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東京レトロゲームショウ2016:第45回 「Serious Sam The First Encounter」で何もかにも忘れて,あなたも私もトリガーハッピー
会社のこととか家庭のこととか,いろいろ気苦労の絶えない現代社会。たまには,頭をカラッポにして,スカッとしたいぜという人も少なくないはず。そんな皆様に,今週の「東京レトロゲームショウ2016」が自信を持ってお贈りするのが,「Serious Sam The First Encounter」だ。さあ,ご一緒に,サム,アイアム!
次々に襲ってくるクリーチャーを,撃って撃って撃ちまくってやっつけていくというシンプルこのうえない本作を開発したのは,アドリア海に面したクロアチア共和国のCroteamで,設立は1993年というから,もう20年以上の歴史を持つ。会社を作って8年が経過した2001年にリリースした本作がスマッシュヒットを記録したあと,ずっと「Serious Sam」シリーズを作り続けてきたという,まさに「Serious Sam」の申し子ともいえるメーカーである。
Steam「Serious Sam HD: The First Encounter」紹介ページ
ゲームの設定はこうだ。先進的な技術を持った古代文明の発見により,人類は大宇宙に進出するが,突如として襲ってきた謎のクリーチャー軍団に人類は敗退を続け,ついに太陽系までピンチに陥った。そこで世界の指導者達は,伝説の戦士Sam Stoneをエジプトに送り込み,クリーチャー軍団を殲滅することを決定した……とか,そんな話。
実はこの記事のために使用したのは,スクリーンショットの見栄えとかいろいろ理由があって,2009年の「Serious Sam HD: The First Encounter」で,これは,第1作を最新エンジン「Serious Engine 3」でリメイクしたもの。グラフィックス以外,内容に変わりはないと聞いているのだが,設定が微妙に違っているような気がしないでもない。だが,気にすることはない。やることは同じだからだ。
というわけで,エジプトを舞台にSamの戦いがスタートする。上にも書いたように,本作は撃ちまくり系のFPSで,動くものなら考えることなくぶっ放して倒していくだけという非常に潔いシステムを採用した作品だ。仲間と一緒に戦ったり,ステルス移動が重要だったり,スキルをアップしたりという要素はなく,というか,ほとんど考える必要がないので,非常に筆者向きだともいえる。
また,シングルプレイの場合,敵の出てくる場所はあらかじめ決まっているので「覚えゲー」でもあり,そのため,プレイを繰り返すと次第にダンドリが良くなり,自分が強くなったと誤解できる点もすばらしい。最近のFPS/TPSは,敵が人間であることが多いが,こちらはクリーチャーで,弾と違って敵の火の玉攻撃や体当たりなどをきわどくよけてこちらの弾を当てるという技も使える。クリーチャー相手のFPSは最近少ないので,なんだか新鮮でもある。
敵クリーチャーの種類もデザインも多彩で豊富だ。頭がなくて,叫び声を上げながら(どこから声が出てくるのか不思議だが)導火線に火のついた爆弾を抱えてこちらへ走ってくる「Beheaded Kamikaze」など,どうやって思い付いたのだろうと思う連中がたんまり出てくる。だが,こちらにもいかれた武器がたくさん用意されているので安心だ。
狭いところで撃ち合う場合もあるが,本作で特徴的なのは,やたらめったら広いフィールドで無数の敵を相手にするような場面だ。遙か彼方から,多数のクリーチャーがものすごい勢いで走ってくるのは,緊張して,つい笑ってしまうほど。さあ,どいつもこいつも,オレのXPML21 Rocket Launcherの餌食になるがいい……あ,やられちゃった。多すぎ。
id Software時代のジョン・カーマック(John Carmack)氏が,「DOOM 3」はなぜ撃ちまくり系FPSではなくなったのか? と聞かれたとき,「撃ちまくりたいならSerious Samがある」と答えたとか答えないとか言われる本作。「Steam」では,「Serious Sam Classic: The First Encounter」「同The Second Encounter」のほか,1作めと2作めを合体させて(もともと,前編と後編という扱いだった),グラフィックスをさらに良くしたCroteam公認のファンメイド作品「Serious Sam Classics: Revolution」,そして「Serious Sam 2」や,前日譚となる「Serious Sam 3: BFE」などが売られており,さらに,お得な各種パッケージ商品やDLCなども用意されているので,もう,よりどりみどりだ。なぜか2Dアクションになった「Serious Sam Double D XXL」なんてのもあるよ。
気が向いたらプレイし,ひとしきり熱中したあと適当なところでやめてパタッと寝ちゃう,みたいな遊び方がふさわしい「Serious Sam」シリーズ。その輝きは,いつまでもなくならない。
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