テストレポート
[TGS 2014]「Project Morpheus」を触ってきた。今すぐ販売できそうなほどハードウェアの完成度は高い
Morpheusは,3月のGame Developers Conference 2014(以下,GDC 2014)で発表されたHMDで,9月上旬開催のCEDEC 2014においても体験コーナーが設けられるなど,露出の機会が徐々に増えてきた。それだけに,TGS 2014でも一般公開日に体験してみたいと考えている人は多いのではなかろうか。
そんなMorpheusに触れてきたので,今回は,ハードウェア解説寄りの目線でレポートをお届けしてみたいと思う。
「レンズ周り&小型ボックスの撮影不可」なMorpheus
装着感は非常に良好
というわけで,まずはその作りをチェックしてみたいが,残念ながら,レンズとその周辺,そして本体と接続された黒い小型ボックスを撮影する許可は下りなかった。これらについてだけはテキストで説明することになるので,この点は最初にお断りしておきたい。
いずれにせよ,HMDのデザインはソニーらしいもので,暗いところで見ると,埋め込まれたLEDの光が美しい。既報のとおり,このLEDは単なるイルミネーションではなく,「PlayStation Camera」(以下,PS Camera)を使ってプレイヤーの頭の相対的な位置を検出するために使われている。
HMDの装着感だが,結論からいうと,非常にいい。本体が非常に軽い――おそらく300g程度ではないか――ので,違和感なく頭を動かすことができる。
前述のとおり撮影が許可されなかった小型ボックスは,試遊コーナーのラックに置かれ,そこにMorpheus本体から伸びるケーブルが接続されるような格好になっていた。なのでおそらくは,このボックス側にプロセッサが収められているのだろう。ソニー製HMDシリーズであるHMZと同じようなハードウェア構成を採用することで,HMD側の軽量化を実現しているのかもしれない。
HMDでは,レンズが目の中心からずれると,疲れたり,違和感を覚えたり,気分が悪くなったりするという,構造的な問題がある。そのため,しっかり装着するための機構が結構重要だ。その点,Morpheusの機構はシンプルながら非常によくできているといえる。
具体的にいうと,ヘッドバンド部は,パッド部に対して,本体前方から後方へ伸びる右耳側のベルトを押し込むことで長さを調整できるようになっており,さらにその状態から,ヘッドバンド部の左右中央部,上面にあるダイヤルを回すことで,締まり具合の微調整を行えるようになっているのだ。
外すときは,右上の写真で見える三角形を横にスライドさせる。するとヘッドバンドとベルトを固定するラッチが外れ,一気に締め付けが緩くなる仕掛けだ。
レンズの周囲は,HMZシリーズにおける遮光板「ライトシールド」を厚くがっちりさせたような合成ゴム製の覆いで上下左右が覆われている,覆いのイメージとしては,スキーやスノーボード用ゴーグルのような感じだ。レンズと目との距離感もゴーグルに近い。
筆者はメガネを普段から装着しているのだが,メガネごと“ゴム製ゴーグル”の中にすっぽり収まるので,その点ではHMZシリーズよりも格段に使いやすかった。
目の前に広がる世界の解像感は意外に低いが
それでもこの没入感は魅力的
筆者がプレイしたのは,「PlayStaion Move」を手に持って,自分の周囲にある得物――剣やクロスボウなど――を取り,モンスターと戦うという簡単なアクションゲーム的なデモ「The Castle」だ。GDC 2014,そしてCEDEC 2014でも用意されていたデモなので,同じものか,そのアップデート版ではないかと思われる。
まず,解像感はやや低めだ。グラフィックスに凝ったデモではなかったことも影響していると思うが,中央部でドットが見える程度の粗さというのは少々気になった。Morpheusは,1920×1080ドットの液晶パネルを搭載し,片目あたり960×1080ドット表示となる。それを視野のほぼ全域に広げているので,解像感が多少なりとも低下するのは,仕方がないかもしれない。
また,装着しやすく,調整もしやすいので,それほど致命的とまでは言わないが,装着の仕方が悪いと,いとも簡単に映像がブレる。
もう1つ,プレイに没頭していると,動かした手をPlayStation Moveごと何かにぶつけてしまうこともあった。装着すると周囲の状況がまったく見えなくなることも影響しているが,自宅で使う場合には,広めにスペースを確保しておかないとケガをする可能性もあるような気はする。試遊コーナーではアテンダントのおねえさんが監視してくれているので安心だが,一人だと危ないかも,といった感じだ。
ただ,気になったのはそれくらいでもある。装着感がよく,また,目の前に広がる世界への没入感も,確実な遮光によってしっかり得られている。最終製品版を100として,どの程度の完成度の個体なのかは明らかになっていないが,価格の折り合いさえつくのであれば,今すぐ販売してしまってもマニアが納得するだけのレベルには達していると思う。
Morpheusは,一般公開日の20,21日にも試遊できるので,興味がある読者は,早めに試遊用整理券をもらいに行くのがよさそうだ。
PlayStation公式Webサイト内,TGS 2014特設ページ
4Gamer「東京ゲームショウ2014」特設サイト
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PlayStation VR本体
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