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ヒーローはもう古い! これからはアンチヒーローの時代,というわけで,この夏プレイしてみたいアンチヒーローもののストラテジーゲームを紹介
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印刷2017/08/19 00:00

企画記事

ヒーローはもう古い! これからはアンチヒーローの時代,というわけで,この夏プレイしてみたいアンチヒーローもののストラテジーゲームを紹介

 一般的に“悪”とされる職業や組織に属しながらも,その行動原理が人々の共感を呼ぶキャラクターが存在する。それが「アンチヒーロー」だ。こうしたキャラクター造形は,正義を体現するヒーローのアンチテーゼとしての意味合いが強いが,100%善人の主人公がむしろ希少種になりつつある昨今,アンチヒーローの数は増え,そのバリエーションも多種多様になってきた。

This is the Police
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 この状況は筆者が関心を寄せるストラテジーゲームについても同様で,ここ1,2年の間にも数々の興味深いアンチヒーローもののタイトルがリリースされ,プレイヤーの間で大きな反響を呼んでいる。
 そんな数々のゲームの中でも,プレイヤーが楽しく悪事を行えるシステム設計や,感情移入を促すためのストーリーづくりなどにおいて光るものを持った,とくにオススメできる「知られざるストラテジー作品」を紹介したい(知っている人は,知らないふりをしてほしい)。もう,正義のためにがんばるのはやめよう。時代は,アンチヒーローなのだ。


Antihero

開発元:Tim Conkling
販売元:Versus Evil
公式URLhttp://antihero-game.com/

 2017年7月10日にリリースされた,その名も「Antihero」(アンチヒーロー)。ゲームの舞台は,ロンドンを思わせる19世紀末のヨーロッパの大都市で,プレイヤーが演じるのは,この街の裏社会で活躍する義賊団のリーダーだ。

This is the Police

Steam「Antihero」購入ページ


 ゲームはターン制のステージ攻略型であり,ボードゲーム風のマップ上で自分の盗賊ギルドを発展させると同時に,ライバルとなる敵の盗賊団の足を引っ張りながら,街全体へ勢力を伸ばしていく,というのがゲームの大まかな流れになる。
 ステージによって多少の違いはあるものの,たいていの場合の勝利条件は,賞金首の撃破,役人の買収,教会の完全支配を一定数達成すること。ここで重要になるのが,「ゲーム内通貨」とマップ上の「建物」,そして「ユニット」という要素だ。順に説明しよう。

霧に覆われた街を探検し,敵の位置や建物の情報を明らかにしていこう
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 ゲーム内通貨については,「コイン」「ランタン」の2種類があり,コインは主にユニットを雇用するのに使われ,ランタンはプレイヤーがスキルを習得したり役人を買収したりするのに利用する。
 これらは,主人公が街の各建物から盗んでくるか,特定の建物を支配することで各ターン終了時に獲得でき,例えば,銀行を部分的に支配しているとコインが1枚,完全に支配していると2枚もらえる,といった感じだ。また,ランタンは商館の支配で獲得でき,完全支配で1つ余分にもらえるのはコインと同様だ。

 プレイヤーがこうした建物を支配したり,敵勢力を建物から排除したりするときに活躍するのがユニットになる。ユニットは全部で7種類あり,それぞれが固有の能力を持っているので,これも順に説明していこう。
 まず主人公のアバターとなる盗賊団の「首領」(Master Thief)は,ゲーム開始時点では見えない状態になっている街路や建物を探索して,コインやランタンを取得できる。最大の特徴は,1ターンに複数回行動できることだ。また,スキルを習得することで,敵ユニットにもダメージを与えられるようになるので,ゲーム中盤以降は資金集めから敵の妨害まで,まさに主役にふさわしい八面六臂の活躍を見せてくれる。

スキルツリーを開放する順番も,各ステージの攻略には重要だ
This is the Police

 首領以外のユニットタイプは,スキルツリーを開放することで利用可能になる。その中でも一番基本的なユニットが「浮浪児」(Urchins)だ。シャーロック・ホームズのベイカー・ストリート・イレギュラーズのように,このゲームの浮浪児達も大活躍するが,なんといっても建物を支配できるのは彼らだけなので,自分の盗賊ギルドの収入を安定させるためには不可欠の存在だ。
ギャングを強化しておけば,賞金首や敵のギャングの撃破に便利だ
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 一方,建物を占領中の敵の浮浪児を追い出すには,このゲームの主力攻撃ユニットとなる「ギャング」(Gang)の力が必要になる。ギャングは1体(スキル開放で2体)しか雇用できないが,敵ユニットを倒して強化できるので,どんどん鍛えてやりたい。

 「ごろつき」(Thug)は一種のモブユニットで,相手ユニットの移動を妨害したり,ギャングユニットのHPを増やしたりできる。敵の攻撃ですぐにやられてしまうとはいえ,それだけでも相手の行動回数を奪うことにはなるので,地味ながら重要な存在だ。

 残りの3種類のユニットは,いずれも使用後消滅してしまうが,戦況を大きく変える能力を備えている。まず「怠惰な士官」(Truant Officer)の能力は,その名に反し,特定の建物にいる浮浪児をすべて追い出せるという強力なものだ。これにより,相手が支配している建物を中立化して,すぐさまこちらの浮浪児を送り込める。
 また,「アサシン」(Assasin)は敵ユニットを一撃で仕留められ,極限まで強化されたギャングさえ無力化できる。そして「工作員」(Saboteuer)は建物に爆弾を仕掛けられ,入ってきた敵の首領やギャングや怠惰な士官をスタンさせることで,建物の浮浪児達を守れるのだ。

HPの高い賞金首を倒せれば,勝利に大きく近づく
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 以上のように,7種類のユニットはいずれも能力が(名称もだが)個性的であり,ステージをクリアするうえで彼らを適材適所に使いこなしていく必要があるのだ。特定のユニットが実質的な無敵状態にならないような,いわゆる三すくみの関係を使った工夫もされており,ゲームのルールは非常によく練られている。

各ステージをクリアして,都市全域を支配する盗賊ギルドへと発展させよう
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 こうした戦略的な奥深さと,攻守が次々に切り替わるターン制ならではのテンポの良さが絶妙に噛み合っている点も,プレイしていて強く印象に残った。各ステージは大体10ターン前後と比較的短めだが,行動回数が限られている中で効率的なリソースの確保,消費を考えるのは,パズルゲームを解くようで,誰でも思わず夢中になってしまうはず。キャラクターも非常に愛嬌があってかわいいので,彼らがちょこまかと動いている様子を見るだけでも楽しめる。

 現在のところ,チュートリアルを兼ねたシナリオが1本あるのみなので,ソロプレイで無限に遊べるというわけではないが,オンライン対戦にも対応しているため,世界中の首領達と腕を競い合うのも面白そうだ。さあ,ロンドンっぽい街でアンチヒーローとして悪事の限りを尽くそう。



Beholder

開発元:Warm Lamp Games
販売元:Alawar Premium
公式URLhttps://beholder-game.com/

 上記のAntiheroは,街の盗賊が主人公だったが,次に紹介する「Beholder」では,プレイヤーが公営アパートの管理人となる。定職についたぶん,社会的に大きなランクアップといえるかもしれないが,アンチヒーローとしてはどうなのだろうか?

Steam「Beholder」購入ページ


 本作の主人公カールは,物資の欠乏した全体主義国家の一市民として暮らしており,生活はかなり厳しい。しかも,彼に与えられた任務は単にアパートの管理だけでなく,住人達の動向を逐一監視し,問題を発見した場合はすぐさま当局に報告しなければならないのだ。
 その務めを果たすため,怪しいと思った住人の部屋に監視カメラを仕掛けたり,留守を見はからって侵入し,不審な物品を発見したりといった,我々の常識では違法とされる行為を繰り返すことになる。

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 プレイヤーは国家から与えられたこの役割を,権力を与えられた小市民として真面目に(なんだったら,嬉々として)こなしていってもいいし,良心にしたがって抵抗してもいい。もっとも,いずれの道を選ぶにせよ,政府から次々に与えられるミッションをこなしていくうちに,家族と仕事,あるいは管理人としての義務と住人に対する責任の狭間で厳しい決断を迫られることになる。
 ストラテジーゲームに付きもののリソース管理スキルはそこまで必要ではないが,心理的な面でゲーム内の選択は難しく,さらに,それらの選択はミッションをまたいで複雑に絡み合うので,一筋縄ではいかない。

 例えばゲーム序盤で遭遇するミッションは,「法務省の命令で住人Aを速やかに立ち退かせる」というものだ。だが,カールはこの住民Aに,ほかのミッションで家族の悩みを解決してもらったという恩があり,法務省がオススメするように無理やり追い出す(その場合は犯罪の証拠を見つけて警察に突き出すことになる)のを心苦しく感じるプレイヤーも多くいるはずだ。
 詳しくは言えないが,そんなとき,法律の裏をかくことで平和的に住民Aの退去を援助する方法もあるのだが,この方法を選ぶためには,さらに別のミッションでほかの住人の信用を獲得しておかなければならないといった感じで,プレイヤーの選択はゲームの流れに大きな影響を与える。

この不気味なアパートを管理するのが主人公カールの役割だ。なお,国によって投薬を受けたため,カールは眠ることなく管理人の仕事をし続けられる
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 こうした,人間関係や出来事が二転三転するストーリー展開は非常にスリリングで,筆者は本作をプレイしていて,2006年に公開された東ドイツの監視社会を描いた映画「善き人のためのソナタ」を思い出さずにはいられなかった。あの映画のようなテーマの物語が好きな人にとって,Beholderは強い印象を与える作品になることだろう。

 もっとも,監視社会の重苦しさの演出があまりに強烈なために,プレイの後味が悪い点が気になるところでもある。そもそもオープニングからして,カールの前任者が職務怠慢を原因に警察に暴力を振るわれて連行されていく,というある意味ドン引きする展開が描かれる。そのあとも公権力による暴力や人間の闇の部分がどんどん描かれるのだ。

政府の命令に従いつつ,住民や家族の悩みにも対応する
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りんごを所持しただけで罰せられるような国家において,危険人物の通報は非常に簡単だ
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 ゲームシステムや人間らしく生きることが困難な社会で生き残ろうとする主人公というテーマから,「This War of Mine」「Papers, Please」と比較されることも多い本作だが,プレイしていて感じる陰鬱さ(デフォルメされた本作の影絵のようなキャラクターも,監視社会の不気味さに拍車をかけている)という点ではこれらを上回るため,あらかじめそれなりの覚悟が必要だ。

 日本語にはいちおう対応しているが,そのクオリティはGoogle翻訳以下のレベルと言える。それは欠点といえば欠点だが,筆者個人として,ゲームの不自然きわまりない日本語は,ジョージ・オーウェルの「1984」に出てくるニュースピークのような,ディストピアならではの言葉っぽくて好きなのだ。
 人を選ぶこれらの要素が見られるとはいえ,本作が非常に個性的なゲームであることは間違いない。アンチヒーローの主人公の運命が気になる人は,ぜひプレイしてみよう。

任務を失敗するわけにはいかない。カールにも愛する家族がいるのだから
This is the Police


This is the Police

開発元:Weappy Studio
販売元:THQ Nordic
公式URLhttp://weappy-studio.com/

 公営アパートのしがない管理人の次は,警察官だ。ある意味,アンチヒーローの王道ともいえる職業だろう。いや,あくまでハリウッド映画とかのイメージですけど。
 主人公のジャック・ボイドは,(おそらくアメリカの)架空都市フリーバーグで警察署長を務めていたが,市長との軋轢(あつれき)から職を退くことが確定的となった。それなら現職のうちに退職金くらいは貯めてやろうということで,退職までの180日間に50万ドルを稼ぐのが,「This is the Police」のプレイヤーに課せられた目標だ。

Steam「This is the Police」購入ページ


 資金を稼ぐ手段はいろいろあるが,仕事を普通にこなしていくだけでは,とても目標額には達しない。そこで,本来は警察官を派遣すべきでないような案件に首を突っ込んで便宜を図ったり,ギャングの依頼を受けて事件を揉み消したりと,いわゆる汚職の領域に踏み込んで副収入を増やすことになるわけだ。

This is the Police

 もっとも,ジャックは私腹を肥やすために悪事に手を染めるだけの単なる小悪党ではない。彼は自他ともに認める敏腕の警察官であり,その誇りを完全に失ってはいないのだ。
 ゲームのストーリーはこうした陰影のあるジャックのモノローグで進んでいくのだが,熟練警察官としての含蓄や,妻に駆け落ちされたうえに退職を間近に控えた中年男の諦念がにじみ出る,非常に味わい深いものになっており,プレイヤーを作品へと強く引き込んでいく。

捜査パートでは探偵モノの雰囲気も楽しめる。証拠を集めて犯罪者を追い詰めろ
This is the Police

警察官達のマネジメントも重要だ。うまく手綱を引き締めよう
This is the Police
 こうした語り以外のストラテジーパートも,「警察署長の仕事を全うしつつ,個人的な財産の蓄積にも励まなくてはならない」という本作のストーリーにうまく対応している。基本的に,不意の解雇や減俸を避けるため,街中で発生する犯罪事件に警察官やSWATを派遣して事件を解決するように気をつけるのだが,あまり真面目に仕事をすると,個人的な要請のほうに駆り出せる職員がいなくなり,副収入を得るチャンスが減ってしまうのだ。

 加えて,全員が必ずしも優秀というわけではない部下の警察官達は不可解な理由で休暇をひんぱんに申請してくるし,市長は市長で「人種差別主義者とのトラブルの原因になるので,黒人警官を全員クビにしろ」といった,昨今のポリティカルコレクトネスの風潮を考えるととんでもない要求をつきつけてきたりするので困る。プレイヤーは,こうした各方面との折衝を辛抱強く続けていくわけだ。

警察官の数は限られているが,犯罪は待ってくれない
This is the Police

 余談ながら,警察官を街の各地区に派遣して犯罪などの事件を解決していくという部分が楽しいと感じた人は,この要素に特化した「911 Operator」というゲームがあるので(関連記事),そちらもぜひ,お試しあれ。

 主人公の語りの魅力と警察シミュレーションとしてのやりごたえ。この2点が本作の大きな特徴だが,推理要素のある捜査があったり,ジャズやブルース,クラシックが中心のBGMが秀逸だったりと,それ以外にも魅力は多い。退職までの180日間,途中で作業ゲーっぽくなる場面もあるが,「This is the Police」(これが警察ってものさ)と呟きながら,最後までプレイをしてみよう。

主人公ジャックの「語り」はこのゲームの大きな魅力だ
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Crisis in the Kremlin

開発元:Kremlingames
販売元:Kremlingames

 警察官の次は,一気に国家元首だ。政治家をアンチヒーローと呼ぶのはちょっと違うんじゃないかという気がしなくもないが,西側の自由主義,資本主義に対するアンチテーゼのシンボルとして,ソビエト社会主義共和国連邦の最高指導者を演じてみることにする。ちなみに,「西側」とか「東側」とか,そもそも「ソ連」とかが分からない世代も増えていると思うが,詳しく説明すると長くなるので,知っているものとして話を進めていきたい。ジェネレーションギャップを感じるなあ。

Steam「Crisis in the Kremlin」購入ページ


 「Crisis in the Kremlin」は,1991年に発売された同名作品のリメイクにあたるゲームだ。「クレムリンの危機」というタイトルが示すように,1980年代に入り,国家としての曲がり角にさしかかりつつあるソ連の存続を図っていこう,という趣向の作品となっている。

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 ゲームのモチーフになっているのは,史実では1985年以降,ゴルバチョフ書記長(後に大統領)が推し進めたペレストロイカ(改革開放運動)だ。しかし,ペレストロイカだけがプレイヤーの取りうる道ではなく,従来のソ連型社会主義を維持していくこともできるし,より過激な社会主義に移行することも不可能ではない。
 対外的には,アメリカとの対決姿勢を強めてNATOからの脱退を強いることもできるし,反対に,こちらからワルシャワ条約機構を解体することもできるという,自由度の高い政治ストラテジーだ。

いくつかのシナリオが用意されているが,ソ連を取り巻く状況は,時代が下るにつれて悪化する
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 もっとも,自由度が高いぶん,何をどうしていいか分からないというとっつき難さがあり,お世辞にも操作性が優れているとは言い難いインタフェースがそれに輪をかけている。そこで,ゲームを進めるうえで押さえておくべきポイントをいくつか紹介しておこう。

非常に地味なメイン画面が,1980年代の雰囲気を醸し出す。ダイヤル式の電話を知らない人も増えているようだが,赤いのがそれだ
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 最も重要なのがメイン画面の右下の電卓で,ここをクリックして呼び出せる予算画面で,予算の配分を決定できるのだ。これらは,「科学投資」「経済投資」「軍事投資」「派閥工作」「各種援助」「輸入物資」,そして「行政費」など,細かいカテゴリに分かれている。KGBや軍隊に予算的配慮をしたり,各派閥の買収をして不満を解消したりしつつ,汚職の蔓延する官僚主義と戦ったりと,当時のソ連が抱えていた問題の複雑さが,この予算配分画面からもよく伝わってくる。
 こうした投資の結果は,数字などの直接的な形では表示されないため,予算の割り振りが正しかったのかどうかは手探りで確かめていくしかない。このへん,リアルというか難しい。

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内政面でやれることは,ほかのストラテジーゲームに比べて非常に多い
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 メイン画面の電話をクリックすれば,各省庁の責任者を呼び出して内政方針を指示したり,閣僚を変えたり,対立派閥を抑圧したりできる。とくに財務省,内務省,外務省は,国内外の政策を決定できるので重要だ。
 上記のように本作には,ソ連という国家のあり方について幅広い選択肢が用意されており,それに対応して政策のバリエーションも幅広い。例えば,ソ連の特徴の1つである共産党と国家の二重権力体制については,党の支配力を弱めて民主化を進めることもできるし,逆にスターリン時代のような独裁体制へも戻れるという感じ。面白いところでは「一日の労働時間を4時間に制限する」という夢のような政策もあるので,歴史では果たせなかった,真の「労働者のための国家」を目指してみるのも興味深い。こうした各政策の変更には,毎月のターンで蓄積されていく「政治ポイント」を使用することになる。

冷戦を扱ったゲームらしく,世界を相手にした外交戦も楽しめる
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 全体的な外交方針ではなく,各国個別に働きかけをしたい場合,メイン画面の地球儀をクリックして世界地図を呼び出そう。ここでは,同盟国への援助や中立国の取り込み,西側諸国の切り崩しなどができる。とはいえ,ある国に対してすべての外交アクションが取れるわけではなく,そこには史実におけるソ連の外交関係が反映される。クラウゼヴィッツ流にいえば「外交の一環」である戦争についても同じで,実際に派兵したアフガニスタンなど,一部の隣国を除いてプレイヤーが他国に自由に戦争をしかけられるわけではない。

1985年シナリオでは「前史」として,冷戦史を振り返る。途中で史実とは違う選択肢を取ることは,もちろん可能だ
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 やるべきことをやったら,メイン画面の机の上に置かれたファイルをクリックしよう。すると,ターンが終了してイベントが発生する。これらのイベントも,教科書級の有名なものからソ連の政治史に興味がある人でさえ知らないようなマイナーな出来事まで多種多様に用意されている。ここで行った選択もゲームのアウトプットに影響を与えるので,慎重に考えて行動しなくてはならない。

 以上のように,本作はソ連末期の雰囲気を巧みに描き出した,刺さる人には刺さりまくるという作品だ。もちろん,史実を詳しく知らなくても楽しめる(知っていればもっと楽しい),優れた歴史ゲームの条件を本作も十分に満たしている。いわゆる“共産趣味”の人ならぜひプレイしてほしい。
 また,戦後史に興味がある人にとっては,冷戦史全体を追えるボードゲーム「トワイライト・ストラグル」(Twilight Struggle)と合わせて本作をプレイすれば,さまざまな発見があるに違いない。ちなみに,赤軍合唱団好きの筆者としては,ソ連時代のBGMにこだわっているのも嬉しいポイントだ。

さすがロシア生まれのゲームだけあって,登場人物達は細かいところまで忠実だ
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 下町の義賊から世界を二分する勢力の最高指導者まで,さまざまなアンチヒーロー達のゲームを紹介してきたが,いかがだっただろうか。日本語版がないなど,ハードルの高い作品もあるが,この夏休み,じっくりゲームをプレイしたい人はぜひ挑戦してほしい。これからは,アンチヒーローの時代なのだ。
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