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Intel,Sandy Bridgeベースのサーバー&ワークステーション向けCPU「Xeon E5」ファミリー発表。Core iプロセッサにはない8コア搭載モデルも
CPUパッケージはLGA2011で,Xeon 5600番台が採用していたLGA1366との互換性はない。
このXeon E5ファミリーの正式発表に先駆け,Intelの日本法人であるインテルは,2月に報道関係者向けの事前説明会を開催した。サーバー&ワークステーション向けCPUなのでゲーマーが購入する製品ではないと思うが,Sandy Bridge世代で初の8コア搭載ということもあるので,本稿では事前説明会をベースに概要を紹介しておこう。
Sandy Bridge-Eをベースに
全コアを有効化したモデルも
事前説明会では,インテルの福原由紀氏と田中久史氏により,Xeon E5ファミリーの製品概要が語られた。それによると,Xeon E5ファミリーにおける最大のポイントは,前述したとおりSandy Bridge世代のマイクロアーキテクチャが採用され,8コア搭載製品がラインナップされているということ。また,「Intel Turbo Boost Technology 2.0」に対応するほか,PCI Express 3.0のコントローラをCPU内部に統合したことも特徴だという。これらの特徴により,従来のXeon 5600番台と同等の電力水準で最大80%の性能向上を果たしているとのことだ。
福原由紀氏(インテル インテルクラウド・コンピューティング事業本部 データセンター事業開発部長) |
技術面の解説を行った田中久史氏(インテル インテル技術本部 アプリケーション・スペシャリスト) |
まず1つめは,DDR3インタフェースがCPU側に内蔵され,1ソケットあたり4チャネル,1チャネルあたり最大3DIMM構成をサポートする点だ。現時点での最大容量である32GBのDIMMを用いた場合,1ソケットあたり容量384GBのメモリを搭載できる計算になる。
ただし,メモリコントローラはPC3 12800 DDR3モジュールまでをサポートするが,メモリ構成によって制限が生じる点には注意が必要だ。1チャネルあたり3DIMM構成を採れるのは,RegisterdタイプのPC3 8500 DDR3モジュールを用いた場合のみ。RegisterdタイプのPC3 10600 DDR3モジュールや同タイプのPC3 12800 DDR3モジュールでは,1チャネルあたり最大2DIMM構成までしかサポートされなくなる。また,Unbufferdタイプのモジュールでは,メモリクロックにかかわらず1チャネルあたり最大2DIMM構成になるという。
2つめの改良点は,CPUに内蔵されているPCI Express 3.0コントローラが1 CPUあたり最大40レーンをサポートすること。Xeon E5ファミリーに組み合わされる「C600」チップセットとは,「DMI 2.0」(Direct Media Interface 2.0)で接続されることとなる。CPUとチップセット間の接続にDMI 2.0が用いられている点は,Sandy Bridge-EことCore i7-3000番台と同じだ。
そして3つめは,2ソケット構成を採用した場合における「QPI」(Quick Path Interconnect)のリンク速度向上が挙げられる。Xeon 5600番台ではCPU間を1本のQPIで接続していたが,Xeon E5ファミリーではCPU間を2本のQPIで接続することとなり,これにより,QPIのリンク速度が従来の最大6.4GT/sから最大8.0GT/sへと高速化されているのもポイントだ。
Xeon E5ファミリーの主なスペックを表1にまとめたのでそちらも確認してほしい。
そのほか説明会では,AVX命令のサポートや,Intel Turbo Boost Technology 2.0についても時間を割いて説明があったが,これらの技術はすでにコンシューマ向けのSandy Bridgeで実装済みなので本稿では説明を省略する。気になる人は2011年1月3日に掲載したテストレポートを参照してほしい。
さて,冒頭でXeon E5ファミリーのラインナップは20モデルと述べたが,その内訳は2ソケット構成に対応する「Xeon E5-2600」番台が17モデル,1ソケット構成に対応する「Xeon E5-1600」番台が3モデル。ラインナップを表2にまとめたので,そちらを見てもらえればと思うが,8コア搭載で最も動作クロックが高いのは,「Xeon E5-2687W」の3.1GHzとなっている。
8コア16スレッドで動作クロック3GHz超えというCPUを1度は使ってみたい気もするが,OEM向けの1000個ロット時単価で1885ドル(2012年3月7日時点のレートで約15万3550円)となかなか高額だ。
実際,事前説明会では,「1ソケット向けのXeon E5-1600番台は既存のSandy Bridge-Eと同じもの」という発言も確認できている。
ただ,まるっきり同じかというとそうではなく,Xeon E5ファミリーのトランジスタ数はSandy Bridge-Eと同じ22億7000万個だが,対応ソケット数や搭載するコア数などにかかわらず,すべてのモデルでダイサイズが416mm2になっているとのこと。Sandy Bridge-Eのダイサイズは435mm2と発表されているので,Xeon E5ファミリーのほうが,わずかにダイサイズが小さくなっているようである。
このダイサイズの違いが何を意味するのは不明だが,Sandy Bridge-Eのダイサイズは発表時点でのものなので,もしかしたら現在は416mm2になっているかもしれない。
多コアCPUがゲーマーに与える恩恵はあまり大きくないが,CPU 1基当たりあたり40レーンのPCI Express 3.0インタフェースを備えている点に魅力を感じる人もいるのではなかろうか。
インテル公式Webサイト
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Xeon
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