プレイレポート
やっぱり256人対戦は大迫力&共闘感がたまらない。とりわけ新米兵士にお届けしたい,FPS「MAG」の体験レポート
256人による同時対戦を実現するFPSとして,発表時から話題を集めていた「Massive Action Game」(以下,MAG)。2008年11月から日本でもβテストが始まり,約2か月のテスト期間を経て,ついに1月28日,ソニー・コンピュータエンタテインメントより製品版が発売された。
一部地域ではその日のうちに品切れとなり,MAGを求めて店から店へと渡り歩いた人も多かったと聞く。FPSかつオンライン専用タイトルということで,日本ではやや間口が狭いようにも思えた本作だが,どうやらそれは杞憂だったようだ。
※本稿は2010年2月4日〜15日のバージョンをもとに記載しております。その後のアップデートなどにより,内容が異なってしまう場合がありますので,あらかじめご了承ください
手練れが集う戦場はまさに地獄。右も左もわからぬ地で,まずは衛生兵からスタート
「チュートリアルは面倒」などといわずに,一度は「演習」をプレイしておこう。筆者は何気にグレネードの投擲に苦労し,補給を繰り返しながら投げまくるはめになった |
ということで,まずはチュートリアルモードの「演習」を受けて,移動や射撃,投擲等がスムースに行えるように操作方法の確認と練習だ。演習が一通り終わると経験値が獲得でき,これだけでレベル2になれるのだから,やっておいて損はないだろう。
また,この時点でオプションメニューの照準横感度と照準縦感度を自分好みに調整しておくことを忘れないようにしたい。初期状態では明らかに振り向き速度が遅く,敵と相対してもいいカモにされるのがオチだからだ。
レベル2になると「妨害作戦」の参加制限が解かれるので,モノは試しと早速参加してみたものの,やはり発売から1週間という時間が生み出した経験の差はなんとも埋めがたく(もちろん“腕”の問題もあるだろうが),キル数3に対してデス数14という散々な個人成績で,経験値もほとんど稼げず仕舞い……。それにも関わらず所属PMCは勝利するという,複雑な気持ちを味わう初戦となった。
よほど射撃の腕に自信がある人以外は,医療キットと蘇生スキルは早めに取得しておいたほうがいい。序盤のうちに蘇生が使えるか使えないかで,成長速度は数倍変わってくるだろう |
本作の性質上,実はキル数を稼ぐことは二の次で,施設の防衛や奪還のために体を張るプレイが多くなる。結果,蘇生による経験値獲得の機会も多くなるうえ,前線で仲間を蘇生できれば火力維持にもつながり一石二鳥。バックアップ主体ながらも部隊に貢献できたような気分になれるので,これから激戦地に飛び込もうという人は,まず衛生兵として立ち回るのがオススメかもしれない。
スキルの振り分けは最重要課題。悩みに悩んで,ダメなら「再スペック」を
アサルトライフル一丁で戦い抜いてやるぜ! などと息巻きながらAK-103まで取得したもののあえなく挫折。ショートレンジで撃ち負けないくらいのエイミング技術があればなぁ |
筆者は使い勝手の良さそうなアサルトライフルを強化するべく,「フォアグリップ」「安定性向上」「バイポッド」「4Xオプティカルスコープ」を取得。取り回しを向上させたあと,さらに「バトルライフル:AK-103」を取得して火力アップ! といきたかったのだが,目標に突撃していくタイプの筆者がミドルレンジでの撃ち合いになる場面はほとんどなく,さらにショートレンジではライトマシンガンにほぼ撃ち負けるというトホホな状態に……。
あまりの負けっぷりにほかのゲームであればキャラクターの作り直しを考慮すべきところであったが,MAGには「再スペック」というスキルの振り直し機能が備わっているので,これを利用してみた。
これは,総経験値が再スペックポイントとして蓄積されていき,最初の再スペックには3000ポイントを消費。二度めは5000ポイント,三度めは1万ポイントとコストが増していくシステムのため,手軽に何度も再スペックを行えるわけではない。だが,プレイしていく中で自分にとってベストなスキルが見つかった場合に振り直しができるという点は非常にありがたい。筆者も再スペックでライトマシンガンの強化に切り替え,ようやく前線で人並みに戦えるようになってきた……気がする。
あっさりとライトマシンガンに鞍替え。スコープを取り付ければミドルレンジでも十分使えるので,ライトマシンガン愛用者はかなり頻繁に見かける |
レベル15に達すると分隊長を担当できるようになる。目の前の敵と戦うだけでなく,分隊に指示を出したり,戦術支援を行ったりと,全体の流れを見て的確な判断を下していかなくてはならない |
64人で拠点を奪い合う「妨害作戦」。ここで基本的なゲームの流れを覚えよう
目標施設の周辺ではグレネードが飛び交い,激しい銃撃戦が繰り広げられる。戦力が途絶えると相手にチャンスを与えてしまうので,すぐに蘇生,もしくはリスポーンで体勢を立て直そう |
防衛側は,それを阻止すべくA地点とB地点を守り,最悪それらを奪取された場合でもC地点を守りきれば勝利となる。このモードでは車両や修理が必要となるような大型施設は登場しないので,拠点を奪い合うというMAGの基本的な流れを覚えながら,銃撃戦に集中して腕を磨くことができる。
最初のうちは経験値を稼がなければという思いで,蘇生とキル数稼ぎに奔走しがちだが,それはこの作戦の主目的にあらず。攻撃側はいかにして一斉攻撃を仕掛けるかが施設確保のポイントとなるため,個人プレイよりも足並みを揃えたチームプレイに徹することが望ましい。
蘇生やキル数は,その目的達成の過程において増えていくものと考えておいたほうがよいだろう。攻撃側にも関わらず,安全なところからチマチマとキル数を稼いでいるような人は,仲間から尻に銃弾を浴びせられても文句を言わないほうがいいかもしれない。
防衛側は,衛星通信施設を両方同時に奪取されてはならない。片方だけを確保された状態なら,すぐに奪い返して体勢を立て直すことも可能だ |
もちろんスナイパーライフルで施設に近づく相手を排除するという方法もアリだが,狙撃手が何人もいたところで守備が手薄になってしまうだけなので,いつでも役割を切り替えられるように装備は複数用意しておきたいところだ。
しかしチームプレイといっても,ボイスチャットを使える人もいれば完全にオフにしている人もいて,なにかしら合図を待って行動を起こすというのはなかなか難しい。クランに所属していて全員がボイスチャットを使えるような状態であれば話は別だが,そうでなければゲーマーの勘(?)で行動を合わせていくしかないだろう。一人だけ別ルートをとったりせずに集団で動き,仲間が撃ち合いを始めたら援護に入ったり,背中を守ったりすればいいし,敵の応戦が激しくて突入に踏み切れないような場面では,スモークグレネードを投入してお膳立てしてやればいい。
直接的なコミュニケーションがとれなくても慣れ次第で簡単な連携がとれるので,実践あるのみだ。そしてこの「妨害作戦」において培われるだろう知識と経験は,「襲撃作戦」や「制圧作戦」にも通じるものがあるため,しっかりとやり込んでおくことをオススメする。
C地点は,防衛側にとっては絶対死守しなければならない場所であり,攻撃側にとっては何が何でも突入しなければならない場所。一進一退の攻防にケリをつけるには,やはりチームプレイが欠かせない |
一気に複雑化する「襲撃作戦」。128人による車両の奪い合いはカオス状態
APCを適当に運転して乗り捨てるという行為は御法度。慣れないうちはベテランと思われるプレイヤーに同乗して,どのように扱うべきか学んでおくといいだろう |
このモードでは「妨害作戦」にはなかった多数の要素が組み入れられているため,経験値度外視で3〜4回は戦ってみて,きちんと流れを把握したほうがいいだろう。
攻撃側の基本は車両を奪って拠点まで輸送するという簡潔なものなのだが,そのルートには門やバリケードが設置されており,こうした障害物を撤去しなくては車両が通れない。しかしその障害物の周辺には敵のバンカーがあり,まずはそちらを先に破壊しておかないとガトリング銃の餌食になってしまう。つまり,手順を踏まなければ輸送ルートさえ確保できないという,手の込んだ内容となっているのだ。
防衛側は,車両奪取の阻止はもちろん,各施設をしっかりキープすることも重要となってくる。重要施設が破壊された場合は,即座に修理に向かうようにしたい |
「妨害作戦」では蘇生スキルが大活躍だったが,「襲撃作戦」では工兵として施設修理に奔走するという選択もできる。マップを覚えるまでは修理キットを片手に施設から施設へ渡り歩き,防衛力の維持に努めるというのも一つの選択だ。
また「襲撃作戦」には,APC(装甲兵員輸送車)や軽車両,先に述べたヘリコプター等の乗り物も登場する。APCはそのままリスポーン地点としても活用できるため,前線で維持できれば有利な戦いが展開できるうえ,目標車両を奪った際には並走しながら味方を呼び集めて敵の追撃を阻むことも可能と,攻撃側にとっては戦略上重要な意味を持つ。ゆえに逆の立場からすれば,APCは早急に破壊しておくべき代物だ。だが,装甲が厚く通常の銃器ではダメージを与えられないので,バンカーから狙い撃つか,ロケットランチャーなどで仕留めるという方法をとらなくてはならない。
「妨害作戦」と比較して急激にやるべき事柄が増え,自分が何を担当したらよいか迷ってしまいがちだが,そこは戦況を見極めつつ臨機応変に装備を切り替えながら対応したいところ。攻撃時は軽装で突入し,味方が目標車両を奪ったら重装備で護衛。防衛時は端から重装備でAPCの処理や施設修理に当たるというのがセオリーといえそうだ。
味方が目標車両を奪ったら,スムースに輸送できるように門やバリケードを警戒。ロケットランチャーを担いだ敵兵は真っ先に始末して,ルートをクリアにしよう |
256人が入り乱れる「制圧作戦」は,ほかに類を見ない激しい攻防が堪能できる!
対空砲が機能しているか否かで戦局は大きく変わる。敗色濃厚になった防衛側も,対空砲の復旧によって一気に押し返せる場合があるので,最後まで諦めてはいけない |
広大なマップ上には対になった「石油燃焼塔」と「冷却塔」が存在しており,攻撃側はこれらの施設の制圧が第一目的。1組の燃焼塔を制圧すると,それに対応した1組の冷却塔に攻め込めるようになり,さらにその冷却塔を制圧すれば,それに対応した二つのポンプ制御室の場所が明らかとなる。
すべての冷却塔と燃焼塔を制圧するとA〜Hまでの八つの制御室が姿を現し,このうちのどれか一つでも確保できれば画面上部のダメージゲージが蓄積されていくという仕組みだ。
攻撃側は対空砲の破壊と同時に,燃焼塔と冷却塔の制圧も行わなければならない。一極集中で攻め込むか,兵力を分散させるべきか,隊長職についた人は大いに悩むポイントだ |
と,これだけなら「妨害作戦」のマップ拡大+人数増加版といったイメージなのだが,「制圧作戦」の難しいところは拠点の奪い合いがすべてではないという点だ。最重要となるのは防衛側の所持する対空砲。これが存在する限りクラスター爆弾や精密爆撃といった攻撃側の戦術支援をほぼ無力化できるため,防御側は一気に戦力を削がれる心配がなく,地上での戦闘に集中できる。
しかしこれを破壊されると空爆を許すだけでなく,攻撃側のパラシュート降下も始まり,前線が押し上がってしまうのだ。こうなると防衛側はジリジリと押し込まれる一方で,制限時間を耐え抜けるかどうかさえ危うい状況に陥ってしまう。
制御室を巡る戦いは熾烈を極める。いい感じで攻めていても戦術支援で一蹴されることがあるので,敵に優秀な隊長がいる場合はかなりの苦戦を強いられるだろう |
とはいえ,頭では分かっていても,256人が入り乱れる「制圧作戦」においては,思い通りに行動するのはなかなか難しい。どこからともなく撃たれようが,空爆で吹き飛ばされようが,APCに轢かれようが,挫けずに30分間戦い続ければ,自ずと結果はついてくる! ……と願いたい。
多人数プレイの先にある共闘感が最大の魅力か
前線で戦闘不能状態となっても,仲間二人が敵と応戦している間に一人が蘇生に駆けつけてくれるなど,「オレのために……! すまない!」と目頭が熱くなるような場面にたびたび遭遇できる。一度そういった経験をすれば,「次はオレがお前を守るぜ!」という思いが湧くわけで,多少というか,かなりウザいかもしれないが,そんな共闘感溢れる中で勝利を得たときには脳からいろいろなものが分泌されてしまうのである。やっぱり持つべきものは戦友だ,みたいな。
本作はPMC間の勢力争いという図式がうわべだけのものではなく,一戦一戦の結果の蓄積によって優劣が決まっていくため,皆が勝利を得るべく一丸となって目標に突き進んでいくのは必然といえば必然。既存のオンラインFPSでは一戦の結果がすべてであるものが多く,チーム戦といえども,個人成績に固執するプレイヤーが多く見受けらることもあった。だが,MAGでは勝利PMCに入るボーナス経験値もバカにならないため,個人プレイに走る人はかなり少ない。したがってチームプレイが定着し,自然と共闘感が生まれるようになっているのだろう。そんな感覚を味わいたい人は,この広大な戦場へ踏み出してほしい。きっとすばらしい戦友と出会えるだろう。
「MASSIVE ACTION GAME(MAG)」公式サイト
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