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印刷2010/09/30 16:32

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今回のテーマは金属の次元。TCG「Magic: The Gathering」,明日発売を迎える最新拡張セット「ミラディンの傷跡」の魅力に触れてきた

 Wizards of the Coastが手がけるトレーディングカードゲーム「Magic: The Gathering」(以下,MTG)の最新拡張セット「ミラディンの傷跡」が明日(10月1日)発売される。9月24日に東京・新宿で開かれたメディア向けパーティにて,一足早くこの拡張セットを体験してきたので,その感触をお伝えしよう。

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「Magic: The Gathering」公式サイト



「ミラディンの傷跡」で描かれる世界


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 まず最初に,MTGパッケージの発行ルールについて簡単に触れておきたい。

 MTGでは,クセが少なく使い勝手の良いカードで構成された基本セットと呼ばれるカードパックが,1年に1度発売される(M10から2年に1度だった基本セットの発売が1年に1度に変更された)。特に近年の基本セットは7月に発売されており,前回「こちら」で紹介した「M11」も,その例に漏れない。

 そして,次の基本セットが発売されるまでの1年のあいだ,スパイスとなる拡張セットが,3か月に1度のペースで追加されていく。拡張セットの発売タイミングも最近は10月,2月,4月とおおよそ決まってきている。

 年に3回発売されるこれら3種類の拡張セットは,まとめて“ブロック”と呼ばれており,ブロックごとに独自の世界観を持っているのだ。例えば,前回のブロックでは,冒険や発見をテーマとした“ゼンディカー”の次元が舞台となっていた。

 今回発売される拡張セットはミラディンの傷跡ブロックの第1弾で,テーマとなる世界は名前のとおり“ミラディン”の次元となる。

 ミラディンは,万物が金属(アーティファクト)で作られている世界。風に撫でられた黄金の草原は甲高い音を鳴らし,錆付いた鉄の山の上には磁力を持った巨大な岩石が浮かぶ。海にも,我々がよく知る青ではなく,銀色の液体が広がっている。さらに,太陽も1つではなく複数存在し,それぞれが異なる軌道を描いているという。

 ミラディンの傷跡ブロックでは,この世界の先住民であるミラディン人と,人工の次元よりやってきた歪んだ思想を持つ種族・ファイレクシア人との争いが,カードをとおして描かれていく。

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カードの透かしから,どちらの陣営なのかが分かる。こちらはミラディン人の象徴だ
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こちらはファイレクシア人の印。彼らは,完全性こそ最上のものだとする信念を持っている

 公式サイトでは,より詳しいストーリーや世界観が語られている。MTGをやったことがないという人でも,ファンタジー好きにはたまらないコンテンツが満載なので,ぜひ一度チェックしてみてほしい。


ミラディンの傷跡を構成するカードの特徴


 さて,ここからはミラディンの傷跡の特徴と,ツアープロとして活躍中の三田村和弥選手が説いてくれたデッキを組む上でのちょっとした注意点を紹介する。

 ミラディンの傷跡の大きなテーマは,ミラディン人の“アーティファクト”と,それに敵対するファイレクシア人の毒を用いた能力“感染”だ。世界設定上は敵対しているものの,デッキを組むうえでは,この2系統のカードを併用してもよい。ただし,この2系統のカードは根本的に目指す戦略が異なるということは,気をつけておきたい。

 ミラディン側,つまりアーティファクトを中心としたデッキでは,破壊されない装備品や金属術(味方のバトルフィールドにアーティファクトが3個以上存在していると有利な能力が付加される)を用いて,相手プレイヤーやクリーチャーのライフを直接削るというのが,基本的な方針となる。

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 一方,ファイレクシア陣営の感染はちょっと変わった能力で,感染を持つクリーチャーがプレイヤーに攻撃した場合,ダメージの代わりに,その攻撃力に応じた個数の「毒カウンター」を付加するというもの(クリーチャーに攻撃した場合もダメージではなく,攻撃/防御をそれぞれ-1するカウンターを付加する)。この毒カウンターが10個溜まったプレイヤーは,その時点で敗北となってしまう。

敵対するだけあって,ファイレクシア側のカードにはアンチアーティファクトの能力を持つものも
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 つまり,アーティファクトは直接ライフを削る,感染は毒カウンターを溜めていくという,それぞれ異なる方針を持つため,これらのカードを下手に併用すると攻める方向が2方向に散ってしまう可能性がある。毒カウンターを9個まで溜めたのに,直接攻撃をするクリーチャーしか残っていないなんて事態にだけは陥りたくないものだ。

 ではどちらかの陣営で固めたデッキを作ったほうがよいのかというと,実はそうでもないように思う。ファイレクシア陣営にはアーティファクトを蝕む能力を持ったカードが多数含まれているので,極端にアーティファクトに頼ったデッキを作ることは危険だし,ミラディン陣営に見られる破壊されないアーティファクトは,感染を持つクリーチャーに装備させても非常に強力だ。

 使い方次第と言ってしまえばそれまでだが,プレイヤーの好みや戦略が,デッキにそのまま反映されることがMTGの魅力の一つ。ミラディンの傷跡のカードを基本セットやほかのブロックのカードとどう組み合わせるのかを考えているときは,MTGの醍醐味にどっぷり漬かれる至福の時間と言っていいだろう。

ミラディンの傷跡の特徴を教えてくれた三田村選手。「今回は,ミラディン側のカードが多いので,2月の拡張パックはファイレクシア側が多めになるかも」と次パックの予想も語る
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 以上が,筆者が今回のパーティで知り得たミラディンの傷跡の概要である。このほかにも,カウンターを取り除くことで力を発揮する“蓄積カウンター”や,感染を拡大させる“増殖”といった要素など,ミラディンの傷跡にはゲームの戦略性を高める要素がまだまだ用意されている。

 経験者ならば知っているかもしれないが,実はミラディンの次元がブロックの舞台として採用されるのは今回が2回目(ファイレクシアも初登場ではない)。2003年当時のカードの特徴はもちろん残されているが,リニューアルや要素の追加が行われており,懐かしみながらも新鮮な楽しさが味わえるので,久しぶりにカードを手にとってみてはいかがだろう。

 最後に,Wizards of the Coastの森 慶太氏に聞いたMTGのオンラインゲームに関する情報を,簡単にまとめておこう。

 まず,PlayStation Storeにて配信が予定されている「Magic: The Gathering - Duels of the Planeswalkers」の配信時期が,2011年春に決定した。現在CERO審査中とのことなので,期待している人はもうしばらく辛抱しよう。
 「Magic: The Gathering - Tactics」のほうは,2011年内に発売予定と変わらずで,進捗情報は得られなかった。
 ただし,Wizards of the Coastは来年の東京ゲームショウにこの2タイトルを引っさげてブース出展する可能性もあるという興味深い話も聞けたので,同社の今後の動きにも期待大だ。

「Magic: The Gathering」公式サイト

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