インタビュー
夢のコラボが実現した驚きの経緯とは。本日発売の「STREET FIGHTER X(クロス) 鉄拳」,小野P&原田P直前インタビュー
格闘ゲームの物語――“じゃんけん”の作り方
4Gamer:
コラボに至った経緯や,込められた想いは分かりました。ではそれらを踏まえたうえで,本作のコンセプトについてうかがっていきたいと思います。格闘ゲームとしての本作は,どんな方向性を目指したのでしょうか。
これはさっきの話からも繋がっているんですが,まずゲームの内容については,「妙な干渉は止めて,お互いにとにかく作りたいものを作りましょう」という同意のもとで始めました。お互いの作品をちゃんとリスペクトできていることは分かっていたので,鉄拳のキャラを登場させるからといって,もう借りものだとかいう気持ちはなくそう,自分の息子,娘だと思ってやっていこう,というところからのスタートです。
4Gamer:
すべてのキャラクターが,カプコンキャラであるかのように考える,ということですね。
小野P:
なのでゲームとしての“鉄拳らしさ”というのはあえて考えないで,そのうえで鉄拳キャラクター達の魅力を,あらためて見つめ直すという作業から入ったんです。そうやって“そのキャラクターの良いところ”をベースに,格闘ゲームとしての遊びを組み立てていくことで,ストクロらしさが生まれてきた。例えばリュウっぽい動きや,一八っぽい動きの中にこそ,ストクロの根っこがあったわけです。
4Gamer:
具体的には?
小野P:
そうですね……格闘ゲームの物語――“じゃんけん”の作り方って,タイトルごとに大きく違んですけど,例えば鉄拳だったら,一回チョキが通ったら,そのままずっとチョキで攻め続けられるじゃないですか。
原田P:
何ターンかチョキで行けるよね。
小野P:
そこでチョキの動きが一回終わったときに,相手側が素速くグーに切り替えられれば,流れを取り返せる。でもそこで一息ついてしまうと,下手したらそのままK.O.でもっていかれてしまう。そんな物語になっているわけです。
でもストリートファイターだったら,弱パンチのけん制から攻めが始まって,ジャンプでフェイントをいれたりとか,弾キャラだったら1回波動拳を撃って様子を見たりとかで,お互いのターンはかなり細かく切り替わっていく。
けん制のための動きが沢山ありますからね。
小野P:
かつ,攻撃がヒットした後もキャンセルで別の技に繋がっていく。ストIII 3rdならブロッキング,ストIVならセービングで割り込んだりと,防御側にも行動の選択肢があって,そこが駆け引きになってるじゃないですか。この鉄拳の物語とストリートファイターの物語,双方のいいところをストクロに取り入れていくと……。
4Gamer:
自然にハマってきた,と。
小野P:
そう。でもすんなり決まったかというと,そういうわけでもないんですよ。実は今回は,ことあるごとに試遊台を用意して,プレイヤーの皆さんに直接触ってもらいながらタイトルをブラッシュアップしていったんですけど,その評判がどうも芳しくない時期があって,悩んでいたんですね。そんな時期に原田さんとストクロで遊んでいたら,「なんかわかりやすい入口がほしいね」という話になって。
原田P:
鉄拳だと,初めて触る人に遊び方を教えるとき,「とりあえず浮かせ技と空中コンボをひとつ覚えておけばいいよ。あとの戦略はどうでもいいから浮かせることだけ一生懸命考えてみてね」っていう言い方がある意味できるじゃないですか。それで「ストクロにもそういう入口,なにかないんすかね?」と。
小野P:
それで出てきたのが「ブーストコンボ」と「クロスラッシュ」だったんです。鉄拳とストリートファイターの両方の動きができて,かつタッグシステムにも繋がる,その全部を一気に味わえるシステム。しかも全員同じ操作で,同じ土俵の上でお祭り的な雰囲気も出せるシステムを考えたときに,ボタンを弱→中→強と順番に押すのは誰でもできるじゃん,と。
原田P:
ポンポンポンと,リズムを覚えるだけで上達できるわけですよ。
小野P:
さらにこの中に,さっき言ったじゃんけんの要素,キャンセルだとか「ランチアタック」だとかに繋がる,いくつかの分岐点を作っていくことで,鉄拳の持っているポジティブなチョキ連発と,ストリートファイターのターン制の動きが,自然と積み上がっていったんです。原田さんのアドバイスからスタートして,さらにそのうえに積み上げたものがあって,ストクロのシステムはできあがっています。
原田P:
クロスラッシュが入った後から,試遊台の反応はがぜん良くなったよね。やっぱり分かりやすいから。そんな風に,干渉ではないけれど,アドバイスみたいなことはちょこちょこやってるんですよ。“先行して遊んでるファン”みたいなものですけど。
タッグシステムを採用した理由
4Gamer:
なるほど。直接的に開発に関わっていなくても,協力した部分はあるわけですね。ところで,今「タッグシステムに繋がる〜」というお話しがありましたが,本作の根幹システムが“タッグ”になった理由はなんでしょうか。これは鉄拳TAGにかなり近いシステムですよね。
小野P:
それはまず,僕が鉄拳の最高傑作は鉄拳TAGだって思ってるからです。
4Gamer:
ああ,それは東京ゲームショウ2011のステージでもおっしゃってましたよね。
小野P:
そうそう。それをこの人は“5分で企画した”とか言ってて,ショックだったんですけど(笑)。
原田P:
だってあれは,僕が会社の都合で追い詰められて企画したから(笑)。
小野P:
カプコンが作った「X-MEN VS. STREET FIGHTER」やMARVEL VS. CAPCOMって,チーム戦とはいえリレー式じゃないですか。だから戦闘中に交代せざるをえない状況って,基本的にイレギュラーなんですよ。でも,鉄拳TAGは「タッグ交代」そのものが戦略になっていて,そこに衝撃を受けたんです。
4Gamer:
確かにMARVEL VS. CAPCOMは,優勢である限り,交代する必要ってあまりないですよね。アシストはあっても基本は1vs.1ですし,仮に一人がやられても次の一人が頑張ればいい。鉄拳TTの“交代のタイミングが戦略の軸になる”という駆け引きは,やはり唯一無二な気がします。
小野P:
ええ,それで「ほな,これをそのままやります」と(笑)。でも当然というか,初めて出したときはストリートファイターファンは面喰らったみたいです。
原田P:
そうそう。アメリカの人はとくに「なんで片方負けてないのに終わるんだ!」ってね(笑)。鉄拳コミュニティの人は,鉄拳TAGでもう慣れてるわけです。だからポジティブに「タッグの駆け引きってスリリングだね,逆転要素もあるね」って思ってくれるんだけど,ストリートファイターコミュニティの人達には,ネガティブに捉える人もいるみたいです。
4Gamer:
鉄拳TAGシリーズもそうですが,あのタッグ式は,交代が上手いか下手かで勝負が決まってしまうところがありますよね。そもそも鉄拳TAGのとき,原田さんが「片方が負けたら終わり」というシステムにしたのは,なぜだったんですか?
原田P:
あれはねえ,小野さんや世間はやたら理論派だから“よくできてる”って勝手に解釈したと思うんですよ。鉄拳TAGを作ってるとき,チーム内からも「ひょっとしてそのほうがゲームが早く終わるから,インカムを考えてそうしてるの?」って勘ぐられたくらいで。
でも,実はそれは違うんですよ。チームから僕がその質問を受けたときに,僕はもう完全にプロレスの発想で,「お前らな,よう聞けよ。お前が仮にイノキさんと組んでてな,相方のイノキさんが完全にフォール取られたのに,お前は平然とリング入っていって2人相手に戦うんかい!」と。だから,片方フォールされたらそりゃ負けだろう! って,単純に思ってたんですよ。っはっはっはっはっは。
(一同爆笑)
4Gamer:
あんまり深くは考えてなかったと(笑)。
原田P:
僕としては「これが常識や!」ってなもんですよ。でも後から「MARVEL VS. CAPCOMだったら,もう1人単独でちゃんと出てきますやん」って言われてね。「……そういえばそうやな。あっちはある意味お得やねえ」って(笑)。
小野P:
僕のほうから「交代に失敗したら一気に負ける,っていう逆転要素があるでしょ? スリリングでしょ?」と,もう延々と説いたわけですよ。そしたら彼「……うんうん」って静かに聞いてるんですよ。それで「強いプレイヤーもちょっと間違えて交代しちゃったら,弱い人が勝つチャンスが生まれる。めっちゃ考えて作ってるじゃないですか!」って言ったら……。
原田P:
そうやな! 鉄拳TAGはようできてんなあ!
(一同爆笑)
4Gamer:
自分で作ったんじゃないんですか(笑)。
原田P:
あれー? この人やたら鉄拳TTを評価してるなーって,思ってましたね(笑)。本当は単に制作期間も短かくて,そこまで考えるヒマがなかっただけ。今は自分自身でも“良くできてる”と思ってますけど,でも最初はただプロレス的な考え方をしていただけなんですよ。
4Gamer:
なるほど(笑)。リカバリーゲージが残って,控えに回ると体力が回復していく,っていうのもタッグシステムなら戦略的に活かせますもんね。こまめに交代する理由になるというか。
原田P:
それも俺としては,「裏で休んでるんだから回復せえや」くらいのつもりだったんだけど。……あのね,世の中の人は逆だと思ってますよ,多分。小野さんのほうが物事を勢いで決めるタイプで,僕のほうが保守的で慎重派だって。……実際はね,完全に真逆ですからね。
小野P:
話をするとね,この人よく40年もこんなので生きて来られたなってぐらい,フィーリングで生きてますからね(笑)。
原田P:
うん。俺が「絶対こうや!」って断言してることって,大抵は根拠ゼロだから。「なんでなん?」って言われても「だってそう思うからや」(笑)。
小野P:
それをロジックで説明してやると,「せやろ? 俺言うたやろ?」。
(一同笑)
小野P:
つまりまとめると,鉄拳TAGのタッグシステムは,逆転性とそれに伴うスリルという面で格闘ゲームとして良くできていたので,そこは拡張してみたいと思ったんです。タッグであることを気にして戦ってほしいので,リカバリーゲージはストクロにも入れてあります。
それと,さっき「キャラクターの良いところ」という話をしましたけど,このシステムなら鉄拳キャラクターの良いところをちゃんと持ってこられるんですよ。この2つがタッグを導入した理由です。
4Gamer:
すごく理解しやすいです。ありがとうございます(笑)。
小野P:
最初は開発チームも面喰らってたんですけどね。「だってケンの体力こんなにあるのに,リュウがやられたらK.O.ですよ小野さん! ……おかしくねえ?」って(笑)。でもこれを気にするからこそ,クロスラッシュでコンボ入れつつ交代,というのが活きてくるし,タッグならではのドキドキがある。
4Gamer:
2人のキャラクターを使うタッグ制だからこそ,ストリートファイターファンも,鉄拳キャラに手が出しやすいという側面がありますよね。それもコラボレーションの醍醐味という気がします。
そういえばちょっと話は変わるんですが,3D格闘ゲームである鉄拳キャラクターを,2D格闘ゲームの文脈に置き換えるのには,結構な苦労があったと思うんですが,そのあたりはいかがですか。
小野P:
これがね,ほとんど苦労はなかったんですよ。まず鉄拳キャラって,元々縦方向の動きも大きいじゃないですか。
4Gamer:
確かに。「バーチャファイター」などに比べれば,動きは派手ですよね。
小野P:
それにシャオユウの“背を向けると蹴りの速度が速くなる”みたいな要素も,さっきも言ったとおり,そのままではなく元のキャラクターのエッセンスだけを持ってくる方向でコンバートしていきましたからね。原田さんから,「鉄拳はストリートファイターの影響を受けている」とも聞いていたので,割とすんなりでしたよ。
原田P:
鉄拳からストリートファイターへは,すんなり行くだろうという予測はあったんですよ。でも逆に,ストリートファイターから鉄拳にいくときは,苦労するんじゃないかなあという予想もある。
小野P:
波動拳とか,“鉄拳にないもの”を入れ込んでいくのは,恐らく大変だろうね。
4Gamer:
それは確かに。では本作については,鉄拳キャラの特徴を2Dに落とし込んだというより,ストリートファイター的な解釈で再構築した鉄拳キャラ,という感じなんですね。
小野P:
そうです。ストリートファイターの世界に,自我を持った鉄拳キャラクターが入ってきて,それをカプコンが,肥料を与えて育てていったという。
これは鉄拳コミュニティの人と会うたびに言ってるんですけど,まず10分だけ触ってみてほしいんですよ。1分では,きっと違和感を感じると思うので。鉄拳はモーションがなめらかだし,キーレスポンスも早いから,それに合った独特のリズム感があるはずなんです。でもストリートファイターは……。
原田P:
マンガの1コマが止まっているようなイメージですね。コミックの表現に近い。
小野P:
そう。そのリズムが大きく違うんです。でも,11分目からは「これは一八だね,ニーナだね」って感じてもらえるハズなので。
話題沸騰のジェムシステム,ゲームシステムのあれこれ
4Gamer:
ゲームシステムについて,もう少し詳しく話を聞かせてください。本作にはタッグシステム以外にも,数多くのシステムが用意されていますよね。その種類はこれまでの格闘ゲームと比べても,かなり多いと思うのですが,これはなぜなんでしょうか。
小野P:
それは,コンシューマで出すタイトルだからこそ,という部分でもあるんです。コンシューマだとアーケードの「100円のしばり」を考えずゲームが作れるんで。
4Gamer:
確かにアーケードだと,1プレイあたりにかかる時間は短いほど(ゲームセンターにとって)良いということになります。
原田P:
そうなると,良くも悪くもあんまりシステムを入れられない,という現実はあるんんですよね。
小野P:
システムを増やしてしまうと,アーケードのしばりの中でゲームが複雑になりすぎてしまうんですよ。プレイヤーさんにとっても,「システムを覚えきれてないのに,今乱入されたら困る」ってことにもなっちゃいますから。
でも今回はコンシューマタイトルだから,オフラインで思う存分練習ができる。たくさん考えてもらえるというわけで,システムは多く用意しています。
原田P:
ほら,ちゃんと考えてるでしょ(笑)。
小野P:
でも,ただ多くするのではなくて,それぞれが“入り口のひとつ”になっている,という点を強く意識しています。その行き着いた先が「ジェムシステム」ですね。
4Gamer:
ジェムシステムについては,発表当初から大きな反応が,賛否両論が出ていますよね。とくに格闘ゲームファンは,不安に感じてる人も多いのではないかと思います。
小野P:
自分自身のプレイスタイルに合わせるためのカスタマイズ,というシステムを作りたかったんですよね。強くなるためのウェポン,ではなく。
4Gamer:
パワーアップのための武器ではなく,カスタマイズだと。
小野P:
パワーアップしたい人は,もちろんそれでいいんです。でもプレイヤーの中には,パワーアップはいいからアシストがほしいという人もいるはずですよね。それに応じて攻め方や守り方も変わってくるわけで,“自分がどうプレイしたいのか”っていうのをプレイヤー自身で見つけてもらう,考えてもらうということを,今回は意識したんです。
原田P:
……ほら,小野はやたら理屈で説明してるでしょ? もし俺が「原田さん,なんでジェム入れたんですか?」って聞かれたら,「お前『Diablo』や『Ultima』でエメラルドやらダイアモンド集めたやろ? ときめいたやろ? あれや!」って返しますよ(笑)。
(一同笑)
小野P:
……今でこそ言いますけど,作ってるときはずっと心配だったんですよ。「もしかしたら入らんかもしれん」って。
4Gamer:
それは間に合わないかも,ってことですか?
小野P:
いやいや,落としどころが見えなかったんです。用意したルールブックに,さらに不確定要素が入るなんて,やっぱりタブーなんじゃないかと。
4Gamer:
格闘ゲームファンは,とくにそう感じるでしょうね。
原田P:
だから,これは結構デカいチャレンジなんだよね。鉄拳でも,クマが鮭を装備すると飛び道具になったりとか,ブライアンがショットガンを撃ったりとかやってるんだけど,あれもかなり苦労して調整しているんですよ。ダメージを落とすとか,いわゆる格闘ゲーマーが文句を言わない瀬戸際,ギリギリのところにね。
それでも「格闘ゲームのキャラの性能が,カスタマイズで変わるのはどうなの?」って言われるぐらいなのに,ジェムシステムときたら,むしろそれが主体なんだから。
小野P:
「ジェムをオフにするモードはないの?」ってよく聞かれるんだ(笑)。でもこれは「ない」と言い切ってます。2つのルールブックを作りたくなかったんですよ。「あり」と「なし」を作ると,コミュニティが分かれちゃうんで。
原田P:
みんな言うんだよね。でもそれだときっと意味がないんだろうと。……ジェムのオン/オフで思い出したんだけど,この間ストIVファンのアメリカ人に「ストクロに鉄拳キャラクターオフっていうオプションはないのか?」って聞かれてね……「お前アホやろ!」と。
(一同笑)
原田P:
「なんでそんなオプション付けなあかんねん! じゃあ自分らでそういう縛りで遊べばええやん!」ってなことがありましたね(笑)。
小野P:
スパIVを買って,やってください(笑)。
4Gamer:
きっとその彼はスパIVも買ってると思いますけど(笑)。でもジェムシステムをオフにするモードというのは,それと同じくらい無意味ですよね。なんのために入れたのか分からなくなりますから。でも……彼らの不安もすごくよく分かるんですよ。
原田P:
まあ,僕もジェムを入れるって初めて聞いたときは,大丈夫か? って思いましたからね。でもね,これは毎回言ってるんですけど,すべてのプレイヤーがトーナメントを目指すわけじゃないんですよ。そりゃあ上級者がセオリーとしてこういうジェム構成になる,ってのはもちろんあると思いますけど,プレイされる環境はそれだけじゃない。
4Gamer:
兄弟だけでずっとプレイし続ける人だっている。以前のインタビューではそうおっしゃっていましたね。
原田P:
そうです。兄弟や家族とだけ遊ぶっていう人もいれば,5〜6人の友達だけで対戦するグループだってある。で,お兄ちゃんがやたら投げばっかりしてくるんだったら,投げ抜けのアシストジェムを入れるとかね。相手や環境で,カスタムの方向性はさまざまです。そうやって勝つための戦略を考えていくのって……そこは楽しいじゃないですか。
小野P:
発動条件もあるし,制約もあるし,永久に出るわけでもない。どう仕込むかっていうのもやり込みになるわけで。でもまあ,新しいシステムを入れたときというのは,期待半分不安半分で,大体こんなもんですよ(笑)。
それでも,今までにない格闘ゲームの楽しみ方として,これはどうしてもやっておきたかったんです。「Round 1 Fight!!」の前から勝負が始まっているところとか,十人十色のリュウや一八が生まれるところとかね。
原田P:
ま,これが好評だったら,僕は「あれは俺と小野が最初から考えてた!」って言うし,不評だったら「だから止めとけって言ったのに」って,あちこちで言って回りますから(笑)。
小野P:
うん,もし不評だったら「俺も最初から無理やと思ってた」って言います(笑)。
4Gamer:
分かりました(笑)。ちなみにこれは基本的なところなんですが,公式サイトでジェムリストが公開されていますよね。本作に登場するジェムはあれで全部と考えていいのでしょうか。
小野P:
基本的にはあれがすべてで,最初から全部使えます。全キャラクリアしないと使えません,とかいうのは今回ナシで(笑)。初回生産版に特典として収録されるものは別になっていますが,それもあとでDLCなどで補完されるはずです。
4Gamer:
ということは,新たなジェムがDLCで出ることも?
小野P:
可能性はゼロじゃないですね。でも追加は状況を見ながら考えていくしかないと思います。あと万が一おかしなジェムが出てきてしまったら,それは絶対調整しますから。
原田P:
今からそんなネガティブでどうすんねん。大丈夫,なんとかなるとか言えよ(笑)。
4Gamer:
ジェムシステム,個人的には挑戦的な試みですごく面白いと思うんですけど……。
原田P:
これですよ。個々にダイレクトに聞かれると,みんな「個人的には面白い」って言うんだから(苦笑)。
小野P:
でもこれが,100万人になったときにどうなるか,なんですよ。
4Gamer:
さっきとは全く反対の話で恐縮なんですが,これがトーナメントシーンでどう使われるのかが気になるんです。そういえば,オフライン対戦でのジェムカスタマイズは,どうやって行うんですか? オンラインであれば3つまで登録しておけるようですが。
小野P:
オフラインの大会支援モードを,パッチで配信しようと思っています。対戦のたびにわざわざエディットモードに入るのも大変なので,ジェムの番号でパパパッと入れられるように。
原田P:
「ウォーザード」みたいに数字のパスワードじゃだめなの?(笑)
小野P:
それ,間違えるとアウトやから(笑)。オフライン大会支援モードに関しては,もともとEVOLUTION※側からも要望があって。なので,EVOLUTIONには間に合うようにはしたいですね。
※EVOLUTION……アメリカで毎年開かれている,世界最大の格闘ゲーム大会。2012年は7月にラスベガスで開催の予定
4Gamer:
あともう一つ,今回は対戦以外にもトレーニングモードでもオンラインプレイができると聞いています。これはプレイヤーにとってはすごく嬉しい機能ですね。
小野P:
「ブリーフィング」ですね。これはストIVのときから,ずっと要望があったんですよ。でもストIVの場合は,プログラム的にオンラインとオフラインのモードを行き来できない制限があったんです。それで今回はプログラムを一新しまして,トレーニングモードを含め,常にオンラインがスタンバイできるようにしました。
原田P:
オンラインのトレーニングモードは,昔から要望があるんですよね。
小野P:
作るのにも,時間がかかってますからね。対戦とは仕組みがぜんぜん違うので,状態の同期をとったり,そのまま対戦に移行できるようにするのが意外と大変なんです。
4Gamer:
なるほど。簡単そうに見えて,手間はかなりかかっている,と。
原田P:
これが実際どれぐらい使われるのかって,僕等は結構楽しみなんですよ。……蓋を開けてみたら,意外と使われないんじゃないかって密かに思ってるんですけど(笑)。“うまい人が初心者に教える”みたいな使い方が理想だと思うんですけど,意外に上級者同士が使うんだろうなあ。
4Gamer:
格闘ゲームのコミュニティって,上にエヴァンジェリストとなるプレイヤーがいて,その人が皆に遊び方を広めていく,という図式があるじゃないですか。ブリーフィングモードは,そこにマッチするんじゃないかと,思っているんですけど。
小野P:
そうなるといいんですけどね。これが限られた数%にしか使われない可能性もあるわけで。
4Gamer:
うーん,確かにそう言われると,そんな気もしてしまいますね。そもそも日本だと,買った人の何割がオンラインに接続するところまでたどり着いてくれるのか,という話にもなりますし。
小野P:
今回もLANケーブルさえ繋いでおいてくれたら,「アーケード待ち受け」がデフォルトでオンになっているので,知らず知らずのうちにオンライン対戦に飛び込める,という仕組みにはなっています。でもそれをずっと継続してもらえるかというと……そこでいきなり折れてしまわないか,という懸念がある。やっぱり難しいところですね。
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