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東京レトロゲームショウ2016:第41回 「メルヘンヴェールI」のメルヘンチックな見た目にだまされてはいけない
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印刷2016/03/10 12:00

連載

東京レトロゲームショウ2016:第41回 「メルヘンヴェールI」のメルヘンチックな見た目にだまされてはいけない

画像集 No.001のサムネイル画像 / 東京レトロゲームショウ2016:第41回 「メルヘンヴェールI」のメルヘンチックな見た目にだまされてはいけない

今週のテーマ:メルヘンにご用心

 ゲーマーなら誰でも,ひと目その画面を見た瞬間に虜になってしまったゲームがあるだろう。筆者にとって,そんなゲームの1つが今回の「東京レトロゲームショウ2016」で紹介する「メルヘンヴェールI」だ。独創的な色づかいの美麗なイベントシーン,幻想的な世界観,童話から抜け出してきたかのようなキャラクター。雑誌の紹介記事で見た,そのすべてに度肝を抜かれ,実際に遊んでみて,あまりの難しさにまたしても度肝を5〜6本引っこ抜かれた,そんなゲームである。

割とそっけないタイトル画面。メルヘン度:☆
画像集 No.002のサムネイル画像 / 東京レトロゲームショウ2016:第41回 「メルヘンヴェールI」のメルヘンチックな見た目にだまされてはいけない

 「メルヘンヴェールI」は,システムサコムより1985年に発売されたアクションRPGだ。PC-9801やPC-8801,X1といった多くの国産PCのほか,ファミリーコンピュータにも移植されている。ファミコン版は独自要素としてジャンプが可能になっていたりと,オリジナルとは若干ゲーム内容が異なるが,こちらを遊んだという人も多いかもしれない。

 本作のストーリーは,魔法使いに呪いをかけられ,醜い妖精“ヴェール”の姿となって世界の果てに飛ばされてしまった王子が,愛する王女の待つ故郷フェリクスに帰るために,たった一人で困難な冒険に立ち向かうというもの。上半身は裸で,下半身は獣の姿にされてしまった王子の身を守るものは,魔剣「アキナケス」と王女にもらった魔法の腕輪「アルミナ」のみ。果たして王子は無事,フェリクスに帰還できるのだろうか……。

筆者の心を鷲掴みにした美麗なビジュアルステージ。メルヘン度:☆☆☆☆☆
画像集 No.003のサムネイル画像 / 東京レトロゲームショウ2016:第41回 「メルヘンヴェールI」のメルヘンチックな見た目にだまされてはいけない

 というわけで,ゲームを開始するとさっそく,こうした背景を説明する美麗なイベントシーンが表示される。本作は複数のステージで構成されており,各ステージの開始時に必ずこの“ビジュアルステージ”が挿入されるのが大きな特徴だ。これに対して,実際に王子を操作して冒険を繰り広げるパートのことは“アクションステージ”と呼び,この2つを交互に繰り返しながらゲームを進めていく。

 当時,雑誌で見たステージ1のビジュアルステージはインパクト抜群で,まだ純真だった筆者などは「おお,これぞまさにメルヘン……」と感動に胸を打ち震わせたものだ。また,本作はBGMの出来も素晴らしく,ビジュアルステージのどこか物悲しいBGMの余韻を引きずりつつアクションステージを開始すると,そこはまさにおとぎの国そのもの。色鮮やかな色彩と,ステージの至るところに走った無数の崖とのコントラストが,王子の行く先に待つ困難な,それでいて心躍る冒険を予感させる……。

いよいよ冒険の始まり。いやがうえにも気分が高まる。メルヘン度:☆☆☆☆
画像集 No.004のサムネイル画像 / 東京レトロゲームショウ2016:第41回 「メルヘンヴェールI」のメルヘンチックな見た目にだまされてはいけない

 などと,メルヘンチックな気分に浸っていられるのもここまで。多くのプレイヤーは,アクションステージが始まった瞬間,そのあまりの高難度っぷりに心をへし折られることになるだろう。実のところ,本作の難しさは発売当時から大きな評判になっていたのだが,その最大の要因とも言えるのが,王子の足がとんでもなく遅いことだ。

 王子はテンキーで移動し,Spaceバーで魔法の弾を発射して敵を攻撃するのだが,これがまた半キャラぶんずれると当たらないという代物で,軸を合わせようともたもた動いていると,あっという間に敵に接近されてダメージを受け,憐れ王子はたちまちのうちに昇天してしまう。

このあたりまでは,まだまだ楽勝。メルヘン度:☆☆☆☆
画像集 No.005のサムネイル画像 / 東京レトロゲームショウ2016:第41回 「メルヘンヴェールI」のメルヘンチックな見た目にだまされてはいけない

 この時点ですでに頭をかきむしりそうになるが,もう1つ厄介なのがステージのあちこちにある崖の存在で,当たり判定が微妙に分かりにくいため,うかつに近寄ると「ズバーン!」という効果音と共に転落してしまう。崖から落ちそうになったら,すかさずSpaceバーを連打することでよじ登れるが,プレイ中はとにかく崖から落ちまくるので,Spaceバーをこれでもかと酷使することになるだろう。

 また,特定の手順を踏まないと取れない重要アイテムがしれっと隠されていたり,セーブは安全地帯で特定のアイテムを消費しないとできなかったり(つまり回数制限あり)と,随所に昔のゲームらしい理不尽な部分があるのも,難しさに拍車をかけている。

ステージ1にして,早くも倒せない敵が登場。王子の足の遅さと,そんなことにお構いなしの敵の猛攻に泣かされる。月の女神の下にあるマントを取って,すぐ逃げよう。メルヘン度:☆☆☆
画像集 No.006のサムネイル画像 / 東京レトロゲームショウ2016:第41回 「メルヘンヴェールI」のメルヘンチックな見た目にだまされてはいけない

 しかし,それでもなお,発売から30年経った今もこうして懐かしく振り返り,時々はもう一度遊んでみようかなと思わせるのは,現在でもまったく色褪せない,本作ならではの世界観が深く心に刻まれているからだろう。見た目ほど優しいメルヘンの世界ではないが,「メルヘンヴェールI」はやはり名作と呼ぶにふさわしいゲームなのだ。

 ところで,タイトルを見ればお分かりのとおり,「メルヘンヴェールI」は当初から続編の開発が予定されており,本作のみでストーリーが完結していない。しかし,続編にして完結編である「メルヘンヴェールII」はPC-9801版しか発売されなかったのは,筆者を含む他機種のユーザーにとっては返すがえすも残念なことに思われる。
 だが現在では,プロジェクトEGGで今回紹介したPC-8801版はもちろんのこと,シリーズ2作がひとまとめに遊べるPC-9801版「メルヘンヴェールI・II」が配信されており,誰でも手軽にプレイできる。まったく,いい時代になったものだなあ。

プロジェクトEGG「メルヘンヴェールI」(PC-8801版)

プロジェクトEGG「メルヘンヴェールI・II」(PC-9801版)


左上に見えるのがステージ1のゴール。しかし,ここはマントを取らずに入ると問答無用で死亡する。ここに至るまでに数えきれないほどやり直し,へとへとになる。メルヘン度:☆☆
画像集 No.007のサムネイル画像 / 東京レトロゲームショウ2016:第41回 「メルヘンヴェールI」のメルヘンチックな見た目にだまされてはいけない

次週3月17日の「東京レトロゲームショウ2016」は,事情により休載いたします。次回は3月24日の掲載を予定しています。
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