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「RAGE Shadowverse 2023 Winter」GRAND FINALSレポート。10時間を超える激闘を制したのはThx|さけまん選手
なお,本大会の様子はYouTubeとABEMAのSPORTS LIVE1チャンネルで配信されている。試合の詳細を知りたい人はそちらもあわせてチェックしてほしい。
■YouTube配信URL
https://www.youtube.com/watch?v=REyk1icSjRM
■ABEMAのSPORTS LIVE1チャンネル
https://abema.tv/channels/world-sports-1/slots/CVkPUYjms7UFrP
「Shadowverse」公式サイト
サイドイベントも盛況だったGRAND FINALS
GRAND FINALSが行われたのは,夏のオフライン大会に続き東京・秋葉原のベルサール秋葉原。年の瀬の寒い日ではあったものの,地下のGRAND FINALS観戦エリアは熱気に包まれていた。
会場の2階では,星取りバトルでプロプレイヤーと対戦できるイベントや,4人フライト式トーナメント,Shadowverse EVOLVE体験ブースなどのサイドイベントが開催され,そちらも盛況を呈していた。
大通りに面した1階部分の大型ディスプレイ&ステージでは,人気インフルエンサーやShadowverseプロプレイヤーのステージイベントが開催されており,インフルエンサー目当てで足を止める人の姿も少なくなかった。
GRAND FINALSの注目ポイント
今回のGRAND FINALSは,予選後に追加されたアディショナルカードの影響が少なく,予選のときと大きく変わらない環境となった。また,BO5におけるトップデッキに「ターン中のプレイ枚数」を規定数稼ぐことで効果を発揮するキーカードを持つものが多く,Shadowverse特有のプレイング要素である「盤面ロック」が特に機能する傾向にあった。
ライフを犠牲にしてロックを狙い,相手を機能不全に陥らせたり,逆にロックをケアした盤面構築を常に意識したりと,細かい技術が求められ,直近のRAGEと比べてもプレイヤーの練度が試される競技環境となっていた。
GRAND FINALSには,進出選手8名のうち6名がエルフ,ウィッチ,ビショップの3クラスを持ち込み,残り2名はエルフまたはビショップを外した枠にロイヤルを採用した。
対戦する可能性があるデッキが絞られる反面,よりデッキ理解や対策行動の先鋭化が求められ,既存のデッキもそれに合わせて構築が変化したようだ。「回復ビショップ」を持ち込んだ7名全員が,ロングゲームに特化した「有翼の光明」を採用しているのは変遷を表す顕著な1枚だろう。
超激戦となった決勝戦をプレイバック
難解なゲーム環境と選手たちの先鋭化したプレイングが合わさった結果,一進一退のシーソーゲームが続き,決勝戦が始まったのは予定時刻から2時間押しの20時過ぎだった。筆者はRAGEの初回開催から大会を追い続けているが,ここまでシビアな競技環境はここ数年では見られなかったように思う。
そんな精神面,フィジカル面ともにタフネスが要求される大会を勝ち抜き,決勝に歩を進めたのはWinter選手とThx|さけまん選手。
Thx|さけまん選手は,「RAGE Shadowverse 2023 Summer」優勝者であるThx|津島の塩選手と同じアマチュアチームに所属するプレイヤー。優勝すれば2023年にオフラインで開催されたRAGEの優勝をThxが独占することになり,まさに「2023はThxの年」と振り返れるほどの功績をもたらすだろう。
そんなチームの悲願を背負ったThx|さけまん選手に対峙するのはWinter選手。可能な限り思考し続けるプレイスタイルから,勝利を追求するシビアな勝負観を滲ませるプレイヤーだ。
準決勝第1試合からインターバルを挟んだWinter選手に対し,Thx|さけまん選手は準決勝第2試合からほぼ連戦の形での決勝戦となり,表情からは明らかに疲労の色が見て取れた。精神面,フィジカル面では,ややWinter選手が有利な状態で決勝戦は始まった。
決勝戦の1セット目はThx|さけまん選手がエルフ(後攻),Winter選手がウィッチ(先攻)を選択。ターン中にカードを4枚プレイした回数が4回を超えると強烈な効果を発動する「剪定の咎人・マガチヨ」絡みの特大打点に特化したエルフと,「土の印」を蓄積&消化することで得られる豊富な打点と,攻守自在なカード群で広いゲームレンジに対応できるウィッチのマッチアップだ。
序盤はお互い下準備にあてるターン。スムーズに動き続けるWinter選手に対し,Thx|さけまん選手はハンドに嫌われやや苦しい立ち上がりに。4ターン目に動き出し勝機をうかがうものの,防戦一方の状況を打破できず,Winter選手が7ターン目に15点を削り取って勝利した。
続く2セットめはお互いクラスを入れ変える形でのマッチアップ。Thx|さけまん選手のウィッチが先攻,Winter選手のエルフが後攻だ。
序盤は1セットめと同様に準備を進めていき,勝負の分かれ目になったのは6ターンめ。4プレイのために攻撃力の低いカードで盤面を埋めざるを得なかったWinter選手。そこにThx|さけまん選手の盤面ロックが突き刺さり,自分の盤面からフォロワーを退場させる手段を失って7ターンめに身動きが取れなくなってしまう。
遅延に成功し,8ターンめを迎えたThx|さけまん選手。「土の印」の消費が7を超えることを条件に4コストで7点疾走を呼び出す「ギガンティックサモン」を2枚プレイし,Winter選手の残り体力を削り切る。盤面ロックにより8ターンめに到達することで勝利を呼び込む,見事なプレイングを見せつけた。
エルフvs.ウィッチの構図はお互いにウィッチが勝利を収め,1-1になった3セットめ。お互いにミラーマッチを嫌った結果か,Thx|さけまん選手がエルフ(後攻)を選択,Winter選手がビショップ(先攻)を選択した。進化ターンを契機にした超巨大スタッツのフォロワー群と,豊富な回復による圧殺を得意とするビショップに対し,エルフはどう盤面を捌きつつマガチヨの一撃で沈めるかが焦点となる。
ビショップも序盤から積極的に動くデッキではないため,お互い静かな立ち上がりからスタート。Thx|さけまん選手は4ターンめから4枚プレイを開始し,Winter選手は5ターンめに「華麗なる淑女・エルヴィーラ」を進化させ,ここから本格的にゲームが動き出す。
ここで注目したいのは,Thx|さけまん選手はデッキに1枚しかない対ビショップ用のメタカードである「漆黒の使徒」を早期に手札に引き込んでいること。このカードがあるおかげでThx|さけまん選手は準備を進めるうえでの余裕が生まれているし,逆にWinter選手はいかにこのカードをすり抜ける,または釣り出すかを考えてゲームを進める必要が出ていた。
Winter選手は7ターンめに「神託の旅立ち・ジャンヌ」を含めたフォロワー3体をプレイし,ジャンヌを自動進化させて疾走を付与するが,長考が祟って攻撃する前にタイムアップしてしまう。これによって体力に余裕が生まれたThx|さけまん選手は,ここで漆黒の使徒を切り,疾走ダメージを軽減する「シャインクリスタリア・リリィ」を重ねることで盤石の体制を作りターンを渡す。
これまでの疲弊した表情から一転してウキウキのThx|さけまん選手。Winter選手はもはや見えているも同然のマガチヨに対し,ふたたびのジャンヌと守護2枚の盤面で返すも,Thx|さけまん選手の手にはすべての相手フォロワーをバニラに変える「真相究明」が……。
Winter選手の抵抗をあざ笑うかのように守護を剥がし,マガチヨ軍団による合計27点が炸裂! エルフvs.ビショップはエルフ有利の下馬評どおり,Thx|さけまん選手が勝利を収めた。
悲願の優勝に王手をかけたThx|さけまん選手。追い込まれたWinter選手。大会の予定終了時刻はとうに過ぎていたが,この時間からさらに両者の激闘はヒートアップしていく。
4セットめは必然的にビショップの選択となるThx|さけまん選手に対し,Winter選手はミラーマッチを選択。優勝するためにはどのみちミラーマッチを含めた2連勝が要求される以上,先にミラーを済ませておくことで最終戦に相性有利のエルフを持ってこれるようにする算段だろう。
このマッチではWinter選手のプレイが冴え渡る。4ターン目にロングゲームを支える核となる「大翼の灯火」をプレイすると,続く5ターン目にも大翼を重ねてプレイ。盤面をアミュレット2枚で埋めてしまうため,同一ターンにフォロワーの3プレイを要求するジャンヌが使いにくくなってしまう選択にも思えたが,Winter選手は相手の作った盤面に自動進化フォロワーをぶつけて退場させることでジャンヌの起動条件をクリアする。
鮮やかにThx|さけまん選手の体力を削り切り,ビショップの練度を見せながら勝負を最終戦に持ち込むことに成功した。
ロングゲームに次ぐロングゲームで稀に見る長丁場になった本大会。Thx|さけまん選手のビショップとWinter選手のエルフがお互いのすべてを懸けて激突する。
先攻のアドバンテージを得たためなんとかつながってはいるものの,やはりThx|さけまん選手にとっては苦しいマッチアップ。すさまじいまでの勝利への執念でこの状況に辿り着いたWinter選手はまさに勝負師と呼ぶに相応しいだろう。
お互いに過不足のないオープニングハンドの立ち上がりから,やはりゲームが動き出すのはエルフの4プレイが始まる4ターンめ。
先攻4ターンめにThx|さけまん選手は,大翼を置いて万全の態勢を整える。返す後攻4ターンめにWinter選手も4プレイで動き始めるが,盤面の「ガーベラベア」を破壊されると手札が9枚の状況でターンが戻ってくるため,手札がパンクしてマガチヨが燃えたらその時点で負けという綱渡り状況に陥ってしまう。
ここではThx|さけまん選手がロック進行を選択したため事なきを得たが,以後も手札枚数がギリギリの状態でターンが進行していく。まるで爆発寸前の不発弾を抱えるような緊張感のなか,6ターンめにロックを解除するべく「繁栄の撒き手」で2体のフォロワーを自壊&ドローを敢行!
マガチヨ炎上の賭けに勝ったWinter選手は,これ以上のロックを許さない状況を形成し,プレッシャーをかける。
一転して窮地に追い込まれてしまったThx|さけまん選手。ジャンヌからの3面守護に命を託すが,Winter選手の手札にはこれを突破できるカードが揃い,あとはマガチヨの到着を待つばかり。
「若芽の組員」のサーチで1/3のマガチヨを引き込む,または1/3の若芽を引き込んでからその若芽で1/2のマガチヨを引き込む,もしくは「繁栄の撒き手」の2ドローにマガチヨがかかればその時点で勝利が確定なのだが,なんとこの局面でマガチヨに嫌われすべてのドローが空振ってしまう。
マガチヨの機嫌がThx|さけまん選手の命をつなぎ,Winter選手から守護突破用のカードを盤面処理という形で奪っていった。つながった命からジャンヌを絡めた守護3面の巨大スタッツ軍団で盤面形成&ライフ削りを仕掛けるThx|さけまん選手。この盤面を返せなければWinter選手は敗北が確定してしまう。
デッキ残り8枚まで掘っても姿を見せないマガチヨ。極限の状況のなか,残り6枚でWinter選手の手札に舞い込んだのは漆黒の使徒! 使徒の進化で盤面を返すことに成功するが,盤面には進化後の使徒のみが立った状態でターンがThx|さけまん選手に渡る。
この瞬間を待っていたのはThx|さけまん選手。漆黒の使徒を破壊し,呼び出されるは進化回数×2ダメージをばら撒く「アポストルアームズ」! ダメージ上限の10回進化=20ダメージを吸ってくれるフォロワーは盤面になく,そのすべてがリーダーに直撃して爆散! 長い長い激闘の果て,この瞬間にThx|さけまん選手の優勝が決定した。
Thx|さけまん選手ショートインタビュー
4Gamer:
本日は優勝おめでとうございます。長丁場となった大会でしたが,現在の率直な気持ちをお聞かせください。
Thx|さけまん選手(以下,さけまん選手):
優勝は本当にうれしいです! すべての試合をフルセットまでやったので,今日だけで15試合やってますね。本当にヘトヘトです。もう帰って寝たいくらいです(笑)。
4Gamer:
それだけの対戦数だとプレイ時間も相当な長さになっていると思いますが,集中力は保てましたか。
さけまん選手:
後半はもう集中より疲れが勝ってる状態でしたね……。ただ,それ以上に練習は重ねてきたので,とにかく練習でやったことを違えないよう堅実にプレイすることを心掛けました。それが結果につながったと思っています。
4Gamer:
プレイ中は頻繁に独り言をつぶやいていましたが,あれは何を言っていたのでしょうか。
さけまん選手:
基本的にはプレイの確認ですね。ケアレスミスやチェック漏れを防ぐために声に出していました。あとはWinter選手の時間いっぱい使うスタイルがかなり精神的にきつくて,「はやくターンエンドを押してくれ〜〜〜」とかです(笑)
4Gamer:
今日の大会はほとんどのプレイヤーが同じクラスを持ち込み,必然的にミラーマッチが増える環境になりました。ミラーに対する取り組みは準備段階で意識しましたか。
さけまん選手:
もちろんミラーの練習はしましたが,ミラーマッチでは先攻と後攻の差やキーカードを引き込めるかの方が要素として大きく感じたので,ある程度は割り切っています。
自分も相手もミラーマッチを狙うべきか避けるべきかは,デッキに対する自信だったりセットカウントだったり,さまざまな判断基準があると思いますが,そこを汲み取ってなるべく相手の狙いをズラすような意識はありました。
4Gamer:
今日の対戦を振り返って,一番印象的だったのはどのシーンでしょうか。
さけまん選手:
最も見てほしいのはSGA|ふえた選手のビショップに対してドゥルガーでロックを仕掛けたシーンです。あの選択肢は練習時点では頭になく,土壇場で勝ちたい気持ちが導いてくれた一手でした。そこから綺麗に逆転勝ちまで持っていけたのは自分としても手ごたえを感じました。
4Gamer:
Thxはチームから2名「SHADOWVERSE INVITATIONAL 2024」に出場することとなりましたが,そのことについて意気込みはありますか。
さけまん選手:
うちの大将(津島の塩選手)は寂しがり屋なんで,話相手になれてよかったです。でも大会では負けませんよ。勝つのは僕です。
4Gamer:
大会では「チームメイト」から優勝を争う「ライバル」の間柄になりますが,調整などは別に行う予定ですか。
さけまん選手:
現時点ではなんとも言えませんが,自分としては一緒に調整するのもいいんじゃないかな,と思っています。ただ,こっそりリストからカードを変更,なんてことがあるかもしれませんね。当日のお楽しみということで(笑)。
4Gamer:
今後もRAGEに出場する予定はありますか。また,今後の成績次第ではプロへの転向も視野に入れていますか。
さけまん選手:
RAGEが続く限り出場していきたいと思っています。プロ,というのは今のところ考えていません。Thxに思い入れもありますし,それこそ「Shadowverse: Worlds Beyond」に刷新された先のこともわかりませんしね。
4Gamer:
最後に今後の意気込みをお願いします。
さけまん選手:
またRAGEの配信卓に立てるよう努力していきますし,配信卓に立った際には皆が楽しめるプレイを魅せられるプレイヤーで在りたいと思います。応援して頂けたら幸いです。
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