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Overwatch Leagueが開幕。e-Sportsの未来を懸け,鳴り物入りでスタートする長期イベントを制覇するのはどのチームか
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印刷2018/01/11 12:41

イベント

Overwatch Leagueが開幕。e-Sportsの未来を懸け,鳴り物入りでスタートする長期イベントを制覇するのはどのチームか

Overwatch
 Blizzard EntertainmentのFPS「Overwatch」の公式リーグ「Overwatch League」が,日本時間1月11日の9:00から,南カリフォルニアのバーバンク市にある専用アリーナで開催されている。その模様は,Twitchの専用サイトで公開中だ。

 「Overwatch League」については,イベントとしての体系がゲームイベントというよりもプロスポーツに近いということを,筆者の連載でも紹介したが,結果として推定約20億円とも言われる「バイ・イン」(チーム登録費用)を行う投資家が12チーム分集まったというのは驚きだ。
 これらのチームに所属するプレイヤーには,最低5万ドル(約560万円)という年給も保証されており,彼らは少なくてもプロ契約を果たしている間は,プロスポーツ選手と同様に専属プレイヤーとして活動していくことになる。

Overwatch

 栄えあるリーグの初戦は,同じカリフォルニア州に拠点を持つSan Francisco ShockとLos Angeles Valiantが激突する。「Overwatch League」(以下,便宜上第1シーズン)は,4つのステージに分かれており,それぞれのステージが6週間にわたって行われる。そして,第4ステージ6週目の最終日が6月16日となっており,翌日の6月17日よりプレイオフがスタートする。
 すでにHPとIntelがリーグ運営の大口スポンサーになることも発表されているが,すでに優勝賞金は最低でも100万ドル(約1億1200万円),そして350万ドル(約3億9000万円)の「パフォーマンスボーナス」(放映料の割り当てやグッズ販売の対価)が用意されている。

Overwatch
 こうして書いていくと,Overwatch LeagueにはBlizzard Entertainment以外からも驚くような資金が集まっていることが分かるが,過去にここまでe-Sportsのプロ化に取り組んだ組織は存在しなかっただろう。第1シーズンに参加する12チームに登録されている選手は総勢117人となり,さらにそれぞれのチームにはコーチやチームマネージャーが存在する。コーチの役割りは,どちらかと言えば相手チームの情報収集や,チームメンバーや相手に合わせたメタ構築などに重点が置かれていると思われる。

 さらに,それぞれのプレイヤーはまるでサッカーや野球でいうポジションのように,タンク,オフェンス,サポートというロールに専門職化されている。複数こなせるプレイヤーはフレックスと規定されているが,Seoul Dynastyのように11人のメンバーの中にフレックス選手が3人含まれているチームもあれば,まったく存在しないチームもあるなど,チームによって戦術が異なる様子。とくに,異なるサーバーでプレイしてきた外国拠点のチームが,シーズン中にどのようなパフォーマンスを見せるのかも気にあるところである。

 特筆しておきべきことは,少なくともこれらOverwatch Leagueの選手たちは,7月までの期間,ロサンゼルス地域の北部にある衛星都市バーバンク市近辺に滞在し,同市に用意されたOverwatch Arenaで戦っていくということだ。つまりは,アメリカ人選手を含めるすべてのアスリートたちが,Overwatch Leagueの専属プレイヤーとなり,ほかのトーナメントにエントリーすることはない。

Overwatch

 彼らの中には仕事を辞めたり,休学して参加している人たちもいるだろうが,上記した5万ドルという最低補償年給が,例えばメジャーリーグのプロ野球選手たちの,登録24人から漏れた一軍選手で5万3000ドル(2017年度)であることを考えると,決して安くないといえそうだ。しかも,宿泊施設も用意されている。詳しい給与については公開されていないものの,ほかの地域から参加したプレイヤーの中には,それ以上の給与をもらっているスターアスリートも存在するはずだ。

 ここまで優遇しなければならないのは,ほかのトーナメントで活躍すれば,それなりの賞金をもらえるプレイヤーたちを,Overwatch Leagueに引き込むためのものであるというのは疑いないだろう。
 7月まではみっちりスケジュールが組まれていて,共同生活の住まいや食費のほとんどは負担してくれるのだから,5万ドルのほとんどは使われることもなくシーズンが終了するまで手元に残りそうな気配。今回のメディアデイで行われたチームカンファレンスにおいては,将来の就学のために溜め込むという選手や,海外旅行を楽しむといった抱負を語る選手たちがいたが,こうしたサクセスストーリーが見ているゲーマーを触発し,将来的にはプレイヤー人口やプロ志願者の増加につながっていくことになるのだろう。

Overwatch

 それでは,以下に参加12チームの基本情報を紹介しておこう。これから6か月近く繰り広げられる激戦をTwitchで観戦し,気になるチームやプレイヤーがいるという人であれば,フォローしておくと良いかも知れない。そうしてプレイスタイルや戦術を盗み,「Overwatch」の競技プレイで目立った成績を残せば,ひょっとしたら来シーズン以降の候補生として,プロチームから声がかかるかも知れない。

下馬評の高いSeoul Dynastyのチーム記者会見の様子
Overwatch


〇Boston Uprising

本拠地:アメリカ・マサチューセッツ州ボストン
所属:大西洋ディビジョン
オーナー:Robert Kraft氏
チームカラー:青/黒/レモン
公式サイト:https://uprising.overwatchleague.com/

 オーナーのKraft氏は,大手食品メーカーKraftの会長であり,NFLのプロチームであるニューイングランド・ペイトリオッツのオーナーでもある人物。チームは,競技プレイシーンではそれほど有名ではない若いプレイヤーで構成されており,プレシーズンではShanghai Dragonsを3-2で破るものの,New York Excelsiorには1-3で負けており,まだ不安定さが残る。


〇Dallas Fuel

本拠地:アメリカ・テキサス州ダラス
所属:太平洋ディビジョン
オーナー:Team EnVyUs,及びKenneth Harsh氏
チームカラー:紺/水色/灰色
公式サイト:https://fuel.overwatchleague.com/

 Chipshajen選手,Mickie選手,Custa選手など,地元で活動していた「Overwatch」の競技プレイヤーを中核とするチーム。「コール オブ デューティ」などのe-Sportsで名を馳せるプロチームのTeam EnVyUsが母体となっている。
 Overwatch League参戦に対しては地元の油田産業で財を成したハーシュ一族から3500万ドルにも及ぶ融資を受けており,チーム名の“フューエル”も油田に由来している。


〇Florida Mayhem

本拠地:アメリカ・フロリダ州マイアミ・オーランド
所属:大西洋ディビジョン
オーナー:Misfits
チームカラー:黄/赤/黒
公式サイト:https://mayhem.overwatchleague.com/

 「Counter-Strike: Global Offence」「League of Legends」そして「ハースストーン」など,幅広いジャンルで専属チームを輩出するプロチームMisfitsがチームオーナーとなる。もともとMisfitsが,スウェーデンの「Overwatch」プレイヤーをサポートしていた流れで,メンバーにはスウェーデン選手が多く,中でも2017年11月の「Overwatch World Cup」にスウェーデン代表として参加していたTivQ選手がスター選手の1人として注目されそうだ。


〇Houston Outlaws

本拠地:アメリカ・テキサス州ヒューストン
所属:大西洋ディビジョン
オーナー:OpTic Gaming
チームカラー:黒/蛍光グリーン/白
公式サイト:https://outlaws.overwatchleague.com/

 Coolmatt選手やJake選手など,「Overwatch World Cup」でアメリカ代表として出場した経験を持つプレイヤーが集う強豪チーム。「Overwatch World Cup」においては,Seoul Dynastyの中核となる韓国代表に手も足も出なかったため,シーズンを通しての対戦でどれだけ成長していくのか,アメリカのファンには注目している人が多い。昨年11月には,コーチに内定していたDennis Hawelka氏が事故死するという不幸があるなど,何かとドラマの多いチームになりそうだ。


〇London Spitfire

本拠地:イギリス・ロンドン
所属:大西洋ディビジョン
オーナー:Cloud9
チームカラー:水色/オレンジ/黒
公式サイト:https://spitfire.overwatchleague.com/

 ロサンゼルスをベースにするプロチームのCloud9がスポンサーとなるチーム。ロンドンを拠点にしているが,メンバーはすべて韓国人となっており,それがファンベースの構築にどのような影響をもたらすのかは気になるところ。チームメンバーはGC Busanに所属していたプレイヤーが多く,ソウル地域でまとまったSeoul Dynastyのライバルになることは間違いなさそうだ。現在,さまざまな年齢のファンたちも集えるバーガーショップやバーを共存させた専用アリーナをロンドンに建設中とのこと。


〇Los Angeles Gladiators

本拠地:アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルス
所属:太平洋ディビジョン
オーナー:Stan Kroenke氏 Josh Kroenke氏
チームカラー:紫/黒/白
公式サイト:https://gladiators.overwatchleague.com/

 イギリスのプレミアリーグに所属する名門アーセナル,NBAのデンバー・ナゲッツ,そしてNFLのLAラムズなどのオーナーであり,スポーツマネージメントに長けたKroenke兄弟が設立したKsE-eSportsの傘下チームとなるLos Angeles Gladiators。
 しかし,今回のリーグスタートに合わせて,7人のチームメンバーしか揃えられていない。「Overwatch World Cup」で決勝まで駒を進めたカナダ代表のSurefour選手の,当時のコメント「個人的には,まあまあのプレイでしたね」(Played fine, personally)は,Overwatchプレイヤーのミームになりつつある。


〇Los Angeles Valiant

本拠地:アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルス
所属:太平洋ディビジョン
オーナー:Noah Whinston氏
チームカラー:緑/黒/ゴールド
公式サイト:https://valiant.overwatchleague.com/

 若干22歳のオーナー,Whinston氏が率いるプロチームImmortalsは,「Overwatch League」への参加を表明したことで,資金不足を懸念したRiot Gamesから「League of Legends」のトーナメント出場を取り消されるといった波乱万丈のスタートとなった。18歳になったばかりのAgilities選手や,カナダ出身で19歳のVerbo選手などが集まる非常に若いチームだが,こうした面で“アンダードッグ”としてのファンの寵愛を受ける可能性は高そうだ。


〇New York Excelsior

本拠地:アメリカ・ニューヨーク州ニューヨーク
所属:大西洋ディビジョン
オーナー:Jeff Wilpon氏 / Starling VC
チームカラー:青/赤/黒
公式サイト:https://excelsior.overwatchleague.com/

 メジャーリーグのニューヨーク・メッツのCOOであるWilpon氏と,ベンチャー企業のStarling VCが実質的なオーナーとなるExcelsiorは,韓国のチームLW Blueに所属していたプレイヤーを中心に構成されたチームだ。
 スター選手は,Overwatch World Cupでもフレックスとしての才能を開花させて大活躍したFl0w3R選手になるのは間違いないが,リーグの規定によって18歳を迎える5月までは参加できないのが残念なところ。ちなみに,チーム名にある“エクセルシア”(上に昇る,と言う意味のラテン語)という意味だ。


〇Philadelphia Fusion

本拠地:アメリカ・ペンシルバニア州フィラデルフィア
所属:大西洋ディビジョン
オーナー:Comcast
チームカラー:オレンジ/黒/白
公式サイト:https://fusion.overwatchleague.com/

 アメリカの大手メディアComcastを母体にする「Overwatch League」専用チーム。タンクを務める韓国人のSADO選手は,金銭と引き換えにほかのゲーマーのアカウントを借用してレベル上げをする”ブースティング“という不法行為に携わったことで一時出場停止を受けるなど,昨年12月のプレシーズンには参加できないという,憂き目にあった。そのために,チームとしてのまとまり,そして潜在能力には未知の部分が多い。


〇San Francisco Shock

本拠地:アメリカ・カリフォルニア州ベイエリア
所属:太平洋ディビジョン
オーナー:Andy Miller,Shaquille O'Neal,Jeniffer Lopez,Marshawn Lynch各氏
チームカラー:オレンジ/灰色/ゴールド
公式サイト:https://shock.overwatchleague.com/

 プロバスケットのサクラメント・キングの共同オーナーであるMiller氏に,スポーツ界や音楽界のスーパースターが投資する形で発足させたNRG Esports。18歳の誕生日を迎える3月まではプレイできないsinatraa選手には,おそらくリーグ最高給になる15万ドルの年給が支払われると報じるメディアもある。


〇Seoul Dynasty

本拠地:韓国ソウル
所属:太平洋ディビジョン
オーナー:KSV eSports / Nighthawk Progaming
チームカラー:黒/ゴールド/白
公式サイト:https://www.facebook.com/SeoulDynasty/

 チームリーダーのryujehong選手やZUNBA選手など,「Overwatch World Cup」には韓国代表として参戦したプレイヤーを含め,アジア太平洋地域最強と謳われたLunatic-Haiのメンバーを中核にするチーム。プレシーズンでも3試合すべてに勝利したチームはSeoul Dynastyだけだ。その実力と下馬評の高さで優勝候補の筆頭であるのは間違いなく,このチームから1勝を得るために,ほかのチームがどのような戦術を練ってくるのかが楽しみなところ。


〇Shanghai Dragons

本拠地:中国・上海
所属:太平洋ディビジョン
オーナー:NetEase
チームカラー:赤/黒/黄
公式サイト:https://weibo.com/ShanghaiDragons

 中国の大手ゲームパブリッシャとしても知られるNetEaseがオーナーとなるために,おそらく中国国内の最強選手が集められたと思われるShanghai Dragons。しかし,国際大会での成績はパッとしないうえ,プレシーズンでも期待どおりの成果を残せず,少し不安定な状況にある。最近ではコーチが辞職しており,これから半年以上に渡る慣れないアメリカでの生活も,少なからず影響を与えていくと思われる。

「Overwatch League」公式サイト

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