インタビュー
「FFXIV:紅蓮のリベレーター」,吉田直樹氏インタビューを掲載。バトルシステムの変更やブーストアイテムについて気になる点を聞いてみた
パラメーターの刷新。その変化が分かるのはLv70になるころ
4Gamer:
今回の拡張で,PIEや命中,受け流しといったパラメーターが廃止されました。
計算式上では動いているけど,プレイヤーは装備のうえで意識しなくてもよくなったというのが正確な言い方になります。
4Gamer:
これによってレイドで,例えばヒーラーの攻撃ダメージがどうなるのかというのも,プレイヤーとしては気になるところだと思います。
吉田氏:
それは,これまでどおりレイドをいつクリアするかによると思います。ILが上昇してきて,挑戦できる下限ではなく,僕らが想定している平均的なIL上昇ペースでクリアしてもらう場合か,そうでないかで変わります。そのILを下回る,ギリギリで突破したいというのなら,やれることはすべてやったほうがいいでしょう。ただ,今回は初回のレイドなのと,レベル70になって,みんな大幅にローテーションが変わるものもあるでしょうから,DPSチェックはさほど高くしていません。
4Gamer:
ローテーションを試行錯誤する時間は必要ですね。
吉田氏:
なので,DPSに関して不安定になると思います。一方,いま「現状のレベル60キャラでMNDとINTの数値を入れ替えてシミュレーションしてみた」としても,レベル70までの成長曲線などがそのシミュレーションには入っていないので,想定にはならないですね。結局,皆さんの場合「レベル70になってみないと分からない」が答えです。
4Gamer:
なるほど。とにかくレベル70にしてから,ですね。
吉田氏:
先ほども触れましたが,今回のレイドはDPSチェックを緩くしているつもりですので,そこまで心配する必要はないと思います。早期攻略であれば,“やれることは全部”ですけど,それでもDPSチェックはおとなしい数値だと思います。早期攻略組のジョブ構成がどう変わってくるのか楽しみですが,ある意味どの構成でも行けるのが我々の目標です。
4Gamer:
ところで,ダイレクトヒットはDPSの装備にしか付かないという話ですよね。例えば,天眼のマテリア系を付けた防具をヒーラーが装備すると,どう影響するのかなと思うんですが。
吉田氏:
単純に計算式上は,その装備に付与されたダイレクトヒット分だけ発生確率が上昇します。しかし,そもそもヒーラーのダイレクトヒット発生確率の数値は初期値が低いので,それを積み上げても伸びが悪いのであまり意味はないです。
4Gamer:
それでも一応,数値は上昇するんですね。
吉田氏:
はい。ただ,影響が極端に小さいのと,新規ヒーラー装備にはダイレクトヒットがつかないですし,IL更新がありますからね。
4Gamer:
メインシナリオを進めると,すぐに装備を更新することになりますよね。
吉田氏:
ええ。ですから,影響はないと判断しました。
全面的に簡易化されたPvP。パッチ4.1以降に新たな大規模PvPや週替わりルールなどを計画中
4Gamer:
今回の拡張では,PvPにもいろいろな変更が入ります。この変更はフロントライン(以下,FL)にも影響するんですか。
影響があります。全PvPコンテンツに今回の変更が適用されます。
4Gamer:
この変更によってプレイヤーの操作がかなり簡易化されることで,立ち位置だったり動きだったりという意味で,プレイヤースキルが重要になるのかなと感じたのですが。
吉田氏:
プレイヤースキルの差が出る場所は変わると思います。これまでの,PvEとPvPとで異なる複雑なジョブアクションを全部把握し,ありとあらゆる手の中から最適解をチョイスして遊ぶ……という部分を減らし,駆け引きによる差が出るようにしていますので。今は初動から差が大きすぎますが,その点が抑えられて,“ゴールド”(※)くらいから差が明確に出てくるのではと思います。
※フィースト(小規模の対人戦コンテンツ)におけるランキング
4Gamer:
操作が難しいから差ができるよりも,ある意味,健全な差になる気がしますね。
吉田氏:
また,いまのフィーストは,タイミングを合わせてバーストしようとしても,相手も相当な防御手段を持っているので,初動のバースト合戦はワンミスで一気に勝敗が決まったり,逆にどっちもバーストし合っていったん引くなど,どうにもならない瞬間もあったんです。
拡張以降もバーストはありますし,一気に試合のカタが付く瞬間はあると思いますが,これまでよりも明確に「何が悪かったか」が分かりやすく,次の試合やプレイで修正しようと思える……こういうところが大切なのかなと思うのです。それでもやりこんでいけば,PvPである以上は差が付きますし,それで正しいです。ただ,その差が広がるカーブが,ランクによって緩くなったという感じでしょうか。
4Gamer:
なるほど。ところで,報酬としてこれまでは戦績を稼いで,装備と交換したり,PvPアクションを入手するという形でしたが,これは変わらないのでしょうか。
吉田氏:
PvPアクションは全ジョブが標準装備になり,ポイントを振り分けて修得するものは一切なくなりました。単純にPvPランクいくつという称号はもらえます。ただ,強さには影響がありません。対人戦績をたくさん稼いで,PvP装備をたくさん持っているかどうかが,やり込みになりますね。あとはランクですね。
4Gamer:
キャラクターを強くすること以外で,モチベーションをどうするのかが気になっていたんです。
吉田氏:
ランキングと単純に対戦が面白いということもモチベーションになると思います。PvPでレベリングができるようになのも,僕みたいな人だと気楽で良いです(笑)。
4Gamer:
それはどのレベル帯からですか。
吉田氏:
PvPに行けるレベル30からですね。レベル30までフリートライアルで遊んで,そのあとでアクティブアカウントにして,ひたすらPvPをやっているだけでもレベル70まで行きます。
4Gamer:
それは極端な例だと思いますが(笑)。ところで,PvPにおけるコンボアクションを1アイコンで繰り出すという機能がありましたが,あれをマクロで再現できるようにする可能性はありますか。
吉田氏:
あれは,サーバーと通信をして,サーバーからヒット判定が返ってきたのをトリガーにして次のアクションに置き換えています。技術的にマクロ拡張ができるかという点だと,サーバーから返ってきた答えをIF判定するという機能を提供しようと思えばできますが,そうなるともはやボットプログラムと一緒ですので,ポリシーとしてそれらの機能を実装する予定はありません。
4Gamer:
なるほど。では,システムとしてはどうでしょう。
吉田氏:
例えばPvEにあの仕組みを実装できないかと言われると,PvPで実装できているのでシステム的にはもう可能です。しかしPvEの場合,コンボの派生がジョブによっては多すぎて,まとめきれないという問題があります。またジョブごとの操作難度の差も気になります。時間をかければできると思いますが,ここはリクエスト次第かなと……。ただ,簡単になりすぎってところもあるので。
4Gamer:
確かに,ひたすらボタンを連打するゲームになってしまいます。
吉田氏:
もちろん,実現すればDPSの差は今よりさらに埋まりやすくなると思います。ただ,PvEではコンボボーナスの方向指定として,モンスターの側面/背面指定があるので,単なる置き換えでDPSが上がるかというと微妙です。結局は1アクションずつ意識しないと,コンボボーナスが出ないので,かえって差が広がる懸念もありますね。
PvPで実装するのは方向指定をなくしているので,実装しやすいというのがあります。
4Gamer:
分かりました。PvPに関するところだと,パッチ4.0でFL(フロントライン)などに新マップや新ルールが追加されることはありますか。
吉田氏:
実は,もともとパッチ4.0向けに新しいタイプの大規模PvPを作っていたんですが……。あまりにも実装規模が大きすぎて,4.05のリリースに間に合いませんでした。
4Gamer:
では,それはいつ頃の実装になりそうでしょうか?
吉田氏:
パッチ4.1でのリリースを目指します。これはPvPの大改修があったからというのも大きいのですが。次は2勢力同士によるバトルになるんです。
4Gamer:
2勢力……ですか。これまで3勢力でしたから,どんなバックボーンがあるのか気になりますね。
吉田氏:
そこはまた追々お話ししますが,メカや兵器なども登場する新しい遊びになります。
4Gamer:
メカというと,やはり帝国が絡むのか,それともオメガ関連なんだろうか……。
吉田氏:
某レイドボスみたいなのが暴れたりするので,僕らも楽しんで作っています(笑)。あとはFLのルールがかなり増えているので,パッチ4.1以降からは週替わりでルールを変えたい,という話もしています。まだ話しはじめなのですが。
4Gamer:
ルーレットでは対応しきれないんですか?
吉田氏:
例えば,久しぶりに殲滅戦や制圧戦をやりたくても,ユーザーイベントでもないと最新のルールを指定してマッチング待ちする方が多く,ルーレットだけではどうしても(最新コンテンツの)砕氷戦になるんです。ここまでルールが増えたのであれば,今週はシールロック,来週は砕氷戦というように,毎週違った戦場で,ルールが変わったほうが飽きなくて良いのでは? ということを議論しています。
大幅に簡易化されたゲームシステム。プレイヤーの工夫の余地は?
4Gamer:
いろいろ話を聞いてきましたが,今回のアップデートで全体的に簡易化が進んでいると思います。気になるのは,プレイヤーの工夫のしどころが,ちゃんと残されているのかという点だと思うのですが。
吉田氏:
大丈夫です。簡易化と言っても,最後はきちんと腕の差が出ます。底上げはできたと思いますが,上位の差は思ったほど縮んでないなと感じたくらいで(苦笑)。
そもそも,この簡略化は,あまりにもアクションが扱いづらくて,レベル60なのにレベル50のときと同じような戦い方しかできないという部分を減らし,全体の底上げを図るのが目的です。上位コンテンツの難度や,ジョブの突き詰めとはまた別ですね。
4Gamer:
DPS格差につながるところですね。
吉田氏:
そうです。でも,トッププレイヤーを押しつけて差を縮めるのではなく,新規プレイヤーや気軽に楽しみたい方のDPS底上げが必要だという考え方です。最終的に,工夫の余地はかなりあると実感できる調整になったので,その点は安心してください。例えば戦士の「フェルクリーヴ」もうまくやれば6回を超えますし。
4Gamer:
「ウォークライ」でブーストしての5回だと思ってましたが……なるほど,ウェポンスキルのローテーションと「原初の解放」を使うタイミングによっては,間に合うのかな。ギリギリな気がしますけど。
吉田氏:
ええ。ですから,そこまでのローテーションを視野に入れている人と,入れていない人では,工夫の余地がやはり変わります。もちろん,フェルクリーヴ6連が最適かというと,それもシチュエーション次第ですし……。
4Gamer:
分かりました。ところで,最近新規プレイヤーが増えていますよね。やっぱり「光のお父さん(※)」の影響が大きかった?
※TVドラマ「ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」
「ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」公式サイト
吉田氏:
欧米は順調に4.0に向かって伸びていて,とくに日本ではドラマの影響も大きいと思います。それに合わせてですけど,我々も今回,より新規に向けたマーケティングだったり,PRだったり,バナーの方向性もそうですが,非常にいい反応が数字から見えています。このタイミングに合わせて全面的にやったことがうまくいっていると思います。あとはもう一息,4.0発売のタイミングで,また大きな施策をやりますので,それらがかみ合ってくれれば,もう1段伸びるのかなと思っています。
4Gamer:
では,最後に読者へのコメントをお願いします。
吉田氏:
冒頭でもお話したように選択肢として,FFXIVという山に「登ってみようかな?」と思える選択式の登山ルートを作ってみました。確かに,エンドコンテンツへ到達するにはかなりのボリュームになっていますから,「いまからオンラインゲームを始めるのか……」と思う人もいるかもしれません。しかし,ルートが複数用意されますので,まずはフリートライアルに触れてみてください。本当にたくさんの新しい方が増えていますので,一緒にまたFFXIVを盛り上げてもらえると嬉しいです。
また,いつもインタビューを読み込んでくださる,現役プレイヤーのみなさんは,とにかく変更点がめちゃくちゃ多いので,ご苦労をおかけします。文章や数字を見て不安に思うことがないとは思っていませんが,ある意味それも拡張の楽しみのひとつです。パッチノートや朗読会で,「ぎゃー」「うはー」と言いながら,サーバーが開いたらみんなで新たなFFXIVに飛び込んでください。何年かに1度のお祭りですし,ぜひ楽しんでいただけると幸いです。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
・「FFXIV: 紅蓮のリベレーター」で,各ジョブのプレイフィールはどう変わる? ハンブルクで実施されたプレビューイベントをレポート
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「第36回 FFXIVプロデューサーレターLIVE」レポート
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