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日本人初のF1フル参戦ドライバー中嶋 悟さんの合同インタビューが行われた「F1 2013」メディア体験会をレポート。新モードのインプレッションも掲載
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印刷2013/10/03 00:00

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日本人初のF1フル参戦ドライバー中嶋 悟さんの合同インタビューが行われた「F1 2013」メディア体験会をレポート。新モードのインプレッションも掲載

 2013年9月25日,コードマスターズは10月10日に発売予定のレーシングゲーム「F1 2013」PS3/Xbox 360)のメディア体験会を都内で開催した。会場にはドライビングシートとコントローラでプレイできる試遊台が用意され,日本人初のF1フル参戦ドライバーとして知られる中嶋 悟さんの合同インタビューも行われた。

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特定のシチュエーションで激しく競う

新モード「シナリオ」に挑戦


画像集#020のサムネイル/日本人初のF1フル参戦ドライバー中嶋 悟さんの合同インタビューが行われた「F1 2013」メディア体験会をレポート。新モードのインプレッションも掲載
 まずは,今回の体験会で初めてプレイすることができた「シナリオ」モードのインプレッションをお届けしよう。
 本作の新要素であるシナリオは,世界中のサーキットを転戦して年間王者を目指す「グランプリ」とは異なり,特定のシチュエーションで条件をクリアするというもの。プレイヤーはF1の世界に入ったばかりのルーキーとしてレースに挑み,次々にチャレンジをアンロックしていく。難易度はブロンズ,シルバー,ゴールドの3段階から選べるようになっている。

 さて,個人的な話で恐縮だが,筆者はレースゲームがあまり得意ではない。いわゆる“へたの横好き”レベルであり,当然のように一番易しいブロンズを選択することにした。最初のチャレンジのクリア条件は「チームメイトより先行してゴールせよ」というもの。「優勝しろ」ならともかく,同じ性能のマシンに乗っているチームメイトに勝てばいいだけなら,なんとかなりそうだ……とタカをくくっていたが大間違い。
 F1はたった1つのミスでも,大きく順位を下げることになるシビアな世界。それはブロンズでも再現されており,ちょっとブレーキングのタイミングを誤ったり,周囲のライバルに接触したりしているうちに,それはもう見苦しいレース展開になってしまった。

 ただ,ほかの来場者を見渡してみるとおおむね似たような状況だったので,やはり練習を重ねてコースレイアウトを頭に叩き込む必要があるのだろう。会場で見ていた限り,筆者より明らかにうまいドライバーは,なぜかコクピット視点で共通していたが,このあたりに上達の秘訣があるだろうか……。
 ちなみに,1回のチャレンジが比較的短い時間で楽しめるので,グランプリよりも気軽にプレイできるのが嬉しい。

画像集#018のサムネイル/日本人初のF1フル参戦ドライバー中嶋 悟さんの合同インタビューが行われた「F1 2013」メディア体験会をレポート。新モードのインプレッションも掲載

 本作のゲームモードについてはすでに何回かお伝えしているが,最大の注目は往年のマシンやドライバー達が登場する「F1 CLASSICS」だ。このモードでも,シナリオをプレイすることが可能だ。

 今回,確認できたチャレンジは3つで,「1988年式フェラーリに搭乗し,ゲルハルト・ベルガーの後方グリッドからスタート。3位以内でフィニッシュせよ」など,F1ファンなら思わず胸が熱くなること必至のシチュエーションだ。
 さらに,レース直前までのカットシーンの演出がセピア調になっており,これがなかなかいい雰囲気。当時のコースやコクピットの再現はもちろん,コクピット周りも2013年のものとは異なる。随所に施された演出やグラフィックスのこだわりに思わずニヤニヤしてしまった。

 F1 CLASSICSのマシンは昔ながらの“暴れん坊”というか,最新仕様のマシンと比べると相当な曲者で,ブロンズでも相当集中していないとまっすぐ走ることさえ難しい有様だ。本作のドライブアシスト機能はかなり優秀なのだが,それらに頼りきりでも自在に操縦するのはなかなかの歯ごたえを感じた。



 会場には,本作のF1 CLASSICSに登場する元レーシングドライバー,現在はナカジマレーシング総監督を務める中嶋 悟さんがスペシャルゲストとして招かれた。大勢のメディア合同で行われたインタビューの模様をお伝えする。

画像集#003のサムネイル/日本人初のF1フル参戦ドライバー中嶋 悟さんの合同インタビューが行われた「F1 2013」メディア体験会をレポート。新モードのインプレッションも掲載
中嶋 悟さん
――現在,中嶋さんが総監督を務めているナカジマレーシングの活動についてお聞かせください。

中嶋さん:
 '91年に引退してから自分のチームを作りまして,オーナー兼監督として20数年活動を続けております。近いところでは,今週末に菅生でスーパーフォーミュラのレース(※9月29日に決勝レースが行われ,ナカジマレーシング所属の中嶋大祐選手が7位,小暮卓史選手が8位に入賞),その翌週がオートポリスでSUPER GTのレースを戦います。その後,F1日本グランプリがやってくるわけですが,そこでは僕が乗ったF1マシン3台に,僕と息子の一貴,大祐の3人が乗り込み,デモランを行うことになっています。

――ぜひ中嶋ファミリーの姿を拝見したいと思います。

中嶋さん:
 雨が降ると走れないマシンもありますので,いい天気になることを期待しています。

――F1 2013のグラフィックスをご覧になった感想を教えてください。

中嶋さん:
 非常にリアルにできているなと思いました。僕のヘルメット横のロゴだとか,なかなかこまごまと気を遣っているのを感じましたね。

――ゲームで'80年代のマシンを操縦しましたが,現在のマシンよりもコクピットの視野が狭い印象を受けました。

中嶋さん:
 現在のマシンに乗ってないものですから,よく分からないというのが率直なところです(笑)。しかし,F1のマシンは安全規定や作り方が年々進歩して,スペースも広くなっています。見かけは一緒でも,材質が違っているので意外に広いだろうなと。僕の現役当時は,手袋の拳が破れるくらい狭いスペースに収まっていました。

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――当時のほうが,操作は難しかったのでしょうか。

中嶋さん:
 おそらく操作性は格段に良くなっているでしょうね。まして,我々の頃は手動式ギアだったものですから。
 今の車両はセミオートマチックになっていたり,パワーステアリングがついていたり,ハンドルが軽くなっていたり……といっても乗用車並ではないと思いますが。ストレートでギアアップしていくぶんには,さほど問題ないのですが,たとえば鈴鹿サーキットにダンロップコーナーというのがあります。そこは時速200〜230キロでカーブを曲がるので,その横Gがかかっている中で片手でハンドルを支えながら,もう片方の手でギアアップするのがすごく重くて,つらかった。そんな記憶があります。

――現役当時と現在のF1について,最も魅力的な部分をそれぞれ教えてください。

中嶋さん:
 当時の魅力といいますか,自分にとっての魅力は,やはりドライバーとして世界で一番速いレーシングカーに乗れる。なおかつ,競争できる。これに尽きますよね。
 マシンはどんどん進化していますが,ドライバーの心理としてはそのときのレギュレーションの中で競争するわけですから,たぶん気持ちは一緒ですよ。25年前の僕に今のマシンを与えてくれたら,たぶん全部勝ってると思います(笑)。

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――現役のF1ドライバー達と対戦するなら,誰と戦いたいですか。また,現役当時を振り返って,もう一度対戦したいドライバーは誰でしょうか。

中嶋さん:
 現役だったら(セバスチャン・)ベッテルを'80年代のマシンに乗せて,今のマシンに僕が乗って対戦したら,いい勝負ができるんじゃないかなと。ただし,2〜3周の話ですよ。それ以上になると,身体がついてこないと思います。
 当時を振り返ると,(アイルトン・)セナとはやってもいいかなという気がしますね。今,彼が生きていれば50歳くらいだから,僕が当時の年齢に戻ればちょうどいいかな。

――それでは今シーズンのマシンで乗ってみたいものはありますか。

中嶋さん:
 やはりレッドブルでしょうか。乗りやすいのかどうかは分かりませんけど,やはり一番速いマシンに乗ってみたいなという気持ちはあります。

――中嶋さんは悪路に強く「雨のナカジマ」と呼ばれていましたが,雨道で注意すべき点を教えてください。

中嶋さん:
 それは一般道のことですよね。だったら,まずはぶつからないことです。

――(一同笑)

中嶋さん:
 通常の運転中は感じにくいのですが,急にパッと止まらなければいけないとき,ドライのときよりも数メートルは向こうに進んでしまうことを認識したほうがいいでしょうね。あとは,ウィンドウやミラー,後ろのガラスに雨がついているわけですから。視界が晴れよりも相当狭められる。とくに夜は大変なので,そういった点に注意する必要があると思います。安全運転のことなら任せてください。今日もやってきました!

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――来月開催される日本グランプリの舞台,鈴鹿サーキットを速く走るコツを教えてください。

中嶋さん:
 どのサーキットも同じですが,マシンの限界点の手前をいかに持続して走るかということですね。その先には“タイヤが地面から離れる瞬間”があるわけですが,明らかにその手前で走っていいなら,今の僕でも乗れると思います。ただ,それでは競争になりませんから。
 我々,レースドライバーというのは,あのS字コーナーを160キロなら曲がれる。だったら,161キロだと地面からタイヤが離れだすのか。160.5キロならいけるのか。この“綱渡り”をずっとやっています
 雪道だと,ちょっとしたアクセルで横滑りしますよね。ああいう感じの“するか”“しないか”みたいなところを四六時中走っているのが,レーシングドライバーであり,レーシングカーなんです。

――2015年,F1に復帰するホンダに期待するものはなんですか。

中嶋さん:
 期待はやはりいい成績ということになりますが,今度は景気が悪くてもやめないでほしいね(笑)。

――最後にF1ファンにメッセージをお願いします。

中嶋さん:
 どんな時代,どんなレギュレーションでも,人間が車を使って競争するということの本質は変わりません。やはり「ヨーイ,ドン!」でワーッといく,あれが一番好きなものですから。鈴鹿の開催はあと5年くらいはやれますので,ぜひ生で観ていただけると楽しいだろうと思います。で,家に帰ってからはゲームでドライバーになりきって……僕を先頭で走らせてください(笑)。

――本日はありがとうございました。

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 合同インタビューの直前,コードマスターズ初となるF1 2013のテレビCMが上映された。このCMは,F1日本グランプリを皮切りに,BSフジ「F1グランプリ2013」番組内で放映される予定だ。気になる人は,ぜひチェックしてほしい。

●第15戦・日本グランプリ
【予選】10月12日(土) 19:00〜20:00
【決勝】10月13日(日) 21:00〜22:50

●第16戦・インド・グランプリ
【予選】10月26日(土) 24:00〜25:00
【決勝】10月27日(日) 23:30〜25:10

※放送時間は,変更になる可能性があります。

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