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より分かりやすく,より遊びやすくなったセカンドシーズン第1弾。“ナゾトキ・ファンタジー”アドベンチャー「レイトン教授と魔神の笛」は,初めての人も安心して楽しめる良作
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印刷2010/01/30 15:05

レビュー

より分かりやすく,より遊びやすくなったセカンドシーズン第1弾。“ナゾトキ・ファンタジー”アドベンチャー「レイトン教授と魔神の笛」は,初めての人も安心して楽しめる良作


» 4Gamerのスタッフ/ライターが,旬であろうとなかろうと個人的にお勧めしたいコンシューマ機のゲームを熱く紹介するのが,不定期連載「極私的コンシューマゲームセレクション」だ。今回は,以前本連載で「レイトン教授と最後の時間旅行」を執筆した「頭の体操」マニアことライターの大陸新秩序氏が,セカンドシーズン第1弾「レイトン教授と魔神の笛」を紹介する。



画像集#001のサムネイル/より分かりやすく,より遊びやすくなったセカンドシーズン第1弾。“ナゾトキ・ファンタジー”アドベンチャー「レイトン教授と魔神の笛」は,初めての人も安心して楽しめる良作
 2009年11月26日に発売されたニンテンドーDS用ソフト「レイトン教授と魔神の笛」は,2010年1月5日時点で,全世界のシリーズ累計出荷本数が800万本を超える「レイトン教授」シリーズ最新作。先に三部作(ファーストシーズン)として完結した「レイトン教授と不思議な町」「レイトン教授と悪魔の箱」「レイトン教授と最後の時間旅行」(すべてNDS)に続く,新三部作(セカンドシーズン)第1弾の“ナゾトキ・ファンタジー”アドベンチャーゲームだ。
 セカンドシーズンの幕開けとしてリリースされた本作は,これまでのシリーズ作品と何が変わり,そこにはどういった意図が込められているのか,実際にプレイしたうえでナゾを解明(?)していこう。

少年少女の活躍に焦点を当てたストーリーで冒険活劇の要素を強調


 本作は,「レイトン教授」シリーズの処女作である「レイトン教授と不思議な町」の3年前という設定。霧の町ミストハレリが主な舞台で,シリーズ通じての主人公であるエルシャール・レイトン教授とルークが出会い,探偵と助手の名コンビが誕生する過程が描かれていく。安直な説明になってしまうが,映画「スター・ウォーズ」シリーズでいうエピソード1のような位置付けといえる。

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水路の最上流にある湖。後ろの怪しげな屋敷には,“厄災の魔女”こと本作のヒロイン,ユラ・アランバードが住んでいる
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市場。入り組んだ構造になっており,多くのナゾが配置されているほか,ストーリーの謎も隠されている

 ストーリーの発端は,レイトンのもとに届いた,ミストハレリに住む旧友クラーク・トライトンからの手紙。新人助手のレミ・アルタワとともにミストハレリに向かったレイトンは,そこでルークと出会い,町を破壊する“魔神”の調査を開始する。レイトンは,魔神が出没するときに聴こえるという“笛の音”を手がかりに,レミとルークの協力を得てミストハレリにまつわる謎を解明していくこととなる。

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 ゲームのシステムとしては,人物や建物などゲーム画面上のオブジェクト随所に仕込まれた,数々の“ナゾ”をプレイヤーが解き,ストーリー本筋に関する謎については,ゲームの進行ととも明らかにされていくことになる。詳しくは,前作「レイトン教授と最後の時間旅行」のレビュー記事で確認してほしい。

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ルーク。本作だけでは分かりにくいが,ファーストシーズンと比較すると見た目も精神的にも幼く描かれている
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ミストハレリの町を破壊する魔神。出没した日時と場所には,共通する条件があるようだが……?
 シリーズのファンである筆者にとってまずショックなのは,ルークがファーストシーズンとはかなり異なる様子を見せることだろう。“世界の終わりを予言する少年”というキャッチコピーが匂わせるように,どこか陰があり,またレイトンを試すようなルークの態度からは,他人に対して多大な不信を抱いていることがうかがえる。この陰鬱な雰囲気のルークが,レイトンを信頼/尊敬し,明るくはつらつとしたファーストシーズンのルークに変化していく過程も,本作の見どころの一つだ。

 また,そうしたルークの様子は,ストーリーの雰囲気にも影響を与えている。ファーストシーズンのルークは,レイトンと世界を共有したいがために少々背伸びをする「大人びた」「大人ぶっている」描写がなされており,たびたび見せる本来の少年らしさとの微笑ましいコントラストが,ストーリー全体の「大人向け」な空気を逆説的に醸し出していたように思う。
 ところが本作のルークは,賢くはあるけれども,思考や態度は等身大の少年そのままだ。またネタバレになってしまうので深い言及は避けるが,本作でミストハレリに隠された謎の鍵を握る“厄災の魔女”ユラをはじめ,ルークと同年代の少年少女が活躍する展開が用意されており,全般に大人の理屈に縛られない,子供独特の発想が大きくフィーチャーされている感がある。

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当初は消極的なルークだが,レイトンと行動をともにする中で次第に積極性を発揮していく
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“厄災の魔女”ユラ。険しい表情だが,ルーク達との触れ合いの中で,彼女もまた変化していく

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セカンドシーズンを通じてのヒロインとなるレミ・アルタワ。知性派だが,それを上回る行動力で単独行動も辞さない
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本作では,レミとレイトンが出会った過去のエピソードも披露されている。次回作での彼女の活躍にも期待したい
 さらに新たな助手のレミも,ずば抜けた行動力と,ルークとは異なる着眼点で,旧三部作とは異なるベクトルの雰囲気作りに一役買っている。惜しむらくは,本作におけるレミは,主にストーリーに厚みを与える存在に留まっていた点。次回作以降は,彼女の単独行動をより生かした,多面的にストーリーを掘り下げるような展開などに期待したいところだ。

 総じて,本作の雰囲気は,活躍する少年少女と行動力のあるレミらが加わることによって,ファーストシーズンより冒険活劇的な側面──“ドタバタ感”では,いい過ぎだろう──が強調されたように感じられる。ストーリーに差し挟まれるムービーアニメの充実ぶりも,その傾向に拍車をかけている。

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 さすがにシリーズ通算4作めということもあり,ゲームシステム的には大きな変更はないものの,ストレスなくプレイできるように細かなユーザビリティの強化が図られている。分かりやすいところで例を挙げるとすれば,タッチするとメッセージが表示される場所で,一度見たメッセージが同じ部分をタッチするたびに繰り返し表示されることがなくなった点だ。これによって,隠されたナゾや「ひらめきコイン」を探すときのストレスが一つ減っている。

 ゲームとしてのキモとなるナゾは,全般にひっかけ要素が少なくなってストレートな答えが増えた……ような気がするが,これは筆者がファーストシーズンをクリア済みで,解答の勘どころを心得てしまったせいかもしれない。
 前作同様,ひらめきコインを使う親切なヒントシステムもあるので,ナゾが解けなくて投げ出してしまうといった事態にはなりにくいだろう。さらにナゾを間違えることなく5問以上連続正解すると,ナゾ解明時の演出が変わるなど,プレイヤーのモチベーション維持にもさらなる配慮がなされている。

 また「かばん画面」(システムモード)に新たに追加された「エピソード」も面白い試みで,ゲーム本編では語られなかった登場人物達の知られざる一面や不可思議な行動の理由などを確認できる。本作のちょっと不思議な世界観を,より深く堪能したいという人にとっては最高のプレゼントだろう。もちろん,ゲーム内の特定条件を満たすことによりアンロックされていく「ミニゲーム」も健在だ。
 そして本作では,ゲーム本編をクリアしたあとに楽しめるオマケモード「レイトン教授のロンドンライフ」が用意されている。これはレイトン教授らが暮らすロンドンの住人の一人として,自由に生活を楽しめるRPGだ。アドベンチャーゲームは,基本的に「クリアすれば終わり」という宿命から逃れられない性質のものだが,“100時間遊べるオマケ”というコンセプトとされているので,「レイトン教授の世界にずっと浸っていたい」という人にはうってつけだろう。詳細が気になる人は,実際に「ロンドンライフ」をプレイして確かめてほしい。

「レイトン教授のロンドンライフ」
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 本作でミストハレリにまつわる謎は解決を見るものの,セカンドシーズンの1作めということで,エンディングを迎えたあとでも多少のモヤモヤした部分がどうしても残ってしまう。その一方では,次回作以降の展開の中でどう収拾をつけるのか,ファーストシーズンへどうつなげていくのかといった期待も膨らむところ。
 2009年11月25日に開催された「レイトン教授と魔神の笛」完成披露会において,レベルファイブ代表取締役社長の日野晃博氏は,セカンドシーズンは第1弾が「レイトン教授と魔神の笛」,続いて2009年12月19日に封切りとなった「映画 レイトン教授と永遠の歌姫」,そして2010年秋に発売予定の「レイトン教授と奇跡の仮面」(NDS)へつながると説明していた。

 シリーズは初めてという人がプレイしても,ストーリーのフックやナゾの難度,システム的なユーザビリティの高さという点で十分楽しめる内容となっているので,シリーズ特有の世界観が大好きという旧来のファンはもちろんのこと,「映画 レイトン教授と永遠の歌姫」でレイトン教授を知ったという人もぜひプレイしてほしいタイトルだ。

「レイトン教授と魔人の笛」公式サイト


セカンドシーズンでレイトンのライバルとなる科学者,ジャン・デスコール
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    レイトン教授と魔神の笛

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