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ゲームから歌声をリアルタイムに変化させる「VOCALOID for Unity」改め「Unity with VOCALOID」のリリース日は12月21日に決定。「VOCALOID for Unity プロジェクトアップデート」聴講レポート
VOCALOID(ボーカロイド)とは,「初音ミク」などで知られる歌声合成ソフトのことで,プレイヤーが楽譜や歌詞を入力すると,「合成エンジン」が「歌声ライブラリ」に登録された“声の部品”をつなぎ合わせて歌声を作るシステムだ。
これまではUnityのゲーム上でVOCALOIDの歌声を使おうと思ったら,あらかじめVOCALOIDエディタで作った歌声をゲームに取り込むというやり方が一般的だった。しかし,Unity with VOCALOIDを使えば,Unityから合成エンジン側にパラメータを送ることにより,ゲームの状況に合わせてVOCALOIDの声を変化させるようなことが簡単に実現できる。
バーチャルライブの際に周囲の環境情報をセンシングし,これをパラメータとしてVOCALOIDに送ることにより,“会場の状況に応じて歌声が変化するVOCALOID”も実現できるのではないかと石川氏は考えているのだという。人間の歌手なら体調や会場の雰囲気で歌が変化していくが,Unity with VOCALOIDによってこうした要素を再現できればVOCALOIDの表現力も上がり,より人間らしくなるというわけだ。
また,Unity with VOCALOIDの可能性は,コミュニケーションツールやUIの一環として歌を活用したり,HCI(人間とコンピュータの相互作用),AI(人工知能),VR(仮想現実)といったアカデミックな領域にも広がっていくという。
ただ,こうした方面に関してはヤマハにも知見の蓄積があまりないそうで,石川氏は「音楽情報処理とコミュニケーションプロトコルをいかに組み合わせていくか,皆さんと一緒に作っていきたいです」と希望を語った。
Unity with VOCALOID プロジェクトで生み出された,Unity上からVOCALOIDを制御するのに使うSDKが「VOCALOID SDK for Unity」だ。
8月の時点ではWindows,Mac OS X,iOS版が予告されていたが,現在先行評価中のAndroidを加えて4プラットフォームへの対応となる。
また,8月に対応を検討されていた「歌唱パート,トラック情報の追加・編集」「ノートの追加」「ノートナンバー以外のノート情報の編集」「歌詞入力・編集と発音記号変換」といった機能に関してはVer1.0での正式対応が決定,APIが公開されるという。
Unity with VOCALOIDでは,ヤマハとユニティ・テクノロジーズ・ジャパンと合同で歌声ライブラリとアプリを開発することも行われている。「PROJECT:AKAZA」がそれで,ユニティちゃんというキャラクターの世界観や,歌心といった部分まで盛り込むことを目標として歌声ライブラリの制作が進められたのだという。
こうして作られたユニティちゃんの歌声ライブラリ,Unityランタイム向けが12月21日に発表されるVOCALOID SDK for Unityに同梱される予定。SDK,歌声ライブラリ共に,ユニティちゃんライセンスおよびガイドラインの下で無償利用も可能となる(前年度売り上げが1000万円以下の場合)。アプリやゲーム内で歌声をゼロから作る場合であればこのUnity向け歌声ライブラリがあればよい。
PC用は12月29日〜12月31日に開かれる「コミックマーケット89」にてスペシャルパッケージ版が先行発売される。また,2016年1月中旬にはヤマハ・ボカロネットのVOCALOID SHOPにおいてダウンロード版が販売される予定だ。
iOS用は2016年1月下旬に「Mobile VOCALOID Editor」のアプリ内ストアでダウンロード販売が行われる。これらのPC用・iOS用の歌声ライブラリは,「VOCALOID4 Editor」「VOCALOID4 Editor for Cubase」「Mobile VOCALOID Editor」といったツールに組み込んだ上で楽曲と歌唱シーケンスを制作するのに用いられる。
なお,ユニティちゃんの歌声ライブラリについては,前年度売り上げが1000万円以下の場合には,初期費用とエンジン使用料などが無料になるが(1000万円以上の場合は要相談),それ以外の歌声ライブラリを使った作品の公開については,VOCALOIDエンジン使用料などが必要になる。ヤマハ自身による歌声ライブラリの使用については,売り上げに応じたロイヤリティ制となっている。初音ミクなど,他社製の歌声ライブラリについては各社と相談が必要とのこと。
最後に石川氏は「これから特設サイトにて情報を公開していきますので,VOCALOID SDK for Unityのリリースまでお待ちください」と語って講演を締めくくった。
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