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[CEDEC 2011]世界の心をつかむスマートフォン時代のゲームとは。キーマン達が語るこれからのソーシャルゲーム
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印刷2011/09/12 00:00

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[CEDEC 2011]世界の心をつかむスマートフォン時代のゲームとは。キーマン達が語るこれからのソーシャルゲーム

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 全世界を市場とするスマートフォンは,ゲームのプラットフォームとしても浸透しつつある。この現状を踏まえ,「世界で勝つゲームとは何か」をテーマにしたパネルディスカッションが,CEDEC2011の3日目,9月8日に開催された。

 セッションにはスマートフォンでゲームを世界展開させている各社の担当者が参加するだけでなく,世界進出を掲げるグリーの田中社長も登壇,これまでとこれからの世界市場を見据えた討論が行われた。

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アラ・マック・グロウエン氏。Electronic Arts Interactive (Playfish) Japanのジェネラルマネージャー
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田中良和氏。グリー代表取締役社長。日本最大級のSNS,GREEの代表
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庄司顕仁氏。タイトー ON!AIR事業本部長。3年で16タイトル,各国別で見ると53タイトルをリリース
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手塚武氏。カプコンCS開発統括・大阪制作部MC制作室室長。近作ではiPhone版ストリートファイターなどを担当


キーワードは「数」


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モデレーターの新清士氏。ゲームジャーナリストとして,またIGDA日本代表,DiGRA理事として,多彩な活動を行っている
 簡単な自己紹介のあと,まずはグリーの田中氏にOpenFeint買収の経緯についての質問がなされた。ちなみにOpenFeintは,スマートフォン向けのサービスで,ゲームに組み込むことでほかのOpenFeintユーザーとそのゲームのスコアを競ったり,実績を見せ合ったりできるというもの。いわば「ゲームにソーシャル機能を外付けるサービス」であると思えばいいだろう。ユーザー数は7500万と世界最大級だ。

 OpenFeintを買収した背景について田中氏は,「どんなに面白いゲームを作っても,ユーザーがいなければアウトだ。そして,お金をかければ人は集まるのかといえば,それも断言はできない」「現代のインターネットサービスは,ユーザーが多いことが最重要。FacebookもtwitterもeBayもそうで,例えばeBayであればあれだけの出品数があるからこそ凄いサービスになっている」と述べた。ユーザーを集めてくることこそが,問題の焦点なのだ。

 そのうえで「とにかく,ユーザーが多くないと駄目。ユーザーがすでにたくさんいるサービスであれば,サービスの内容を変えていくこともできる。OpenFeintに足りないものがあれば,足りない部分を作ればいいだけのこと」「OpenFeintは,この種のサービスとしては世界最大のサービスであり,だから買収先として選択した」と語った。

 また「プラットフォームをゼロから立ち上げるのはしんどい」という言葉には,グリーというプラットフォームを構築してきた田中氏ならではの説得力があった。
 同時に田中氏は,「もう観念論はいらない。数字で判断すればいい」と語る。「文化の障壁や差異がどうの」という机上の理論ではなく,実際の数字をもとに,何が普及の妨げになっているかを把握すればいいし,それが可能になったというわけだ。日本のソーシャルゲームのARPU(ユーザー一人あたりの月額平均課金額)は高いことで知られているが,それは「日本独自の文化」ではなく,日本のソーシャルゲームが洗練されているためだ,と田中氏は指摘する。


日本と世界のソーシャルゲームの違い


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 さて,この「日本のソーシャルゲームは洗練されている」というのは,どれくらい真実なのだろうか。グロウエン氏は,その言葉を全面的に肯定する。
 「日本のソーシャルゲームは洗練されているし,またジャンルが多くて,それぞれの作品がユーザーの要求に深く答えている」「イベントマネジメントも良い。企画や管理が素晴らしいだけでなく,そのゲームのコアユーザーが求めるイベントを実装できている」。グロウエン氏はこのように語った。

 一方で西洋におけるソーシャルゲームは「ジャンルの区分けが大まかで,1つのジャンルで多くのユーザーを受け取ろうとしている」「イベントも,とくにFacebookでは一般的なものが多い」とする。
 しかし,西洋のソーシャルゲームのほうが優れている部分もあるという。「顧客の数値データがオープンで,透明性が高い。日本はそこがクローズドだ」「マーケティングも優れていて,Facebookではユーザーのコミュニケーションや行動をもとに,そのユーザーに向いた宣伝バナーが表示されるようになっている」

 とはいえ,改善点も残されている。例えばゲーム内イベントはその典型例で,アメリカの独立記念日(7月4日)を祝うイベントはFacebookのソーシャルゲームでは一般的だが,言うまでもなくこれに敏感に反応するのはアメリカ人がほとんどだ。「にも関わらず,アメリカのユーザーにも,フランスのユーザーにも,同じイベントが供給される。ここには改善の余地がある」とグロウエン氏は語る。「ユーザーが世界中に広がっている」という言葉が,非常にしばしば「北米大陸に広がっている」を意味していた時代があったが,もうその時代は終焉を迎えているといえるだろう。


「ユーザーは増えている」


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 さて,このように広がった市場はいま,どのような特性を持っているのだろうか。カプコンの手塚氏は,これを「過当競争」と評価する。
 とくにアメリカのiPhoneアプリの市場において顕著だが,強烈な過当競争が発生した結果,アプリの値段は低価格化路線を余儀なくされた。低価格化はアプリ制作の予算に跳ね返るし,またフリーミアム(基本無料サービス)への路線転換も顕著になる。手塚氏は,「日本でもアイテム課金は盛んだが,アメリカのほうがもっと進んでいる」「マーケット的にアメリカ市場ではフリーミアム化が強いられているとすら言える」と語った。アイテム課金=日本のお家芸といったイメージがあるが,現実はもう数歩先を進んでいるようだ。

 また,世界のマーケットにおいて何が売れるかという問題については,「お客の反応は本当にまちまち。コンソール(コンシューマ)ではその反応を知るすべが限られていたが,ソーシャルではユーザーの反応が直接見えるようになった」と述べた。この「ユーザーの反応」については,データマイニングなどを進める以外にも,iPhoneアプリのユーザーレビューを読んだりもしているという。

 いずれにしても,スマートフォンでゲームを展開したことで,プレイヤーは従来になく多種多様化した,と言う。例えばiPhone用のバイオハザードをリリースしたときは,「古いバイオハザードをまったく遊んでいないので,そこを踏まえた話をされても分からない」という意見が多く寄せられたという。この意見に対し,これまでの歴史をダイジェストで振り返るヒストリー機能が追加されているが,バイオハザードのような比較的ゲーマー向けのゲームであっても,過去ゲームを遊んでいなかったプレイヤーのことを考えねばならなくなってきているのだ。
 「ユーザーは確実に増えている」。そう手塚氏は語る。「問題は,増えたユーザーに何を提供するかだ」


「グローバル展開は,ローカル展開」


 タイトーの庄司氏は,グローバル展開について「それはローカル展開とイコールだ」と語る。
 庄司氏は,ゲームを手に取るまでのハードルを,3段階に分類した。
(1)遊びの本質:インタラクティブな面白さが重要なのは大前提
(2)見た目・世界観:ゲーム未経験者が多いので,外観は大事
(3)金額

(1)については,「世界中どこに行っても,ほとんど変わらない」と言う。また(2)はいわゆるローカライズの領域で,これは地道にやるしかない。
 問題は(3)で,タイトーは16タイトルのゲームに対し,53種類のソフトウェアを有しているという。単純計算で,1タイトルあたり3種類が存在することになる。

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 同じゲームなのに,違う商品が複数存在することについて,庄司氏は「ゲームの内容は一緒。しかし,見た目が違うし,またアセットも違う」と言う。無料版込みで900万DLを達成している「クッキングママ」では,経済圏に応じて販売価格が異なっている。「地域によって,機能を縮小しているけれど,手に取りやすい値段で提供する,といったことをしている。もちろん,すべてのコンテンツを揃えたら,同じ金額になる」。
 また,マーケティングをローカルベースで行うことも重要だ,と庄司氏は語る。そしてこれは,販売地域にあった宣伝をするということとは違うようだ。

 例えば母の日であっても,アメリカとフランスではそもそも日にちが違うし,母の日に何をするかの習慣も違う。バレンタインデーも同様だ。この違いを把握し,国ごとに違うイベントとして仕込んでいく――これが庄司氏の言う世界的なマーケティングである。
 「日本で作った遊びの本質は,世界に通用する。それはソーシャルでもカジュアルでも変わらない」「流通障壁はもう消滅した。今求められているのは,ゲームのコンセプトを邪魔する要素を,ローカルレベルで消していくことだ」。庄司氏はそう指摘する。


数字に基づいて考える


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 コンシューマゲームプレイヤーの男女比率は,日本で8:2,アメリカで9:1と男性に大きく偏っている。しかしGREEのユーザー比率はほぼ1:1。ユーザーが変わってきていることを明白に示している。

 新しいユーザーが広がっている手応えについて,田中氏は「マニアックな時代はもう終わった。ゲームもインターネットも万人のものになった」と語る。「MySpaceやmixiが全盛期だった時代,『PCベースでもこれほど多くの人が使うのだ』という驚きがあった。これがPCベースではなくスマートフォンベースとなれば,みんなが使うようになる」。その確信は,現実として表出しつつある。

 田中氏は,「誰でも使うものとして,分かりやすさが重要」だと言う。SNSとして考えると,日記を書いたり,その日記に感想を書いたりといったことは,モバイル環境では難しい。そもそも文章を書くというのは,めんどくさいことなのだ。田中氏は先輩から「ボタンを押して面白い,携帯を開いて面白いものでなくてはならない」と言われたという。

 グリーはこの「分かりやすさ」を追求していった結果,年齢や性別にとらわれないユーザーを獲得した。しばしば「若者が楽しんでいる」と評されるモバイルベースのSNSだが,GREEのユーザーの50%は30代以上,男女比も前述どおりほぼ1:1だ。

 田中氏はここでもデータの重要性を強調する。「感覚的にやっても駄目。データで立証できなくてはならない」「半分以上のことが数式化できるようになってきた。数字に基づいて考えることが,広がりを生む」。


「世界には,ゲームを遊びたい人が死ぬほどいる」


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 田中氏はまた,スマートフォンというプラットフォーム上でプレイされるゲームは,「まずそもそも,ゲーム専用の機械を買う必要がない」など,従来のゲームとは異なる特性を持っていると語る。以下,簡単にまとめてみよう。

(1)携帯電話は,つねにオンライン:「たまにオンライン」「すれ違ったときだけオンライン」ではない
(2)ソフトはすべてDL販売:店に行くのは面倒。ボタンひとつで手元に届くのは,流通革命といえる。
(3)売り方にも革命が起こっている:例えばCDなどでは,従来まとめ売り・抱合せ販売オンリーだったのが,iTune Storeによって楽曲ごとのバラ売りがされるようになった。ゲームも同様で,エンターテイメントとして見ると,入場は無料で,アトラクションごとに料金が徴収されるテーマパークに近い。

 この革命は,全世界規模で発生している。そんななか,グリーが世界で勝てるかという問題について,田中氏は「プラットフォームからデベロッパー,パブリッシャー,モバイル対応まで,すべてを一貫して同じ会社でやっているという企業はグリー以外にほぼ存在しない」とし,そこはグリーの強みであると述べた。

 「ただし,簡単なことではない」。田中氏はそう補足する。「世界には通信キャリアが500社以上存在する。それら一つ一つと交渉するというだけで,ものすごい人的パワーが必要になる」。なるほど,仮に50人の担当者が,それぞれたった1人で孤軍奮闘して各キャリアと半年で話をまとめたとしても,5年かかる計算になる。人件費だけで相当のものだ。「しかし困難であるだけに,実現すればそのアドバンテージは大きい」。

 「日本では,マーケットが完成している。アメリカでも完成しつつある。しかし,それ以外の地域では,まだマーケットが成立していなかったり,そもそも存在しなかったりする。ここにグリーが入っていけたなら,それは本当に凄いことだ」と田中氏は続けた。スマートフォンや高機能携帯電話が本当に世界に広がるのかという疑問はあるかもしれないが,産業革命以降の歴史を見るに,後発組が技術を取り入れるときは,その段階で世界最先端クラスのものを導入する傾向にある。スマートフォンが世界を席巻するのは,歴史的に考えると必然に近いといえるだろう。

 「世界には,ゲームを遊びたい人が死ぬほどいる」と田中氏は熱弁する。「だからゲーム人口も,将来的に数十億のオーダーに拡大するだろう」。なるほど,コンシューマゲームの世界では暗い話題が多いが,全世界的に見ればゲーマーの人口そのものは増大傾向にある。「スマートフォンが全世界に普及し終えるまで,この拡大は続くことになる」と,田中氏は語った。

 「また,ゲームもさることながら,インターネットの利用者が増大する,という点にも注目が必要だ。家電からPCまで,すべてが統合された機械としてのスマートフォンは,強烈な量産効果を生む可能性があるし,実際にもう50ドル,100ドルのスマートフォンが発売されている」「全員がPCを手に入れた世界と,その世界を切り開いていくSNS。これは人類の進化に立ち会うようなものだ」――田中氏の語るビジョンは「壮大」という一言に尽きるだろう。


リッチ化するゲームと,これからのトレンド


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 グリーは,Unityとの提携を発表している。Unityの製品である「Unityエンジン」はゲームを開発するための統合ソフトで,3D表現なども簡単に作ることができるという。こういった変化を踏まえ,これから2〜3年のスマートフォンゲームはどのように変わっていくのだろうか。

 田中氏は「スマートフォンゲームのHD化,3D化は起きるだろう」と留保しつつも,「けれど,今ソーシャルゲームが支持されているのは,グラフィックスが良いからではない」と語った。
 1980年代中盤,「インターネットは流行しない」とする世論があった。静止画にしても動画にしてもクオリティが低く,テレビには勝てないだろう,と。しかし現実には,動画配信サイトの画質は大きく改善されつつあるとはいえ,いまだにそれほど美麗ではないのに,インターネットサービスは大きく普及している。
 これについて田中氏は,「インターネットは,いまなおテキストが読まれている世界だ」と分析する。ただし通信速度の向上により,「インターネットは見るものから,操作するものに変化した。クリック数は10倍以上に増加している」と語った。昔はWebページのデータマイニングを行うにあたってユーザーの視線を追跡するという手法が存在したが,今ではクリックでその動向を確認できるという。これによって,ユーザー動態のデータは急激に採取しやすくなった。
 「グローバル展開していくにあたって,世界中のユーザーのデータを見ながら,そのデータを根拠に表現をチューニングしていくことになる」という田中氏の言葉は,「グローバル展開」というとかく曖昧になりがちな夢に対し,非常に現実的な解答といえる。

 グロウエン氏もまた,「ゲームのクオリティは上がってきており,ハイエンド化への対応は必要だ」と認める。しかしその一方で,「ゲームはもともと,人と人が遊ぶソーシャルなものだった。ゲームの原点は,ソーシャルなものだ」と指摘する。
 実際,氏の姉妹にコンピューターゲームはまったくプレイしないという人がいたが,ソーシャルゲームは「本当の友人と遊んでいるみたい」だから,という理由でプレイしているという。このように市場は拡大しているのだ。
 「今後も,ゲームの内容を深めるとともに,人と人の関わりをより重視した作品を作っていきたい」。グロウエン氏はそう語った。

 手塚氏は,「操作性が重視されていくことになる」と予測する。フィーチャーフォン時代のソーシャルゲームは,キーパッドの「5」をひたすら押していれば進行する,いわゆる「5ボタンゲーム」が多いが,「これは決して操作性を重視したからではなく,これくらいしかできなかったから」と氏は語る。「アプリケーションとしてのゲームの良さと,誰でも遊べることが,両立されなくてはならない」。

 またデータ重視という点についても全面的に同意しつつ,「データは,見る角度によって,見えるものが変わってくる」ことに注意が必要だと述べた。「データをどう見るのか,どういう指標であるとして理解するのか,そこにクリエイティビティがかかっている。同じデータに基づいたから,同じゲームができるわけではない」。
 「データは重要だが,データに振り回されてはいけない」という氏の言葉は,インカムやゲーマーの動態を見ながらゲームをチューニングしていくアーケードゲームの開発にも携わってきた氏ならではの重みがある。

 庄司氏は,ここまでの意見に同意しつつ,「表現がリッチになって,UIが変化しても,『無料』『簡単』『分かりやすい』の3つの柱は変わらない」と指摘する。
 また,「コンシューマゲーム開発では,データがとれなかった。ソーシャルゲームは残るデータが莫大なため,放った石がどんな波紋を起こしたかが分かる」「結果として,より顧客にフィットした作品が作れる」と述べた。「データはすべてではない。ただし,正直だ」。庄司氏はそう語る。


「一緒に世界を変えませんか?」


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 田中氏は,「世界中の人を相手にゲームを作り,世界中の人の人生に関わっていけるようになった。これは新しいことだ」と述べ,「世界の人の人生に関わっていくようなことを『やりたい』と思うし,ビジネスマンとは『やりたい』を実現できる収益モデルとして構築していく仕事だと思っている」と語った。

 一方,グローバル展開には資本が必要だ。グローバルに展開するということは,すなわち,AppleやMicrosoftと戦うということでもある。確固たる収益ベースなしには絵空事に過ぎない。「グリーには,それができる力がある」と田中氏は言う。
 「自分達の作ったゲームが,どれだけの人の人生を変えるのか? 5万人,10万人という規模で終わるのか,それとも何億という人を変えるのか」。田中氏の視線は高い。

 「一緒に世界を変えませんか?」――その田中氏の言葉で,パネルディスカッションは結ばれた。


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