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[GDC 2014]PS4向けの仮想現実対応HMD「Project Morpheus」を試してみた。実現した「殴れる仮想空間」をムービーでチェック
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印刷2014/03/20 15:16

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[GDC 2014]PS4向けの仮想現実対応HMD「Project Morpheus」を試してみた。実現した「殴れる仮想空間」をムービーでチェック

 北米時間2014年3月18日に,Game Developers Conference 2014(以下,GDC 2014)で発表となった,仮想現実対応のヘッドマウントディスプレイ(以下,HMD),「Project Morpheus」(プロジェクトモーフィアス,開発コードネーム)。その試遊会が,GDC 2014の展示会場にあるSony Computer Entertainmentブースで行われた。
 ギリシャ神話における夢の神の名を開発コードネームとして与えられたデバイスは何をもたらしてくれそうなのか。取り急ぎ体験レポートをお届けしたいと思う。

実動版Project Morpheus。本体正面4か所,後頭部側2か所が光り,PlayStation Cameraから認識されるようになっている
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すでに一定の完成度にあるProject Morpheus

セッティングのしやすさはまずまず


試用時に少し写真を撮らせてもらったのだが,内面や細部の写真はダメとのことだった。装着時も細かい部分は見えず,謎な部分は残る
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 というわけで,まずは装着だ。ヘッドバンドと一体化したHMZシリーズとは違い,ヘッドバンドから吊り下げられたようにディスプレイ部が接続されていることから,触る前は「ディスプレイ部は跳ね上げ式で,“リアル世界”へのアクセスをしやすくしてあるのかな」と思っていたのだが,そうではなく,プロトタイプのヘッドバンドとディスプレイ部はがっちり固定されていた。

 装着法は,「目に合わせてディスプレイを配置したうえで,バンドを締め付けて固定する」という,見て想像できるままとなっている。実機をただ見ただけでは分かりにくいが,HMDの固定にあたっては,後頭部を締め付ける白いヘッドバンド部とは別に,頭頂部付近をサポートする黒いバンドも用意されており,2本のバンドで支える格好になっていた。
 主力となる大きな白いバンドのほうは,額から伸びる部分からいったん引っ張り出して緩め,装着したら押し込んで固定する仕様。固定後は,後頭部側の上下に用意されたダイヤルで,締め付けの微調整も行える。

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装着した状態で側面から。額と後頭部を結ぶ白いバンドとは別に,黒いバンドも用意されている
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後頭部用ヘッドバンド部にはダイヤルが用意されていた

ヘッドフォン接続端子は右目側に用意されているようだ
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 HMDを固定したら,その上からさらにヘッドフォンを装着する。ソニー製HMD「HMZ-T2」や「HMZ-T3」と同じく,ディスプレイ部の近くに3.5mmミニピンのヘッドフォン出力端子が用意されているようだが,試遊会で,正常に動作しなくなった個体を弄っていた係員の様子を見る限り,プロトタイプのヘッドフォン出力端子は,けっこうアクセス性が低い気配だった。
 会場では係員にヘッドフォンをつけてもらえ,コントローラも手渡してもらえるなど,至れり尽くせりだったのだが,リアル世界の視界が閉ざされるので,プロトタイプを一人で装着しようとすると,ちょっと大変かもしれない。

 実際に装着してみての印象だが,セッティングのしやすさはまずまずといったところ。最初はうまくピントが合わなかったのだが,ぐっと深めに装着すると,画面全体にフォーカスが合った。多少のコツは必要なようだが,少なくとも「HMZ-T1」のようなピーキーさとは無縁だ。

 画質は,多少エッジが甘めに思えたものの,Oculus VR製HMD「Rift」の初代プロトタイプのような解像感不足はあまり感じない。視野角は,よく見ると丸い窓を覗き込んでいる感じがあるものの,意識しなければ感じないレベルであり,HMDにありがちな,露骨な“覗き込んでいる感覚”はまったくないと述べていいだろう。Riftで感じた,とてつもない広さの視野と比べればやや劣るものの,これだけの視野があれば,不満を覚える人はまずいないのではなかろうか。

 なお,装着した状態だと,外界はほぼ見えなくなる。下のほうにわずかな隙間が見える――手元がまったく見えないと不便なので残してあるのだと推測される――程度で,没入度はかなり高い


専用デモの様子をムービーでチェック

「殴れる仮想空間」はインパクト大!


 Project Morpheus関連セッションでは,「4つのデモが用意される」とのことだったが,筆者が試した時点では,「The Deep」と「The Castle」の2つだけがプレイアブルになっていた。


■The Deep

 The Deepは,鉄製のケージに入った潜水夫の疑似体験を行えるデモで,周りはやや透明度の低い海水,見上げれば波打ち光を散らす海面,見下ろせば自分の身体が見える(※腕などは伸ばしたままだが)。周りを泳ぎ回る魚の群れは,ぱっと見は平面っぽいのだが,よく見ればちゃんと立体物として作ってあることが分かる。


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 適当に周りを見渡したあと,DUALSHOCK 4のボタンを押すとケージがより深く下りていくのだが,圧巻なのはこのときの下降感だ。派手な模様などのない海中でありながら,エレベータに乗っているような,重力の変動を錯覚できる。
 ただ,残念ながら「海の中でケージが揺れる」ような動きは,当然ながら体感できない。そのため,デモの体験開始直後は,実際に直立して使っているときに画面がゆらゆらと揺れていること自体を認識できず,ただただバランスが取りにくかった。最初はレイテンシが大きくて,おかしな見栄えになっているのかと訝しんだほどだ(※もちろんレイテンシの問題は生じていない)。

 さて,しばらくするとケージの周りにサメが現れてケージごと襲われるのだが,ここでも「ケージが大きく揺れても,それ自体は体感できない」制限を味わうことになる。そのため,迫り来るサメ自体には相応の迫力があるのに,全体としていまひとつ残念な感じはあった。DUALSHOCK 4の右トリガーでモリが撃てると聞いたのだが,反応しなかったので,ボタン操作を聞き間違えていたかもしれない。


■The Castle

 一方のThe Castleは,騎士となって案山子(かかし)相手に拳や剣を振るったり,ボウガンを撃ったりといった,The Deepと比べて戦闘寄りのデモだ。画面はクリアで明るい中世の城といったイメージで,自分の身体は,篭手(こて)だけが表示される。操作に用いるのはPlayStation Move(以下,PS Move)で,PS Moveを持った手を動かすと,画面内で篭手も動く。


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 デモが始まると,目の前には練習用の案山子が現れ,まずは素手で殴って倒すことになる。PS Moveのトリガーを引くと,手を握る動作を行えるので,それで拳を作ったうえで手を動かすと,視界の中でそのとおりに篭手が動き,打撃が伝わる。距離感も含め,違和感なく殴れる印象だ。もちろん“打撃感”はまったくないのだが,身体の動きにそのまま反応してくれるので,没入感は高い。
 なお,殴っていると篭手が案山子にめり込むことがあったが,これはプロトタイプである以上,致し方ないところか。

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 続いて,左右の手に剣を持って案山子を倒す。このとき,画面に表示された剣の束に手(というか,PS Moveを握った腕)を伸ばして,トリガーを引くと,それなりに自然な感じで剣を掴めるようになっていた。
 剣の重さは感じられないものの,ここでも,見たとおり,手を動かしたとおりの動作が再現されて,打撃が反映される。戦闘システムとしては,まさにバーチャルリアリティであり,1つの理想形に近いものかもしれない。実際に手を動かす以上,相応の空間的余裕が必要となるわけで,かつ,外界が見えないので,狭い日本の家屋だと,やや危険かもしれないという懸念はあるが。

 最後は,ボウガンを手に的や案山子に向かって矢を放つ。画面内の篭手に握られたボウガンには照準も付いているので,それに従って撃てばそれなりに当たる感じだ。事前に他の人が体験している様子を眺めていたら,一定のズレで外し続けているケースがあったので,もっと難しいのではないかと思っていたが,予想以上に素直に扱えた。

 そして,案山子相手の模擬戦が終わると,「後ろを向いてみろ」と言われ,見ると見上げるような大きさのドラゴンがいた。ドラゴンが突然飛び上がって頭上を越え,正面から大きな口を開けて迫ってくるというところでデモは終了となる。

 いずれのデモも,絵的な部分や仮想現実感では,Project MorpheusでもRiftとほぼ同じことができそうな感覚が得られる。よって,Project Morpheusでは,DUALSHOCK 4とPS Move,そしてそれらをひっくるめて認識するPlayStation Cameraとの組み合わせによって,バーチャルな世界にインタラクトできるというのが,“ならでは”の魅力となりそうだ。実際に身体を動かすと,それが画面に反映されるというのは,ゲームにおいて重要なポイントになりそうだ。

 実際のところ,筆者はこれまでもかなりの数の仮想現実系デモを体験してきたのだが,「CG映像とどうインタラクトするか」は,常に課題の1つとなっていた。それがProject Morpheusであっさりクリアされているのはお見事と言うほかない。
 あえてぜいたくを言えば,デバイスを使わず,Kinectのように身体の動きだけでどうにかならないものだろうか,とは思う。The Deepで自分の身体が見えるというのは先ほど述べたが,その身体がまったく動かないのは,かえって違和感があったのだ。また,HMDを装着したうえで,「コントローラどこだっけ」と探すのもちょっと大変だ。事前にコントローラを動作させておいて,仮想空間内で位置を把握できるようにすればいいはずだが,手順を忘れるとHMDを外してやり直さなければならなくなる。この点は,なんとかしてほしいところである。

 いずれにしても,Project Morpheusはあくまでもプロトタイプであり,今後,発展の余地は大きく残されている。今のところ「できることはRiftとほぼ同じ」というのは事実であり,となると,このままでは「どちらが先に一般市場に投入されるのか」だけの問題になってしまうだろう。
 顔判定技術やAR技術など,ソニーグループ全体で持つカメラ関連のノウハウは少なくないので,製品化に向けては,もう一歩踏み込んだ新提案を期待したいところだ。

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GDC公式Webサイト(英語)

SCE公式Webサイト

[GDC 2014]SCEの「Project Morpheus」とはいったい何か。西川善司が“仮想現実対応HMD”の正体を探る

  • 関連タイトル:

    PlayStation VR本体

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