レビュー
「コール オブ デューティ インフィニット・ウォーフェア」は“特盛り”のFPS。没入感の高いキャンペーンや,新たなマルチプレイの魅力をレビュー
CoD:IWは,近未来の歩兵戦どころか,ついに舞台が宇宙に飛び出すということで話題になったが,どのように仕上がっているのだろうか。レビューをお届けしよう。
シームレスに展開するキャンペーンモードは,まるで体験する海外ドラマ
まずはキャンペーンモードから見ていこう。CoD:IWでは,人類が宇宙に進出した時代を舞台に,諸国家の連合組織「UNSA」と,これに叛逆する「SetDef」の戦いが描かれる。プレイヤーはUNSAに所属する軍人「ニック・レイエス」となり,宇宙空母「レトリビューション」を指揮してSetDefと戦うのだ。
太陽系の各所にはさまざまなミッションが散らばっており,クリアすると新たな武器や装備が手に入ったり,ストーリーが進んだりする。
一つのミッションの中で舞台が二転三転するのが大きな特徴で,地上で撃ち合いをしたかと思えば,戦闘機「ジャッカル」に乗り込んで軌道上の敵艦隊に殴り込みを掛ける……といった具合に,戦いはめまぐるしく展開する。次から次へと事件が起こるシナリオは,まるで海外ドラマをイッキ見しているかのようで,ついつい「もう一ミッションだけ」とプレイを続けてしまう。
歩兵戦はさすがのCoDクオリティ。2段ジャンプやスライディング,壁走りといった特殊機動を駆使し,スピーディな戦いが楽しめる。特殊機動があるとはいっても,キャンペーンモードではあくまで移動の補助くらいなので,FPSがそれほど得意でなくても安心してプレイできるだろう。
本作の戦いでは,敵を追尾して爆発するクモ型ロボット「シーカーボット」や,敵の周囲を無重力にして無防備状態で浮遊させる「反重力グレネード」といった未来ウェポンが登場。撃ち合いに華を添えてくれる。
敵ロボットを乗っ取る「ハック」も面白い要素だ。ハックした相手は一定時間自由に動かすことが可能で,制限時間が切れると自爆して周囲にダメージを与える。後方に陣取っているヤツを乗っ取り,敵のただ中に突っ込んでランボーのように大暴れしてから自爆させると効率がいい。普段はある程度慎重に進めなければならないのだが,この時だけは無謀なプレイができるので痛快だ。
周囲の環境がプレイに変化を与えることもある。例えば,無重力地帯ではフワフワと浮遊しながらの移動となるし,宇宙基地の窓を破壊すれば空気と共に敵が外へと吸い出されていくなど,いろいろな仕掛けがアクセントとなってくれるのだ。
無重力地帯ではフワフワと浮遊する。周囲の地形にワイヤーを引っかけて高速移動することも可能 |
宇宙基地は,窓を破壊すれば空気と共に敵が吸い出されるが,近いと自分も巻き込まれる |
ミッションの設定も凝っている。あるミッションでは,急速な自転により,昼と夜が短時間で入れ替わる小惑星基地が舞台。無数の敵ロボットが配備されているのだが,彼らが動けるのは,太陽電池が使える昼の間だけ。夜になって動きが止まったところを一気に殲滅しつつ,すぐに訪れる昼に備えなければならない……と,SF的な設定とゲームプレイがうまく融合していて面白い。
キャンペーンに刺激を与えてくれるのが,戦闘機であるジャッカルへの搭乗である。これまでにも,爆撃機に乗って機体各所の銃座で戦うようなミッションはあったが,今回はフィールド内を自由に動き回れるのが特徴だ。宇宙時代の技術で作られたSF戦闘機だけに操縦は簡単で,敵機をロックオンすれば,ある程度自動で追尾して飛んでくれる。フライトシミュレータというよりは3Dシューティングという印象。たくさんの敵機や宇宙艦が入り乱れた空中戦や,敵施設を破壊する対地攻撃といった任務が用意されており,クオリティの高い映像と相まって,かなり爽快だ。
そして,本作のキャンペーンで最も素晴らしいのが,こうしたさまざまな要素が,シームレスで展開されるという点だ。歩兵戦から空中戦など,場面が変わる際もロード画面や“いかにもゲーム的な暗転”が挟まれることがなく,没入感は非常に高い。「レトリビューションの格納庫から出撃し,地上に降りて歩兵として戦う。その最中に通信が入り,敵艦隊が来襲してきたことが判明。歩兵戦のマップ上に降りてきたジャッカルに乗り込み,急加速をかけて宇宙へ。敵艦隊と戦闘機隊を撃破し,レトリビューションへ帰還する……」といったプレイがローディング画面なしで展開するため,SF映画の主人公になったような気分が味わえるのだ。
主人公のレイエスは,レトリビューションの艦長をしつつ,自ら突撃部隊を率いて銃火に身をさらし,さらにはジャッカルで空中戦までこなしてしまうスーパーマン。そんな彼が,「任務遂行のためには犠牲を出さなければならない」という戦場の現実を突きつけられ,苦悩しつつも先へ進んでいく姿は共感を呼ぶ。同僚でありリアリストのソルター,ロボットながらユーモア満点で人間くさいイーサン,勇猛だがレイエスと考え方の異なるオマーなど,個性豊かな面々が時にぶつかり合い,時に理解し合っていく様は,ついつい先が気になってしまう。
レイエスは兵を守りつつ戦いに勝つという理想を抱くが,そこには戦場の現実が突きつけられる |
同僚のソルターはリアリストで,レイエスの理想を理解しつつも最後の一線では躊躇無く非情な決断を下す |
ロボットだがユーモア溢れるイーサンは,レイエスと強い絆で結ばれる |
勇猛なオマーは,当初こそレイエスと考え方を異にしていたが,戦いを経て互いに理解し合い,そして…… |
マルチプレイ好きな人の場合,キャンペーンをすっ飛ばしてしまうことも多いと思うが,今回はいろいろな面で新しい試みが盛り込まれているため,手をつけないのはもったいない。マルチプレイの合間にでも,ぜひとも遊んでみてほしい。
カスタマイズや報酬で楽しみが増したマルチプレイ
マルチプレイでは,さまざまな特性を持つ「コンバットリグ」を装備し,世界中のプレイヤーと対戦できる。
コンバットリグはパワードスーツのようなもので,汎用型の「ウォーファイター」,防御に優れた「マーク」,接近戦と機動力がウリの「FTL」など6種類が存在。それぞれ3種類の「ペイロード」(ゲージが溜まると使える特殊装備)と3種類の「トレイト」(さまざまな条件で使える特殊能力)を持つ。
戦闘時には,ペイロードとトレイトを1つずつ装備し,さらにCoD伝統の「PERK」(自動で発動するパッシブ能力)を3系列18種の中から3つ,「スコアストリーク」(ポイントが一定値以上になると要請できる援護)を14種から3つ選べるため,カスタマイズの幅が非常に広い。
例えばウォーファイターの場合,獲得するストリークポイントが倍になるペイロード「コンバットフォーカス」,死んでもストリークポイントが減らないトレイト「パーシステンス」を選び,ペイロードのチャージ時間が短縮されるPERK「オーバークロック」を使ってストリーク狙いの構成に。また,一時的にスピードが上がるペイロード「オーバードライブ」と,リロードが早くなるPERK「デクスタリティ」,走る速度が徐々に上がる「モメンタム」,ダッシュしつつ射撃や各種行動ができる「ガンホー」を組み合わせて高速戦闘に対応したり……といろいろなセッティングができる。
試合をこなすとレベルが上がり,新たなペイロードやトレイト,スコアストリークがアンロックされるため,遊べば遊ぶほどにカスタマイズの幅が広がっていく。前作の「スペシャリスト」と違い,今回は自由にコンバットリグやセッティングを変更できるため,より柔軟な対応ができるのが面白い。
試合のルールは,周囲はすべて敵の「FREE-FOR-ALL」や,旗を奪う「CAPTURE THE FLAG」などが用意されている。
とくに印象的なのが「INFECTED」と「DEFENDER」だ。INFECTEDは,ゾンビもの映画を思わせるルールでプレイヤーの中からランダムで選ばれた1人が「感染者」となる。感染者に倒されたものも感染者となり,制限時間内に全員が感染すれば感染者側の勝利。感染者は足音がしないため,気がついたら自分以外の全員が感染者になっていたというホラーさながらの状況も発生する。
DEFENDERは,一言で表現すればボール型ドローンの奪い合いだ。フィールド上のどこかに出現するドローンを確保すると,時間に応じて点数が入っていく。ドローンの位置は常時マップ上に表示されるため,敵味方が殺到し,攻守がどんどん入れ替わるのが面白い。
撃ち合いに関しては,お互いに2段ジャンプやスライディング,壁走りといった特殊機動をフルに使いこなす必要がある。CoDの常として,数発撃たれただけでお陀仏になってしまうため,マップを覚えた上で,ルールに応じた立ち回りをしなければならない。最初のうちは死にまくってしまうものだが,ある程度コツが掴めてくると楽しくなる。
また,本作では試合後に集めた「キー」を使って「サプライドロップ」を買うという楽しみが加わっている。サプライドロップとは宝箱のようなもので,中からランダムに武器やスキンなどが出現するため,ついついゲームを続けてしまう。
新要素の「クラフト」も面白い。これは,ログインボーナスやサプライドロップの購入で得られるゲーム内通貨「サルベージ」で「プロトタイプ武器」を購入し,これに特殊能力を付与していくというものだ。特殊能力は「弾数をアップする」「安定性が上がる」といったスタンダードなものから,「股間を撃つと大ダメージを与える」ようなユニークなものも存在。理想の武器をクラフトするにはサルベージが必要となるので,こちらもプレイを続ける大きなモチベーションとなっている。
B級映画テイストが親しみやすいゾンビモード
伝統の「ゾンビ」モードは本作でも健在。80年代風の遊園地を舞台に,ラッパーの「アンドレ」,オタク少年「ポインデクスター」,陽気な「サリー」,スポーツマンの「A.J.」という4人が謎を解いていく,協力プレイモードだ。
前作「ブラックオプスIII」のゾンビモードはダークで陰鬱なホラームードだったが,今回はB級映画を再現した感じで,80年代ファッションのゾンビや,いかにも妖しげなアトラクションの数々が登場する。ゾンビを倒すとお金が手に入るので,武器や弾を買ってパワーアップしていく。
ゾンビを倒すと,たまに謎のメガネが手に入る。かけると視界がモノクロになるが,その効果は? |
レトロなロボットはさまざまな課題を出してくる |
また「フェイト&フォーチュン」カードも貴重なパワーアップ手段だ。あらかじめ5枚のカードでデッキを作っておき,ゲージが溜まると使用可能となる。効果は「体力が素早く回復する」「スナイパーライフルの攻撃がクリティカルになる」などだ。フェイトカードは消費しないかわりに効果が小さく,フォーチュンカードはその逆なので,手持ちのカードと戦術に合わせてデッキを作りたい。
「フェイト&フォーチュン」カード5枚でデッキを作っておき,ゲーム内でゲージを溜めて使う |
「イーグルアイ」のカードは「スナイパーライフルの攻撃がクリティカルになる」というもの。武器を選んで使えば強力 |
舞台となる遊園地は謎と仕掛けで一杯だ。例えばゾンビを倒すとさまざまな色のコインを落とすことがあるが,これを特定の自販機に入れると,特殊な武器のパーツが手に入る……といった具合。1人でもプレイ可能なので,いろいろと試しつつ予習しておくといいだろう。
例え倒されてしまっても,マルチプレイであれば仲間に助けてもらえる。救助が間に合わずに死亡した場合でも,仲間が生き延びるか,遊園地内のゲーセンでミニゲームを遊んで「ソウルパワー」を溜めれば復活が可能。ミニゲームは,バスケットボールや的当てなど,実際に遊園地にありそうなものばかり。「ピットフォールII」「リバーレイドII」といったアクティビジョンのレトロゲームもあるのが楽しい。
基本的に気軽に遊べるモードではあるが,初めのうちは孤立したり妙な仕掛けを動かしたりせず,仲間のプレイを見て勉強するといいだろう。
CoD:IWはコンテンツ満載の特盛FPSだ
没入感が高く,海外ドラマを見ているかのようなキャンペーン。シリーズ伝統のスピーディな撃ち合いが楽しめるマルチプレイ。そして,それらとはまた違った雰囲気で楽しめるゾンビモード。CoD:IWには,とにかく豊富なコンテンツが用意されており,食べても食べても食べ尽くせない“FPSの特盛り”状態だ。本気でハマったらどこまでも遊べそうなボリュームがあるので,ぜひそれぞれのコンテンツを楽しんでみてほしい。
「コール オブ デューティ インフィニット・ウォーフェア」公式サイト
- 関連タイトル:
コール オブ デューティ インフィニット・ウォーフェア
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Call of Duty: Infinite Warfare
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