インタビュー
前作を未プレイでも楽しめる!? 「戦場のヴァルキュリア2 ガリア王立士官学校」の気になるあれこれを本山プロデューサーと小澤ディレクターに聞いた
凝縮されて味の濃いミッションが200以上
ストーリーモードでのマルチプレイにも対応
4Gamer:
「2」ではチャプターが月単位で分かれていますが,ストーリーミッションをクリアすることで月が進みますよね。先に進むかどうかは,プレイヤーが決められる形で。
そうです。とにかく先が見たいのであれば,主要ミッションだけをどんどんやっていくこともできます。季節限定のイベントもあるのですが,クリア後には“永遠の1937年”がありますので,そのときに拾ってもらえればなと。ちなみに,クリア後にしか出ないイベントもありますし,クリア後にあらためて見ると,実は何気ない会話に隠されている意味が分かったりすることもあります。
本山氏:
ストーリーミッションもその月になったらドーンと出るわけではなく,月ごとに規定数のキーミッションをクリアすると出てくる形になっています。キーミッションは,学校ということで,必ず解かなくてはならない“課題”という体裁です。キーミッションを規定数クリアすれば,ストーリーミッションをクリアできるくらいのレベルになるので,基本的には,先に進めないからレベル上げをしなきゃ,ということにはならないはずです。それでも心許ないという方は,何度でも挑戦できるフリーミッションがありますので,そちらでレベルを上げてもらえればと。
また,今回は初の試みとして,イージーモードを搭載しています。シミュレーションが苦手な方や,とにかく先に進みたいという方は,ゲームを始めるときに,イージーモードを選んでいただければと思います。
イージーモードとノーマルモードで違いはあるのでしょうか?
小澤氏:
難度が下がっているだけで,違いは何もないです。ノーマルでしか見られないエンディングがあるとか,ストーリーが途中で止まるとか,そんなえげつないことはしていません(笑)。
本山氏:
「ヴァルキュリア」は物語が大事だと思っているので,ストーリーを楽しんでほしいんですね。あと,アニメ版から来たユーザーさんもいらっしゃるでしょうし,せっかく来ていただいた方が「ゲームが得意じゃないからストーリーが先に進めない」というのは,すごくかわいそうだなと思うので。そういった人は気兼ねなくイージーモードでプレイしてくださいということですね。もちろん,「1」をプレイしたBLiTZの猛者の方はノーマルモードでガンガンやってほしいと思います。
小澤氏:
進めたい人はどんどん進めていいですし,じっくりやりたい人は腰を据えてやってほしいと思います。プレイの幅を広げるように作っていますので,そのあたりは皆さんのご自由にという感じですね。
本山氏:
自由度というのが重要なキーワードになっているかもしれません。
4Gamer:
ちなみに,ストーリーミッションは,クリアしたあとに再度プレイできるのでしょうか?
小澤氏:
初回プレイでは一度きりです。そこは常に先に進んでほしいのと,1個1個のストーリーに集中してほしいという思いがあります。ただ,エンディングを見れば,ストーリーミッションを何度でもチャレンジできるようになります。最初はランクを気にせずにチャレンジしていただいて,Sランクには二周目から挑戦してもらえればと。
4Gamer:
ミッションのプレイ時間目安はどれくらいになりますか?
小澤氏:
一応15分から20分を目安に構築していますが,後半のストーリーミッションだと1時間くらいはかかるかもしれないですね。今回は携帯機ですから「通学/通勤の時間で1ミッション」を目指していたのですが,後半では手応えが求められるので,若干時間がかかる難度にしたという感じです。ただ,平均的に見て30分はかからないように設定しています。
本山氏:
プレイ時間が短くなったからやりごたえが薄いかというと,そんなこともなく,考えることも,ユニットを効率的に動かしていくシチュエーションも多いので,シミュレーションとしての質は上がったと思います。
小澤氏:
ありがたいことに,「もっと新しいミッションをやりたい」という声を前作のユーザーさんから多くいただいていたので,今回は200ミッションほど用意させてもらいました。一つ一つの時間は短めですが,凝縮されて中身の濃いものがいっぱいある感じですね。手軽に「ヴァルキュリア」のミッションを遊んでもらいたいです。
有料で追加配信されるミッションがありますが,今後の配信も100円前後の価格帯で続けていくのでしょうか?
本山氏:
今後どうなっていくかはまだ分からないんですけど,現状我々が考えているのは,今回のようなミッションに関してはこれくらいがいいだろうと。無料ダウンロードできる最初の「メルフェアの危機」はお試しというか,小さいマップで遊ぶものなんですが,それ以外のものは,けっこう配置がいやらしかったり嫌な敵がいたりと凝ったものになりそうなので,値段ぶん以上の価値はあるんじゃないかと思いますよ。
4Gamer:
コンセプトとしては,一度クリアした人がさらなる歯ごたえを求めて……という感じですか?
本山氏:
ものによりますね。あとから入ってくるユーザーさんも当然いると思うんで,そういった方が購入していきなり高レベルのミッションだとつらいじゃないですか。だから,素材がたくさん手に入る,単位が手に入りやすい,あとは難度が高くて歯応えがバッチリとか,そういう風な感じでミッションに色づけをして配信していきたいなって思いますね。
小澤氏:
あと,ダウンロードミッションにしかいないエースというのも存在しますので,そこから得られる鹵獲(ろかく)武器もありします。
4Gamer:
鹵獲武器は前作同様,一つ手に入れたら装備できるのは一人だけという感じですか?
小澤氏:
そうですね,基本的には一品物ですが,何度もプレイすれば全員に装備させることもできますよ。
4Gamer:
ダウンロードミッションでは,マルチプレイ用も配信されますが,これはプレイする人全員が購入しないと遊べないものなんですか?
本山氏:
いえ,一人が持っていれば遊べるようになっていますのでご安心ください。
ものすごくザックリ分けると,一人用のダウンロードミッションはすごく難しい挑戦タイプのもので,マルチプレイ用のものが素材が手に入りやすかったりとか,単位が手に入りやすいとかいった感じですね。なので,「これ手に入れたから,皆で取りに行こうぜ」という気軽な感じで,遊んでもらえればと思います。
本山氏:
対戦は専用のモードになっていますが,協力プレイは,一部を除いてどのミッションも協力して遊べます。たとえば,難しくてなかなかクリアできないようなときは,ゲームの上手い方に手伝ってもらって,一緒にミッションを乗り越えていくみたいな感じです。
小澤氏:
友達とやることで,本当に戦力になるんです。なので「ストーリーを先に進めるために手伝って」と言えるような作りになっています。
本山氏:
ただ,ストーリーの流れが破綻しないように,マルチプレイに参加できるのは,自分が進めたところまで限定になっています。あと,戦車を使えるのはクライアントだけになります。
4Gamer:
ストーリーモードでのマルチプレイ対応は,シミュレーションゲームだと珍しいですよね。
本山氏:
そうですね。もしかしたら本作が初めてかもしれないですね。
4Gamer:
協力したプレイヤーに何かメリットはあるんですか?
小澤氏:
そのミッションでもらえる素材は参加した人全員がもらえますし,経験値も当然入ります。あとは「協力コイン」というのが手に入りまして,そのコインを研究開発棟で素材と交換できるので,単純に協力するだけでもメリットはありますね。
本山氏:
コインはレア素材と交換しやすいですね。
本山氏:
「ヴァルキュリア」って人のプレイに口を出したくなる部分があるんですよ。実際に口を出すだけだとただのウザイ人になるんですけど(笑)。
上手い方が一緒にプレイすることで初心者の方を引っ張ってほしいという思いがありまして,できるといいなと思ったら,本当にできましたという感じですね。
小澤氏:
よくシミュレーションで協力プレイというと,順繰りに動かすって想像されがちなんですけど,本作ではバディシステムと呼ばれているものがありまして,TPS(三人称シューティング)のように同時に動かせるんですよね。
たとえば移動力の高い偵察兵と攻撃力の高い突撃兵を同時に動かすと,偵察兵は攻撃力が少し上がって,突撃兵は移動力が少し伸びます。お互いのいいところを補いあえるんです。
本山氏:
同じミッションでも,協力プレイだとクリア方法が根本的に変わるかもしれませんね。
小澤氏:
CPの使い方が,一人プレイのときとまったく違うものになると思います。
4Gamer:
ストーリーの要所要所でマルチプレイができるとなると,まったく違ったゲームになりそうですね。
小澤氏:
マルチプレイの発端は,「1」でセルベリアが出てくるミッション(※第7章「バリアスの決戦」)をクリアできないって人がけっこう多くて,そのときに「手伝ってよ」って言える仕組みができたらけっこう新しいんじゃないかなと思ったんですね。いろいろと難しい面はあったんですけど,なんとか実現させました。
本山氏:
難しくて進めないってすごく悔しいじゃないですか。僕らとしても先を見て欲しいけど,手伝いに行くこともできないし,なんとかしたいなと。
小澤氏:
だからといって,歯ごたえという部分で評価をいただいたソフトでもあるので,難度を落とすのも違うじゃないですか。そこでPSPの通信システムは非常にマッチしたということですね。
4Gamer:
「アドホック・パーティー for PlayStation Portable」にも対応していますか?
小澤氏:
使えます。インフラストラクチャーモードだけは対応していませんが。
4Gamer:
そういえば,敵のターンを簡略化する設定も導入されましたよね。
はい。ノーマルとファースト,あとスキップですね。スキップにすると,テキストログだけが流れるようになっています。ものすごくシンプルになっていますね。
本山氏:
基本はノーマルでやってほしいというのはあるんですけどね。
小澤氏:
「ヴァルキュリア」は“死角”をゲーム性に取り入れていますので,敵ターン中には足音だけを“見せて”いるんですよね。何もできないのでその間はヒマと思われがちですが,そのときに得られる情報って実は多いんですよ。なので,基本はノーマルがオススメです。
4Gamer:
確かに,未発見の敵ユニットの足音が見えると,「敵がこのへんにいる」とか分かりますからね。
小澤氏:
ただ,今回は通信プレイがありますので,皆で集まってたくさんミッションをプレイしたいという人もいると思うんですよね。なので,パッと敵ターンを終わらせたい人向けにスキップも入れてみました。ただ,モードを変えても思考が変わったり,パラメータ値が変わったりといった姑息な手は使ってきませんので,そこはご安心ください(笑)。
4Gamer:
敵がランダムに配置されるミッションもありますが。実際にはどのような感じで決定されるのでしょう?
本山氏:
候補地がいくつかあるんですよね。毎回決まった場所に特定のユニットが配置されるのか,ある程度の候補地の中で配置されるのか,という違いなんですけれども。
あと,ミッションに出現するユニットの種類は決まっているんですけど,出るかどうかはランダムです。たとえば,さっきプレイしたら戦車がいなかったのに今回はいたとか,そういうことが起きうるので,プレイするごとの新鮮さはけっこうありますよ。
小澤氏:
これも,いっぱいプレイしたい方のための答えの一つですね。
あとキャラクターの育成とか,素材集めとかで,同じミッションを何度もプレイする場面も出てくるかと思います。ただ,それがまったく同じことの繰り返しになるのは非常に嫌だなと思いますし,ユーザーさんにも申し訳ないです。なので,毎回新鮮な気持ちでプレイするためにも,敵の配置はランダムということにしました。ただ登場する兵種は変わらないので,対策自体が大きく変わることはないと思います。
本山氏:
「ヴァルキュリア」って,アクションモード中に物陰とかにすごく気を使うゲームなので,個人的には,一部ランダム配置になることでこんなにドキドキするものなのかって思いましたね。「1」だと,敵がいないって分かってる場所はダーッと走れたんですけど,今回は「この先にいるかな……」みたいな感じで少しずつ進んで,ふいに戦車と鉢合わせたりすると,軽く絶望しますよ(笑)。
小澤氏:
ただ,全部が全部ランダムというわけではなく,ここぞというストーリーミッションなどは,マップ担当者が絞りに絞った珠玉の配置でお出迎えしています。
本山氏:
それはもう,僕らと知恵比べということですね。
4Gamer:
敵の戦車数も変わったりするんですか?
小澤氏:
はい。そのミッションに出るユニットの候補という考え方なので,結果的に,出ると予告されているのに一台も出ないこともありますよ。
4Gamer:
敵ユニットの総数も変わったりするんですか?
小澤氏:
そうですね。ミッションの中で上限は決まってはいますけど。
4Gamer:
戦車が多かったら絶望しそうですね……。
本山氏:
戦車がいっぱい出ると怖いことは怖いんですけど,特殊な素材を手に入れるチャンスでもあるので,考え方によってはおいしいですよ。
小澤氏:
リザルトのボーナス値で加算されたり,レア素材が出やすくなったりします。難度は上がってしまうんですけど,戦車が出たから即リセットっていうのも悲しいので,倒したら倒しただけ報われますよっていう要素は用意しています。
4Gamer:
そのレア素材は何に使うものなんですか?
本山氏:
ミッションの報酬であるとか,戦車を倒したときの素材は,それぞれ戦車のパワーアップやパーツの生産などに使います。あとは銃や技甲兵クラスのハンマー,戦闘服とか歩兵の装備ですね。
小澤氏:
前回に続き,エースと呼ばれる敵を倒すことで得られる設計図というアイテムがあります。それがないと開発できない装備があります。設計図をどのエースが持っているかは開発ツリー上で確認できますので,エースが登場するミッションで探してみてください。
4Gamer:
エースは開発者の方々をもじった名前なんですよね?
本山氏:
はい。スタッフロールにたどり着いたら,どれが誰なのか答え合わせしてください。
小澤氏:
社内でのニックネームをさらにもじったものもあるので,絶対分からないのもあると思いますけど(笑)。
4Gamer:
では時間もそろそろ押してきたので,最後に読者に向けてメッセージをお願いします。
今回は30人のクラスメイトにスポットを当てています。30人の中には奇抜な奴も多いですけど,一人は絶対に愛せるキャラがいると思います。ぜひ一人は見つけて,前作同様メインキャラはもちろんのこと,サブキャラクターも愛して欲しいなって思います。お気に入りのキャラを見つけて,どうぞ「戦場のヴァルキュリア2」を楽しんでください。
今回,ハードが変わったというのはあるんですけど,前作を上回るボリューム感とか,システム面やカスタマイズなど,本当に語り尽くせないほどのパワーアップを果たしています。手に取っていただければ,絶対に面白さが伝わると思います。ぜひぜひ楽しんでください。よろしくお願いします。
とはいえ,外でもプレイできる携帯機ならではのメリットと,1ミッションあたりの時間が短くなったことなどで,前作よりも気軽にプレイできるようになった。また,アドホック通信での協力プレイに対応するなど,意欲的な取り組みも行っている。
本作は「2」ということで,前作をプレイしていない人は気後れするかもしれないが,本山氏と小澤氏が述べていたとおり,「1」を後回しにしても問題なくプレイできるという印象だ。このインタビューを読んで興味を持ったのであれば,ぜひプレイしてみてほしい。
「戦場のヴァルキュリア2 ガリア王立士官学校」公式サイト
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戦場のヴァルキュリア2 ガリア王立士官学校
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