インタビュー
アプリ版「セガNET麻雀 MJ」9周年インタビュー。立ち上げ時期から舞い戻った吉田一馬氏が語る,2023年に向けた新たな挑戦
そこで4Gamerでは,7月に新たなプロデューサーとして就任したばかりの吉田一馬氏にインタビューを行った。
といっても,吉田氏は“MJとは立ち上げ時期からの縁”があるとのことで,今回は9周年合わせのVer.7.0アップデートの話のみならず,MJモバイルを取り巻くさまざまなエピソードを聞くことができた。
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遊技機とのコラボを毎月開催!
4Gamer:
MJモバイルの9周年,おめでとうございます。
吉田さんは今月からプロデューサーに就任されたとのことですね。
吉田一馬氏(以下,吉田氏):
私は今,セガのモバイル研究開発部の部長として,複数のスマホゲームの監修を担当しています。なかでもMJモバイルとは企画の立ち上げ時期から関わりがありまして,この8年間では触れる機会こそ少ない時期もありましたが,タイトルとの関係は長らく持ってきました。
4Gamer:
だとすると,もとから縁が深いのですね。
吉田氏:
そうです。今月から真っさらで参加したわけでもなく,プロデューサー就任以前もディレクターとして参加していましたし,役職が変わり,タイトル全体の方向性を定める立場にシフトしただけです。
そういった経緯からも,MJモバイルを長年支えてくださっているファンの皆さんには感謝の念が尽きません。来年には10周年の大台に乗るので,今後の企画でさらに還元できればと考えています。
4Gamer:
ディレクターからプロデューサーになって,変化は大きいですか。
吉田氏:
業務自体はそこまで大きく変わっていませんが,MJモバイル自体の話で言うなら,昨年を起点に大きく舵取りを変えましたね。
例えば,2021年10月までコラボイベントの実施頻度は「4か月に1回」ほどでしたが,11月になってから「今後は月1でコラボをやろう」と開発チーム内で定めて,コラボ施策におけるスタッフ数も増員して,事実,毎月のコラボ開催を継続してきています。
4Gamer:
そういえば,遊技機タイトルとのコラボが増えましたね。
吉田氏:
そこはチャレンジの一つでした。過去のコラボ方針は「年一回のアンケートで要望が多いタイトルを取り上げる」といったもので,ファンの属性も相まって,MJモバイルとモチーフを同じくする麻雀マンガ・麻雀アニメなど,同ジャンル内でのコラボが主流でした。
一方,遊技機とのコラボはここ最近になって始めた試みで,それも当初は「ギャンブル題材の作品の遊技機」に打診する方向でした。ただ,そもそもギャンブル題材の作品というのが,麻雀でもパチンコ・パチスロでも総数に限度があって,それほど幅が広がりそうになかったんです。だから視点を変えて“遊技機そのもの”とコラボしようとしまして。
4Gamer:
そうして,あのピエロが現れた。
吉田氏:
北電子さんの「ジャグラー」シリーズですね。MJモバイルにおける遊技機コラボは,あちらが初の試みとなります。
ジャグラー自体,ホールで長年稼働している人気シリーズとあってタイトル数も多いため,初回はシリーズ全体とのコラボになりました。
4Gamer:
遊技機を知る人たちには言わずと知れた定番タイトルとあり,各方面のファンからの反響も大きかったのではありませんか。
吉田氏:
はい,皆さんからは非常に好評でした。以降も「大海物語」や「P牙狼 月虹ノ旅人」とコラボさせていただきましたし,新たな試みとして「新日本プロレスリング」や「吉本興業」とのコラボもやりました。
これらはすべて,9周年に向けたMJモバイルなりの変化です。
4Gamer:
そうしたコラボ先の一新には,なにか理由があったんですか。
吉田氏:
過去の例を見て“好評だったコラボ先と,アンケートで要望されたコラボ先がわりと不一致”だった集計データを発見したからです。
これにより,MJモバイルはただお客さんの要望に沿うだけではなく,我々運営なりの推し方,見せ方も重要なのではと考え直し,昨年から「ファンに喜んでもらいやすそうな同ジャンルコラボ」という固定観念をリセットして,意外さに喜んでもらえる,驚いてもらえるなど,根本的なやり方として異種ジャンルとのコラボを模索しはじめたんです。
4Gamer:
そもそも,遊技機はそれ自体が「なんらかの作品とのコラボ」であることも多い以上,遊技機オリジナルIPはコラボ先として盲点になりがちですよね。ピエロやマリンちゃんといった強力なブランド力があるとはいえ,ゲームと遊技機のコラボでとなると,気付きづらいというか。
その話だけで,試行錯誤の多い1年だったことがうかがえます。
吉田氏:
ゲーム内でのコラボコンテンツの見せ方にせよ,「大海物語」ではキャラクターのリーチボイスを麻雀のリーチに見立てたり,原作の魚群演出を取り入れたりと研究しましたしね。
このあたり,麻雀と遊技機は盛り上がりどころや演出が近しいものがあるので,親和性があって作りやすくはありました。
4Gamer:
たしかに,リーチとリーチですものね。
ついでに,遊技機コラボで最も印象に残ったのはなんでしょう。
吉田氏:
やはり印象に残っているのは「ジャグラー」シリーズとのコラボです。最初は「麻雀に遊技機の特徴をどう取り込むのか?」からして決まっていない手探り状態だったので,当時の試行錯誤は思い出深いです。
そもそも開発チームには遊技機に詳しくないスタッフも多くいて,遊技機コラボという時点で懐疑的な人,心配の声を漏らす人も少なくありませんでしたから。それが今となっては遊技機の魅力をどのように取り入れるかの枠組みも定まり,安定してコラボできるようになっています。
4Gamer:
実際のところ,プレイヤーはたくさんきました?
吉田氏:
過去最大の例と比較しても,いいですね(笑)。
4Gamer:
では,今後も意欲的なコラボは続きそうですね。
吉田氏:
タイトルはまだ口にできませんが,2022年末まで毎月1回,コラボを開催する見込みで,これらコラボ企画に向けては関係者さまに直接訪問して交渉させてもらっています。
そして,今後はコラボ先のジャンルをもっと広げていき,“さらに予想外なコラボ”も予定しています。ぜひご期待ください。
2023年まで持続的に定期アップデート!
4Gamer:
9周年に向けて,UIなどを大幅リニューアルするとのことですが。
今回のVer.7.0アップデートの概要を教えてください。
吉田氏:
まず実施の経緯からお話すると,アップデート内容に関しては最初から決まっていたわけではなく,かねてより書きためていたお客さまからいただいたご意見・ご要望や,我々のやりたいことを適用しようとスタートしました。そこで,過去の8年で「UIを抜本的に変える改修」をしたことがなかったので,チーム全体で「9周年の日にリニューアルしよう!」と目的を掲げました。
しかし,ファンの皆さんにこれまでの感謝を伝えるにあたって,ただUIをリニューアルするだけでは物足りないと気付き,より良い内容をと計画も肥大化したことで,MJモバイルでは今月を皮切りに,2023年まで段階的に大型アップデートをしていくことになったんです。
4Gamer:
つまり,来月以降もリニューアルアップデートがあると?
吉田氏:
その通りです。具体的な日程は言えませんが,今回の7月実施とは別に,今後3回分のアップデートを準備しています。
もちろん,それらと並行してコラボイベントも毎月欠かしませんので,季節ごとの施策はしっかりと楽しんでもらえると思います。
4Gamer:
リニューアルに踏み切る理由は,やはり年月が経ったからですか。
吉田氏:
MJモバイルは8年前にゲームの基礎を構築して,なおかつ基礎もUIも変えずに運営してきましたしね。そこには“MJモバイルは開発時点で完成している”という自負もありますが,ともあれ8年も月日が経つと,世間一般におけるゲーム界隈のUIも変化しており,とくに若年層や新規者に違和感のない見た目というのは年々探るべき課題となっています。
同時に,従来のUIに慣れているファンの方々にとって,新UIが使いにくいという事態は絶対に避けねばなりません。そのためUIのリニューアルを目的としつつも,長年プレイしてくださっている方々を第一に考えたうえで,より使いやすいデザインを模索してきました。
4Gamer:
リニューアルでとくに意識したことはなんでしょう。
吉田氏:
計画時,デザイン案は思いのほか「変化の少ないもの」が多く挙がってきました。それは現状の遊び方をより便利にするものではありましたが,あくまで細部の変化にとどまっていて,いまいち響かなくて。
それにMJモバイルのゲーム画面自体,「ここが空いてるから,新しいこれはとりあえずここに」と詰め込んできたのが実情ですし,仮稿も導線はしっかりしていたものの煩雑さを解消できていなかったんです。
4Gamer:
そこで吉田さんは。
吉田氏:
といった実情を踏まえて,新しい風を取り入れるために,デザイン案は今までのUIを意識せずいろんなパターンをたくさん作ってもらいました。そうして用意したデザイン案のなかから,投票で圧倒的に好評だったものが今回のリニューアル用デザインというわけです。
デザイン案の投票は,私やチームスタッフ,セガの上層部も含めて「これがいいね」とピンときたものが大多数で一致したので,わりとスムーズに決まりました。
4Gamer:
それは期待ですね。実際の使い勝手はどうでしょう。
吉田氏:
これまで以上のシンプルさと見やすさを追求した結果,ぱっと見で遊びたいコンテンツにアクセスできて,画面全体の煩雑さも軽減できて,操作が格段に楽になりました。各画面遷移の所要時間も短くなるように設計していますし,タップ後のラグや反応も細かく調整したので,ファンの皆さんにも満足してもらえるものになっているはずです。
4Gamer:
対局中のUIにも手を加えたんですか。
吉田氏:
いえ,対局画面についてはいっさい手を加えていません。
というのも,対局中のテンポやUIは初期開発の段階で突き詰めていたので,現状は手をつけるつもりがないからです。これは我々の自信の表れと受け取ってもらっても構いません。そのうえで,対局前の導線やテンポ自体は大きく改善したので,快適さは向上しています。
流行の麻雀界隈から新たな層を発見
4Gamer:
ここ数年,スマホの麻雀ゲームは数多くリリースされましたが,そんななかで“MJモバイルの強み”はどこにあると考えていますか。
吉田氏:
まずはマッチングのよさが挙げられます。MJモバイルはゲームを遊んでいる方々が一見少なそうな時間帯でも,短い待機時間で,かつ同じ相手と何度も当たることなくマッチングできる作りです。
そこは常日頃からアピールしているポイントですね。
4Gamer:
逆に,他社の麻雀ゲームで注目している部分はなんでしょう。
吉田氏:
やはり年齢層です。MJモバイルは10代〜20代のプレイヤーさんが少ないのと,そもそも論として“若年層は麻雀ゲームを遊ばない”くらいに考えてきました。ところが,昨今流行している麻雀ゲームは10代や20代のプレイヤーさんが多く散見され,衝撃を受けたんです。
同様に,雀荘をはじめとするリアル麻雀の市場が下降傾向にあるなか,麻雀プロリーグ戦「M.LEAGUE(エムリーグ)」や,女流プロ雀士による麻雀動画が人気を博していることで,若年層の割合は増加傾向にあります。今後はそういった方々にも遊んでもらえる施策を考えたいです。
4Gamer:
麻雀ゲームの新規層は,まだまだ広がる余地があると。
吉田氏:
とはいうものの,MJモバイルに関しては現在遊んでくださっている方々がマストであると私は考えているので,まずは現役プレイヤーさんたちを第一に考えます。若年層を初めとする新規の方々には,今後のアップデートを通してより入りやすい仕組みを整えていきます。
4Gamer:
その際,考えている案はありますか。
吉田氏:
今回のVer.7.0にもあるのですが,これまでプライベート戦では「プレイヤーが4人いないと対局できなかった」んです。そのため,友人と2人で遊びたくても人数が足りなかったりしました。そこで利便性を考え,空席にCPUが加わるようにします。あとチャット機能も追加します。
さらにアプリ「LINE」と連動して,MJモバイルでの対局の招待をLINE上で送れるようにしました。こちらはMJモバイルをダウンロードさえすればプレイヤー登録などの手続きをせずとも,招待URLからアクセスするだけでゲストとして即座に対局できる仕組みです。
4Gamer:
それはまた,ユーザーフレンドリーな作りですね。
吉田氏:
運営からすれば,あとのことも考えてプレイヤー登録からしてもらいたいんですけどね(笑)。しかし,それだと遊ぶ側にとっては煩わしいだけで,「面倒だしもういい」ってなってしまうと思ったんです。
だからLINE連動に関しては「いかに友だちとすぐ対局できるか」を最重要とし,皆さんの遊びやすさを優先しています。
4Gamer:
遊んでいるときや飲みの最中,ノリで「麻雀やろうぜ!」となっても,お役所な登録をポチポチさせられたら,たしかに投げそうです(笑)。
吉田氏:
そういう面倒くささへの対策ですね(笑)。友だち経由でMJモバイルに気軽に触れてもらい,それをきっかけに麻雀を知ってもらえたらうれしいですし,我々も麻雀業界の一助になれれば幸いです。
4Gamer:
そのほか,新たな挑戦はありますか。
吉田氏:
これは開発陣で意見が割れましたが,「Discord」にMJモバイル公式サーバーを開設しました。つまり対局中のボイスチャットが狙いです。
4Gamer:
ゲームでのボイチャは一般的ですが,麻雀でボイチャ?
吉田氏:
その疑問は当初,私を含む多くのスタッフも同じ意見で,正直なところボイスチャットに対するハードルの高さを感じていました。
けれど,息子が家でゲームをしているとき,常にボイスチャットでしゃべり続ける姿を見て,「もしかして環境さえあれば使ってくれる人もいるのかな」と思い,チャレンジしようと決心したんです。
4Gamer:
懐疑的な人が多いなか,どのように主導されたのでしょう。
吉田氏:
試験を兼ねて,開発陣で実際にDiscord経由で通話しながら対局する麻雀大会を実施したんです。そしたら予想外に盛り上がりました。
大会といっても場所はいつも働いているオフィスのワンフロアで,みんな自分のデスクに座りながらスマートフォンに向かっていただけなんですが,わりとずっと話していられたんですよね。私自身,ボイスチャットへの抵抗もそうですし,リアル麻雀で「対局中ってそんなに会話する?」という疑念もあったのですが,それらの杞憂は見事に吹き飛んだので,そのときの好評を自信に,公式サーバーの運用を決めました。
4Gamer:
なるほど。麻雀ゲームは麻雀だけどゲームでもあるから,リアル対局とはまた違うコミュニケーションの在り方として,ボイスチャットが盛り上がるのかもしれませんね。私も個人的には「リアル麻雀で対局中,最初の一時間以降,落ち目になったらしゃべらない身内」の印象が強くて否定的に思っていましたが,それなら期待できそうかもと(笑)。
ちなみに,LINE以外のSNSも活用していくのでしょうか。
吉田氏:
TwitterやYouTube公式チャンネルの運用も本格的に進めていきます。さらに一部SNSとはアカウント連携し,MJモバイルのプレイヤー登録をせずともログインできる仕様を随時実装する予定です。
MJモバイルはこれまで外部機関を積極的に利用していませんでしたが,これから少しずつSNSの活用も広げていきます。
4Gamer:
ゲームもそうですが,運営も意識のリニューアル中なんですね。
吉田氏:
そうですね。今回の9周年はゲーム外も,目には見えない部分をたくさん変えて迎えることができそうです。
まずは今月から意気込んでいきますが,MJモバイルはこれからもコラボイベントやアップデートを引き続き実施していきますので,プレイヤーの皆さんは引き続きご期待ください。
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