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[G-STAR 2022]「マビノギモバイル」は“出会いと冒険”が生まれる世界にしたい。devCATのCEOにインタビュー
キム氏は,PC向けMMORPG「マビノギ」の開発者でもあり,その思い出をNexon Developers Conference 19の基調講演で語ったこともある人物だ(関連記事)。
久しぶりに出展されたマビノギモバイルがどのようなものになるのか,韓国メディアからさまざまな質問が飛び交ったインタビューの様子をお伝えしよう。
なお合同インタビューの後,4Gamerではいくつか単独で質問に答えていただいているが,読みやすいようにあえて分割せず一緒にまとめている。
[G-STAR 2022]「マビノギモバイル」は原作とだいぶ変わっているのに,それでもやっぱり懐かしい
G-STAR 2022のネクソンブースに,スマートフォン用MMORPG「マビノギモバイル」がプレイアブル出展されている。4年ぶりのお披露目となる本作だが,グラフィックス品質が格段に向上しただけでなく,デフォルメ具合が調整されたNPCや,戦闘,育成など,PC版から変わった部分も多く確認できた。
――2018年の初公開から4年ぶりの出展となります。前回のバージョンとの違いを教えてください。
キム氏:
2018年にお見せしてから今日までの間,たくさん開発を続けてきました。今回は,モバイルに適合したマビノギとして,前回見せられなかったものを中心に入れてあります。その中でも戦闘がどうなっているのかは,皆さんがとくに知りたがっているものだと思います。
――NPCの頭身や顔のバランスが変わりましたが,なぜでしょうか。
キム氏:
マビノギ開発当時からは時間が経ってアートスタイルも変わりました。今の時代にはどういうバランスが似合うのかを考えて,描写を変えています。
――原作と違って明確なクラスが設定されていますが,これはどういった意図でしょうか。
キム氏:
クラスを導入した最も大きな理由は,マビノギは初めてプレイする人がやるべきことが分からない要素が多かったので,ガイド的な内容がほしかったのです。最初に6つのクラスから選択できますが,今回は盗賊などが入っていません。クラスは固定ではなく,必要に応じてほかのクラスに変更することも可能です。
――試遊バージョンでは,装備を変えても外見が変わらないようでした。外見変化の要素は別途用意されているのでしょうか。
キム氏:
装備を変えると外見も変改します。正確には,性能に影響する装備と,その上から着込むファッション装備が存在していて,ファッション装備を脱ぐと中の装備が見える仕組みです。
――転生はどうなるのでしょうか。
キム氏:
転生はもちろん入りますが,前作のようにタイトに扱うつもりはありません。新しいキャラを育てたい,外見を変えたいなど,利便性を強調した転生にしたいと考えています。また,累積レベルの要素は入らないと思います。
――試遊バージョンの戦闘は,6つのスキルで戦う形式となっていました。今後戦闘のスケールが大きくなっても,扱えるスキルは6つに限定されるのでしょうか。
キム氏:
はい。戦闘で登場するボタンは6つに固定しました。現在,公開されているクラスは4つですが,たくさんの種類を用意しています。クラスや状況によって,それぞれ違う形で6つのボタンによる面白さが提供できるようにセッティングしています。
――戦闘方式のジャンケンはなぜ変えたのでしょうか。
キム氏:
ジャンケンは,モバイルでそのままできるかを悩んだ結果,やめました。ジャンケンのスキルは1対1でしか成立しないので,そこを補うために今回のような仕組みにしています。
マビノギの戦闘は,敵をずっと観察して,相手の動きを見てから反応するプレイでした。モバイルでは,全体的な戦闘の状況を見ながら使うスキルを判断をする展開になると思います。
――レベルアップすると,3つのカードが出てきてボーナスが入りますが,やり直しはきくのでしょうか。
キム氏:
はい,再度選択できるようにしています。カジュアルなテイストだとお考えください。
――いろいろなクラスが登場するのなら,何回か転職した場合,習得した好きなスキルを6個セットできるのでしょうか。
キム氏:
現時点では,スキルを入れ替える仕組みは考えていません。その代わり,各スキルの性能を変えられる仕組みを導入しています。
――最初に選ぶクラスを育てたら,その後の転職はどうなるのでしょう。残りの5つに転職するんですか? それとも上位クラスを選べるのでしょうか。
キム氏:
最初に選べる6つのクラスは,実はチュートリアルクラスのようなものです。プレイを初めてすぐ……2,3日後には,その上位クラスに転職できます。
――マビノギモバイルでも,ハウジングシステムは入るのでしょうか。
キム氏:
まだローンチでの実装を断言はできませんが,準備したいとは考えていて,現在はプロトタイプの段階です。
――エンドコンテンツはどういったものが用意されていますか。
キム氏:
多数のユーザーが参加できるレイドを準備しています。計画を練って参加して役割を分担する,正統派なレイドになる予定です。
――生産スキルは登場するのでしょうか。
キム氏:
はい。マビノギとまったく同じ仕組みではありませんが導入しています。
――コンテンツはどのぐらい作られているのでしょうか。
キム氏:
リリース時には,原作のG3にあたるボリュームを用意しようと計画中です。
――シナリオの内容は,マビノギのG3までの展開と同じものでしょうか。
キム氏:
実はだいぶ変わります。後半にいくほど変化していくのですが,重要なイベントはほぼ似たような感じです。
――マビノギでは,G3でいったんシナリオの更新が終わり,イリヤ大陸のアップデートが中心となっていきました。モバイルでは,シナリオ展開はどうなるのでしょうか。モバイル版G3にあたる部分の続きが追加されていくんですか。
キム氏:
はい。マビノギとは違った展開で更新していきます。
――エンチャントの確率は本作ではどうなるのでしょうか。
キム氏:
確率は導入しません。アイテムに関するシステム自体が大幅に変わる予定です。
――試遊バージョンのアイテムにはQRコードが書いてありますが,あれはなんでしょうか。
キム氏:
アイテムの詳細情報をWebで確認できる機能となります。
――縦持ちと横持ちのどちらもサポートしていますが,どういった意図でしょうか。
キム氏:
チャット用や移動中など,カジュアルに楽しむには縦持ち,思い切り戦闘を楽しみたいときは横持ちでプレイしていただければと思います。どう遊ぶかはユーザーさんに委ねますので,我々はそれを支援するだけです。
――試遊していて,さまざまな懐かしい曲がアレンジされて登場していました。本作の曲は,基本的に原作のものをベースにしていると考えてよいでしょうか。
キム氏:
はい。実は原作の作曲家が今も我々のスタジオで働いているんです。もう20年一緒に仕事をしています。
モバイルに登場する曲は,ほとんどが思い出のある曲だと思います。
――本作はどのようなゲームを目指しているのでしょうか。
キム氏:
今回表現したいのは「出会いと冒険」です。ゲーム上で多くの方々と出会っていただける舞台を作りたいと考え,人とナチュラルに出会える仕組みを入れています。
また,原作のストーリーは,途中で私の手から離れてしまったので,自分で完結させられませんでした。マビノギモバイルでは,自分で完成させたいと思っています。
マビノギは古いゲームですが,皆さんに多くのご関心を寄せていただいています。その期待に応え,また皆さんに愛されるようなゲームを2023年にお披露目できればと思います。