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印刷2014/07/05 12:00

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【PR】ガチのFPSプレイヤーがチェック。Kaveri「A10-7850K」搭載のゲームPCで,BF4のマルチは快適にプレイできるのか?

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 この夏,ゲームPCを手に入れて,オンラインのマルチプレイデビューしたい。そう考えている読者も少なくないと思うが,ゲームPCを1台手に入れるというのは,コスト的になかなか大変だ。なんといっても,一定レベルの3D性能を持ったグラフィックスカードを搭載しようとすると,それだけでウン万円なのだから,臆してしまう人がいるのも無理はない。

 それに対してAMDは,最新世代のアーキテクチャ「Graphics Core Next」(以下,GCN)世代に基づくGPUコアを統合したAPU,開発コードネームでいうところの「Kaveri」(カヴェリ)を市場に投入することで,「グラフィックスカードを買わなくても3Dゲームをプレイできる」環境を実現しようとしている。つまり,AMDの言い分どおりであれば,グラフィックスカード分のコストを抑え,さらに,グラフィックスカード分のスペースも抑えた,安価で小さな,据え置き型ゲーム機のようなゲームPCを作ることも不可能ではないわけだ。

 では,本当にKaveriなら,そんな夢のようなPCは作れるのか。そして,オンラインのマルチプレイはちゃんと動いてくれるのか。今回は,実際にKaveriベースの小型PCを1台自作し,それを使ってFPSのマルチプレイへ本気で取り組んでみたので,その結果をお伝えしたい。


Kaveri世代の最上位モデルたるA10-7850Kを軸に

「超小型ゲームPC」を作ってみた


A10-7850K with Radeon R7 Graphics。対応マザーボードのAPUソケットに差して使う
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 さっそく,今回用意したPCの構成を紹介しておこう。今回用意したAPUは,2014年6月下旬時点におけるKaveri世代の最上位モデルとなる「A10-7850K with Radeon R7 Graphics」(以下,A10-7850K)。
 筆者はコンピュータ技術の専門家ではないため,難しい話は抜きにしつつ語ってみると,A10-7850KというAPUは,4基のCPUコアと8基のGPUコア,そしてデュアルチャネルDDR3-2400メモリコントローラを1つにまとめたプロセッサだ。動作クロックはCPUコアが定格3.7GHz,最大4.0GHzで,GPUコアが720MHzとなる。
 数字だけ聞いてもピンとこないかもしれないが,担当編集に確認したところ,期待できる3D性能は「2014年初夏時点におけるローエンドGPU以上」とのことだったので,数千円〜1万円程度で買える単体グラフィックスカードとだいたい同じくらいの性能が得られるという理解でいいのではなかろうか。

 そんなA10-7850Kと組み合わせたパーツと,その実勢価格は下に示したとおりだ。今回は,安価で小さく,それでいて性能面に妥協しないPCを……ということで,「Mini-ITX」と呼ばれる規格に準拠したものをチョイスした。

●今回用意したパーツと実勢価格
  • APU:A10-7850K(1万9500〜2万3000円程度)
  • マザーボード:GIGA-BYTE TECHNOLOGY GA-F2A88XN-WIFI[Rev.3.0](1万〜1万1000円前後)
  • メインメモリ:Radeon R9 Gamer Series-8GB(2x4GB)DDR3 2133 MHz CL10 Memory Kit(R938G2130U1K,1万2000円前後)
  • SSD:Samsung Electronics SSD 840 PRO(容量256GB,2万〜2万3000円程度)
  • PCケース:SilverStone Technology SUGO SST-SG05B USB3.0(1万1500〜1万2000円程度)
  • APU用クーラー:サイズ Shuriken(手裏剣)リビジョンB SCSK-1100(2500〜3500円程度)
  • OS:64bit版Windows 7 Professional+SP1 DSP版(1万5500〜1万6500円程度)
※実勢価格は2014年7月5日現在

 マザーボードは,「AMD A88X」チップセット搭載モデル。メモリモジュールは,AMD公式製品である「Radeon Memory」ブランドのDDR3-2133(PC3-17000)対応モデルを選択した。ストレージも妥協せず,高速なSSDを選んでいるが,税込価格は(実勢価格の中央値を取って計算すると)8万4250円だ。OSを使い回せるなら,さらに安価となるだろう。また,SSDをHDDに変更すれば,初期コストはもう一段下げられるはずだ。

Dual-Link DVI-D×1,HDMI(Type A)×2のビデオ出力を持ち,IEEE 802.11ac対応の無線LANも利用できる,GIGA-BYTE TECHNOLOGY製Mini-ITXマザーボードGA-F2A88XN-WIFI[Rev.3.0]を今回は用意した。メモリモジュールはコストパフォーマンスに優れるRadeon Memoryをチョイス
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SUGO SST-SG05B USB3.0
圧倒的にコンパクトで2スロット仕様のグラフィックスカードに対応するMini-ITXケース
メーカー:SilverStone Technology
問い合わせ先:マスタードシード(販売代理店) サポートページ
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 今回キモとなるのはMini-ITX対応のPCケースとなるSUGO SST-SG05B USB3.0(以下,SST-SG05B)で,サイズは222(W)×276(D)×176(H)mmしかなく,やろうと思えば片手で持つことすらできるという,コンパクトさが最大の魅力である。しかも,定格容量300Wで高い電源変換効率の電源ユニットを搭載するため,2スロットの仕様で6ピン補助電源×1仕様のグラフィックスカードを後から足すこともできる。
 対応する光学ドライブはスリムタイプのみだが,最近のPCゲーム,とくにオンライン対応タイトルはダウンロード対応のものがほとんどなので,ここは大きな問題にはならないだろう。

 実際,今回は光学ドライブは用意せず,DSP版Windows 7は,別のマシンから“インストールUSBフラッシュメモリ”を作成してインストールすることにしている。あるいは,USB接続の光学ドライブを使うという手もあると思う。

その大きさから,SST-SG05Bには「APU/CPUクーラーの高さは82mmまで」という制限がある。そこで,そのサイズに難なく収まり,かつ,静音動作を期待できる製品として,今回はShuriken(手裏剣)リビジョンB SCSK-1100を選択した次第だ。マザーボードには,APU→メモリモジュール→クーラーという順で取り付けると作業しやすい
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SST-SG05Bは,グラフィックスカード用の6ピン補助電源コネクタを持つ,定格300W仕様の電源ユニットを搭載。その電源ユニットと固定具兼補強板,スリム光学ドライブ&2.5インチドライブマウンタ,そして3.5インチドライブマウンタは,ネジを外すだけですべて取り出せる。この状態からマザーボードを簡単に固定できるのだ。このとき,電源ユニットも含め,配線を全部済ませておくのがお勧め
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配線が終わったら電源ユニットを筐体内に移動して固定。この時点で,フリーになっている電源ケーブルを反対側へ移動させる。そして,ストレージをマウンタに固定して,マウンタごと筐体に取り付け,最後にストレージのケーブルを配線すれば組み立て完了だ。電源ケーブルの取り回しがちょっと面倒だが,なるべく小さなAPUクーラーを用意すれば,筐体内のスペースは十分確保できる
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A10-7850Kベースの小型PCでMantle版BF4をプレイ

APUならFPSのマルチはここまで遊べる!


 ここからは,組み上がったPCを使い,ゲームのオンラインマルチを実際にプレイしてみよう。今回は,2013年リリースのタイトルながら,依然として国内でもプレイヤー数が多く,また,グラフィックス品質が高めであるPC版「バトルフィールド4」(以下,BF4)をピックアップした。

BF4は,「オプション」―「ビデオ」―「グラフィックスAPI」から,Mantle APIを選択できる
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 4Gamer読者には釈迦に説法だろうが,BF4は,Windowsにおける標準的なグラフィックスAPIであるDirectX 11版とは別に,AMD独自のグラフィックスAPI「Mantle」にも対応している。AMDによれば,BF4の「オプション」以下「ビデオ」に用意された「グラフィックスAPI」を「Direct3D 11」から「MANTLE」へ変更することで,数十%もの性能向上が得られるという。

※Application Programming Interface(アプリケーションプログラミングインタフェース)の略で,ソフトウェアから呼び出して使える機能やデータをまとめてルール化したもの。あるAPIに対応したソフトウェアは,当該APIの機能やデータを簡単に呼び出して利用できる。

テストプレイ中の筆者
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 ただ,数字は所詮数字。体感できなければ意味がない。というわけで実際にDirectX 11(≒Direct3D 11)とMantle版でそれぞれマルチプレイを行ってみたが,すぐ気づいたのは,動作の滑らかさの違いだ。爆発物の投げ合いが多発する「オペレーションロッカー」というマップで特に顕著だったのだが,大量に描画される爆発エフェクトと破壊された瓦礫によって,DirectX 11版では,フレームレートがガクっと下がるのである。
 日頃からFPSのマルチプレイを遊んでいる人なら経験があると思うが,フレームレートがガクっと下がると,乱戦中に動きがカクついたり,最悪の場合はゲームの進行が一瞬止まったような状態になったりする。そうなると当然,敵の視認やマウスのエイミングが遅れ,比例してプレイ時のストレスも増してしまう。

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 それに対し,グラフィックスAPIをMantleへ切り替えると,カクつく頻度が格段に低くなる。これはひとえに平均フレームレートが上がったためだが,圧倒的に戦いやすくなるのだ。
 公正を期しておくと,Mantle版を選んでおけば完璧,というわけではない。マップや戦闘状況にもよるが,ごくごくまれに,フレームレートが15fps以下にまで落ち込むことがあったからである。DirectX 11版だとそういう事態は生じないので,おそらくまだ登場から間もないことによる,Mantle版の最適化不足が,こうした結果を生んでいるのだろう。ただ,その問題を踏まえたとしても,DirectX 11版よりMantle版のほうが確実に安定して,かつ快適にプレイできる。これは断言できるレベルだ。

 では,そんなMantle版を,A10-7850Kベースとなる今回のPCで快適にプレイするにはどうしたらいいだろうか?
 最初に断っておくと,「1920×1080ドット解像度で,グラフィックス設定をとにかく高く」としてしまうと,目標は達成できない。そこまで狙うなら単体グラフィックスカードの追加購入が必要だ。
 ただし,解像度を1280×720ドットに下げ,グラフィックス設定も適切に調整すると,PlayStation 3(以下,PS3)版以上の快適さが得られるようになる。

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 今回は,PS3版の30fpsをターゲットとしてグラフィックス設定を調整し,Mantle版でフレームレートを表示するように設定。そのうえで実際にチームデスマッチを行い,その模様を外部キャプチャデバイスで録画してみた。それを,代表的なシーンを中心にカット編集したものが下のムービーだ。見てもらえば一目瞭然で,十分にプレイアブルなフレームレートが出ており,体感速度も申し分ないことが分かるだろう。


 ムービーの冒頭に「ビデオ」メニューをどう設定したか示してあるが,ポイントは「フルスクリーンモード」を「フルスクリーン」にし,かつ,「垂直同期」を「オフ」にしてあるところだ。
 垂直同期というのは,1秒間に60回――厳密に言えば59.97回――という,一般的なテレビやPC用ディスプレイが持つ画面書き換えサイクルに合わせるかどうかの設定項目なのだが,誤解を恐れず単純化して説明すると,この設定を無効化すると,操作に対する画面の反応が最も高速になる。
 ムービーでも確認できるように,速度性能を優先するため,前のフレーム(≒映像)が描き終わっていないのに次のフレームを描き始めるため,画面がズレてしまう現象「テアリング」(tearing)はどうしても発生してしまう。ただ,それは覚悟のうえで,一瞬の判断が必要なマルチプレイでは垂直同期を無効化すべきというのが筆者の持論である。

今回のグラフィックス設定で撮影したスクリーンショット
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 もう1つ,これは筆者個人の好みなのだが,ぶわーっとした描画は見にくいと思うことから,「モーションブラー量」は「0%」(=事実上の無効化)としている。また,同じ理由から「武器被写界深度」も「オフ」だ。ただ,繰り返すがここは好みによる部分なので,読者それぞれが好みの設定を探ってもらえればと思う。

 次に,フレームレートを大きく左右する右側の設定項目だが,ここではプリセットである「グラフィックのクオリティー」をひとまず「低」にしてフレームレートを確保のうえ,一部の設定項目を「中」に引き上げる,という格好にしてある。
 正直に言うと,「ライティングのクオリティー」と「エフェクトのクオリティー」「ポストプロセスのクオリティー」は,「低」でもまったく問題ない。「中」にしたのは,戦場のドンパチ感を出すためだ。このあたりならフレームレートへの影響もそれほどないので,少しでも見た目をよくしたいならアリだろう。

 「地形のクオリティー」は,「中」にしたい。……したいのだが,「ゴルムド レールウェイ」や「ザヴォート スリーイレブン」といった特定のマップでは,「中」にすると,30fpsを維持できないことがあった。ひとまず「中」にしておいて,これは無理だと判断した場合には「低」にすることも検討すべき項目といえる。

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 さまざまなFPSをプレイしてきた人だと,「テクスチャ周りは少しでも品質を上げたほうが,敵味方を識別しやすくなるんじゃないの?」と思うかもしれない。ただ,BF4の場合は基本的に,味方の頭上には青色の三角形が表示されるようになっているため,敵味方はそこで判断できるのだ。なので,画面の視認性を向上させるテクスチャの品質にはこだわらない,というわけである。
 最後まで悩んだのは「メッシュのクオリティー」で,これは,遠方の敵の見え方を左右するため,できる限り高い設定にしたい。ただ,フレームレートへのインパクトも小さくないので,今回は「低」にした。「とにかく勝ちたい!」という人は,「中」以上の設定も検討するといいだろう。

ここまで掲載してきた写真で気づいた人もいると思うが,今回,テストプレイの模様を撮影するにあたっては,「日本初のe-Sports専用施設」である秋葉原e-sports SQUAREの協力を得た。日々,さまざまなイベントが開催されているので,興味のある人は一度訪れてみてはどうだろうか
e-sports SQUARE公式Webサイト
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A10-7850Kベースの小型PCは文句なしの使い勝手

後日グラフィックスカードを追加するという選択肢も


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 あらためてムービーに戻ってもらえればと思うが,今回の設定で,フレームレートは基本的に30fps以上を維持でき,おおむね40〜50fps程度になっていた。つまり,PS3版より快適なフレームレートでプレイできているわけだ。

 多くの4Gamer読者もそうだと思うが,筆者はこれまで,BF4をプレイするのであれば,ミドルタワーPCケースに,ハイエンドな構成のパーツを組み込むか,それ相当のゲームPCを買う必要があると考えていた。だが,必ずしもそうではないということを,A10-7850Kベースの超小型PCは教えてくれている。これは個人的にも大きなニュースだ。
 もちろん,ハイエンドなPCと比べれば画質面など及ばない部分はあるものの,この小ささでこの性能なら,正直,文句はない。

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 筆者はLANパーティイベントの運営にも関わっていたりするのだが,だからといって,自宅のミドルタワーPCを会場まで持って行くというのは,重量的,そしてサイズ的に厳しい。それに対し,今回のA10-7850K搭載PCなら,PCケースを購入したときの段ボールにしまい,小型のキャスターに縛り付けるだけで,簡単に持ち運べてしまう。
 あるいは,後日,予算に余裕ができたら,「Radeon R7 260X」搭載モデルなど,1〜2万円クラスのグラフィックスカードを追加購入すれば鬼に金棒だろう。うん,アリだ。

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