レビュー
消費電力の低さと動作の静かさに注目したい,ちょっと短尺版RTX 2070カード
ZOTAC GAMING GeForce RTX 2070 OC MINI
(ZT-T20700F-10P)
2018年10月に登場したNVIDIAのTuring世代のGPU「GeForce RTX 2070」(以下,RTX 2070)。搭載グラフィックスカードの発売当初における販売価格は安価なものでも税込7万5000円前後,高級志向のものだと10万円前後というもので,「十の位」が「7」のGPUを採用する製品としては割高な感が否めなかった。
あれから5か月。RTX 2070搭載カードは,一部の高級品を除けば税込実勢価格が5万7000〜7万円程度にまで下がってきた。「7」と考えるとまだ高いが,それでも,価格がかなりこなれてきたとは言ってしまっていいだろう。
そこで,2019年3月末というこのタイミングで,あらためてRTX 2070カードを取り上げてみたい。用意したのはZOTAC Technology(以下,ZOTAC)の「ZOTAC GAMING GeForce RTX 2070 OC MINI」(型番:ZT-T20700F-10P,以下 ZOTAC RTX 2070 OC MINI)だ。
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カード長213mmと短い「MINI」モデル。ブーストクロックはリファレンス比+30MHzに
RTX 2070というGPUそのものの製品概要はGPUレビュー記事を参照してもらうとして,さっそくZOTAC RTX 2070 OC MINIというカードそのものを見ていこう。
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| 側面から見ると,ヒートパイプの存在を確認できる。「何本か」という話は後段で |
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| FireStorm。右上にある[SPECTRA]アイコンはグレーアウトしていて,クリックしても何も起こらない |
なお,ZOTAC RTX 2070 OC MINIの搭載するIceStorm 2.0では,ファンが見える面にある2か所と,クーラー側面にあるZOTAC GAMINGロゴ部に白色LEDが埋め込んであった。ZOTAC GAMINGブランドの上位モデルだと,設定用ソフトウェア「FireStorm」(Version 3.0.0.008E)の「SPECTRA」という機能からLEDイルミネーションの色や光り方を設定できるのだが,本製品だと[SPECTRA]アイコンをクリックしても反応がなかったので,動作中は常時点灯という理解でいいだろう。
![]() LEDは常時点灯。白色ということもあり,明るめな印象を受ける |
![]() ファンの羽は9枚構成。とくに呼称はないものの,中央部が膨らんだ構造になっていた |
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工場出荷時設定は自動で回転数制御が行われるAUTO。MANUALでは,タコメーターの下にあるスライドバーを使って,0〜100%の範囲を1刻みで設定可能だ。ただし,有効な範囲は34〜100%。0%に指定してもファンの回転が停止することはなかった。
ADVANCEDでは,GPUの温度とファン回転数の関係を示した折れ線グラフ「USER DEFINED SETTING」を使って,10℃ごとに異なる回転数を10%刻みで任意に変更できるが,0%には設定できないので,ZOTAC RTX 2070 OC MINIは「アイドル時にファンの回転を止める機能」は非サポートという理解でいい。
![]() [MANUAL]アイコンをクリックのうえ,ファンの回転数を60%一定に変更したところ。タコメーター内の表示を見ると,2種類のファン回転数設定が可能なように見えるが,ZOTAC RTX 2070 OC MINIでは「1」のほうしか選択できなかった |
![]() USER DEFINED SETTINGから回転数設定を変更し,温度が低い状態でも回転数を高めにしているところ |
FireStormの話が出たところで触れておくと,ZOTAC RTX 2070 OC MINIの動作クロックはベース未公開,ブースト1650MHz,メモリ14GHz相当。ブーストクロックのみリファレンス比で30MHz高くなっており,これが製品名にある「OC」の根拠と思われるが,ブーストクロックが1710MHzとなるFounders Editionと比べた場合は60MHz低いので,この点は注意が必要だろう。
ちなみに,後述するテスト環境においてFireStormからGPUコアクロックを追ったところ,1935MHzまで上昇することを確認できた。
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メモリクロックも「MEMORY CLOCK(MHz)」から−2GHz相当〜+6GHz相当の範囲を2MHz相当刻みで変更できるようになっていた。言うまでもなく,いずれの設定変更も自己責任となる点はご注意を。
カードのチェックに戻ろう。補助電源コネクタはリファレンスどおりの8ピン
外部出力インタフェースはDisplayPort 1.4a
![]() 補助電源コネクタは8ピン |
![]() 利用頻度の低いUSB Type-Cに代わりDisplayPortが1ポート増えているのは,ユーザーの利用実態に即した形と言えそうだ |
グラフィックスカードのクーラーを取り外すのはメーカー保証外の行為だが,今回はレビューのため特別に取り外してみよう。
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すると,後述すると予告していた,銅製ベースプレートからヒートスプレッダに向かって伸びる8mm径ヒートパイプの数は5本であることが確認できる。また,メモリチップや電源部のMOSFETも熱伝導シールを介してヒートシンクに触れており,それらもしっかりと冷却が行える仕様なのを見てとれた。
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続いて基板だが,電源部は6+2フェーズ構成を採用していた。GPU用の6フェーズ電源部は,各フェーズごとにUBIQ SemiconductorのNチャネル型MOSFETの「QN3103M6N」と「QN3109M6N」を組み合わせた構成。残り2フェーズには,MOS FETにOn SemiconductorのNチャネル型の「FDPC5018SG」を採用していた。
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なお,搭載するメモリチップは,Micron TechnologyのGDDR6「MT61K256M32JE-14」(チップ上の刻印は「8RA77 D9WCW」,14Gbps)。メモリクロックは14GHz相当なので,メモリチップの仕様的にはマージンはないことになる。
![]() Micron TechnologyのGDDR6。8Gbit品なので,8枚搭載することでメモリ容量8GBを実現している |
![]() 基板背面ではDC−DCコンバータチップであるGStek「GS9216」の姿も確認できた |
RTX 2070 Founders Editionと比較。リファレンスクロックに対する優位性の有無も確認
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テストに用いるグラフィックスドライバは,テスト開始時の最新版となる「GeForce 419.67 Driver」。OSのWindows 10は,とくに断りのない限り,「電源プラン」は「高パフォーマンス」を選択し,最高性能が発揮できるようにしている。
そのほかのテスト環境は表のとおりだ。
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テスト方法は4Gamerのベンチマークレギュレーション22.1準拠。NVIDIAがRTX 2070を「2560
スペックどおりのテスト結果。Founders Editionには届かず
以下,グラフ中に限りZOTAC RTX 2070 OC MINIを「ZOTAC 2070 mini」と表記すること,文中,グラフ中ともRTX 2070 Founders Editionの定格動作を「RTX 2070 FE」,ブーストクロックをリファレンス相当にまで落とした状態を「RTX 2070」と表記することをお断りしつつ,「3DMark」(Version 2.8.6546)の結果から順に見ていこう。
グラフ1は「Fire Strike」における総合スコアをまとめたものだ。ZOTAC RTX 2070 OC MINIはRTX 2070 FE比で96〜99%程度というスコアで,RTX 2070とほぼ横並びになった。クロックアップモデルとはいえ,ブーストクロックの向上はリファレンス比で30MHzだけということを考えれば,妥当な結果ということになりそうである。
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続いてグラフ2は総合スコアから「Graphics score」を抜き出したものだが,ここでもZOTAC RTX 2070 OC MINIのスコアはRTX 2070と大差ない。RTX 2070 FEに対して96〜97%程度というのも,総合スコアを踏襲する形と言っていいだろう。
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次に,やはり総合スコアから,ソフトウェアベースの物理演算テスト結果を「CPU score」として抜き出したものがグラフ3だ。CPUを統一していることもあり,スコアはほぼ横一線に並んでいる。
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GPUとCPU両方の性能が効いてくる「Combined test」の結果を抜き出したものがグラフ4だが,ここでは解像度1920
そこでそれ以外の結果を見ていくと,ZOTAC RTX 2070 OC MINIのスコアはここでも総合スコアを踏襲するものとなった。RTX 2070 FEの96〜97%程度で,RTX 2070とほぼ互角だ。
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DirectX 12世代のテストである「Time Spy」の総合スコアをまとめたものがグラフ5だが,ZOTAC RTX 2070 OC MINIのスコアはRTX 2070 FEの97〜98%程度。ここでもブーストクロックの違いがそのままスコアに影響しているようである。
なお,RTX 2070とのスコア差は「あるが,無視できるレベル」で,これもFire Strikeから変わっていない。
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グラフ6はTime SpyのGPUテスト結果をまとめたものだが,ZOTAC RTX 2070 OC MINIのスコアはRTX 2070と同程度。Founders Editionと比べると約97%というところに落ち着いている。
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一方,CPUテストの結果は,Fire StrikeのPhysics testと同じ理由で横並びだ(グラフ7)。
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実際のゲームアプリケーションではどうか。
グラフ8〜10は「Far Cry 5」の結果だが,ここでもZOTAC RTX 2070 OC MINIのスコアは3DMarkと似た傾向を示した。平均フレームレートでRTX 2070 FEの97〜98%程度,RTX 2070の100〜101%程度で,最小フレームレートもほぼ同じだ。
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「Overwatch」のスコアをまとめたグラフ11〜13でも,ZOTAC RTX 2070 OC MINIはRTX 2070に有意なスコア差を付けられていない。2連ファンを搭載するグラフィックスカード同士の比較において,30MHz程度のブーストクロックは違いとしてまず体験できないという理解でいいだろう。
なお,平均フレームレートにおいて,ZOTAC RTX 2070 OC MINIのスコアはRTX 2070 FEの93〜98%程度。より描画負荷の高いテスト条件でギャップが広がっているように見えるが,実のところは,1920
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「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」(以下,PUBG)の結果がグラフ14〜16だが,1920
そこで,2560
もちろん,実フレームレートにおいては1〜3fps程度の違いでしかないので,体感できるほどではないが。
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グラフ17〜19では,解像度1920
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「Middle-earth: Shadow of War」(以下,Shadow of War)の結果がグラフ20〜22だ。平均フレームレートでZOTAC RTX 2070 OC MINIはRTX 2070 FEの95〜97%程度となり,RTX 2070とのスコア差は最大でも約1%に留まった。
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次にグラフ23は「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」(以下,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチ)の総合スコアをまとめたものとなる。
ここでは1920
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そんなFFXIV紅蓮のリベレーター ベンチにおける平均フレームレートと最小フレームレートをまとめたものがグラフ24〜26だ。2560
なお,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチにおいて最小フレームレートはCPU性能を影響が色濃く出ることもあり,CPUを揃えた今回,3者の違いはまったく生じていない。
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グラフ27〜29は「Project CARS 2」のテスト結果だ。
平均フレームレートを比較すると,ZOTAC RTX 2070 OC MINIはRTX 2070 FEの95〜97%程度なので,FortniteおよびShadow of Warとおおむね同じ傾向と言っていいだろう。RTX 2070との間に有意なスコア差が生じていないのも,ここまでの大勢と同じである。
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Founders Edition比で明らかに低い消費電力を実現。GPUクーラーの能力は良好
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テスト結果はグラフ30のとおりだ。グラフ画像をクリックすると拡大版を表示するようにしてあるので,合わせてチェックしてもらえればと思うが,ZOTAC RTX 2070 OC MINIがRTX 2070 FEよりも若干低い消費電力で推移している気配を感じられると思う。実際,200Wを超える場面を数えてみると,RTX 2070 FEは140回,(RTX 2070 FEのダウンクロックで実現している)RTX 2070 FEは125回のところ,ZOTAC RTX 2070 OC MINIは76回だった。
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それを踏まえ,グラフ30におけるスコアの中央値をまとめてみたものがグラフ31だ。これを見ると,ZOTAC RTX 2070 OC MINIはRTX 2070 FEから20W近くも低く,RTX 2070からも10W以上低い。ZOTAC RTX 2070 OC MINIの低い消費電力は評価できるポイントと言っていいだろう。
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念のため,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用い,システム全体の最大消費電力も計測することにした。
テストにあたっては,Windowsの電源プランを「バランス」に設定。そのうえでゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイ出力が無効化されないよう指定した。そして,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点をタイトルごとの実行時,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」として,スコアを取得した。その結果がグラフ32だ。
ここではピーク値を取るため,4Gamer GPU Power Checkerよりもスコア差は開く傾向になるのだが,ZOTAC RTX 2070 OC MINIの示す数字は,各アプリケーション実行時でRTX 2070 FEより10〜27W低い。やはり,消費電力が低いことは間違いないようである。
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GPUクーラーの冷却能力を見るべく,「GPU-Z」(Version 2.18.0)を用いて計測したGPU温度も確認しておきたい。
ここでは,温度約24℃の室内で,テストシステムをPCケースに組み込まず,いわゆるバラックに置いた状態から,3DMarkの30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともども,GPU-Zから温度を取得することにした。
ZOTAC RTX 2070 OC MINIとRTX 2070 FEとでは,温度の制御法もGPUクーラーも異なるため,横並びの評価にあまり意味はない。それを踏まえて結果を見ていくと,ZOTAC RTX 2070 OC MINIは高負荷時でも70℃を切っており,冷却性能は申し分なさそうだ。消費電力が低いため,コンパクトなGPUクーラーでも十分な冷却を行えるということなのだろう。
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最後にZOTAC RTX 2070 OC MINIの動作音も確認しておこう。今回はカードに正対する形で30cm離した地点にカメラを置き,アイドル状態で約1分間放置した後,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチを約4分間実行したときの様子を,合計約5分のビデオにまとめてみた。
1分後にベンチマークを実行すると,ファンの回転数は次第に上昇し,ベンチマーク実行3分後(=ファイル冒頭から4分後)には最高回転数に達している。しかし,その状況でも動作音はさほど大きくなく,ケースに入れてしまえばまったく聞こえないレベルである。
ただ,個体差もあるのですべてがそうとは言えないものの,ベンチマークを実行するとコイル鳴きと思える高周波ノイズが聞こえた点は指摘しておきたい。もちろん,ここのノイズもPCケースの中に入れてしまえば聞こえなくなるレベルだが,少々気になる点ではあった。
「クロックアップモデル」としての価値は認められないが,短いカード長と低い消費電力,静かさには魅力がある
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しかし,Founders Editionと比べて若干ながら短いカード長と明らかに低い消費電力,そしてGPUクーラーの静粛性において,ZOTAC RTX 2070 OC MINIには十分な価値がある。というか,実のところZOTAC RTX 2070 OC MINIの下位モデルとしてZOTACは定格クロック版の「ZOTAC GAMING GeForce RTX 2070 MINI」(型番:ZT-T20700E-10P)を用意しており,こちらなら実勢価格は6万1600〜6万9000円程度(※2019年3月29日現在)とかなり低めになる。価格がネックという場合,(基板デザインなどが異なる可能性もあるため,今回にの評価をそのまま当てはめられるとは限らないものの)こちらを選ぶという選択肢はあるのではなかろうか。
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Founders Editionほどの性能は求めておらず,RTX 2070カードの購入にあたっては扱いやすさのほうをより重視するのであれば,ZOTAC RTX 2070 OC MINIとその下位モデルは考慮に値するはずだ。
- 関連タイトル:
ZOTAC GAMING(旧称:ZOTAC Gaming) - 関連タイトル:
GeForce RTX 20,GeForce GTX 16 - この記事のURL:














































































