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「あんさんぶるスターズ!」のユニットを知るにはこの過去イベがおすすめ! 第4回(最終回):流星隊,Eden,教師,Trickstar編

 Happy Elementsがサービス中のアイドル育成プロデュースゲーム「あんさんぶるスターズ!」iOS / Android / PC。以下,「あんスタ!」)。各ユニットの歴史や魅力を知るために,膨大なストーリーの中から筆者がオススメしたい過去イベを紹介する企画記事の第4回(最終回)では,流星隊,Eden(Eve・Adam),教師,Trickstarについてお送りします。

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 記事内では,ストーリーを時系列順に整理しながら語っていきますが,まだ「あんスタ!」のストーリーを読んだことがない人や途中までの人は,できるだけ公開順に読むことをおすすめします。また紹介するおすすめストーリーの数は,ユニットのイベント登場数などによって異なりますのでご了承ください。

 なお,考察の内容はあくまで筆者の見解であり,絶対的な正解ではありません。また,ストーリーの核心的ネタバレには極力触れていませんが,未読の方はご注意ください。

「あんさんぶるスターズ!」公式サイト

「あんさんぶるスターズ!」ダウンロードページ

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おすすめストーリー〜流星隊編〜

  • メインストーリー第一部
  • スカウト!ヒーローショウ(2015年6月)
  • 出航!海上の海賊フェス(2015年7月)
  • 雪花*流星のストリートライブ(2015年12月)
  • 爆誕☆五色に輝くスーパーノヴァ(2016年5月)
  • 暗躍!月影の風雲絵巻(2016年9月)
  • バトンタッチ!涙と絆の返礼祭(2017年2月)
  • お化けがいっぱい☆スイートハロウィン(2017年10月)
  • 対向!星合う夜の天球戯(2018年6月)
  • 追憶*流星の篝火(2019年3月)
  • (※公開順)



■流星隊[リュウセイタイ]
〜悪は許さない戦隊ヒーローユニット!〜


 5色のヒーロー衣装に身を包んだ正義の味方。メンバーにはそれぞれのテーマカラーと口上がある,まさに“戦隊”ユニットで,アイドル活動のほかにも,隊長(リーダー)の守沢千秋が中心となってボランティア活動も行っている。メインストーリー第一部では, ある出来事によってメンバーがバラバラになっていたTrickstarを助けるヒーロー的存在として登場する。比較的出番は少ないものの物語上の“革命”には欠かせない存在で,ヒーローとしての彼らの原点を見ることができる。

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■ビッグバン〜超新星爆発


 夢ノ咲学院で最も長い歴史を持つユニット,流星隊。ヒーロー戦隊というコンセプトとユニット名は変わらずとも,その内情はこれまでに大きく変化してきました。「あんスタ!」のストーリーでは最も古い時系列(「Sagaシリーズ」等で描かれた12年前を除く)で,これまで断片的に語られてきた流星隊の “歴史の要”が紐解かれたのが「追憶*流星の篝火」です。この物語は現在軸から約2年前,現隊長である流星レッド・守沢千秋と流星ブルー・深海奏汰の出会いから始まります。五奇人の1人だった奏汰が革命の“犠牲”となった経緯や,かつての流星隊で副隊長(流星パープル)を務めていた三毛縞 斑の登場など,特大ボリュームの一作となっています。また,上記のおすすめには挙げていませんが,2年生時の千秋が登場するという点で「追憶*それぞれのクロスロード」(2017年7月公開)もあわせておすすめしておきます。

「追憶*流星の篝火」より
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 そして「ヒーローの名に反し,やる気のない集団になってしまっていた」流星隊を立て直し,隊長となった千秋が新入生3人を加えた5人の流星隊を結成。私たちの前に初めて登場したのがメインストーリー第一部です。彼らの活躍シーンは決して多くはありませんが,革命の中心人物の1人である明星スバルのピンチに駆けつけ,犠牲を厭わずTrickstarの勝利のために戦う姿が輝いていました。

 とはいえ序盤は,突き抜けたヒーロー愛と高いテンションで接する千秋と1年生たちの間に温度差が生まれます。流星ブラックの南雲鉄虎は,憧れの先輩である鬼龍紅郎の所属する紅月に所属を希望していたものの加入試験に合格することができなかった悔しさもあり,“ヒーローごっこ”ばかりの千秋に不満を爆発させました。その様子を描いたのが「スカウト!ヒーローショウ」です。なお,この話の前に「英雄遊戯」(高峯 翠キャラストーリー/春)を読んでおくと,この時期の隊員たちの様子や関係性がさらによく分かるかもしれません。

「スカウト!ヒーローショウ」より
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 しかし,何があっても揺らがない信念と熱意を見せる千秋に引っ張られるようにして,流星隊は次第にまとまりを見せていきます。そんな中で,ヒーローとして,さらにアイドルとしても覚悟を決めることができなかった流星グリーン・高峯 翠がフォーカスされた物語が「爆誕☆五色に輝くスーパーノヴァ」でした。以前にもつぶやいたことがある私見ですが,筆者はこの物語でのステージを(とくに1年生の)“誕生”のメタファーだと考えています。“爆誕”というタイトルどおりと言えばそうなのですが,暗い舞台裏から明るいステージに放り出されて何もできなくなってしまった翠は,産道をとおって生まれた瞬間に上手く産声をあげられなかった赤ん坊を思わせます。けれど,そんな彼をありのまま受け止めてくれる仲間たちに支えられ,彼はようやくこの世界で呼吸ができるようになったのではないかと感じられました。

「爆誕☆五色に輝くスーパーノヴァ」より
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■星の子どもたちの成長〜未来へ


 高校生の“2歳差”は大人のそれよりも大きく,1年生から見る3年生は,容易に超えられない存在に感じられるものです。そのうえ流星隊は3年生2人+1年生3人という構成であるため,日頃からそういう“かたまり”になりやすくもあります。「対向!星合う夜の天球戯」は,弱い者を見過ごせず過保護になりがちな千秋が,ある思惑から1年生をTrickstarに預けることになるストーリーです。これはその1年生3人にフォーカスした物語で,千秋と奏汰と離れたことで「自分たちはもっと自立しなくてはいけない」という想いを新たにするのでした。

 そして夏本番,5人のいい意味での凸凹っぷりが微笑ましく,ヒーローモチーフではないかっちりした衣装も格好いい「出航!海上の海賊フェス」などを経たのち,初秋の「暗躍!月影の風雲絵巻」では流星イエロー・仙石 忍にスポットが当てられました。彼は幼い頃から忍者が好きで“ぼっち”になりがちな男の子でしたが,流星隊と出会い,自分が中心の1人となったライブを経験することで「胸を張って『好き』を伝えていく」と決意します。このストーリーにおける忍の長セリフは,「なくても生きてはいけるけど,それがあるから頑張れる,生きるのが楽しくなる」ものがあるすべての人に刺さる名言だと思います。

「暗躍!月影の風雲絵巻」より
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 秋のもう1つのおすすめは「お化けがいっぱい☆スイートハロウィン」です。コミカルに描かれた千秋の“弱点”やドヤ顔の翠,斑と奏汰の絡みなど,こちらも見どころが多い物語となっています。そして冬,筆者にとって思い出深いのが「雪花*流星のストリートライブ」です。これは2winkの葵兄弟の関係性がメインのストーリーなのですが,この2人の問題に少しだけ関わった鉄虎の姿に胸を打たれました。鉄虎は紅月への未練を抱えながらも,与えられた立場で自分にできることを精一杯頑張って成長し,葵兄弟のすれ違いを解決する糸口を示すのです。なお,ここでの“赤い色”をめぐる千秋と鉄虎の会話も非常に良いものなので,ぜひ注目していただきたいです。
 
 おすすめストーリーのラストを飾るのは,流星隊の2人が卒業を迎える早春の物語「バトンタッチ!涙と絆の返礼祭」をおいてほかにはないでしょう。ここでとくに焦点が当てられたのは,流星隊の1年生の中で最も“遅咲き”だった翠でした。前述のとおり彼は「スーパーノヴァ」において少しだけ前向きになれましたが,それでもやはり,彼が「もともとアイドルを目指していたわけではなかった」という後ろめたさや罪悪感は周りが思う以上に重いものだったことが分かるのです。けれど心の底では大好きだったみんなが,ほかでもなく自分に助けを求めていることに気づいたとき,彼はようやく“ヒーロー”として仲間のもとへと駆けつけます。この物語におけるラストの5人の名乗りは,これ以上なく爽やかな感動をもたらす幕切れだと感じました。

「バトンタッチ!涙と絆の返礼祭」より
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■キャラクター別おすすめストーリー


■守沢千秋

 千秋は等身大の男子高校生らしく,たびたび後輩との付き合い方や隊長としてのあり方などに悩みます。しかしそのたびに,自分で自分を盛り上げているかのような高いテンションでみんなを引っ張っていきました。「スカウト!ヒーローショウ」では初めて彼の“弱さ”が明らかとなりましたが,紅月の鬼龍紅郎が翠に「昔の守沢に似ている」と言い,少し前の千秋は今とまったく雰囲気が違っていたことが間接的に明かされたのが「スカウト!熱血硬派」(2015年11月公開)でした。なお,気弱だった頃の千秋は先ほど挙げた「追憶*流星の篝火」「追憶*それぞれのクロスロード」のほか,「スカウト!ギャング」(2018年4月公開)でも少しだけ描かれています。

 かつての流星隊副隊長だった斑と千秋の関係性も注目に値します。ユニットの箱イベ以外で彼らが絡む話では,斑が「あんスタ!」の世界に初登場した「花吹雪*皐月の藤紫」(2017年4月公開)や,「スカウト!バディ」(2018年7月公開)などがあります。
 また正式なメンバーではないものの,かつて「流星レインボー」だったことや,アイドル時代に特撮番組で活躍していたことから,千秋が深く尊敬しているのが夢ノ咲学院教師の佐賀美 陣です。千秋と陣のストーリーもまた多いのですが,そのリスペクトっぷりがコミカルな「伝説のヒーロー!」(守沢千秋キャラストーリー/夏),千秋の“例の弱点”が描かれた「ナイトウォッチ」(守沢千秋キャラストーリー/春),彼ら2人が1年をとおして長いプロジェクトに関わり,同じユニットとして活躍した「Saga*かけ上がるレインボーステージ」(2018年9月公開)と「Saga*ぶつかり合うリバースライブ」(2018年12月公開)はおさえておきたいところでしょう。
 なお,千秋のクラスの中での立ち位置と高校生らしい無邪気な面が見られるものでは「スカウト!荒野のガンマン」(2016年6月公開)がおすすめです。

「Saga*かけ上がるレインボーステージ」より
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 彼のモチベーションというかパワーの源は,言うまでもなく“ヒーロー”です。眼鏡をかけた臆病な少年だったころも,4人の隊員を率いる立場になった今も「ヒーローならどうする?」と自問自答し,どう行動すべきかを決めているように感じられます。ユニット以外でとくに目をかけていたTrickstarの明星スバルについては,メインストーリー第一部のみならず,それ以前にも彼を救っていたことが「奇跡☆決勝戦のウインターライブ」(2017年12月公開)から分かります。また,かつての自分と似た立場の2winkの葵 ひなたを気遣う「航海!早春のクルージングライブ」(2018年2月公開)でも,雑そうに見えて細かいところまで目が行き届く千秋の優しさが描かれました。彼は自分の弱さを知っているから,こうして周りを勇気づけてあげることができるのかもしれません。弱点も欠点もあるからこそ,それも含めて実に“ヒーロー”らしい人だと思います。


■深海奏汰

 学校の噴水で時期を問わず“ぷかぷかする”というのはなかなかの奇行だと思いますが,奏汰はただの“変わった人”ではありません。普通の人とかけ離れた出自と立場をうっすら匂わせてはいたものの,長いこと明らかになっていませんでした。彼の正体を知っているのといないのとではストーリーを読んだときの印象が変わる気がするので,ユニットおすすめで挙げた「追憶*流星の篝火」を読んだあと,彼の登場する話をもう一度読み返してみるのも面白い試みではないかと思います。

 ユニット以外で彼が親しくしている人といえば,最初に挙げられるのはUNDEADの羽風 薫でしょう。薫は他人に踏み込まれるのを嫌がるぶん,周りと接するときもある程度の線引きをしているように思え,奏汰とは距離感がちょうど良かったように感じられます。部活も同じなので登場ストーリーは多数ですが,筆者のおすすめは「揺らめく水面」(羽風 薫キャラストーリー/春),「ドロップ*遠い海とアクアリウム」(2017年9月公開),「スカウト!十二支(後編)」(2018年1月公開)などです。あと個人的には,非常に短い会話ですが前述の「バトンタッチ!涙と絆の返礼祭」でのプロローグとエピローグもぜひ。薫本人は出てこないものの,彼の大切な“あるもの”を奏汰が守ろうとする「スカウト!コミックワールド」(2018年7月公開)も,おまけとしておすすめしておきます。

 また彼は,独自のテンポながら意外と後輩との絡みも多く,流星隊の子供たち以外では2winkをお世話することになった「スカウト!シークレットラビリンス」(2019年4月公開)があります。部活の後輩である紅月の神崎颯馬とのストーリーでは,上記の「ドロップ*遠い海とアクアリウム」のほか「魚心あれば水心」(神崎颯馬キャラストーリー/春),颯馬と衣装交換をする「特訓!凸凹なペアレッスン」(2015年10月公開),「花吹雪*皐月の藤紫」をぜひ。「アクアリウム」と「藤紫」は,斑との関係性や会話にもご注目を。

「花吹雪*皐月の藤紫」より
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 奏汰といえば,五奇人の存在も忘れてはいけません。と言っても五奇人だった当時のストーリーはあまりないのですが,「神々の戯れ」(朔間 零キャラストーリー/夏)や「スカウト!エキセントリック」(2016年12月公開)は,現在の彼らとの穏やかなやりとりが見られておすすめです。またもう1つ忘れてはいけないのが,1話のみの会話ですが「演舞 天の川にかける思い」(2016年6月公開)での宗とのやりとりです。七夕ステージにおける宗の戦いもインパクトがあるものでしたが,それを評した奏汰の言葉も非常に印象的だったと感じた方も多いのではないでしょうか。


■南雲鉄虎

 鉄虎は年頃ならではの悩みを抱える一方で,すごく大人な一面を見せるときもあります。彼は子どもと大人の中間で揺れ動いているイメージがあり,そういう意味で非常に高校生らしいと言えるでしょう。

 ときどき猪突猛進に突っ走ってしまうけど,いつも目の前のことに一生懸命。そんなイキイキとした男子らしさを感じさせるのは,夏の照りつける太陽(と水着)が眩しい「灼熱☆海辺のビーチマッチ」(2016年8月公開),夏祭りライブに奮闘する「打ち上げ!夜空の流星祭」(2017年6月公開),ウィンタースポーツを楽しむ「スカウト!スノーボード」(2018年11月公開),クラスメイトとカードゲームに興じる「スカウト!カードバトラー」(2017年4月公開)やスマホゲームを遊ぶ「スカウト!ラウンドゲーム」(2019年6月公開)などがあります。また,「スカウト!ケダモノ」(2018年3月公開)では,彼は“男らしさ”を追求するため,あるきっかけでKnightsの鳴上 嵐のもとを訪れます。この話はジェンダーの絡んだ少し難しい問題に触れていますが,鉄虎は持ち前の懐の深さを見せ,きっと素敵な大人の男性に成長していくのだろうなと予感させました。

 そして鉄虎といえば,空手部の先輩である紅月の鬼龍紅郎の存在が重要です。出会いのきっかけそのものは明らかになっていないものの,彼は紅郎を心から尊敬しています。紅郎とは同じユニットになることはできませんでしたが,部活動などをとおしてたくさんのストーリーが展開されました。おすすめとしては,ドラマ出演の決まった紅郎を応援する「スカウト!熱血硬派」(2015年11月公開),紅郎との念願のステージ共演が叶った「剣戟!月光浪漫の歌劇」(2016年1月公開),「スカウト!鬼ヶ島」(2019年2月公開)などがあります。しかしなんといっても一番は,メインストーリー第一部の始まりである【竜王戦】をふまえたうえで,翌年の物語である「スカウト!拳闘の四獣」(2017年2月公開)を読むことでしょう。

「スカウト!拳闘の四獣」より
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 鉄虎は紅月の紅郎の“紅い色”に憧れ,流星隊隊長の千秋の“レッド”に導かれ,成長していきました。1年生はとくにそうですが,彼もまた,ストーリーを時系列順に追うとその成長がよく分かるのではないかと思います。あらためての紹介となりますが,個人的おすすめはやはり「メインストーリー第一部」→「スカウト!ヒーローショウ」→「爆誕☆五色に輝くスーパーノヴァ」→「雪花*流星のストリートライブ」→「スカウト!拳闘の四獣」&「バトンタッチ!涙と絆の返礼祭」でしょう。次の流星隊を背負う1人として,ますます大きくなっていく彼の姿が想像できるのではないかと思います。


■仙石 忍

 体は小さいけれど,誰よりも大きな伸びしろを持つのが忍です。もともと引っ込み思案でぐいぐいと前に出るタイプではありませんが,ストーリーを読み込んでいくと,彼は大人でも感心するくらい尊敬すべき生き方をしていると感じさせられます。

 そんな彼のおすすめストーリーは,序盤の初々しさがまぶしい「スカウト!ピカピカの一年生」(2017年3月公開),2winkの葵 ゆうたとの衣装交換が見られる「特訓!凸凹なペアレッスン」,放送部で奮闘する「スカウト!夢ノ咲青春RADIO♪」(2016年2月公開),突如現われたMaMの三毛縞 斑に誘拐(?)される「花吹雪*皐月の藤紫」,そして「金色の風*励ましのウィッシングライブ」(2017年11月公開)などがあります。「スカウト!秋の森」(2018年10月公開)では葵 ゆうたからリスのお世話を頼まれ,「スカウト!登竜門」(2019年9月公開)では奏汰が拾った鯉を救おうと奮闘するのですが,動物×忍の組み合わせは非常に和むな……と癒やされておすすめです。

 彼が愛してやまないものは忍者ですが,その忍者愛がとくに伝わってくるものは,颯馬との名コンビぶりがコミカルな「武者と忍者」(仙石 忍キャラストーリー/春),忍のピュアさに心が洗われる「スカウト!中二病トラブル」(2019年3月公開)がおすすめですが,やはりユニットおすすめで挙げた「暗躍!月影の風雲絵巻」がなんといってもナンバーワンでしょう。
 また,忍者好きの彼にとっての恩人たる存在(忍者同好会立ち上げに協力した)がTrickstarの衣更真緒です。真緒との絡みも多いですが,ここまでに挙げた以外では「春嵐!花舞う桜フェス」(2015年5月公開)や「スカウト!情熱のカルメン」(2016年8月公開)をぜひどうぞ。

 彼は日々忍者として鍛錬を怠らず,コツコツとがんばっています。的に当てられなかった手裏剣が当たるようになり,飛び越えられなかった葦を越えられるようになる。努力は必ず実を結ぶことを知っているから,信じる心が揺るがない。それこそが彼の強さだと思います。
 最後に紹介するのは,3年生卒業後のストーリーである「スカウト!苺狩り」(2016年3月公開)です。これからの流星隊を支える1人として,翠を励ます姿に胸を打たれます。そんな彼は,もう誰よりも“でっかい男”なのだなと感じました。

「スカウト!苺狩り」より
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■高峯 翠

 夢ノ咲学院の1年生は“成長”がテーマだと思うのですが,翠のそれはとてもゆっくりとしたものでした。まるで彼の名前である「みどり」,つまりは植物のように。
 そんな彼のおすすめは,穏やかなものではRa*bitsの紫之 創とSwitchの青葉つむぎという“癒やし系”が揃った「スカウト!ビブリオ」(2017年6月公開),謎の巻物に夢中になる忍に合わせてあげる優しさがしみる「スカウト!中二病トラブル」,3年生卒業後の忍との会話がとてもいい「スカウト!苺狩り」などです。筆者のイチ推しは,【SS】を終えた年明けの真緒との会話が見られる「スカウト!初夢物語(前半)」(2018年12月公開)となっています。

 また,何事にも腰の重い彼が前のめりになるほどの“ゆるキャラ愛”が見られるものでは,紅月の蓮巳敬人の絵のうまさに一目置く様子を見られる「暗躍!月影の風雲絵巻」,ゆるキャラのために最高のアイドルスマイルを見せた「出航!海上の海賊フェス」「ハプニング◆反転のミュージックフェスタ」(2018年9月公開)。さらに,リスペクトが高じて“画伯”と呼ぶまでになったfineの伏見弓弦との絡みが見られる「雪花*流星のストリートライブ」「ノエル*天使たちのスターライトフェスティバル」(2017年11月公開)があります。

 彼の武器の1つは,その気もなかったのに“うっかりアイドル科に受かってしまう”,つまり持ち前の美貌というポテンシャルです。そんな彼の「やるときはやる!」な姿を見たい人には「学院祭★ドタバタの駆け出しヒーロー」(2018年5月公開),前述の「出航!海上の海賊フェス」「対向!星合う夜の天球戯」,極めつけに「マーブル♥心を込めたショコラフェス」(2019年1月公開)をおすすめしておきます。

「マーブル♥心を込めたショコラフェス」より
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 彼は間違ってアイドル科を受験して合格してしまい,今の道を進むことになりました。したがって中盤〜終盤近くまでは何事にもやる気が見られなかったのも事実です。けれど少しずつ,それこそ草木のようにゆったりとしたスピードで変わっていったようにも思えます。彼は立ち止まってしまうことは多くても,学院をやめたりはしなかったし,決して流星隊から抜けようともしませんでした。そしてそれができたのは,最後まで根気よく彼を励まし続けた流星隊隊長・千秋を始めとしたみんながいたからではないかと思います。
 千秋との物語は数多いですが,あえて選ぶとすれば,ざっくりと時系列順に「スカウト!ヒーローショウ」「爆誕☆五色に輝くスーパーノヴァ」「スカウト!熱血硬派」「お化けがいっぱい☆スイートハロウィン」「雪花*流星のストリートライブ」「バトンタッチ!涙と絆の返礼祭」,そして「スカウト!苺狩り」(※千秋は不在)でしょうか。ちなみに,筆者が個人的に好きなのが「スカウト!十二支(前編)」(2017年12月公開)です。実はこの話に千秋は出てこないのですが,翠の千秋に対する本心が見えるようで,ほっこりできておすすめです。


■クライマックスは,終わらない


 筆者が流星隊を見ていて「いいな」と思うのは,彼らは1人1人に“三度の飯より(?)好きなものやこだわりがある”ことです。千秋はヒーロー,奏汰はおさかなや海,鉄虎は男らしさ,忍は忍者,翠はゆるキャラ。この“突き抜けた好き”という感覚は,身も蓋もない言い方をすれば,とても“オタク的”だなと思います。そういう意味でみんな別方向に情熱を持つ人たちと言えますが,彼らは基本的にお互いの“好き”という気持ちを否定しません。そういうところもひっくるめて受け入れ合い,ぶつかり合ってまた受け入れ合う5人というイメージが筆者にはあります。

 アメコミや映画,テレビで見られるヒーローは,日常の姿は意外と平凡だったり,駄目なところがあったりするものです。しかし,ひとたび変身すれば誰かのピンチに駆けつける“正義の味方”になります。千秋もどこかで近いことを言っていたような気がしますが,ヒーローの多くには変身ポーズとヒーロー衣装,名乗りの口上があり,これは彼ら自身が日常からヒーローへと変身するための“スイッチ”だと言えるでしょう。同時に,衣装やポーズは助けを求める誰かにとっての“目印”でもあるのかもしれません。さらに言うならば,流星隊にとってもこの変身は「お互いにとって自分たちも味方であり,お互いがお互いのヒーローである」ことを確かめるための儀式のようにも感じられます。

 「ヒーローとは?」に関しては,数ある千秋のセリフがそれをよく説明してくれています。ヒーローは決して“想い”を否定しない。誰かの願いを守り,叶え,味方でいてくれる……。流星隊の5人はその「ヒーロー像」を軸に,自分たちがどう生きるべきか,何をすべきかの答えを見つけられたような気がします。彼らには年齢差があるけれど,年上組が引っ張り,年下組はそれに引っ張られていくだけではありません。千秋も奏汰も1年生たちと過ごすことで成長していくし,鉄虎と忍と翠も3年生たちにたくさんの可能性を示すことができる。そうして流星隊という“魂”は,次の世代へと受け継がれていくのだと思います。

 「ひとりはみんなのために,みんなはひとりのために」。流星隊はみんなのために,そして,みんなも流星隊のために。彼らが私たちに希望を与えてくれるように,5人を応援する声が,彼らに揺るぎない勇気と力を与えてあげられるのかもしれません。
 彼らの最終回は,きっとまだまだずっと先なのでしょう。だからこれからも,「頑張れ流星隊! 頑張れヒーローたち!」と,声の限りに応援していけたらと思います。

「バトンタッチ!涙と絆の返礼祭」より
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おすすめストーリー〜Eden(Eve,Adam)編〜

  • 追憶*集いし三人の魔法使い(2016年8月)※登場なし
  • 輝石☆前哨戦のサマーライブ(2017年7月)※Eve
  • 軌跡★電撃戦のオータムライブ(2017年10月)※Adam
  • 奇跡☆決勝戦のウインターライブ(2017年12月)※Eden
  • Saga*ぶつかり合うリバースライブ(2018年12月)※Eve/Eden
  • 駆け引き◆ワンダーゲーム(2019年2月)
  • (※公開順)



■Eden[エデン]

 玲明学園の巴 日和と漣 ジュンのユニット“Eve(イブ)”と,秀越学園の乱 凪砂と七種 茨のユニット“Adam(アダム)”が合体したユニット。茨が経営に関わる芸能事務所「コズミック・プロダクション」に所属しており,アイドル業界において他の追随を許さぬ実力と人気を誇る。メインストーリー第二部のキセキシリーズで,【SS】に挑むTrickstarのライバルとして登場する。なお,日和と凪砂は元夢ノ咲学院生で,天祥院英智と青葉つむぎとともにかつての「fine」に所属していた。

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 「あんスタ!」における初の他校ユニット“Eden”。Edenとしてはアイドル業界の一大イベント,年末の【SS】でTrickstarの対戦相手として姿を現すのですが,その前に,夏の【サマーライブ】で“Eve”として巴 日和と漣 ジュンが,秋の【オータムライブ】で“Adam”として乱 凪砂と七種 茨が登場していました。それでは,順を追って彼らを紹介していきましょう。

 彼らの歴史を知るにあたり,最初に読んでいただきたいのはやはり「エレメント」こと「追憶*集いし三人の魔法使い」です。4人ともこのストーリーには登場していないのですが,過去の夢ノ咲学院で天祥院英智が革命を起こそうとしていた際,五奇人を倒すためのユニットとして現Switchの青葉つむぎと組んだのが“fine”で,日和と凪砂はそのメンバーだったためです。このときの革命というか抗争は日和と凪砂にも大きな影響を与えていたはずなので,彼らが何を見ていたかを知る意味でぜひおさえていただきたいと思います(同じ理由で「追憶*モノクロのチェックメイト」(2017年5月公開)も)。英智の革命の後で日和と凪砂はfineを脱退し,日和は玲明学園へ,凪砂は秀越学園へ転校します。そこで彼らはEveとAdamになります。


■Eve〜日和とジュンについて〜


 Eveは「輝石☆前哨戦のサマーライブ」で私たちの前に初めて姿を現しました。その1人である日和は,英智が「(悪い意味で)もう1人の自分」,北斗が「テンションの高い変人。やりにくさは英智に似ている」と語るように,選民意識がある御曹司という面は英智に近いと感じさせます。しかし,筆者の考える彼らの一番の共通点は「アイドルをこよなく愛し,アイドル業界がより良くなることを望んでいるところ」です。「輝石☆前哨戦のサマーライブ」における日和(というよりEve)はTrickstarの“敵”ではあるのですが,そのアイドル愛や彼の持ち前の天真爛漫さが,見る人を強く惹きつけるのもまた事実でした。

「輝石☆前哨戦のサマーライブ」より
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 もう1人のメンバーである漣 ジュンは,元アイドルの父を持ちます。しかし,ジュンの父はかつてのスーパーアイドル・佐賀美 陣の“噛ませ犬”として業界から利用され,そのまま一線を退いてしまいました。ジュンは陣に対して「これは復讐ではない」と言いながら,父の無念と,学園の底辺からのし上がったハングリー精神をステージで爆発させます。しかしこれもまた,父やアイドルに対するジュンの愛の裏返しのようにも感じられます。強いネガティブな感情を持てるということは,深い愛情を持てることにほかならないからです。

「輝石☆前哨戦のサマーライブ」より
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 Eveの結成のきっかけは,特待生だった日和が,奴隷のようにこきつかわれていた一般生徒のジュンを“拾った”ことでした。そのため彼らには主従関係ができあがっているのですが,ここで思い出すのは日和が“ブラッディ・メアリ”と名付けてかわいがっている犬のことです。ブラッディ・メアリは捨て犬ですが,日和の強い希望で,ジュンと暮らす寮の一室でこっそりと飼われています。大切なものには惜しみなく愛情を注ぐ日和と,はっきりとは口に出さないけれど感謝と愛を胸に秘めているジュン。Eveの2人は始まりの形がどうあれ,愛と恩,信頼によって強いつながりがあることが感じられます。


■Adam〜凪砂,茨について〜


 夏のまぶしい太陽の下がよく似合うEveが“陽”なら,闇を感じさせるAdamは“陰”といったところでしょうか。凪砂は口数が少なく,茨はよく喋るタイプですが,どちらも非常に真意が掴みにくいため,余計にそう感じさせるように思います。

 彼らが初登場した「軌跡★電撃戦のオータムライブ」は,「輝石☆前哨戦のサマーライブ」で辛酸を嘗めたTrickstarにとってのリベンジマッチでした。しかし,ここで初めて存在が明らかとなった芸能事務所のコズミック・プロダクションとその経営に関わる茨は,これまでの「あんスタ!」には登場しなかったタイプの“明確に悪意を持った敵”として立ちはだかります。凪砂は茨の指示に従うだけではあるものの,この物語で日和が明かしたその生い立ちからは,彼が類稀なる才能を持った存在であることが示唆されており,脅威となるのです。

「軌跡★電撃戦のオータムライブ」より
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 少しメタな話になりますが,筆者は「あんスタ!」に本当の意味での悪人はいないと思っています。しかし「軌跡★電撃戦のオータムライブ」時点での茨と凪砂は最後まで人間性の深いところが見えず,判断を保留するにとどまりました。とはいえ彼らには“悪側”だからこその強い魅力を感じたのもまた事実。物語は,主人公だけでなく悪役も魅力的であるほど面白くなる……そんなことを感じました。

「軌跡★電撃戦のオータムライブ」より
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 なお,EveとAdamの4人を知るには各個人のキャラクターストーリーも必見ですが,茨に関しては,fineの伏見弓弦と幼少期に同じ軍事施設にいたことが明かされた「スカウト!ギャング」もぜひ読んでいただきたい話となっています。


■Edenについて


 EveとAdamの合体ユニット“Eden”が満を持して登場したのが「奇跡☆決勝戦のウインターライブ」です。年末の【SS】といえば,これまたメタな話ですが「あんスタ!」がリリース当初から何年も引っ張ってきた一大イベントでした。ただ「あの重要イベントがついに!」と言って敵となるポジションのアイドルを登場させるのではなく,【サマーライブ】と【オータムライブ】そして【ウインターライブ】と,3段階にわたってライバルの脅威を描いていったことに唸らされました。

 もう1つ筆者が面白いと感じたのは,強大な敵として現れたEdenはEveのときともAdamのときの空気とも違うカリスマ性を漂わせていたものの,蓋を開けてみたらいい意味での“家族感”が伝わってきたところです。日和とジュン,凪砂と茨というユニット内の関係性だけでなく,幼い頃を共に過ごした日和と凪砂,同じハングリーさのあるジュンと茨など,彼らにはクロスしたつながりもあるわけです。Trickstarからしてみればこのうえなく高い壁には違いないのですが,【ウインターライブ】は,彼らもまたみんなと同じ“一番”を目指すアイドルであることが強く伝わる一戦となりました。【SS】で起きた問題は後々まで影響する事件となるのですが,ここでアイドルたちが見せた解決方法は実に痛快だったなと思います。これから何度でも彼らがぶつかり合うところが観たいし,アイドルを愛するすべての人におすすめしたいストーリーです。

「奇跡☆決勝戦のウインターライブ」より
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 時系列としては前後しますが,メインストーリー第三部であるSagaシリーズの後編,「Saga*ぶつかり合うリバースライブ」でもEdenとしての4人を見ることができます。時期は夏,Edenとして顔を合わせてからまだ日が浅い頃の物語ですが,ここではProject-Saga(サガ計画)の中心である夢ノ咲学院教師の元スーパーアイドル・佐賀美 陣と因縁の深いジュンや,ジュンを気遣う3人の姿が見られたり,【SS】での事件につながっていくと思われる不穏な動きがあったことも明らかになったりします。

 ラストに紹介するのは「駆け引き◆ワンダーゲーム」です。これは時期的には3年生の卒業前で,Switchの青葉つむぎを中心としたストーリーです。ここでは,日和と凪砂が夢ノ咲学院生だった頃の“旧fine”時代に開催されるはずだったライブ【ワンダーゲーム】が形を変えて復活するのですが,夢ノ咲学院のみならず,これからのアイドル業界の未来が示唆される点が多くあり,見逃せない一作となっています。

「Saga*ぶつかり合うリバースライブ」より
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おすすめストーリー〜教師編〜

  • メインストーリー第一部
  • 懐古*嘘つきたちの偶像(2016年4月)
  • 懐古*センチメンタルライアーズ(2017年4月)
  • Saga*かけ上がるレインボーステージ(2018年9月)
  • Saga*ぶつかり合うリバースライブ(2018年12月)
  • (※公開順)



■佐賀美 陣&椚 章臣

 夢ノ咲学院で教師を務める2人。陣はスポーツドクターである傍ら,授業では一般教養を教える。章臣はアイドルの専門科目と生徒指導を担当し,生徒会の顧問も務める。2人は夢ノ咲学院のOBで,陣は当時のトップアイドルだった。もともとモデルをやっていた章臣は,彼に憧れてアイドルに転向している。

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■感傷的な嘘つきたち


 飲兵衛で不摂生,教師らしからぬ振る舞いを見せる陣と,真面目で厳しいイメージの章臣。彼らが最初に登場したメインストーリー第一部をはじめとするいくつかのストーリーでは,章臣が目上の陣を叱る姿がよく見られました。そんな彼らも昔はアイドルだったらしいという情報は早くからありましたが,当時に遡り,アイドル時代の2人をしっかりと描いたのが,「あんスタ!」初のエイプリルフールに公開された「懐古*嘘つきたちの偶像」でした。

 この物語での陣はすでに,トップアイドルであることに疲弊しています。それは時間的にも体力的にもきついスケジュールをこなし続けていたからだけでなく,自分の心に反するような売られ方や業界の闇に触れ続けてきたせいでもありました。そして,そんな彼を無邪気に慕うのが章臣です。現在の姿とはかなり印象が異なるピュアでかわいらしい見た目ですが,真面目すぎるほど真面目なところは当時からあまり変わっていないとも言えるでしょう。

「懐古*嘘つきたちの偶像」より
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 そして次のエイプリルフールには,「懐古*嘘つきたちの偶像」の続編とも言える「懐古*センチメンタルライアーズ」が公開されました。ここでは章臣が陣と同じステージに上がれるほどのアイドルになった姿を見られますが,同時に陣の“限界”もすぐそこまで迫っていました。はっきりと描写はされていませんが,その後の彼らは腐りきった業界に風穴を開けるべく暴れまわったのだそうです。若かりし頃の陣と章臣もまた,今の夢ノ咲学院のアイドルたちと同じように悩み,怒り,奇跡を起こすべく戦っていたことが分かります。それを踏まえて「メインストーリー第一部」での彼らのセリフを聞くと,より深い味わいが得られるのではないかと思います。命をかけて王座を守ろうとしたfineの天祥院英智と,みんなの期待を背負ってそれに挑むTrickstar。おそらく彼らは,どちらの気持ちも分かるはずだから。

「懐古*センチメンタルライアーズ」より
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■虹の階段


 陣と章臣がアイドルとして一時的に復活した,通称「Sagaシリーズ」。これは「あんスタ!」のメインストーリー第三部ですが,夢ノ咲学院における特定のユニットが登場していないのになぜそのような大きな扱いなのか? というのは,ストーリーを読んでみればおのずと分かるはずではないかと思います。

 まずは第1弾,「Saga*かけ上がるレインボーステージ」です。【DDD】の少し後,雑誌の低予算企画として,引退したアイドルの復活を目的とした「Project-Saga(サガ計画)」が発足。かつてのスーパーアイドルだった陣は,ある人物からの“断れない”依頼でそれに参加することになります。サガ計画には復活したアイドルが師匠となって若手を育てるという側面もあり,陣はTrickstarの北斗を誘って臨時ユニットを結成します。ほかに参加することになるのはfineの姫宮桃李と流星隊の守沢千秋で,ユニットは“Rain-bows”と名付けられました。もう1人の教師である章臣もある理由から臨時ユニット“Ba-barrier”を結成,こちらにはSwitchの春川 宙,Valkyrieの影片みか,MaMの三毛縞 斑が加わります。
 「Saga*かけ上がるレインボーステージ」には見どころがたくさんありますが,そのうちの1つは陣が語る“アイドル史”でしょう。まるで神話か何かのように壮大な物語は,過去から現在,そして未来に続いていくことを予感させます。同時にやや不穏な“見えざる力”も感じさせ,先の見えない展開になっていくのです。

「Saga*かけ上がるレインボーステージ」より
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 第2弾の「Saga*ぶつかり合うリバースライブ」には,北斗の父・氷鷹誠矢が登場します。彼も陣と章臣と同様に夢ノ咲学院のOBで,いまだに現役のスーパーアイドルとして活躍しています。そして彼もまた「サガ計画」に参入し,Eveの日和とジュンとともに臨時ユニット“Lilith”を結成し,陣たちの前に立ちはだかりました。彼の真意や勝負の行方,プロジェクトの目的については,ぜひストーリーで確かめていただければと思います。大変ボリュームのある一作ですが,これからの「あんスタ!」にとって非常に重要な物語となっておりますので,ぜひ。


■キャラクター別おすすめストーリー


 教師2人にはメインストーリー以外にもおすすめがありますので,短いですが最後にそちらも紹介しておきたいと思います。

■佐賀美 陣

 実は幼い頃から接点があった北斗との会話が見られる「委員長と担任教師」(氷鷹北斗キャラストーリー/夏)はコミカルでおすすめです。正式なメンバーではなかったものの,流星レインボーとして流星隊の助っ人をしていたり,アイドル時代に特撮番組で活躍していたりしたことからリスペクトを受けている守沢千秋とのストーリーは,「ナイトウォッチ」(守沢千秋キャラストーリー/春),「伝説のヒーロー!」(守沢千秋キャラストーリー/夏)をどうぞ。
 「スカウト!初夢物語(後半)」(2019年1月公開)は,女の子に恋をさせるようなアイドルという共通点があるUNDEADの羽風 薫との会話が深いです。メインストーリー第二部キセキシリーズの第1弾,「輝石☆前哨戦のサマーライブ」の前フリとも言えるのが「呪いの落胤」(漣 ジュンキャラストーリー/夏)。ジュンとの関係はSagaシリーズに続くものでもありますので,ぜひおさえておきたいところです。


■椚 章臣

 残念ながら章臣はアイドルたちのキャラクターストーリーには登場していないのですが,イベントストーリーなどでその姿を見られます。筆者のおすすめは,まずは「スカウト!夜の怪談」(2015年7月公開)。このとき章臣がこっそり明かす話は,のちの伏線にもなっています。わんぱくな1年生たちを追いかける「スカウト!浮き世エアライド」(2017年5月公開)や「挑戦!願いの七夕祭」(2015年7月公開)からは,何かと厳しい普段の態度は,かわいい生徒の将来を案じるからこその行動だということが伝わってきます。また,章臣を想うKnightsの鳴上 嵐とは「リメンバー 真夏の夜の夢」(2016年7月公開)で非常にいい雰囲気を見せているのでぜひ読んでいただきたいです。
 なお,陣と章臣の私服を見られるのは「清夏!サマーキャンプ」(2016年7月公開)です。こちらもぜひどうぞ!


おすすめストーリー〜Trickstar編〜

  • メインストーリー第一部
  • 春嵐!花舞う桜フェス(2015年5月)
  • リメンバー 真夏の夜の夢(2016年7月)
  • 太神楽!祝いのニューイヤーライブ(2016年12月)
  • 追憶*春待ち桜と出会いの夜(2017年3月)
  • 輝石☆前哨戦のサマーライブ(2017年7月)
  • 軌跡★電撃戦のオータムライブ(2017年10月)
  • 奇跡☆決勝戦のウインターライブ(2017年12月)
  • 対向!星合う夜の天球戯(2018年6月)
  • 噪音◆渦巻くホラーナイトハロウィン(2018年10月)
  • Link♪ここから始まるシンフォニア(2019年9月)
  • (※公開順)



■Trickstar[トリックスター]
〜学院の一番星をめざす新星ユニット!〜


 長らく生徒会に抑圧されてきた夢ノ咲学院に革命を起こそうと立ち上がった,メインストーリーにおける“主人公”ポジションのユニット。メンバー全員が2年生で,第一部時点では結成から半年ほどしか経っておらず,揃いのユニット衣装や持ち曲もない状態だった。その後は全国のアイドルたちの頂点を決める一大イベント【SS】に向けて奮闘していくことになる。

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■革命を起こした“何者でもなかった俺たち”


 以前の記事でも書きましたが,筆者はTrickstarが起こした革命を夢ノ咲学院における“紀元”だと捉えています。彼らが奇跡を起こしたことによって,ここにいるあらゆるアイドルたちの環境が一変し,色とりどりの花が開くように新たなる物語が展開していったからです。

 そんな彼らの“始まりのストーリー”「追憶*春待ち桜と出会いの夜」でした。何事にも未熟で,青く固い果実のような4人が出会い,ほんのりと色づき始めたような感覚。このストーリーには,そんな初々しさに溢れているように感じられます。この物語が「位置について,用意(Take your marks, get set)」だとすれば, その後のメインストーリー第一部における革命は,「スタート!(Go!)」の合図。4人が飛び出していくことができたのは彼ら自身だけの力ではなく,彼らに希望を託したみんながいたおかげに違いありません。

「追憶*春待ち桜と出会いの夜」より
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 そうして第1の関門を突破したTrickstarですが,ここからは周りのユニットと同じようにさまざまな問題にぶつかっていきます。まずはメインストーリー第一部の【DDD】のすぐあと,スバルと北斗が衝突したのが「春嵐!花舞う桜フェス」でした。と言っても,今思えば悩みはさほど深刻ではないというか,仲がいいからこそ喧嘩になるような,序盤ならではのたわいなさもあるように感じます。七夕祭を描いた「対向!星合う夜の天球戯」は,ユニット内に同い年しかいないTrickstarに,流星隊の千秋から「歳が違う者との接し方にも慣れておくべきだ」と1年生を預けられる物語となっています。

 比較的大きな問題は起きずに来た4人ですが,筆者はこの時期あたりから「仲が良くなればなるほど,お互いに言いづらくなる自らの問題」を抱えることが出てきたように感じます。「リメンバー 真夏の夜の夢」では,北斗が「本当に自分がリーダーでいいのか?」と悩み,真はKnightsの瀬名 泉とのやりとりをとおし,ややセンシティブな一面を見せました。箱イベではないので上記には挙げていませんが,春から夏の間の話と思われる「躍進!夜明けを告げる維新ライブ」(2018年5月公開)も重要です。ここではMaMの三毛縞 斑が,北斗とスバルに向かって「君たちの革命に意味はあったのか?」「やりとげただけで終わってはいないか?」と問題提起をするのですが,このセリフはなかなかパンチがあって,言われた側の北斗やスバルと同様に考えさせられた人も少なくないのではないでしょうか。「あんスタ!」のすべてのストーリーに言えることですが,ものごとは見る角度によって捉え方は大きく変わってしまうのだと。

「リメンバー 真夏の夜の夢」より
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 この頃の彼らは,本番になればきちんとやることはやっているけれど,100%かっちりとハマりきっていない部分もあったかもしれません。でも,これはある日突然カチッといくものでもないのだろうな,というのが非常にリアルだなと感じます。


■キセキの始まり


 Trickstarの1年において春の革命と同じくらい重要なのが年末の【SS】ですが,夏頃からはその前哨戦と言えるライブが用意されました。夏,秋,年末と段階を経て進んでいく新たな物語の第1弾が,「輝石☆前哨戦のサマーライブ」です。ここでは【SS】優勝の最有力候補Edenの片翼であるEveと接し,真が“プロフェッショナルとしての意地”を見せつけます。続く秋の「軌跡★電撃戦のオータムライブ」では,Edenを形成するもう1つのユニットAdamと対戦し,真緒が乱 凪砂の一言で奮起した結果,底力を発揮して“ブレイクスルー”します。Trickstarはいつでもピンチをチャンスに変えてきましたが,これらの展開は少年漫画にも似た痛快な爽やかさを感じました。

「軌跡★電撃戦のオータムライブ」より
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 そしていよいよ年末の【SS】へ……と言いたいところなのですがその前に,秋は夢ノ咲学院のイベント,ハロウィンがあります。「噪音◆渦巻くホラーナイトハロウィン」は,真とレオ,泉のあるいざこざによってKnightsとTrickstarが真っ向から勝負をすることになりました。筆者はこのときのできごとによって,“自らが築いた過去”に縛り付けられていたTrickstarが開放されたように感じます。

 年末の【SS】を描いた「奇跡☆決勝戦のウインターライブ」については,あえて何かを語る必要はないでしょう。春の革命から始まった彼らの,いや夢ノ咲学院のアイドルたちが全員一丸となって迎えた巨大な関門。その先に見えた景色は,この先も誰もが決して忘れることはないのだろうと思います。1つの物語を終え,次の段階へ進むためのゴールとして,必読のストーリーです。

 【SS】を終えたTrickstarの“凱旋ライブ”とでも言うべき年明けの「太神楽!祝いのニューイヤーライブ」では,春の革命でぶつかった紅月と再戦を果たします。紅月のユニット語りでも書きましたが,紅月は己の信念に真っ直ぐなメンバーが揃っており,「Trickstarとは正しい形でもう一度戦いたい」と願っていました。おそらく,Trickstarも同じ気持ちだったはずです。何の策略もなく,損得もなく,正々堂々とした真っ向勝負。両者にとって,心から楽しいと思える一戦だったのではないかと思います。

 そして最後を飾るのは,「Link♪ここから始まるシンフォニア」です。これはもう,Trickstarおすすめストーリーというより夢ノ咲学院アイドルすべてにとっての“終わりであり始まりでもある瞬間”を飾る重要なストーリーでしょう。メインストーリー第一部からつながる話もあれば,【DDD】はなぜ開催されたのか? に対する答えもあり,これからのアイドルたちの未来の示唆もあり,堂々たるグランドフィナーレかつ壮大な予告編でもあります。Trickstarが「あんスタ!」のラストに起こした奇跡をぜひ,その目で確かめていただきたいと思います。

「Link♪ここから始まるシンフォニア」より
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■キャラクター別おすすめストーリー


■氷鷹北斗

 冷静に見えて誰よりも喧嘩っ早く,真面目に見えて破天荒。でも根っからのド天然。彼はストーリーを読めば読むほど,面白い引き出しをたくさん持っているなと感じます。
 個人的には,彼の年上にはまったく敬語を使わないし尊大な態度をとるけれど,年下には比較的優しいところ(基本的に「くん付け」で呼ぶ)が見ていて非常に和みます。彼が敬語を使う数少ない目上の1人はUNDEADの朔間 零で,零とはメインストーリー第一部や,「宵の宴♪バンドアンサンブル」(2016年4月公開)などで絡んでいます(「バンドアンサンブル」では,北斗が家族に「ほっちゃん」と呼ばれていることが明かされました)。彼が敬語を使うようになったもう1人の人物はSwitchの青葉つむぎで,こちらは「軌跡★電撃戦のオータムライブ」以降に“関わるほど敬う点が多いことに気がつき”敬語になったようです。

 当然ながらタメ口をきく,実は幼い頃から親交があった教師の佐賀美 陣との絡みで面白いのは「委員長と担任教師」(氷鷹北斗キャラストーリー/夏)。陣とは「Saga*かけ上がるレインボーステージ」「Saga*ぶつかり合うリバースライブ」で1年をとおしてガッツリ関わっていくことになります。メインストーリー第三部であるSagaシリーズは,北斗の成長だけでなく「あんスタ!」にとっても非常に重要なストーリーとなっていますのでぜひ読んでいただきたいです。なお「Saga*ぶつかり合うリバースライブ」で初登場した,父であり現役スーパーアイドルでもある氷鷹誠矢との会話も見逃せません。「氷鷹誠矢キャラクターストーリー第一話」(冬)では,北斗の“年上への最も激しい塩対応”(というより攻撃性)が見られます。

「Saga*ぶつかり合うリバースライブ」より
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 現役アイドルの父と現役の大女優である母を両親に持つ彼が,大切にしているもう1つのものがお芝居です。というわけで,演劇部も彼にとって非常に重要な居場所となっています。演劇部おすすめはかなり多いのですが,日常ものでは「響き愛」(日々樹 渉キャラストーリー/春),「裏返るジョーカー」(日々樹 渉キャラストーリー/夏),「スカウト!薔薇十字物語」(2016年10月公開),公演本番ものでは「なりきれ!灰かぶりの大舞台」(2017年5月公開),「公演!悲喜劇のロミオとジュリエット」(2018年4月公開)あたりがおすすめです。そして演劇部のストーリーの締めには,「スカウト!透明と仮面」(2019年1月公開)をぜひ読んでいただきたいです。卒業生のいないTrickstarの北斗にとって,渉の卒業はとても大きなものだったはずなので。

 偉大な両親と恵まれた環境を持つ北斗ですが,彼は決して“生まれついての天才”ではありません。むしろ誰にも負けないくらいの“努力家”であるところが,彼の一番の魅力ではないかと思います。


■明星スバル
 
 一般的には,スバルは「あんスタ!」における主人公ポジションと言えるでしょう。しかし当初はあまり彼の内面に突っ込んだストーリーが少なく(あえてあとのほうにとっておいたのだと思われますが),基本的には“いつも明るくキラキラしている”姿が多かったように思います。

 そんなスバルに憧れているのが,Ra*bitsの紫之 創です。スバルもまた創が大好きで,兄弟がいない彼は創を弟のようにかわいがっています。そんな創とスバルのストーリーは多数ありますが,おすすめは「メインストーリー第一部」や,「スカウト!サロン・ド・テ」(2017年1月公開),「迷い星*揺れる光、プレアデスの夜」(2017年8月公開)などがあります。
 そのほかにスバルのイキイキした姿を見られるものでは,楽器演奏にトライした「宵の宴♪バンドアンサンブル」「咆哮★夜空のロッキンスター」(2016年10月公開),野球に挑戦した「一球入魂!青春プレイボール」(2019年3月公開)などがあります。

 また,彼には大切な相棒である犬の“大吉”がいますが,そんな犬好きぶりが見られるものでは「ドッグデイズ」(伏見弓弦キャラストーリー/夏),「スカウト!ワンぱくピクニック」(2016年3月)あたりがおすすめです。大吉と一緒に初詣に出かけた先でKnightsの朱桜 司とfineの姫宮桃李,伏見弓弦と出会う「スカウト!冬の初詣」(2015年12月)も楽しく読めるでしょう。これは時系列的に【SS】終了後の話になりますが,結果を知った今読むと,当時とはまた違った趣があるように感じられます。

「スカウト!冬の初詣」より
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 以前の記事にも書きましたが,Trickstarには上級生がいないものの,全員がそれぞれに“先輩との絆”を築いています。北斗はfineの日々樹 渉,真はKnightsの瀬名 泉,真緒は紅月の蓮巳敬人,そしてスバルは流星隊の守沢千秋です。ストーリーを読み返していて気づいたことですが,筆者はスバルが千秋に大きく2度救われたと考えています。1度目は,学校で孤立してしまったスバルをバスケ部に誘ったこと。2度目は「メインストーリー第一部」で描かれた【DDD】で,Trickstarの解散危機に流星隊として駆けつけたことです。これらのできごとを経て「奇跡☆決勝戦のウインターライブ」で【SS】を前にしたスバルと千秋の会話を読むと,あらためて感動できるのではないかと思います。

 最後に紹介するのは,fineの天祥院英智との関係性です。とくにおすすめするのは「メインストーリー第一部」と,「皇帝に真珠」(明星スバルキャラストーリー/春),そして「バトンタッチ!涙と絆の返礼祭」での会話です。最後の「返礼祭」は,たった1話だけの短いものですが,送られるものと送り出すもの,2人の心の触れ合いが胸を打ちます。夢ノ咲学院のアイドルを愛するすべての方に読んでいただきたいストーリーとなっています。


■遊木 真

 真のエピソードで印象的なのは,「輝石☆前哨戦のサマーライブ」で零が真緒に言った「やるべきことを定めてからの集中力は群を抜いており,『五奇人』に匹敵するほどの天禀」という言葉です。彼はよく自分を「Trickstarでは自分が一番の落ちこぼれ」と評するのですが,あの夏のライブはまさに,零の言うとおりに彼が“努力型なだけではなく天才型”でもあったことの決定打となったような気がします。

 もともと彼がすごく器用な人だというのは,ゲームで見せる才能からも明らかです。もとはゲーム研究部に所属していた彼のゲーマーっぷりが見られるものでは,「バーチャルの攻防」(葵ゆうたキャラストーリー/春),「ハイスコアボーイズ」(春川 宙キャラストーリー/夏),そして「スカウト!夏の花」(2018年8月公開)など。紅月の神崎颯馬と絡む「異文化交流」(遊木 真キャラストーリー/夏)では,なんと3Dモデルを自作していることも明らかとなっており,これはのちのTrickstarの活動にも活かしていくことになるようです。
 
 彼は放送委員会やテニス部にも所属しており,広い人脈があることをうかがわせます(さすが情報通)。放送委員会のおすすめは「本日のゲスト」(遊木 真キャラストーリー/春)や「スカウト!夢ノ咲青春RADIO♪」,テニス部では「スカウト!お医者さん」(2015年10月公開)がありますが,テニス部なら個人的には「レクイエム*誓いの剣と返礼祭」(2019年2月公開)を推しておきたいです。

 真を語るには,前述のテニス部でも活動をともにしているKnightsの瀬名 泉との関係性を無視することはできないでしょう。彼との1年はときにコミカルに,ときにシリアスに,ときにほのぼのと過ぎていきましたが,筆者のおすすめは「メインストーリー第一部」から「ジャッジ!白と黒のデュエル」(2015年6月公開),「スカウト!ランウェイ」(2017年5月公開),「リメンバー 真夏の夜の夢」「噪音◆渦巻くホラーナイトハロウィン」「スカウト!胡蝶の夢」(2018年12月公開),「奇跡☆決勝戦のウインターライブ」,そして「レクイエム*誓いの剣と返礼祭」を,この時系列順に読んでみることです。誤解やすれ違いを経てとてもいい形で着地した,彼らの関係性の推移が伝わってくるのではないかと思います。

「スカウト!ランウェイ」より
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 最後に,その泉が喜びそうな“眼鏡オフした真”が見られるストーリーを。代表的なものでは,「追憶*春待ち桜と出会いの夜」「ジャッジ!白と黒のデュエル 」「スカウト!夏の花」「リメンバー 真夏の夜の夢」「満喫♪秋の修学旅行」(2015年11月公開),「咆哮★夜空のロッキンスター」「噪音◆渦巻くホラーナイトハロウィン」「奇跡☆決勝戦のウインターライブ」などなど……。ほかにもたくさんありますが,ぜひ彼の美形ぶりをご堪能ください。


■衣更真緒

 真緒は序盤から,“生徒会”“生徒会に反旗を翻すTrickstar”に所属していることで板挟み状態になっていました。器用な人が陥りがちな罠ですが,そうしたところを「自分によく似ている」と目をかけてくれたのが,生徒会の先輩である紅月の蓮巳敬人でした。彼は折に触れて真緒にアドバイスをしていましたが,とくに筆者の印象に残っているのは「メインストーリー第一部」と(敬人は登場しませんが)「奇跡☆決勝戦のウインターライブ」です。

 そのほかの生徒会関係のストーリーでは,生徒会+ある人物が絡む「皇帝暗殺」(天祥院英智キャラストーリー/夏),敬人に頼まれたある任務をこなす「スカウト!エージェント」(2015年12月公開),平和なお茶会で真緒の優しさが光る「スカウト!天使の翼」(2018年4月公開)あたりがおすすめです。3年生の卒業が近づき,イベントの仕切りに翻弄される「招福*鬼と兄弟の節分祭」(2017年1月公開)もぜひどうぞ。

 それから,真緒が副部長を務めるバスケ部にも名ストーリーがたくさんあります。「バスケ部の日常」(衣更真緒キャラストーリー/春),「バトンタッチ!涙と絆の返礼祭」,そして個人的イチ推しの「バスケボン誕生」(高峯 翠キャラストーリー/春)あたりを挙げておきます。

 そして真緒といえば,Knightsの朔間凛月とは切っても切れない大切な関係だと言えるでしょう。彼らは幼い頃からともに過ごしてきましたが,夢ノ咲学院に入学してから,自身の成長とお互いの関係性にちょっとしたズレが生まれてしまいます。しかしその“ズレ”は,前述の「噪音◆渦巻くホラーナイトハロウィン」でこれ以上ないカタルシスをもって,揺るぎない絆に変わりました。そんな彼らの関係の推移をおおよその時系列順に拾っていくならば,おすすめは「追憶*モノクロのチェックメイト」「追憶*春待ち桜と出会いの夜」「スカウト!パジャマ」(2017年4月公開),「宵の宴♪バンドアンサンブル」「教えて!凛月先輩」(朱桜 司キャラストーリー/夏),「リメンバー 真夏の夜の夢」「噪音◆渦巻くホラーナイトハロウィン」「奇跡☆決勝戦のウインターライブ」「招福*鬼と兄弟の節分祭」「コーラス★始まりのオペレッタ」(2019年4月公開)という流れを推しておきます。

「宵の宴♪バンドアンサンブル」より
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 真緒のおすすめストーリーで最後に紹介するのは「スカウト!初夢物語(前半)」です。これは【SS】を終えた正月休みのある日,同じバスケ部で流星隊の高峯 翠との物語が描かれます。真緒は偉業を成し遂げた雲の上の人だけれど,やっぱり真緒は真緒でいつもと変わらず優しくて世話好きな人なのだと,じんわりとあたたかさが伝わる素敵な話となっています。


■「奇跡は終わらない」


 Trickstarというユニットの特徴として第一に挙げられるのは,やはり“他人同士の同い年のメンバーだけで構成された唯一のユニット”ということかと思います。集まりのなかに上下関係がなく,イメージとしては四人五脚で呼吸を合わせてゴールを目指しているような。彼らは誰か1人だけがみんなを引っ張っていくことや出遅れることを決して許さず,あくまでも4人一緒に走り続けることを望んでいます。

 彼らの強い結束力は,おそらく“それぞれに欠けていたもの”に起因するのではないかと筆者は考えています。4人は全員が“他人から羨ましがられるような何か”を持っているものの,逆にそれが己を苦しめ,孤独を感じる原因にもなっていたように思えるのです。
 偉大な両親がいるために,ずっと周囲に色眼鏡で見られていた北斗。モデルとしての才能に恵まれたがゆえに,他人の視線に疲れ果ててしまった真。何でも小器用にこなせるけれど,突出したものを持たないことがコンプレックスだった真緒。「あの明星」と呼ばれる父の存在と,その類稀なる才能を受け継いだがために孤立してしまったスバル。彼らは全員違っていて,けれど,全員が“同じ”なのです。

 あるストーリーで真が,Trickstarのメンバーに対し「役に立つとか相性がいいとか悪いとかを全部すっ飛ばし,理屈抜きに大好き」と語っていましたが,これはおそらくほかのメンバーも同じだろうと思います。4人が出会ったとき,磁石が引き合うように,お互いの欠けていた部分を埋め合える感覚があったのではないでしょうか。こういう感覚は言葉でロジカルに説明できないのがもどかしいのですが,そういう引き寄せられ方をしていたであろうことは,筆者の中では確信に近いものとなっています。

 彼らは出会ってからおよそ1年後,自分たちの願いのために,何より周りのみんなを笑顔にするために革命を起こしました。4人は決して「主人公になりたくてなったわけではなく,ただ現状を良くしたかった」だけだったけれど,結果としてそのことが彼らを“学院で特別な存在”にしてしまったのも事実です。そしてそれは,たった1つのある輝きを持つがゆえに孤独になってしまった彼ら自身にも通じるような気がします。だからこそ,4人はますます固くつながっていったようにも思うのです。むしろ,排他的ともいえるほどに。

 Trickstarは,夢ノ咲学院の歴史上で“おいしいところどり”だけをしてきたユニットではありません。よく見れば失敗ばかりだし,結束が強すぎるから四人五脚で何度も思い切り転んで泥だらけになってきました。でもそのたびに泥を払って立ち上がり,「正面からぶつかっても駄目なら,誰も思いつかないような方法をやってみよう」と,つないだ手を決して離さず,孤独や眼の前の壁に戦いを挑み続けてきたのです。
 筆者は今でも,Trickstarを“完成されていない,まだまだ熟していない”ユニットだと思っています。けれど,それが彼らの強みなのかもしれません。常に進化し続け,人々を驚かせ,みんなを笑顔にする。それこそが狂言回しであり,“トリックスター”なのです。奇跡は狙って起こすことも,何度も起こすことはできません。でも彼らなら,もしかしたら……と,そんなふうに思わせてくれる希望の星座は,小さくても最も明るく,無限大に輝く光を放つのでしょう。

「Link♪ここから始まるシンフォニア」より
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 以上でユニット語り記事は終了となります。なお,今後予定されている新章突入に備え,夢ノ咲学院の歴史・まとめ記事を制作中です。どうぞお楽しみに。


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  • 発売日:2015/05/01
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