インタビュー
「ブレードアークス from シャイニングEX」発売記念インタビュー。スタジオ最前線の開発陣と,監修を務めた板橋ザンギエフ氏に制作の過程を聞いた
コンシューマ機版は,これまでの14キャラクターに加え,ミスティとソニアが参戦。オンライン対戦こそ未実装ながら,格ゲーライト層向けの新システム「シンプルコマンド」や,Tony氏のイラストがこれでもかとばかりに収録されているアートギャラリーモードを搭載し,格闘ゲーマーだけでなくシリーズファンにとっても見逃せないタイトルとなっている。
今回4Gamerでは,「ブレードアークス from シャイニングEX」の開発を担当したスタジオ最前線の代表取締役である近藤敏信氏,プログラマーの髙橋総一郎氏と桒原盛弥氏,そして監修を務めた板橋ザンギエフ氏を交えて,アーケード版からコンシューマ機版までの制作過程を振り返ってもらった。
本作の企画が立ち上がったきっかけやそのコンセプト,アーケード版ver.2.0に込められた狙い,コンシューマ機版ならではの要素,さらには板橋ザンギエフ氏が果たした役割など,トピック盛りだくさんでお届けする。
「ブレードアークス from シャイニングEX」公式サイト
タイトル立ち上げの経緯,
そして板橋ザンギエフ氏の役割とは
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
4Gamerでは,スタジオ最前線の皆さんにお話をうかがうのは初めてとなりますので,まずは簡単に会社の経歴を教えていただけますか。
スタジオ最前線は今年で設立18年目を迎えました。主にコンシューマ向けゲームの開発を手がけており,処女作は1998年にキングレコードから発売された箱庭型RPG「どきどきポヤッチオ」です。
以前からシャイニングシリーズにも関わっていまして,なかでも「シャイニング・ハーツ」ではメインで開発を務めました。
4Gamer:
近藤さんは,海腹川背シリーズのキャラクターデザインを手がけたことでも知られています。
近藤氏:
ありがとうございます。海腹川背シリーズは,スタジオ最前線を立ち上げる前に私個人が関わったものですね。会社としてはコンシューマ機が主戦場と言いましたが,面白いものは何でもやろうというスタンスで,アナログのカードゲームを作ったり,アーケード向け格闘ゲームを作ってみたりといった感じです。
4Gamer:
なるほど。
それでは,2014年11月に稼働をスタートした「BLADE ARCUS from Shining」(以下,ブレードアークス)についてお聞きしますが,そもそも制作のきっかけはどういうものだったのでしょうか。
近藤氏:
ものすごく遡ればですね,私が20代の頃,それこそ「ストII'」(ストリートファイターIIダッシュ)の基板を買うくらい,格ゲーにめちゃくちゃハマっていた時期があったんです。友人達が土曜日の夜に集まって,徹夜で対戦した後,日曜の朝にゲーセンで練習の成果を試す……なんてこともしばしばでした(笑)。
4Gamer:
あの当時,ストII'の基盤を購入するというのは,相当にマニアな気がします(笑)。
近藤氏:
その後,友人達がゲーム会社に入って,それぞれ格ゲーを手がけるようになったんですが,「あれ,おかしいな。主催者だったのに自分だけがまだ格ゲーを作ってないぞ」と。
(一同笑)
近藤氏:
それで,会社を興したときからずっと「格闘ゲームを作りたい!」とアピールしていたんです。その甲斐があってか,2013年の6月頃,セガさんから「ALL.Net P-ras MULTIのラインナップを揃えるにあたって,シャイニングシリーズの格闘ゲームを作りませんか」と,声をかけてもらったのが直接のきっかけになります。
4Gamer:
ついに念願が叶ったというわけですね。スタジオ最前線が格闘ゲームの開発を手がけるのは初だったのでしょうか。
近藤氏:
アーケード向けの本格的な格闘ゲームを手がけるのは,ブレードアークスが初めてでした。ただ,コンシューマでは「CODE OF PRINCESS」をはじめ,格ゲーに近いアクションゲームをいくつか手がけていたので,とくにグラフィックス面でノウハウを活かせたと思います。
4Gamer:
言われてみれば,ブレードアークスとCODE OF PRINCESSはグラフィックスの雰囲気が近い印象があります。
近藤氏:
どちらも3Dモデルのキャラクターを2Dで描画する手法をとっていて,同じスタッフが担当していますから。グラフィックスの作業に関しては,他社さんの場合,レンダリングしたものに対してグラフィッカーが修正するという工程が発生しますが,弊社の場合は一発レンダリングで仕上げています。そのため,チューニングの段階で「この技を作り直したい」となったとき,わりとスムーズに修正できた点は良かったかなと。
4Gamer:
ブレードアークスは,シャイニングシリーズのスピンオフといった位置付けになりますが,シリーズのどのような要素を格闘ゲームに活かそうと考えましたか。
近藤氏:
それはやはり,(キャラクターデザインを担当した)Tonyさんのキャラクターを自由自在に動かせるところですね。ドット絵の時代に比べ,解像度が格段に上がっているので,Tonyさんの魅力である繊細さを表現できるのも大きなポイントでした。
ただ,いくらでもこだわれるので,それはそれで大変でしたね。例えばサクヤの制作中には,Tonyさんから「ここがほんの少しだけ太いです」「はい,修正します!」といったやり取りが何度もありました(笑)。
4Gamer:
なるほど。
それでは,格闘ゲームとしてのコンセプトはいかがでしょう。初回のロケテストが実施されたとき,(プロデューサーの)澤田 剛氏にお話を伺いましたが,「骨太の格闘ゲームを目指している」とのことでした。
近藤氏:
企画が立ち上がったときのコンセプトは,「ちゃんと差し合いができる格闘ゲーム」というものでした。自分はストII'時代からしばらくして,「ストリートファイターIV」でまた格闘ゲームを遊ぶようになったんですが,昔の作品の良いところを持ったタイトルがあれば,自分のようなプレイヤーが遊んでくれるのではないかと。
ブレードアークスは全体的にダメージが大きいのですが,そのあたりも古き良き格ゲーを意識したものなんです。
4Gamer:
これまでに制作してきたアクションゲームと比べて,アーケードの格闘ゲームならではの苦労はありましたか。
近藤氏:
コンシューマとアーケードの比較で言うと,開発の途中段階で出すROMの仕上げ方がまったく違っていて,とくに最初は戸惑いました。アーケードの場合,ロケテストでユーザーの意見を吸い上げる必要があるので,開発の途中でもある程度遊べるものになっていないといけないんですね。
4Gamer:
確かにアーケードゲームは,ロケテスト段階でゲームバランスを含む完成度が評価の対象になる傾向が強いように思います。一方,プログラマーのお二人はいかがでしたか。
髙橋総一郎氏(以下,髙橋氏):
やはり,格闘ゲームならではの「駆け引きありき」でアクションを作らなければいけない部分ですね。アクションゲームではプレイヤーさえ気持ち良ければ,どんな技を作ってもいいのですが,格闘ゲームでそれをやってしまうとバランスが取れなくなります。しかも,いくらでも手を入れられるので,ちょうどいい落としどころを探るのが大変でした。
桒原盛弥氏(以下,桒原氏):
自分は「1フレームを許してもらえない」のが,とにかく苦労した点です。たまに1フレームだけおかしな状態になってしまったとしても,格闘ゲームではそのままにはできませんから。
近藤氏:
そのあたりは,板ザン(板橋ザンギエフ)さんに監修していただいたおかげで,だいぶ助かりましたよ。
4Gamer:
板橋ザンギエフさんが監修を担当されたきっかけを聞かせてください。プレイヤーがチューニングに携わった格闘ゲームはこれまでにも数多くありましたが,今回のように表立って関わっている新作タイトルというのは,結構珍しいんじゃないかと思います。
近藤氏:
タイミングとしては,初回のロケテストが終わった後でした。先ほども触れたとおり,アーケードゲームではユーザーのフィードバックを早晩に取り入れてなくてはいけないと痛感しまして……。
4Gamer:
初回のロケテストでは,「しゃがみ弱攻撃×α」が永久ガードになるといった問題がありましたね。
近藤氏:
ええ。そこで周囲に相談したところ,弊社のスタッフの弟さんがバーチャファイターシリーズを相当やり込んでいて,「板ザンさんなら同じチームだったので紹介できます」と。それで,私が板橋の喫茶店で相談したという流れになります。「やっぱり板橋に住んでるんだ」なんて思いながら(笑)。
(一同笑)
プロゲーマーと言うと,スポンサードを受けていたり,大会の賞金で飯を食べていたりする人のことを指すことが多いと感じるんですが,自分のスタンスとしては「ゲームのスキルを活かして,社会に参画するのもプロゲーマー」だと思っているんです。そういう意味ではピッタリの案件だったので,「ぜひやらせてください」と即答しました。
そこから,よく一緒に遊んでいる格ゲー仲間を集めてチューニングチームを作り,自分はその指揮も含めて関わらせてもらったという感じです。
4Gamer:
具体的には,どのような面を監修されたのでしょうか。
板ザン氏:
最初は「チューニング部分をお願いしたい」と相談を受けたんですが,さらに詳しく話を聞くと,それこそキャラクターのグラフィックスがある程度仕上がっているものの,開発の初期段階に近い状態だったんですね。
髙橋氏:
その当時,自分と桒原の2人でバトルデザインまで含めて,全部やっているような状態でした(苦笑)。
板ザン氏:
せっかくの機会なのでチューニングだけでなく,バトルデザインまで含めて口出しさせてもらいました。例えば,ブレードアークスは3ラウンド先取制がデフォルトになっていますが,もともとは2ラウンド先取制だったんですよ。
4Gamer:
いわゆる2D格闘ゲームで3ラウンド先取制が基本というのは,かなり珍しいと思います。
板ザン氏:
先ほど話に出たとおり,近藤さんには「1発1発のダメージを大きくして,爽快感を味わってほしい」というコンセプトがありました。でも,それを組み込んだ場合,2ラウンド先取だとすぐに決着がついてしまう。さらに言えば,2ラウンド先取制がデフォルトの格ゲーも,ゲーセンによっては3ラウンド先取制に変更されることがあります。
それによって,バランスやコンセプトが崩れてしまうといったケースも多いので,「だったら最初から3ラウンド先取制にしませんか」と提案したというわけです。
近藤氏:
格闘ゲーマーに相談するうえで,一番恐れていたのは,こちらのコンセプトに対して「いや,俺はこういう格ゲーのほうがいい」と拒絶されてしまうことだったんです。その点,板ザンさんは私達の意図をしっかり汲んだうえで,その実現のためのアイデアを出してくれたので,とてもありがたかったです。
板ザン氏:
格闘ゲーマーは「このキャラ,あまりやることないな」とか「この技だけで詰んじゃう」とか,ゲームの問題点を見つけるのは得意だと思うんです。でも,それを改善するためにはアイデアに一捻りが必要で,そこにはプランナー寄りの考え方が求められる。そういう意味で,今回は良い勉強をさせてもらいました。
近藤氏:
板ザンさんはプログラマーでもあるので,話し合いもスムーズに進みました。
4Gamer:
ああ,フリーのSE(システムエンジニア)としても活動されているんですよね。
板ザン氏:
そうそう,主にシステムやゲーム関連で幅広く活動しています。よく「格闘ゲームだけで生活してる」って勘違いされるんだけど(笑)。プログラムの知識があることで,とある技や現象を修正/変更するのにどれぐらいの労力がかかるか,ある程度は想像がつきます。とくにリリース時期が迫っていた頃は,作業の優先順位を決めてチューニングチームを統括するのに役立ったなと。
4Gamer:
なるほど。
ちなみに,どのような頻度で監修されていたのでしょうか。
近藤氏:
ほぼ毎日です。監修というより,一緒に作っていただいたと言っていいでしょう。
板ザン氏:
自分はフリーランスなので,スケジュール的には合わせられるだけ合わせようと……。むしろ,そうしないと間に合わないかもしれない状況でしたし(笑)。
(一同笑)
スケジュールが迫っていて,そろそろ終わらせなきゃいけないというタイミングでも,板ザンさんは「こうしたほうが絶対面白い」とズバッと言ってくれました。時間的には厳しいけれども,やれば面白くなるというのであれば,そこは引けない部分だから……といったことも結構ありましたね。
板ザン氏:
申し訳ないとは思いましたが,そこは空気を読んでいる場合じゃないかなって(笑)。
ゲームスピードの向上を目指したアーケード版ver.2.0
4Gamer:
アーケード版のブレードアークスは,2015年6月にver.2.0,そして10月にはver.2.01へとアップデートが行われました。新たにリックや裏雪姫,ディラン,ローナが参戦し,システム面でも新要素が追加されましたが,その経緯をお聞かせください。
近藤氏:
稼働前からキャラクターの追加は検討していて,そのための作業は進めていました。ただ,ロケテストや稼働後のフィードバックを検証したり,我々としても遊びの幅を広げたいという意向があったりしたので,システム面のテコ入れもするべきだろうと考えました。
「クラシカルな格闘ゲーム」というコンセプトに従い,ver.1ではあえてダッシュ中にジャンプができない──いわばダッシュがステップ寄りの行動だったんですが,それによって待ちを崩すのが難しくなっていました。さらに「ゲームスピードが遅い」という意見も寄せられていたので,ダッシュやジャンプといった移動の自由度を高めたり,各キャラクターのモーションを調整したりして,全体的なゲームスピードを速めています。
近藤氏:
ただ,ゲームスピードが上がると,攻め込まれたときの対応が難しくなると考え,防御的なシステムである「リジェクションガード」と「リバーサルストライク」を採用しました。このあたりのアナログ的な要素でも,板ザンさんにはかなりお世話になっています。
4Gamer:
と言いますと?
板ザン氏:
ver.2.0へのアップデートにあたり,「試合展開をもっと多彩にしたい」というコンセプトがあったので,「それならばアナログ要素を増やしましょう※」と提案させてもらいました。
リバーサルストライクであれば,チャージすればするほど遠くに吹き飛ばすようになっているので,プレイヤーはキャラクター同士の位置関係なども踏まえて,解放のタイミングや狙いどころを考える必要がある。状況に応じてさまざまな戦い方が可能になり,最適解が変わってくるので,プレイヤーの色が試合内容により濃く出てくるかなと。
※この場合のアナログ要素とは,“複雑な因子を持つ,最適解を実行するのが難しいゲームシステム“という意味を指す。
近藤氏:
こと格闘ゲームにおいて,完全に予測不能なシステムはマズいと思いますが,それが自分のテクニックで修正できる範囲内のブレ幅であるなら,個人的には面白いと思っているんです。というのも,そういう状況を自分の力で切り抜けたときこそ,ものすごく気持ちいいじゃないですか。
4Gamer:
それはよく分かるお話です。常に同じ状況が発生すると,プレイヤーとしては作業に感じられてしまいます。
近藤氏:
ええ。リバーサルストライクについては「ちょっとだけ溜めを長くしたおかげでコンボになった」とか「相手の溜めが短かったから助かった」とか,試合展開に幅を持たせることができたと思います。
髙橋氏:
そうそう,予測不能な要素としては,ブレードアークスの技はダメージが一定ではなくて,ランダムで少し増減するようになっているんです。
4Gamer:
え,そうなんですか。
板ザン氏:
RPGでは,1回の攻撃によるダメージが多少違いますよね。ブレードアークスはシャイニングシリーズが原作になっているので,“らしさ”という意味ではアリかなと。例えば,1000のダメージを与えたいときに,1000ダメージのコンボを狙うわけですが,ブレて1000には満たないこともあるわけです。
もちろん,あまりにもバラけると競技性が損なわれてしまうので,それなりの振れ幅には抑えていますが,ほかの格闘ゲームにはあまり見られない特徴かもしれません。
「体力が数ドットだけ残ったおかげで逆転勝利」といった試合も,実は負けていた可能性があったりすると?
桒原氏:
そういうことです。もともとのダメージが大きめなので,こうしたランダム要素との兼ね合いもあって,逆転劇が起こりやすい格闘ゲームになっていると思います。
4Gamer:
なるほど。
それでは,追加キャラクターについてもお聞きします。シャイニングシリーズには多数のキャラクターが登場しますが,稼働開始時の10キャラクター,そして6月のアップデートで追加された4キャラクターはどのようにして選ばれたのでしょうか。
近藤氏:
オリジナルキャラクターのリュウガとパイロンは,シリーズ初の格闘ゲームということで「スタンダードな格ゲーキャラ」というところからデザインしています。そのほかの面々に関しては,基本的にキャラクター人気によって選ばれていると思ってもらえれば間違いないですね。
桒原氏:
シャイニングシリーズは歴史が長く,人気キャラクターにはある程度の共通認識がありましたからスムーズに決まりました。
近藤氏:
ただ,女性キャラクターばかりだとギャルゲーになってしまうので,男女比のバランスには気を遣いました。格闘ゲームには,濃いキャラがいてこそだと思いますし。
髙橋氏:
濃いキャラと言えば,獣人も登場していますから(笑)。
(一同笑)
4Gamer:
基本的にはキャラクターありきのチョイスだったということですね。
近藤氏:
そうです。そこから,それぞれのバトルコンセプトを考えるという流れでした。例えば,見た目は幼い魔法使いの女の子というメルティは,普通に考えたら投げキャラにはなり得ないでしょう。しかし格闘ゲーム的に考えたら,そのギャップこそ面白いということで,あえて投げキャラにしています。
桒原氏:
なかでも追加キャラクターの裏雪姫は,ほとんどチューニングチームの皆さんに作ってもらいましたね。
板ザン氏:
ええ。当初,裏雪姫はバトルコンセプトがちょっと薄かったんです。そこで「ファスト入力(一定時間内にコマンド入力を完成させること)に成功すると技が強化される」という要素を増やしてもらいました。「居合斬りの使い手」ということで,素早いアクションとファスト入力の気持ち良さがシンクロするんじゃないかって。
髙橋氏:
メルティのスーパーフォースアクション「フローズンカーニバル」に“失敗版”があるのも,板ザンさんのアイデアでした。もともとのコマンドは「+[C]」ですが,ちゃんと半回転を2回入れないと,失敗版の「+[C]」と認識されてダメージが落ちる仕様になっています。
板ザン氏:
「半回転×2」のコマンドは,レバー操作に慣れていない人にはかなり難しいじゃないですか。だから,格闘ゲーム初心者がメルティを選んでも困らないように,「失敗版というか簡易版があったらいいのでは?」と提案しました。……あのときはスケジュールがギリギリで,言い出したものの今から間に合うのかという不安が大きかったことを覚えています(笑)。
コンシューマ版の追加キャラ,ミスティとソニアはどうなる?
4Gamer:
いよいよ,ここからはコンシューマ版についてお聞きしていきます。まずは追加キャラクターとして,ミスティとソニア※が新たに参戦しました。
※ソニアは初回封入特典のキャラクター。
近藤氏:
「シャイング・ブレイド」や「シャイニング・ハーツ」に登場するミスティは,シリーズファンからすれば「ようやくか!」というぐらい,高い人気を誇るキャラクターですね。一方,ソニアはシリーズ最新作である「シャイニング・レゾナンス」からの参戦となります。
髙橋氏:
ミスティは作中,「わがままな魔法使い」という設定がありますので,魔法陣を設置して相手の行動を制限しながら戦う……というか,嫌がらせをしながら戦うキャラクターになっています(笑)。設置した魔法陣は,通常攻撃で弾いたり,スーパーフォースアクションの「マナエクスプロージョン」で爆発させたりと,さまざまな活用法を用意しています。
板ザン氏:
基本性能はあまり高くないですが,プレイヤーの創意工夫が活かせるトリッキーなキャラクターを意識して調整しました。「マジカルショット」や「ブラッディ・パラソル」といったダウンを奪いながら相手の付近に魔法陣を設置できる必殺技もあり,場合によってはダメージよりも状況を重視したコンボに切り替えるといった状況判断のうまさが強さに結びついてくるはずです。
4Gamer:
GUILTY GEARシリーズのヴェノムに近い印象ですね。ソニアはいかがでしょう。
髙橋氏:
ソニアはかなりスタンダードなキャラクターですが,それだけでは面白味が薄いので,原作の特徴である「ヴァイオリン型の武器,龍鱗爪剣 テンペリオンを弾く」というアクションによってフォースゲージを溜められます。この「フォースチャージ」はキャンセルから出せるので,これを利用して連携を組み立てつつ,スーパーフォースアクションをバンバン狙っていくというキャラクターですね。
桒原氏:
通常のスーパーフォースアクションは,ほかのキャラクターよりも性能が劣りますが,スーパーフォースアクション入力直後の演奏中に[A+B+C]を同時押しすると,フォースゲージを100%以上消費する強化版を繰り出せるのも大きな特徴になっています。EX必殺技も強力なものが多いので,フォースゲージを使えば使うほど強くなるというのがコンセプトです。
4Gamer:
コンシューマ版ならではの特徴としては,「シンプルコマンド」の実装もありますね。
近藤氏:
アーケード版は当然,スティック操作を前提にチューニングしています。そこで,普段は格闘ゲームを遊ばないプレイヤーやシャイニングシリーズのファンがゲームパッドで遊ぶコンシューマ版には,シンプルコマンドが必須だと考えました。
4Gamer:
なるほど。ちなみにアーケード版ではまったく実装の予定はなかったのでしょうか。
最初にお話したとおり,ブレードアークスは「古き良き格ゲー」を目指して立ち上げた企画ですから,まったく頭になかったですね。「格闘ゲームだからコマンド入力はあって然るべき」とでもいいますか。
髙橋氏:
その意味では,稼働当初に「昇龍拳コマンドは難しい!」という意見が寄せられてビックリしましたね。
4Gamer:
昔から格闘ゲームを遊んでいる人であれば「超必殺技は真空波動拳コマンドだろ!」と言いたくなるのは頷けます。ただ,その当時は難しいコマンドを採用しない格闘ゲームが稼働していたので,その影響も大きかったように思えます。
近藤氏:
実際,ver.2.0ではフェンリルの「旋風双拳」やアイザックの「クレセントリッパー」のコマンドをやや簡単に変更しています。これは格闘ゲーム全体の雰囲気が変わってきていることを受けてのものですね。ただ,シンプルコマンド自体をそのままアーケード版に持っていくと,ゲームバランスに影響が出てしまう恐れがあるので,今のところはコンシューマ版のみの要素と考えています。
4Gamer:
分かりました。もう一つ,コンシューマ版の目玉といえば,Tony氏のイラストが閲覧できるアートギャラリーモードが挙げられます。
近藤氏:
アートギャラリーモードには,Tonyさんが手がけてきたシャイニングシリーズのイラストを200点以上,それもゲーム作品だけでなくファンディスクやアニメを含む,ほぼすべてのイラストを収録しています。
髙橋氏:
相当な高解像度なので,いろいろなところをズームして楽しめますし,スライドショー機能も実装しています。Tonyさんのファンには堪らないはずですよ!
近藤氏:
あと,強調しておきたいのは「コンシューマ版とアーケード版ver.2.01はまったく同じゲームバランスである」ということです。公式全国大会「APM D-1 FIGHTING FESTIVAL」の予選はだいぶ進んでいますが,参戦される方はぜひコンシューマ版のトレーニングモードを活用してください。
4Gamer:
大会が終わるまでは,アーケード版のバージョンアップを行わないということですね。
近藤氏:
ええ。大会後のアップデートでは,ミスティとソニアがアーケード版にも登場しますので,こちらも楽しみにしていただければと思います。
桒原氏:
ver.2.01では,全キャラクターが強キャラと言われるようにチューニングしていますので,大会に向けてこれまで以上にやり込んでほしいですね。
板ザン氏:
コンシューマ版については,今まで格闘ゲームを遊んできた人はもちろん,これを機に遊んでみるという人も楽しめる作品になっていますので,より多くの触れたもらえると嬉しいです。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
「ブレードアークス from シャイニングEX」公式サイト
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