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[OGC 2010]“面白い”をお金に変えるには――成蹊大学の野島美保氏に聞くネットビジネス最新事情
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印刷2010/02/16 15:14

インタビュー

[OGC 2010]“面白い”をお金に変えるには――成蹊大学の野島美保氏に聞くネットビジネス最新事情

2010年2月時点で,累計450万アカウントを誇る「サンシャイン牧場」
画像集#005のサムネイル/[OGC 2010]“面白い”をお金に変えるには――成蹊大学の野島美保氏に聞くネットビジネス最新事情
 オンラインゲームのアイテム課金や,ゲームポータルでのアバター課金。インターネット上で展開される各種オンラインサービスの中には,やってない人から見ると「なんでこれにお金払うの?」と疑問符が付くサービスは少なくない。ネットビジネスの最先端と言われてきたオンラインゲームにしても,「ゲームとして面白いから」「友達と仲良くなるため」「あるいは他人との競争意識から」などなど,お金を払ってしまうその理由には,これまでにさまざまな説が囁かれてきた。

 時は移り,携帯ゲームやソーシャルゲームが隆盛を誇り,ゲーマーから見ると「これでいいの?」というタイトルが大流行している昨今。改めて「なんでお金を払うのだろう?」と素朴な疑問を感じている人は少なくないはず。かくいう筆者も,他愛もないブラウザゲームに○○万円という少なくない金額を使っていたりして。これは一体なぜだっ!

 ――というわけで,今回4Gamerでは,以前にインタビューしたこともある成蹊大学の野島美保氏に,オンラインサービスならびにコミュニティビジネスの最新動向について話を聞いてきた。
 野島氏といえば,オンラインゲームなどをはじめとしたネット上の無形のサービスの有り様を,経営情報論・情報戦略論的な見地から調査している研究者。2008年9月には「人はなぜ形のないものを買うのか」という研究書を執筆しているなど,オンラインサービス研究の第一人者として知られる。近年は,研究の対象を携帯向けのカジュアルゲームやソーシャルゲームに広げ,さまざまな角度から調査/研究を行っているという。
 そんな野島氏の目から見て,ソーシャルゲームやカジュアルゲームはどのように映っているのか。いろいろな話題を振ってみた。

関連記事:
「人はなぜゲーム内アイテムにお金を払うのか」 デジタルジェネレーションが生んだ新しい経済価値について,成蹊大学の野島美保氏にあれこれ聞いてみた


最近ハマっているゲームは「ブラウザ三国志」


4Gamer:
 ご無沙汰しております。
 前回のインタビューから,もう一年以上が経ちますね。

野島美保氏(以下,野島氏):
 はい。その節はありがとうございました。

4Gamer:
 最近は,携帯ゲームやソーシャルゲームなど,カジュアルなゲームを中心に研究されているとお聞きしています。近頃先生が遊んでいる(研究している)ゲームもやっぱりそちら系なのですか?

野島美保(のじまみほ):成蹊大学 経済学部 准教授。東京大学 経済学部経済学科を卒業後,監査法人勤務などを経て,東京大学大学院にて博士号を取得。著書に「人はなぜ形のないものを買うのか」があるほか,業界紙や「フリーコピーの経済学―デジタル化とコンテンツビジネスの未来」など,数々の出版物に自身の研究成果を寄稿している
画像集#003のサムネイル/[OGC 2010]“面白い”をお金に変えるには――成蹊大学の野島美保氏に聞くネットビジネス最新事情
野島氏:
 そうですね。研究対象はブラウザゲームなどが中心ですので,私自身が遊ぶタイトルも自然とカジュアルゲーム寄りになっています。

4Gamer:
 例えば,具体的にどのあたりのタイトルを遊んでいるのでしょう?

野島氏:
 (仕事がてら)いろいろと手を出しているのですけれど,最近とくにハマっているのは「ブラウザ三国志」でしょうか。現在,4つのサーバーで同時にプレイしているくらいで……(苦笑)。

4Gamer:
 ええっ!? 4サーバー同時ですか……。それはかなりのヘビープレイヤーですね。

野島氏:
 いやぁ例えば,長い講義から戻ってくると,資源とかが溜まってるじゃないですか。あれが嬉しいんですよね(笑)。ゲームの設計自体は比較的ライトに楽しめる内容だとは思うのですが,4つのサーバーで同時に遊んでいると,さすがに結構な時間を拘束されてしまうので,そこが最近の悩みの種ですね。

4Gamer:
 私も最近はブラウザゲームをよく遊ぶので,その気持ちは分かりますが(笑)。
 ――ともあれ,今日は,近年急激に伸びつつあるソーシャルゲームなどの話題を中心に,いわゆるMMORPGなどの重いゲームとブラウザゲームのような軽いゲームとの,ゲーム的あるいはビジネスモデル的な違い……みたいな部分を中心にお聞きできればと思います。

野島氏:
 分かりました。よろしくお願いします。


ソーシャルゲームは「リアルの人間関係で遊ぶゲーム」?


4Gamer:
 それでは,単刀直入に。
 まず従来型のオンラインゲーム――例えばMMORPGなどと比べて,最近流行りのブラウザゲーム/ソーシャルゲームとの差はなんだと思いますか? もちろん,コンテンツとしての軽い重いの差はありますけど。

野島氏:
 まずソーシャルゲーム,例えば「サンシャイン牧場」などを例に挙げると,これらは「リアルの友達(マイミク)」と遊ぶという部分にかなり注力した設計になっていますよね。リアルとは言っても,ネット上での知り合いなども含まれますが,基本的に「リアルの人間関係で遊ぶゲーム」,それがソーシャルゲームの特徴だと思います。
 一方で,例えば「リネージュ」などのMMORPGは,そのゲーム世界だけの友達で遊ぶことが多いと思うんですよね。もちろん,リアルの友人知人と一緒に遊ぶ場合もあるとは思いますが,バーチャルな世界の人間関係(※)で遊ぶゲーム,それが従来型のオンラインゲームではないでしょうか。

※野島氏の発言中にある「リアルの人間関係」とは,日常的な部分での接点を持つ対人関係を指し,ネットを介して仲良くなった知人なども含まれる。一方「バーチャルな世界の人間関係」は,特定のゲームなど,共通の関心事に限られ,その世界の外では接点を持たない対人関係を指す。

4Gamer:
 分かりやすいですね。

野島氏が現在ハマって……じゃなくて研究中だという「ブラウザ三国志」。一ヶ月で17万アカウントの伸びを示すなど,ブラウザゲームの中でもとくに人気の高いタイトルだ
画像集#006のサムネイル/[OGC 2010]“面白い”をお金に変えるには――成蹊大学の野島美保氏に聞くネットビジネス最新事情
野島氏:
 ちなみにブラウザ三国志などは,ちょうどその中間という位置づけだと思います。リアルの知人ベースで広まっていく側面もありますが,ゲームはゲームで完全に閉じた世界になっているというか。ゲーム側にmixi上の人間関係も持ち込まれませんしね。
 ブラウザ三国志は,ゲームを有利に進めようと思ったら,どうしても見ず知らずの人とコミュニケーションしていく必要があるんですけど,サンシャイン牧場にはそういった「バーチャルな人間関係」を持ち込む要素がありません。同じようなブラウザゲームですけど,そういう差はあるんじゃないかなと思います。

4Gamer:
 そうですね。ソーシャルゲームと従来型のオンラインゲームの違いという点でいえば,私もまさにその辺りが一つの境目になるのかな,という印象があります。その意味では,ニンテンドーDSの「トモダチコレクション」なんかは,まさにソーシャルゲームなんですよね。ネット前提のゲームではないんですけど。

野島氏:
 ああ,トモダチコレクションは「やらなきゃ!」と思いつつまだプレイしていないですね。後でプレイしておかないと(笑)。

4Gamer:
 野島先生としては,先ほどの“違い”をどう分析しますか?

野島氏:
 ソーシャルゲームの特徴でいえば,やはりコミュニティが“二段構造”になっている点が,個人的には「とても興味深いな」と思っています。例えばmixiとmixiアプリの関係でいえば,SNSというプラットフォーム上でまずコミュニティが構成されていて,ゲームはゲームで別の(あるいは閉鎖された)コミュニティが生成されているんですよね。
 先に挙げたサンシャイン牧場にしても,プレイしている時はプレイしているマイミク同士で,別途ゲームの中での繋がり(フレンドリストも別途用意されたり)が生まれるわけですけど,仮にゲームに飽きたからといって,マイミクとの縁が切れるわけではない。

4Gamer:
 そうですね。

野島氏:
 ソーシャルゲームと言うジャンル自体の日が浅いので,今はまだ結論は出せないのですけど,この二段構造になっている部分は,マネタイズという面で考えると,非常にチャンスが眠っている箇所というか,可能性を感じる部分ですね。

4Gamer:
 具体的には?

画像集#004のサムネイル/[OGC 2010]“面白い”をお金に変えるには――成蹊大学の野島美保氏に聞くネットビジネス最新事情
野島氏:
 例えばですが,アバターの着せ替え用のアイテムとかって,そのコミュニティの外にいる人から見ると「なんでお金払うの?」みたいなものだと思うんですけど,買う当人にとっては当然“価値のあるもの”なわけじゃないですか。
 その需要っていうのは,本質的にはリアルのコミュニティと同じものだと思うんです。――というのも,リアルのコミュニティを維持するために必要なアクションやコスト(服装,交際費など)が存在するように,バーチャルはバーチャルで,そのコミュニティを維持するために必要な要素(アクション/コスト)があるだけだと思うんですよね。

4Gamer:
 確かに言われてみれば,私が「ブラウザ三国志」にお金を使ったのは,一緒に遊ぶ友達との“付き合い”という側面が強いですね。これはリアル寄りのコミュニティでしたけど。

野島氏:
 ええ。オンラインゲームで課金する時というのは,そのゲームでしか接点がない友達との繋がりを維持するため……という側面がかなりあると思っています。
 リアルのコミュニティをより楽しくするためには,飲み会であったりカラオケであったりレジャー施設であったりにお金を払うわけですけど,じゃあバーチャルのコミュニティの場合はどうなるのか。あるいは,それが両方混ざった場合には……?
 私は,ソーシャルゲーム(サービス)の肝はまさにそこだと思うんですよね。オンラインゲームも,コンテンツの良し悪しだけではビジネスの成否が量れないと言いますけど,そうした力学がどこにあるのか。今後の研究で,そういったところを明らかにしていきたいですね。


オンラインコミュニティに「キラーコンテンツ」は必要なのか


4Gamer:
 お話を聞く中でふと思い出したのですけれど,オンラインのコミュニティ,あるいはオンラインのサービスというものを考えていったときに,私にはずっと疑問に思っていることが一つあるんですよ。

野島氏:
 なんでしょう?

4Gamer:
 簡単に言うと,コミュニティ生成に「キラーコンテンツ」って必要なのか? という疑問なんですけどね。

野島氏:
 ああ,なんとなくおっしゃりたいことは分かる気がします。

4Gamer:
 先生はご存知だと思うんですけど,以前オンラインゲーム業界では,コンテンツを抱えるオンラインゲーム会社間の「ゲームポータル戦争」みたいな時期があったじゃないですか。要するに,人気ゲームを中心に顧客を集め,またその集めたお客を居つかせて,次の自社タイトルに繋げよう……という取り組みです。今もありますけど。

野島氏:
 ありましたね。

4Gamer:
 その時のロジックっていうのは,「良質なコンテンツがあれば人は集まる」というものでした。

野島氏:
 それ自体は間違ってないし,実際に沢山のプレイヤーを惹きつけるキッカケにもなりましたよね。

4Gamer:
 ええ。でも,そのなかで最終的にPCオンランゲーム市場の覇権を握っていったのは,ハンゲームやネクソンなどの“世界的な大作”を持たない,カジュアルゲームやアバターサービスを充実させていたパブリッシャだったんですよね。そうした歴史を踏まえて,mixi,GREE,モバゲーの違いなんかを見ていくと,これは割と興味深いことかなぁと。

野島氏の著書「人はなぜ形のないものを買うのか」。本書は,無形のサービスについての考察/研究をまとめた学術書籍だ
画像集#007のサムネイル/[OGC 2010]“面白い”をお金に変えるには――成蹊大学の野島美保氏に聞くネットビジネス最新事情
野島氏:
 そうですね。キラーコンテンツが重要じゃないというわけではないと思うのですが,コミュティが絡んだサービスとなると,やっぱりそれだけではないということなのでしょう。さっきの“二段構造”の話もそうですけれど,コンテンツとコミュニティの関係のあり方というのは,ビジネスという点で見ても大きな要因ですよね。
 いわゆるMMORPGのような“重いオンラインゲーム”というのは,その世界への没入感やバーチャルな人間関係を築きあげていく部分がとても優れたゲームだと思うのですが,一方で,そこで構築されたコミュニティというのは,そのゲームに飽きたら終わってしまう関係でもあるんですよね。

4Gamer:
 もちろん,そこから仲良くなってリアルでの付き合いが始まる場合もありますが,その場合はmixiなど他のインフラ/ツールに移ってしまうんですよね。

野島氏:
 ええ。

4Gamer:
 しかし,以前のインタビューでオンラインゲームにお金を払う理由の一つとして,「ゲームのプレイに経験価値がある」というお話がありましたが,その観点から見て,カジュアルなゲームってどうなのでしょうか。一緒に冒険して苦労して……という“体験”からすると,カジュアルなゲームのそれは軽いようにも思えますが。

野島氏:
 んー,そこは以前にも「コアなMMORPGファンだからお金を沢山払う」みたいな議論はあったと思うんですが,お金を払う払わないで言えば,別にコアなプレイヤーじゃなくても払う可能性はあると思うんですよね。ブラウザゲームにしても,一日中画面に張り付いているプレイヤーがお金を払っているのかといえば,そうじゃないと思いますし。

4Gamer:
 そうですね。ブラウザゲームでいえば,あまり時間のない人の方がむしろ課金している印象もありますし,一部のオンラインゲームでも似たような行動原理はある気がします。

野島氏:
 話をコミュニティに戻しますけど,みんなで苦労して達成するといった連帯感がある一方で,SNSにおける日記やTwitterのような,ゆるい形での繋がりもあるわけですよね。そこは使い分け,棲み分けなのではないかなと思います。

4Gamer:
 話ついでに聞いてしまいますが,最近流行りのTwitterについてはどう思われますか?

野島氏:
 情報環境については私は専門ではないのですが,個人的には「また来たか」という印象がちょっとありますね。つぶやき云々の話って,一昔前なら「ポケベル」とかでも似たような議論がされていて。

4Gamer:
 ポケベルとはまた懐かしいですね。

画像集#002のサムネイル/[OGC 2010]“面白い”をお金に変えるには――成蹊大学の野島美保氏に聞くネットビジネス最新事情
野島氏:
 だから,あの手のコミュニケーションのニーズというのはとても普遍的なもので,そのニーズを満たす商品なりサービスが,時代によって形を変えて(最適化されて)出てきている――という見方をしています。
 その意味では,ソーシャルゲームにも同じことが言えると思っていて,私は,あれに特別な何かがあるとは考えていないんですよね。というのも,流行るコンテンツは毎年変わるわけですけれど,別に遊ぶ私たちのDNAが変わるわけではないじゃないですか。だから,人が遊ぶニーズ/そしてそれにお金を払う理由という部分には,普遍的なものがあると思っているんですよね。

4Gamer:
 そうですね。

野島氏:
 本当は,そうした普遍性をビジネスにも応用していければ理想なのですが,とくにIT系の業界は時代の変化が激しくて,どうしても後手に回ってしまうのが実情です。ただ,研究発表のスパンを短くするなどして,できるだけ産業界の方の役にたつことができるよう頑張りたいですね

4Gamer:
 分かりました。本日はありがとうございました。




 「ソーシャルゲームやオンラインビジネスにおけるコミュニティの役割」といった部分に終始した今回のインタビューだったが,筆者としては,改めて「良いゲームとは何か」を考えさせられた次第である。
 一昔前までは,「凄いゲーム」といえば,寝食を忘れて没頭してしまうゲーム……そんなイメージすらあったことと思うが,ソーシャルゲームに限らず,近年流行っているゲームの多くが,必ずしもそういった類の作品でない点は,いまさら指摘するまでもないだろう。

 インターネットの普及が進み,またSNSやTwitterなど,新たなコミュニケーションツールが登場してきている昨今。コミュニティのあり方,ひいてはライフスタイルの変化に併せて,ゲームというコンテンツの役割もまた,大きく変化しているのかもしれない。


関連サイト:
成蹊大学経済学部 准教授 野島美保のサイト

関連書籍:
人はなぜ形のないものを買うのか

OGC 2010公式サイト


 
  • 関連タイトル:

    ブラウザ三国志

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