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[TGS 2014]「FIFA 15」インタビュー。世界のトップを走るサッカーゲームの次なる進化をエグゼクティブプロデューサーの牧田和也氏に聞いた
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印刷2014/09/24 18:00

インタビュー

[TGS 2014]「FIFA 15」インタビュー。世界のトップを走るサッカーゲームの次なる進化をエグゼクティブプロデューサーの牧田和也氏に聞いた

 東京ゲームショウ2014のエレクトロニック・アーツブースでは,2014年10月9日に発売予定の「FIFA 15」PC/PS4/Xbox One/PS3/Xbox 360/PS Vita)がプレイアブル出展されていた。

 前作「FIFA 14 ワールドクラスサッカー」はシリーズ初のPlayStation 4版Xbox One版(※国内未発売)がリリースされたが,この1年でどのような進化を遂げているのだろうか。多数の来場者が同社ブースを訪れた会期中,「FIFA」シリーズのエグゼクティブプロデューサーを務める牧田和也氏にインタビューする機会を得たので,両機種版に搭載される新要素を中心に話を聞いてきた。

画像集#003のサムネイル/[TGS 2014]「FIFA 15」インタビュー。世界のトップを走るサッカーゲームの次なる進化をエグゼクティブプロデューサーの牧田和也氏に聞いた

「FIFA 15」公式サイト



4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。
 まずは,シリーズ最新作の「FIFA 15」に対して,どのような関わり方をされているのかを教えてください。

画像集#005のサムネイル/[TGS 2014]「FIFA 15」インタビュー。世界のトップを走るサッカーゲームの次なる進化をエグゼクティブプロデューサーの牧田和也氏に聞いた
「FIFA」シリーズ エグゼクティブプロデューサー 牧田和也氏
牧田和也氏(以下,牧田氏):
 私は,14年間にわたって「FIFA」シリーズを作ってきましたが,昨年から日本のスタジオ(EAモバイル ジャパンスタジオ)のGMに就いています。ただ,所属はEA Canadaのままなので,日本とカナダを行き来しながら,「FIFA 15」の企画段階からチェックをしたり,上がってきたバージョンをプレイしたりといった形で関わってきました。

4Gamer:
 15年めにして,初めて距離を置いた立場で「FIFA」シリーズに取り組んだわけですね。

牧田氏:
 そうなりますね(笑)。

4Gamer:
 それでは「FIFA 15」の出来についてはいかがでしょうか。

牧田氏:
 とくにPS4版とXbox One版は2作めということで,すごく良くなっていますよ。前作(「FIFA 14 ワールドクラスサッカー」)は新しいハードのローンチタイトルだったため,どうしても開発期間が限られていました。やりたかったこともすべてできたとは言えず,優先順位の高いものから手を付けていったのですが,今回の「FIFA 15」ではさらに構想していたものが実現できています。

4Gamer:
 その中の1つが,選手の感情表現ですね(関連記事)。

牧田氏:
 そのとおりです。フィールド上の22人の選手全員が試合の流れや状況を把握し,そのときどきの感情を表現するようになっています。
 たとえば,試合の序盤にチームメイトのシュートが,惜しくも相手のゴールキーパーに防がれてしまった。そんなときには,パスを送った選手が「ドンマイ,ドンマイ」といったように励ましたりします。しかし,同じような状況でも,終盤では「お前,なんで決められないんだ。何やってんだ!」と苛立つようになる。
 選手同士の争いにしても,最初は小競り合いだったのが,徐々にヒートアップして手で押したりすることもあります。このように試合の展開に応じた感情の変化まで,再現しているんです。


4Gamer:
 なるほど。

牧田氏:
 これにより,1つの試合におけるストーリーをちゃんと描くことができるようになりました。感情の変化によって選手の能力自体は上下しませんが,気持ちが高ぶってくるとファウルを連発したり,カードをもらいやすくなるといったことはあります。

4Gamer:
 試合の臨場感が増したというわけですね。

牧田氏:
 フィールド上の選手以外にも,ベンチにいるスタッフや選手,観客の反応もバリエーション豊かになっています。試合の展開によって,応援の仕方が変わりますので,スタジアム全体の一体感がこれまでとは全然違います。
 とくにプレミアリーグ(イングランド)は,全20クラブのホームスタジアムを作り込んで再現し,実際のサポーターソングやチャントも収録しています。


4Gamer:
 海外サッカーファンにはたまらない話です。

牧田氏:
 ピッチ状態も試合が進むにつれて荒れていきますし,実際のサッカー中継を見ているかのようなライブ感が生まれました。
 また,試合を中断したときや終了後に流れるハイライト映像も大幅に改善しました。これまでは「シュートを打った」「ミスをした」「ファウルでカードをもらった」といった,分かりやすいイベントのシーンをつないでいましたが,試合のストーリーを伝えるには,それだけでは足りないですよね。
 テレビ番組であれば,試合の流れを踏まえてディレクターがハイライト映像を編集するわけですが,ゲームではそこまでのものは作れなかった。それが「FIFA 15」では可能になっているんです。

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4Gamer:
 選手のAIについてはいかがでしょうか。

牧田氏:
 AIは全面的に作り直しています。それぞれの選手がその状況に応じて,目的を持って動くようになりました。
 たとえば,ドリブル中の選手がディフェンダーにマークされると,サイドに逃げることが多かったと思いますが,「ここは強引でもシュートを打つ」という目的を持っているときは,中央突破を狙うわけです。試合の終盤に時間稼ぎをすることもありますよ。

4Gamer:
 プレイヤーはディフェンス時の対応が難しくなりそうですね。

牧田氏:
 AIが強化されているのは,ディフェンダーも同様です。それぞれの選手が目的を持って,相手の意図を読んだり,ポジション取りを考えたりするので,より高度な守り方になっています。
 オフェンス側はできるだけ相手が嫌がる動きや効果的な動きを選択し,対するディフェンス側も相手が何をしてくるのかを想定して,リスクとの兼ね合いで最適な行動を取る。これこそが,よりリアルなサッカーです。
 サッカーゲームでは攻守のバランスがすごく重要なので,最も気を使っている部分ですね。

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4Gamer:
 ゴールキーパーのAIは新たに開発されたそうですが,詳しく説明していただけますか(関連記事)。

牧田氏:
 ゴールキーパーだけは,まったく新しいAIになっています。実は,日本人のプログラマーが2年近くかけて開発し,専用エンジンによってようやく完成しました。
 ゴールキーパーのAIを開発するうえで,最も重要なポイントは瞬時の判断です。どのタイミングでボールに反応するのか,どのタイミングで前に飛び出すのか。ときには,飛んでからシュートのコースが変わることもありますよね。それでも実際の選手のような反応を実現するために,新しいAIを開発していたんです。横に飛びながら逆サイドに足を伸ばしてカバーするといった動きも可能です。


4Gamer:
 フィールドプレイヤーの動きはいかがでしょうか。

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牧田氏:
 「FIFA 15」で最も進化した部分が,ドリブル中のボールコントロールです。選手は足のさまざまなポイントを使って,ボールにタッチするようになりました。それぞれのタッチのよって,ボールの回転も変わります。もちろん,ピッチの状態によっても転がり方が変わりますので,それらも計算して表現しているんです。

4Gamer:
 ボールにクローズアップした映像だと,その再現度がよく分かります。

牧田氏:
 確かに,試合中はボールのフィジックス(物理演算)がいかにリアルなのかを目で確認することはできないでしょう。しかし,実際に選手を操作してボールを蹴れば,ボールの回転や飛び方などが前作とは違うことが実感できるはずです。
 ドリブルに限らず,サッカーにおけるすべてのプレイや局面に関わってくるものですから,ゲーム性に大きな影響を与えています。


4Gamer:
 それでは,最後に4Gamer読者にメッセージをお願いします。

牧田氏:
 まずは「FIFA 15」のグラフィックスに注目してほしいですね。とくにPS4版やXbox One版は,テレビ中継なのかゲームの画面なのか,一見しただけでは違いが分からないくらいのクオリティです。
 また,触り心地も進化しました。操作中のレスポンスの良さはもちろんですが,CPUのAIが強化されたことで,自分の思い描いているプレイが実現できたり,より高度な試合展開になったりと面白さが増しています。よりリアルで深いサッカーを再現していますので,ぜひ楽しんでください。

画像集#017のサムネイル/[TGS 2014]「FIFA 15」インタビュー。世界のトップを走るサッカーゲームの次なる進化をエグゼクティブプロデューサーの牧田和也氏に聞いた

「FIFA 15」公式サイト

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