インタビュー
「ブラウザ三国志」に,気軽に楽しめるPvPコンテンツ「大決戦イベント[制圧戦]」が登場。プロデューサーと運営ディレクターが語る,もう一つの戦争の魅力とは
制圧戦は,メインワールドにて4か月サイクルで行われる通常の戦争とは異なり,小さな専用マップを舞台に,ワールドの垣根を越えたPvPを,1か月という短い期間で手軽に楽しめるよう設計されたコンテンツだ。
今回4Gamerでは,ブラウザ三国志のプロデューサーを務めるマーベラスの五味一郎氏と,運営ディレクターの杉村剛介氏に,制圧戦の概要や実装した背景および狙い,そして今後の展開などを聞いてみた。
「ブラウザ三国志」公式サイト
「大決戦イベント[制圧戦]」事前登録ページ
「制圧戦」の登場で,
誰でも「ブラウザ三国志」ならではのPvPを楽しめる
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
こうして取材させていただくのも久々ですので,まずは最近のゲーム内の動向を教えてください。
今期は,まず2015年5月にmixiゲーム,ハンゲーム,マーベラス公式の各プラットフォームのプレイヤーが一緒に遊べるよう,ワールド基盤を統合しました。
そのとき,ただワールド基盤を統合するだけでは面白くないですから,プラットフォーム間の対抗戦を開催したんです。そうしたら途中まで圧倒的に強かったmixiチームが,これじゃいかんと手を組んだハンゲームチームとマーベラス公式チームの挟撃を受けて敗れるという展開になりました。それが見ている私達まで盛り上がるほど面白かったんです。
4Gamer:
三つ巴の戦いならではの理想的な展開ですね。
五味氏:
プラットフォーム対抗戦は非常に反響が良く,SNSなどでも好意的に取り上げていただけました。さらに,それを読んでしばらくゲームから離れていたプレイヤーの皆さんが復帰してくださるという傾向も見られました。
そこで,期間を短く区切って後腐れなく楽しめる戦争コンテンツを実装してみようという話になったんです。
4Gamer:
それが12月下旬から事前エントリーがスタートする制圧戦というわけですね。
五味氏:
そうです。ブラウザ三国志はゲームの性質上,プレイサイクルが4か月と長く,しかも戦争が始まってしまうとその間は24時間ぶっ続けで戦い続けることになるため,とくに社会人プレイヤーにとってはハードルの高いゲームとなっています。
その解決手段として,ゲームの楽しい部分だけつまんで遊んでいただける,ミニマムな戦争イベントというものを長らく構想してきました。それが今回,ようやく実現に至ったんです。
4Gamer:
構想がありながら,今まで実現できなかった理由は何でしょう。
五味氏:
単純に優先度の問題です。そうした新コンテンツを作るよりも,先に改修すべき部分があるだろうと。
そうした中,プラットフォーム対抗戦が成功したので,一気に優先度が上がったわけです。
4Gamer:
ちなみに,制圧戦を新たに導入するのではなく,メインワールドの戦争期間を短くすることは考えなかったのでしょうか。
五味氏:
もちろん考えました。ただブラウザ三国志は,すでに6年半サービスを続けていますから,このシステムに慣れ親しんだプレイヤーが多いんです。その中で既存の仕様に変更を加えると,「良くやった」という人がいる一方,「なんてことをしてくれたんだ」という人も出てくるといった感じで,評価が大きく分かれてしまいます。
そこでメインワールドを崩さず,別の戦場で暴れられる機会を作ろうと考えたんです。みんながみんな,バリバリ戦争をやりたいかというと,必ずしもそうではありませんからね。
杉村剛介氏(以下,杉村氏):
もう一つ,メインワールドでは大規模同盟に入っていないとなかなかPvPを楽しめないという状況を,改善したいという狙いもありました。
五味氏:
同盟によっては,一見さんお断りということもありますからね。とくに初心者は戦力にならないケースが多いので,断られるということが起こりがちなんです。
杉村氏:
そういったプレイヤーも,制圧戦でブラウザ三国志ならではのPvPを体験していただければと。
これまでの「ブラウザ三国志」とは,
カードの使い方からして変わってくる
4Gamer:
それでは制圧戦について,具体的に教えてください。
最も大きな特徴は,1か月という短い期間で決着が付く部分だと思いますが,それ以外に参加プレイヤーが熱中できるような仕掛けはありますか。
五味氏:
ブラウザ三国志は,プレイヤーが同盟に入ったり,逆に裏切ったりと比較的自由にくっついたり離れたりできるゲームです。
その一方で,制圧戦は陣営を二つに絞り,敵と味方がはっきり分かれる仕様となっています。つまり,交渉や根回しのような政治的な部分がなくなって,純粋にプレイヤーごとのテクニックを活かせるようになっているわけです。
杉村氏:
メインワールドの戦争では,「仕様上は可能でも,実際にゲーム内でやってはいけない」というようなマナーやローカルルールが確立されています。
しかし制圧戦であれば,そういったものを撤廃して自由に楽しめるのではないかと。
五味氏:
メインワールドだと,今期の戦争が終わっても,次期にはまた同じプレイヤーが顔を合わせることになります。そうなると,どこかで味方になる可能性がありますから,無茶なことがやりにくいんですよね。紳士的に振る舞っていないと,あとが大変なので(笑)。
4Gamer:
気軽に参加できるという,昨今のオンライン対戦のトレンドを取り入れているわけですね。
五味氏:
そうですね。また武将カードも,通常のブラウザ三国志のプレイで育成したものを持ち込めますから,自分の資産がほかのワールドのプレイヤーにどれだけ通用するか試すこともできるでしょう。
メインワールドでは700枚までカードを持てますが,制圧戦にはその中から100枚だけしか持ち込めません。そのため,トレーディングカードゲームのデッキを作るような感覚も生まれるのではないでしょうか。
4Gamer:
カードの制限は枚数だけですか。
五味氏:
ええ,100枚であれば種類は問いません。なので攻撃と防御,回復や特殊効果などさまざまな種類のカードを,それぞれどのくらいの割合で持っていくか,自分のプレイスタイルや戦略に合わせてマッチング期間が始まるまでに決める必要があります。ちなみにエントリー期間中であれば,何度でも持ち込むカードを変更して再エントリーが可能です。
4Gamer:
エントリーの時点で,自分が活躍できるかどうか決まることもありそうですね。
五味氏:
そうですね。例えば強力なスキルを発動できるけれど,スキル回復時間が72時間というカードをどう使うか。通常プレイなら4か月間のうちの72時間ですから大きな問題はないかもしれませんが,制圧戦の短い期間では影響も変わってくるはずです。
その一方で,強力なことには変わりありませんから,選択肢から外すのも難しい。なかなか悩ましいところです。
杉村氏:
そのあたりが実際にどうなるのか,私達にもまだ予想が付かないんですよ。
五味氏:
でも,その悩んでいるところが楽しいんですよね。
4Gamer:
制圧戦のマッチングはどういった形で行われるのでしょう。
五味氏:
詳細なロジックは非公開なのですが,基本的にはプレイヤーの総合力を割り出し,それを各陣営600人ずつ合算して,均等になるよう割り振っていきます。1回めは600 vs. 600のワールドを三つ用意する予定です。
4Gamer:
なるほど。プレイヤーは陣営を選べないんですね。
五味氏:
そうです。ただ,グループでエントリーすれば,そのメンバーは必ず同じ陣営にマッチングされます。グループは最大30名でエントリー可能ですので,例えば100名規模の同盟であれば敵味方に分かれて戦う可能性も出てきます。これも面白いかもしれません。
加えて,制圧戦ではプレイヤーネームを変更できますので,いつもは敵として戦っている人と協力したり,逆にいつも一緒にいる人と敵対したりといったこともやりやすくなっています。
4Gamer:
メインワールドの戦争よりもサイクルが短くなっていますが,24時間戦争状態という部分は変わらないのでしょうか。
五味氏:
制圧戦に関しては,深夜2:00から朝8:00まで休戦期間を設けていますので,ゆっくりお休みいただけます。
杉村氏:
寝る間もないような,激しい戦争に疲れた方にぜひ遊んでいただきたいです。
五味氏:
メインワールドのプレイが忙しくなっても,制圧戦は夜の間だけは休めますので,両者を並行して遊ぶことも可能かと思います。
4Gamer:
ただ現実問題として,メインワールドのプレイと制圧戦を並行して遊ぶことはできるのでしょうか。プレイヤーの負担が大きくなりすぎはしませんか。
五味氏:
メインワールドの戦争は,1サイクル4か月間ありますから,どのワールドも暇になる時期がどうしても出てきてしまいます。そういった時期に,刺激を求めて制圧戦に参加していただけるといいのではないでしょうか。逆に通常プレイが忙しい時期には,参加を見送っていいかと。
また,制圧戦で使うために,メインワールドでカードを成長させるという遊び方も可能かと思います。
4Gamer:
なるほど。使うカードは共通なので,制圧戦の存在がメインワールドでプレイするモチベーションにもつながると。
五味氏:
制圧戦専用にカードを育成するケースも出てくるでしょうね。例えば攻撃スキルに防御スキルを相乗りさせるなど,メインワールドとは異なる未知の構成が生まれるかもしれません。
4Gamer:
ブラウザ三国志を長くプレイしてきた人ほど,頭を使うことになりそうですね。
五味氏:
ええ,私自身,今まさにすごく考えながらカードを育成しています(笑)。
4Gamer:
先に仕様を知っているのに,それはずるい(笑)。
杉村氏:
でも,抽選に漏れる可能性もあるんですよ(笑)。
4Gamer:
ちなみにカードの育成結果は,どのタイミングで制圧戦に反映されるのでしょう。
五味氏:
参加登録完了時点の各カードのステータスが,その制圧戦期間中ずっと反映されます。したがって,制圧戦で使用中のカードをメインワールドで育成しても,その制圧戦の中ではステータスは変わりません。
4Gamer:
それでは,プレイヤーにとって,楽しむこと以外に制圧戦に参加するメリットはありますか。
五味氏:
制圧戦で得られた報酬を,メインワールドに持ち帰って使うことができます。勝った陣営のプレイヤーには当然それなりの報酬を用意しますし,負けた陣営のプレイヤーにも何かしら参加賞のようなものを提供します。
杉村氏:
あとはイベントの後半からは,4日ごとに区切って期間ランキングを設けており,その上位に入ったプレイヤーに報酬を提供します。
どんな展開になるのかは未知数
意外な戦略や戦術が登場する可能性も
4Gamer:
制圧戦のワールドは,メインワールドと比べてどのような違いがあるのでしょうか。
杉村氏:
別のゲームと言っていいかと思います。
五味氏:
メインワールドの戦争だと,最初に資源を蓄積するなどの準備フェーズがあるのですが,制圧戦だと最初からある程度資源が与えられますし,本拠地にも軍事施設がたくさんありますから,そこがギュッと1〜2日くらいに凝縮されます。
4Gamer:
制圧戦のマップはメインワールドの4分の1くらいのサイズですが,これは何か理由があるのでしょうか。
五味氏:
制圧戦は600 vs. 600ですから,メインワールドの戦争と比較すると,かなり参加人数が少ないんです。600人というと,ほぼ同盟の最大人数ですから,二つの同盟がぶつかり合い,乱戦が生じるようなイメージで,この大きさにしました。
4Gamer:
開始したら,すぐ殴り合いが始まるようなイメージですか?
杉村氏:
そこもまだ分からないんですよね……。
五味氏:
先手必勝なのか,それとも着々と兵力を蓄えた陣営が10日めくらいに逆転するのか。いろいろなケースが考えられるかと思います。フタを開けて見ないことには何とも,といったところなんです。
杉村氏:
勝敗に関しては,マップ上の砦を制圧し,より多くのポイントを稼いだほうが勝ちというルールです。
先に敵陣営を叩いてからゆっくり砦を取りに行くか,それとも砦を取って防衛し続けるのかというところでも違いが出てくるでしょうね。
五味氏:
砦は★9,★6,★1の3種類があります。★9砦はマップ上に一つしかなく,NPCの守りが強固ですが,制圧すれば200ポイントになります。また★6砦は20個あり一つ20ポイント,★1砦は200個あり一つ2ポイントです。
例えば★9砦は,メインワールドだと制圧が難しいので序盤に攻略するケースはまずありません。そんなことに時間を掛けるくらいなら,ほかのことをやりましょうと。
しかし制圧戦は短期決戦ですから,最初に★9砦を落として200ポイントを獲得し,あとはひたすら防衛して逃げ切るという戦略も取れるでしょう,しかし,そうしている間に敵が★1砦を101以上落とせば逆転されてしまうわけです。もうどうなるか,まったく予想できません。
4Gamer:
予想しづらい分,参加するのは楽しそうです。
それでは,制圧戦はどのくらいのスパンで開催されるのでしょうか。
五味氏:
最初のうちは,1回開催するごとにルール調整を行う必要が生じると思いますので,まだ決まっていないんですが,安定してきたら毎月開催する予定です。2回め以降は,エントリー期間なども短くする予定です。
4Gamer:
エントリー期間は,毎回設けるのでしょうか。
杉村氏:
毎回ですね。まずエントリーしていただき,さらに抽選でマッチングされたプレイヤーのみが,その回の制圧戦に参加できるという流れです。
4Gamer:
つまり,制圧戦は途中参加できないわけですね。
五味氏:
その点については,制圧戦の開催中に,次回開催分のエントリーを始めるといったオペレーションを予定していますので,大きな問題はないと考えています。
4Gamer:
抽選で選ばれるコツのようなものはありますか。
五味氏:
さすがにそれはないですね(笑)。かなり公平な抽選なので,早くエントリーすれば当選確率が上がる,みたいなこともないですよ。
杉村氏:
Yahoo!モバゲー版は独立サーバーですが,だからといって当選確率が大きく上がるということはないです。
メインワールドの戦争にも,
バランス調整やUI改修を実施予定
4Gamer:
それでは,制圧戦の今後の展開に関して,今お話してもらえることはありますか。
五味氏:
まずは陣営数ですね。1回めは魏軍と蜀軍に分かれて戦いますが,イベントの内容に応じて参加できる陣営数を増やすことも考えています。たとえば3陣営にすると,プラットフォーム対抗戦のときのように2陣営 vs. 1陣営といった状況になるかもしれません。
4Gamer:
政治的な駆け引きが生まれるわけですね。
杉村氏:
グループの最大人数は,反響に応じて今後調整する可能性があります。
五味氏:
これもイベントの内容によって変更するかもしれません。例えばある回は10名まで,また別の回はグループエントリーできないといったように。
杉村氏:
制圧戦は,いろんな縛りができるようシステムをフレキシブルに設計しているんです。
4Gamer:
運営手腕の見せ所となりそうですね。
さて,それでは制圧戦以外のアップデート予定も教えてください。
五味氏:
2015年は,メインとなるゲームのバランス調整を行い,きちんと遊んでいただくというテーマを掲げて開発を進めてきました。
それを受けて2016年1月から2月前半に掛けて,まずメインワールドの戦争におけるバランス調整,および戦争に関わるユーザーインタフェースの変更を行います。なお,バランス調整が適用されるのは,現在開催中のゲームではなく,次のゲームからになります。
4Gamer:
戦争のバランス調整は,どのようなものになりますか?
五味氏:
施設に関しては,「見張り台」の下方修正を行います。これは,前回の上方修正であまりにも敵の情勢が分かりすぎて戦略性を損なってしまっていますので,もっと読み合いを楽しめるようにしようという狙いです。
また同盟は,人数の下方修正を行います。現状は600名まで入れるのですが,それだと特定の同盟に人が偏ってしまうんですよね。そこで現状の半分くらいまでにしてしまおうかと。
さらに敵に負けて配下になったときに,領地を奪われる仕様を撤廃します。
4Gamer:
領地の件は,かなり大きな変更ですね。
五味氏:
現行の仕様では,プレイヤーが敵に敗北して配下になると,領地の10%を奪われます。次に味方がそれを奪い返して救出したとすると,今度はその味方に10%奪われます。仮に激戦地でこれが繰り返されると,当該プレイヤーのその領地はどんどん少なくなって収入がなくなり,逆転を狙うことすらできなくなってしまいますので。
4Gamer:
ああ……。
五味氏:
それを避けるために,現状では戦争終了後にプレイヤー間で領地の返還を行っているのですが,システム的にフォローすることが難しいんです。そこで皆さんに手間を掛けさせるくらいなら全撤廃してしまおうと。
またこの仕様がなくなることに対して,バランスを取るような仕様の導入も予定しています。こちらはあらためて詳細を公開します。
4Gamer:
では,戦争に関わるユーザーインタフェースにも変更についても教えてください。
五味氏:
いくつかあるのですが,最も大きな部分は敵対同盟が分かるようになることです。これまでは自分の同盟以外だと,敵なのかどうか分かりにくかったのですが,かなりプレイしやすくなります。
またブラウザ三国志には,計算すれば判明するのに,表示されていないパラメータがあります。具体的には援軍兵士の防御力や,砦や城に与えるダメージ,斥候が偵察したときの情報収集能力ですが,それらをきちんと表示できるようにします。
4Gamer:
基本的には,より快適に遊べるようにする改修ということでしょうか。
五味氏:
そのとおりです。前期はそこが足りていなかったという反省がありますので,しっかりやりましょうと。
また,お話したことだけに留まらず,より楽しめるような改修は順次行っていきますのでご期待ください。
杉村氏:
この年末年始には,ログインボーナスキャンペーンを実施します。とても良いアイテムが手に入りますので,興味があればぜひログインしてみてください。
4Gamer:
最後に,制圧戦や今後のブラウザ三国志に期待する人に向けてメッセージをお願いします。
杉村氏:
ブラウザ三国志は2016年にサービスイン7周年を迎えます。これからもより楽しいゲームを目指し,アップデートを重ねていきますので,ぜひよろしくお願いします。
五味氏:
今回のアップデートは,現役の方はもちろんのこと,ゲームから離れてしまっているプレイヤーの皆さんもターゲットにしています。戦争がキツすぎる,あるいは全然戦争が起きなくてつまらない,旧知の仲間内で戦っているだけでは新鮮味がないといった理由で離れてしまった皆さんに,ぜひ制圧戦を楽しんでいただきたいです。
ご自身のメインワールドにログインして,どのカードを制圧戦に持っていくかを考えるだけでも楽しいかと思います。
4Gamer:
ありがとうございました。
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