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開催中の「第21回 文化庁メディア芸術祭作品展」会場で,エンターテインメント部門の大賞を受賞した「人喰いの大鷲トリコ」の上田文人氏に感想を聞いた
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印刷2018/06/14 16:45

イベント

開催中の「第21回 文化庁メディア芸術祭作品展」会場で,エンターテインメント部門の大賞を受賞した「人喰いの大鷲トリコ」の上田文人氏に感想を聞いた

画像集 No.001のサムネイル画像 / 開催中の「第21回 文化庁メディア芸術祭作品展」会場で,エンターテインメント部門の大賞を受賞した「人喰いの大鷲トリコ」の上田文人氏に感想を聞いた
 2018年6月13日から24日にかけ,第21回文化庁メディア芸術祭作品展が,東京都内の国立新美術館をメイン会場として開催されている。
 同イベントは,アート/エンターテインメント/アニメーション/マンガの4部門それぞれから優れた作品を選出して表彰するとともに,受賞作品の鑑賞機会を提供する催しだ。第21回となる今回は,全4192作品の応募作品のうち,海外からは過去最多となる98の国と地域から応募があったという。

 エンターテインメント部門では,ゲーム作品から「人喰いの大鷲トリコ」が大賞を受賞。また審査員会推薦作品には「Fate/Grand Order」iOS / Android)が選出されている。そんな本作品展の内覧会会場にて,「人喰いの大鷲トリコ」の上田文人氏に話を聞く機会が得られたので,その模様をお伝えしよう。

会場の模様
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「文化庁メディア芸術祭」公式サイト



4Gamer:
 「人喰いの大鷲トリコ」のエンターテインメント部門 大賞受賞おめでとうございます。まずは今のお気持ちを聞かせてください。

上田文人氏(以下,上田氏):
 ゲームだけではなく,エンターテインメント全般から選ばれたということで,とても嬉しく思っています。もともとゲーマー以外の人達にも遊んでもらいたいと考えて作ったタイトルなので,今回の受賞が,そういった人達に興味を持ってもらえるきっかけになってくれるとありがたいですね。

4Gamer:
 上田さんが手がけられた「ICO」や「ワンダと巨像」も,過去のメディア芸術祭で審査委員会推薦作品に選出されていますよね。ご自身では,どのようなところが評価されているとお考えですか。

上田氏:
 自分自身ではよく分からないのですが,できるだけ他のメディアを俯瞰するようにして制作している,という部分が評価につながっているのではないかと思っています。”俯瞰”というのは,ゲームの制作をしていくうえで,ゲームをそれ単体として捉えるのではなく,常にほかのメディア──例えば映画や小説,漫画などと比較し,それらに劣らないように考えながら進める,という事になります。メディアにおいて,ゲームタイトルとして評価されている部分があるとしたら,そういうところなのではないかと。

4Gamer:
 実際に「人喰いの大鷲トリコ」をプレイしてみて,トリコの自然な“動物らしさ”が非常に印象に残りました。2009年に4Gamerに掲載したインタビューで,上田さんは本作でやりたかったのは「新しい生物の創出」だとおっしゃっていましたよね。それを達成するために一番必要だったものは何だったでしょうか。

上田氏:
 技術的な話になってしまうのですが,自分としては,“アニメーション”ではないか,と考えています。ただ再生されているだけのアニメーションや,変化しないモーションだけではなく,プログラムやAIを交え,プレイヤーの操作に合わせて自律的に動きを変えることで,より生命感を出せるのではないかと。
 “animation”という名詞のベースとなる“animate”という動詞には,現実ではないキャラクターを動かす,命を吹き込む,という意味があるのですが,そういう意味において,今現在,”命を吹き込む”という意味に一番近いのは,セルアニメーションやCGアニメーションよりも,相互作用を持つゲームのキャラクターを動かすことなんじゃないか,と考えています。

上田文人氏。手にしているのは,会場の「人喰いの大鷲トリコ」ブースで無料配布しているポストカードだ(数に限りがあるとのこと)
画像集 No.007のサムネイル画像 / 開催中の「第21回 文化庁メディア芸術祭作品展」会場で,エンターテインメント部門の大賞を受賞した「人喰いの大鷲トリコ」の上田文人氏に感想を聞いた

4Gamer:
 なるほど。話は変わりますが,今回受賞した作品の中で気になったものがあれば教えてください。

上田氏:
 残念ながら,まだ「人喰いの大鷲トリコ」のブースしか見ていないのですが,ただアニメーション部門 大賞の「この世界の片隅に」をはじめ,多くの受賞作品は観ていたり知っていたりします。受賞作品リストも,全てに目を通せているわけではないのですが,never young beachの「お別れの歌」のPVが審査委員会推薦作品に選ばれていて嬉しかったです。個人的に「いいPVだな」と思っていたので。

4Gamer:
 どういった部分が気に入りましたか。

上田氏:
 スマートフォンで撮影したPVなのですが,新しいリアリティの表現だと感じました。たくさんの演出を加えてリアリティを出すのではなく,素の状態を切り取ってリアリティを出しているところが斬新だと思いました。

4Gamer:
 最後に,この受賞を共に喜んでいるだろうファンの方々と,今回初めて本作の存在を知り,これからプレイしてみようという人それぞれに向けて,メッセージをいただけますか。

上田氏:
 まず,まだプレイしていない皆さんには,「ゲームとはこういうもの」という先入観を持たずに,ニュートラルな気持ちで体験してほしいと思っています。そして,「ゲームの可能性」を感じていただけたらとてもうれしいです。
 そして,すでにプレイしているという皆さんへ。今回の受賞は,支えてくださった皆さんのおかげだと考えています。本当に感謝しています。

4Gamer:
 ありがとうございました。

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会場の「人喰いの大鷲トリコ」ブースには,原寸大のトリコとコミュニケーションを図れる「プロジェクション・トリコ」が設置されている。そのほか本作の試遊と,受賞を記念したトレイラーの鑑賞もできる
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「人喰いの大鷲トリコ」公式サイト

「文化庁メディア芸術祭」公式サイト

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