゲーム制作を続ける異色のゲームクリエイター,アメリカン・マギー氏(ちなみに本名だ)。彼がどのような考えのもとに11年ぶりの新作を手がけたのか,現在の欧米ゲーム業界を,上海の地からどのように眺めているのか,ちょっと話を聞いてみよう。
「アリス マッドネス リターンズ」公式サイト
アメリカン・マギーがEAと組んで放つ
「アリス マッドネス リターンズ」
4Gamer:
お久しぶりです。本日はよろしくお願いします。
アメリカン・マギー氏(以下,マギー氏):
4年ぶり……かな? よろしくお願いします。なんだか今日は暑いですが,でも上海はもっと暑いですよ。今はだいたい,40℃ぐらいでしょうか。
4Gamer:
いつもの上海ですね。
マギー氏:
ですから,東京は過ごしやすいですね(笑)。
4Gamer:
今回の来日の目的はなんでしょう。
マギー氏:
このたび,11年ぶりになる続編「アリス マッドネス リターンズ」(以下,マッドネス リターンズ)が日本で発売されるということで,そのプロモーションのために来ました……ってあまりにも普通ですね(笑)。
このように,プレスのインタビューに答えることが目的ですが,とくに今回,日本に来られることを非常に嬉しく思っています。というのも,日本の多くのゲーマーが前作「アリス イン ナイトメア 」を愛してくれているからです。さらに,続編の発表のときにも日本のユーザーから良い反応をもらいました。本当に,世界的に見てもちょっと驚くほどでしたので,こうして日本に来て,皆さんとお会いできることをとても楽しみにしていました。
4Gamer:
今回のマッドネス リターンズで,あなたは,開発のどの部分まで関わったんですか?
マギー氏:
ゲーム開発については,前作と似たような立場ですよ。具体的にはゲームのストーリーを書くことや,アートワークやゲーム全体の雰囲気を決めるなどですね。しかし今回は,それ以上の役割もありました。つまり,Spicy Horseの経営にも責任を負っていますので,そちらの仕事もしなくてはなりませんでした。
4Gamer:
マッドネス リターンズにかかった開発期間は,どれくらいですか。
マギー氏:
そうですね,Electronic Artsとの交渉は3年前に始めまして,契約をまとめるのに1年かかりました。その間に,アートワークですとかストーリーなどを進めて……。交渉がまとまって,EAがくれた時間は26か月でした。
4Gamer:
ところで,4年前に上海であなたにインタビューしたとき(関連記事)……。
マギー氏:
たいへんよく覚えています。印象的な取材でした。
4Gamer:
あのときあなたは確か「EAは自分を束縛するので,作りたいものを作れない。だから,(EAを)辞めるんだ」とおっしゃってました。ここで改めてEAと手を組んだ理由を教えてもらえませんか。
マギー氏:
ええ,確かに言いましたね。ですが,現在の欧米ゲーム業界には「EAを怒らせてはいけない」という言い伝えがありまして(笑),大なり小なり一緒に働く機会は多くなっています。自分が誰と一緒に働きたいか,ゲームを誰と作りたいかはいつも考えていますが,もちろん,いつも自分が望んだとおりになるわけではありません。
マギー氏が上海でゲーム制作を続けるわけ
4Gamer:
大人の事情でしたか。そういう部分も含めて,4年前にお会いしたときとはまた雰囲気が変わったような印象を受けます。
マギー氏:
そうかもしれません。マッドネス リターンズの開発には,75人のメンバーが携わっており,彼らの中心になってまとめていかなければなりませんでした。現在はやや規模が小さくなって総勢で50人ほどですが,私もスタジオも常に変化していますし,また我々のいる上海という街もまた変化を続けています。あまり大きなものではありませんが,上海の街からも多かれ少なかれ影響を受けているんでしょう。
4Gamer:
75人! いつの間にそんなに。しかし規模が小さくなったというのは,プロジェクトごとに人を雇っているということですか?
マギー氏:
いや,そうじゃありません。プロジェクトによって人数の増減があるのは仕方ありませんが,私はなるべくそれを避けたいと考えています。雇ったり辞めさせたりは,従業員にとって――むろん私にとっても――苦痛ですので。ですからまず,「American McGee’s Grimm」のためのスタッフがいて,それが成長してマッドネス リターンズを作りといった感じで成長してきました。現在はスタッフを三つのチームに分けて,それぞれがゲーム開発を行っています。
4Gamer:
しかしそういうやりかたは,結構難しくありませんか。
マギー氏:
幸い,そこで新たな出資者を見つけることができたので,なんとかなりました。さきほどのEAの話じゃありませんが,我々に選択の余地はありません(笑)。市場がこれほどの規模になってなお,ゲーム開発は安定した仕事ではないようです。
4Gamer:
残り1週間は厳しいですね……。ところで後学のためにお聞きしたいのですが,中国でゲーム開発会社に出資してくれるのは,どんな企業なんでしょうか。銀行とか投資会社が中心ですか? それともベンチャーキャピタルとかですかね。
マギー氏:
はっきりと申し上げると,誰もゲーム会社に投資しようとは思っていません(笑)。
4Gamer:
えええ……。
マギー氏:
今回,我々に出資してくれたのはシンガポールの企業グループで,もちろん,我々のスタジオに将来性を感じてくれたのも理由の一つなんでしょうが,中国のほかの大手ゲームメーカー,例えばShandaやNeteaseなどに過去,投資し損なってビジネスチャンスを逃していたというのも理由としてあるようですね。
4Gamer:
そうなんですよね。出資する立場の人というのは,なぜか黒字の会社に出資したがるんですよね。
マギー氏:
そのとおりですね。
4Gamer:
いつもながら,まったく意味が分かりません。
しかし,シンガポールの会社は,投資した会社をシンガポールに呼びたがるようですから,そのうち,Spicy Horseも引っ越しをすることになるかもしれませんよ。
マギー氏:
いや,実はもう5年になるんですが,「シンガポールに来い」とずっと誘われ続けているんですよ。彼らはとても積極的で,何度も上海に足を運んでくれて,また私自身もシンガポールに行ったりもしています。
おっしゃるとおり,シンガポールは国を挙げてさまざまな企業の誘致に熱心です。数多くの投資会社が,政府機関であるMDA(Media Development Authority=メディア開発庁)と強く結びついており,ハイテク企業やゲーム会社をシンガポールに呼び寄せようとしていますから。
4Gamer:
いずれにしろ,ゲームデベロッパとしてのSpicy Horseを取り巻く環境はなかなか厳しいようですね。どうせ厳しいのであれば,そろそろアメリカに戻ろう,などと思ったりはしないんでしょうか。遠く離れた異国の,そしてあまりにも文化も違う土地で,そうまでしてゲーム開発を続けるモチベーションというのは,どこからくるものなんでしょう。
マギー氏:
私は……もしこの仕事を辞めたらやろうと計画していることがあります。大きなヨットを買って,世界中を回るんです。何年もかけて,海の上で暮らしながらね。私はいつも新しい世界で新しい経験をしたいと望んでいるんです。私が上海に居続ける理由もそれで,上海は世界のどこよりもいろいろなことが起きる街です。今このときに,あの街にいられることを,とてもラッキーだと思っています。
毎日,本当に毎日,上海では挑戦すべきことが起き,学ぶべきことがあり,それがない日はありません。そうやって毎日を過ごしていると,生きているという実感を覚えるんですよ。
4Gamer:
4年前に比べて,ますます上海が好きになっているといったところでしょうか。
マギー氏:
うーん……好きとか嫌いとか,そんなに単純なものではないですね(笑)。日々の驚異と同じくらいイヤになることも起きるからです。好奇心を覚える楽しい体験ができるときもあれば,フラストレーションがすごくたまるときもあります。もう,こんなところを捨てて出て行きたい,と感じることも少なくありません。好きか嫌いかで気持ちを表現するのは難しいですね。
4Gamer:
昔の話ですが,「あんなところ(上海)には三日と住んでいられない」と言っていた,有名なMMORPG開発者がいました。
マギー氏:
分かります。よく分かります。必要なのは柔軟性でしょう。本当に頭が変になりそうな出来事も起きますが,柔軟性があればうまくやっていけると思います。
4Gamer:
そうやってあなたが上海で得たセンスは,マッドネス リターンズのワンダーランドに反映されていたりしますか?
マギー氏:
いや,それほどでもありません。マッドネス リターンズはアリスの物語であり,いかに彼女をうまく引き出すかがゲーム開発の目的です。そのため我々は,自分達の感情や影響を受けているものがストーリーに反映しないように,注意深く開発を進めてきました。
4Gamer:
昨年(2010年)公開された映画「アリス・イン・ワンダーランド」に影響された部分はありますか。
マギー氏:
ゲームの開発が始まったのは映画が公開されるずっと前のことですから,それはありませんね。ただ,ティム・バートン監督のアートスタイルや演出が好きなので,映画が公開されるという話を聞いて楽しみにはしていました。ですが,ちょっとがっかりさせられました。とくにストーリーが残念でしたね。問題点は映画がアリスの物語ではなく,アリスの周りの人達の物語になっていたことです。
4Gamer:
いやホントにイマイチでしたね……。
帰ってきたアリスが,ワンダーランドで見るものとは
4Gamer:
話がちょっと脇道にそれすぎてしまったみたいなので,ゲームについてお聞きしたいと思います。ええと,10年以上経って続編の発売となったわけですが,どうして今,ここでマッドネス リターンズを作ろうと思ったのですか。
マギー氏:
いや,実はもともと,なんのプランもなかったんです(笑)。前作アリス イン ナイトメアを作ってからロサンゼルスを離れ,まず香港へ,そして上海へと渡ってきたわけですが,その間に,ゆっくりアイデアが練られていったんです。そして,そろそろ作れそうになったときを見はからうようにEAからオファーきたわけで,良いときに良い場所にいたとしか言えません。
4Gamer:
ノープランって(笑)。前作と決定的に違うところはどこでしょう。
そうですね。物語の第2章となるマッドネス リターンズは,ミステリーです。それも,殺人にからむミステリー。誰が,なぜ,アリスの家族を殺害したのかという謎を追っていくことになります。また,前作はアリスの精神的な戦いを描いたものでした。アリスがその戦いに負けると,精神の平衡を失います。ですが,今回はもっと物理的な戦いがテーマになっていて,敗北はアリスの肉体的な喪失――すなわち死を意味します。
アリスの旅はまずメンタルな部分からスタートし,続く2作目で物理的なものを描きました。ですから,第三作ではおそらくその二つを合わせて,彼女が自分の世界だけではなく,人の頭の中に入り込んで,別のワンダーランドで冒険をするといった,スーパーパワーを描いたものになります。
4Gamer:
……おや? 第三作がすでに予定されているんですか。
マギー氏:
もちろんそれは,EA次第ですよ。最初の作品が受け入れられるかどうかは,プレイヤー次第でした。幸いにもファンの後押しがあって,次回作ができました。今回のマッドネス リターンズにもたくさんのファンができれば,EAはやらせてくれるでしょう。まあ,また10年かかるかもしれませんが!
4Gamer:
なるほど,当たり前の話ですけど,売れ行き次第ですか。しかし,第三作のアイデアはすでにあるというわけですね。
マギー氏:
そうです。
4Gamer:
ええと,月並みな質問で恐縮ですが,マッドネス リターンズの見どころは。
マギー氏:
そうですね,前作同様,ストーリーとアート,そしてアクションのコンビネーションに力を入れています。ゲームそのものは古典的なプラットフォームアクションで,変わっていませんし,もともと大きく変えるつもりもありませんでした。というのも,前作のファンの多くが,大きな変化を望んでいないことを知っていたからです。
アクションゲームとしても面白さをさらに追求
4Gamer:
アクションゲームとしての面白さはどうですか。
マギー氏:
というと?
4Gamer:
前作は私にはちょっとEasyだと思えたので,そのへんはどうにか手が入れられたのかな,と思いまして。
マギー氏:
おやおや,あなたはかなりヘビーゲーマーですね。非常に特殊なケースです!(笑) 前作は多くのプレイヤーから「難しすぎる」というクレームがきました。アクションそのものはシンプルなんですが,ともかく難しいと。そこで今回は戦闘システムに手を入れて,より戦略性の高いものにしました。前作に比べてプレイヤーが頭を使う必要はありますが,結果的には,より楽しくて熱中できる,深みのある戦闘になっています。
4Gamer:
戦略性とは,具体的にどのようなものを指すんでしょうか。
マギー氏:
「ゼルダの伝説」シリーズなどに代表される,任天堂の巧みなタイトルを研究しました。例えば,モンスターによって異なる武器を使ったり,まるでリズムゲームのようなテンポのいい戦闘シーンだったりとか,そうしたことですね。
4Gamer:
つまり,単に手に入った武器を振り回しているだけでは勝てないということですか。
マギー氏:
ええ。でも,イージーモードならそれでも大丈夫ですよ。というのも,我々はなるべく広い層のプレイヤーにこのゲームを楽しんでもらいたいと思ったからです。まぁあなたはヘビーゲーマーだから,ハードモードにすべきですけどね。
4Gamer:
いや最近はもう,アクションゲームをうまくやる自信はありません。ところで,アートワークについての見どころといえば,どういうところでしょう。相変わらず,敵モンスターといい,ワンダーランドといい,いかにもあなたのゲームという雰囲気ですが。
マギー氏:
ワンダーランドのどの場所も,個性的な世界になっています。場所を移動するごとに,アートのスタイルが大きく変化するので,飽きることなくプレイできると思います。
つまり,マッドネス リターンズはマルチレイヤーのゲームなんです。私の希望としては,場所でもシステムでもキャラクターでも,それぞれのプレイヤーが自分の好みに合ったレイヤーを見つけて,楽しんでほしいんです。
4Gamer:
その「レイヤー」について,何か具体的なサンプルは挙げてもらえますか。
マギー氏:
そうですね,一つ例を挙げると,ゲームに出てくるロンドンのシーンでは,流れる音楽や聞こえてくるニュースなどが,すべて当時流行したものだったり本当の出来事だったりします。戦争があったり,ロイヤルウェディングがあったり,船の沈没事故があったりと,イギリスだけでなく,日本を含めた世界中のニュースをリサーチして当時のロンドンを作りあげました。ですから,歴史に詳しい人はロンドンのリアリティに驚いてくれるはずです。
4Gamer:
なるほど。
また,精神的なレイヤーとしては,例えば錬金術のシンボル(Alchemy Symbol)があります。アリスのエプロンの左右のポケットに描かれているのがそれなんですが,ゲーム中に詳しく語られることはないものの,なぜワンダーランドのこのエリアでこのシンボルが使われているのかといったようなことは,すべて考えています。ですから,興味を持って調べてもらえると,新しい発見があるでしょう。
このように,ゲーム内で見えるものや聞こえるものの多くに,何かしらの意味を持たせており,それぞれがリンクしていますので,そういったレイヤーに魅力を感じてくれるプレイヤーもいるでしょう。
4Gamer:
ちなみに,あのアリスのポケットにある2つのシンボルは,何を表してるんでしょうか。
マギー氏:
一つは,今アリスがいるエリアで,もう一つは,アリスの精神状態を示しています。これ以上については,ぜひ,調べてみてください。
Spicy Horseの最新作と,
カジュアルへと急速に舵を切る欧米ゲーム業界の今後
4Gamer:
なにせアリスは明日発売(編注:インタビューは7月20日に行われている)なので,興味のある人にはぜひ買っていただくとして,あなたのこれからの予定などを聞いてもいいですか。
マギー氏:
どうぞ!
4Gamer:
まず次回作なんですが,「Free-to-Playタイプのオンラインゲーム」を制作中であるというニュースが2011年の5月に流れたと記憶しています(関連記事)。
マギー氏:
ご存じのように,我々はカジュアルゲームで知られるPopCap Gamesと契約を結びました。制作しているのは3Dのオンラインゲームで,一部で書かれたような“MMORPG”と呼べるほどの大きな規模のゲームではなく,PopCapのオリジナルIPを3Dのオンラインゲームに移植するというものです。
4Gamer:
しかしPopCapは……。
マギー氏!
ええ! PopCapはつい最近EAに買収されたので(関連記事),驚いたことに私はまたしてもEAと一緒に仕事をすることになりました。それについてEA時代に同僚だった知り合いから,「ハハハ。お帰り!」というメールをもらいましたよ(笑)。
4Gamer:
先ほど,3つのチームが開発を進めているというお話がありました。
ええ。今お話ししたPopCapと一緒に開発しているタイトルのほかに,2つのオリジナルタイトルを進めています。こちらは,さきほどのシンガポールの企業グループの出資によるもので,どちらも日本を題材にした作品です。
現在の我々がゲーム制作においてフォーカスしているのは,いかに短い時間でゲームを開発し発売するかということです。したがって,いずれのタイトルもオンライン販売されるマルチプレイのゲームになります。
4Gamer:
日本を題材に……とおっしゃいますが,ゲームのタイトルは?
マギー氏:
一つは「Akaneiro」で,日本語の「茜色」ですね。すでにiPad向けの書籍としては発売されていますが,これをゲーム化してiPad,iPhone,そしてFacebook向けに,今から6か月以内にリリースする予定です。テーマは赤頭巾。近代化途中の日本の北海道で行われた狼退治の様子を描いたBrett L. Walker氏の著作,「The Lost Wolves of Japan」から大きな影響を受けているんですが,Akaneiroは,狼から逃げて北海道にやってきた赤頭巾が,人間に滅ぼされてしまった狼の悪霊達と戦うという物語になります。
4Gamer:
ええと,きっといつもどおりの「あなたの」作品ですよね。
マギー氏:
ええ,もちろんダークです(笑)。
もう一つのオリジナルタイトルは,3Dというか2.5Dのプラットフォームアクションです。つい最近,このゲームにバックストーリーを付けたんですが,日本のおもちゃ屋を舞台にしました。おもちゃ屋さんでプレイヤーが購入したおもちゃ同士が,オンラインで戦うというという内容です。
4Gamer:
対応機種はなんですか?
マギー氏:
すべてセルフパブリッシュなんですが,こちらもiPadやiPhone,Facebook,そしてSteamなどを予定しています。もちろん,EAのFree-to-Playゲームのチャンネルも使うでしょう。
4Gamer:
基本料金無料の,カジュアルなタイトルなんですね。質問なのですが,世界的にゲームマーケットの流れが,スマートフォンだったりソーシャルゲームだったりという方向に対しても大きく舵を切られていることは明らかです。コアゲーマーから高い評価を受けているあなたとしては,そのあたりのことをどうお考えですか。
プラットフォームは常に変化するもので,最近のハードはより小さくなり,持ち歩けるようになり,ソーシャル化されて人々がつながることが重要になっているのは間違いないと思っています。そして今,成功している新しいタイトルには,昔のゲームを思い出させるものがたくさんあります。たぶん,これまでの20年間で作り上げられてきたゲーム業界が,もう一度作り直される段階にさしかかっているんでしょう。
私にとってこの状況は,一つのチャンスだと思っています。ソーシャルゲームのトップメーカー,例えばZyngaやPlayfishのタイトルを見ると,すべて2Dで,彼らは3Dゲームの作り方を十分に理解していないと思います。PopCapが我々と手を組んだのもそのためなんですが,業界がもう一度作り直されているのだとすれば,今後,3Dへの要求が高まるのは間違いありません。というわけで,私は3Dのカジュアルゲームに未来を見ています。
4Gamer:
なるほど。私自身も,ソーシャルにしろカジュアルにしろ,これからはもっと“ゲームらしいゲーム”が重要になっていくと思います。そのときこそがあなたがた「クリエイター」の出番なわけで,ぜひがんばってください。では最後に,読者にメッセージをいただけますか。
マギー氏:
はい。シリーズ第1作であるアリス イン ナイトメアは,日本のプレイヤーに大変好評を得ました。ですから私は,マッドネス リターンズの制作にあたっても日本のプレイヤーをすごく意識しました。その部分に気づいてもらえると,すごく嬉しいです。そうそう,ワンダーランドのアリスは,新しい地域に行くたびに衣装を着替えます。コスプレイヤーの人にもアリスを愛してほしいですね(笑)。
4Gamer:
本日はどうもありがとうございました。
「アリス マッドネス リターンズ」公式サイト
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