インタビュー
サムザップの新作アプリ「戦国ASURA」リリース直前インタビュー。βテストの反響や,正式サービスに向けた施策を聞いてみた
今回4Gamerは,本作のディレクター山本皓市氏とメインプランナー吉田 翼氏に,2017年12月に実施されたβテストの手応えや,正式サービスに向けた施策,意気込みなどを聞いてきたので,以下にその内容をお届けしよう。
「戦国ASURA」公式サイト
「戦国ASURA」サテライトサイト
思いもよらぬ結果となった“ロール分布”の原因とは?
多くのユーザーが参加したβテストの手応え
4Gamer:
本日はよろしくお願いいたします。まずは2017年12月に実施されたβテストの感触や手応えをお聞かせください。
山本皓市(以下,山本氏):
βテストには開発スタッフも参加していたんですが,「テスターの皆さんは期間中にこのあたりまで遊んでくれるだろう」という想定をしていました。ですがその想定を大幅に超えてやり込んでくれた人が多くて驚きました。
吉田 翼(以下,吉田氏):
その中で面白かったのが,ちょっとした不具合があったときに,それを見つけたプレイヤーが自分のプロフィール部分に「●●はしないほうがいいよ」的なことを記載し,ほかのプレイヤーに周知していた点ですね。テストに参加してくれているプレイヤーの熱量が伝わってきて,開発スタッフとしても大きな励みになりました。
山本氏:
βテストとはいえ不具合が出てしまったとき,内心では多くの人に「ごめんなさい!」という気持ちでいっぱいでした。本来βテストというものは,不具合や非常時に向けた対応を考慮し,ある程度人数を絞って実施するのですが,本作はマルチプレイが前提という設計のゲームです。そのため通常より多くの人数を募集することになり,その分ご不便をおかけした点もありました。
4Gamer:
βテストの終了後,アンケートの結果を発表されていましたが,手応えや感触はいかがでしょうか。あらためて教えてください。
関連記事:「戦国ASURA」,βテストのアンケート結果を公開。公式Twitterではゲームの世界観とリンクした4コマ漫画の連載がスタート
山本氏:
グラフィックスには相当注力し,実際多くのβテスターから「カッコいい」という評価をいただきました。開発側も狙ったところなので,非常に嬉しく思います。また,キャラクターに関しても同様に高く評価していただきました。
4Gamer:
では,逆に「この結果は想定していなかった」という点はありますか?
山本氏:
本作には「タンク」「アタッカー」「ヒーラー」という3種類のロールを用意しており,中でもアタッカーをプレイする方は多いだろうと踏んでいたんです。しかし,結果としてはアタッカーとヒーラーが多く,タンクだけが少ないという形でした。今回のβテストで使えたヒーラーは女性キャラだったからという理由も考えられますが,マルチプレイの参加者4人が全員ヒーラーを選び,返り討ちにあっているケースが重なっていたので,その点は想定外でした。
4Gamer:
確かに,βテストに参加した私自身も,ヒーラー4人で出撃となる状況は多かったですね。
山本氏:
ヒーラー4人だとボスをなかなか倒せないんですよね。
4Gamer:
そうなんです。4人とも回復スキルを使えるので,粘り強く戦えはするんですが……。それを受けて,正式サービスに向けたバランス調整はどういった形での見直しを検討されているんでしょうか?
山本氏:
現状,本作は全体的に女性キャラが少ないので,リリースに向けて準備をしています。タンクは体格の良いモデルをベースにしているので,急きょ細身で長身のモデルも制作中です。事前登録特典としてプレゼントする「お市」がタンクなので,正式版ではタンクのプレイヤーも増えてくれるかと考えています。
覚醒前 [戦国一の美女]お市 |
覚醒後 [遍地開花の天女]お市 |
4Gamer:
女性キャラだから選ばれがち,というのが理由だとすると,やはりプレイヤー層はほぼ男性なんでしょうか。
山本氏:
そうですね。20〜30代の男性が主なプレイヤー層となっています。
4Gamer:
そのほかβテスターからの意見では,どういった要望が挙がっていますか。
山本氏:
シングルプレイ要素の追加ですね。1人でも気軽に遊べる要素がほしいという意見は多いです。4人で遊んでほしいというのがゲームのコンセプトとしてあるので,現在は懸念もいくつか重なって深く踏み込めていませんが,マルチプレイに何かしらのメリットを与えるシングルプレイコンテンツは作れると思っています。
吉田氏:
ゆくゆくの展開としては,ちょっとした合間に楽しめるようなコンテンツ,という形に昇華できないかと考えています。
4Gamer:
βテストに参加した私としては──アンケートの結果でも見受けられましたが──ロード時間が長いと感じました。この点は改善される見通しですか。
吉田氏:
現在の開発バージョンでも確実に早くなっています。
かなりロード時間を短縮できていますね。あくまでもこれは開発環境内かつ最善のネットワーク環境におけるパフォーマンスなので,実際は個々の端末やネットワーク環境に左右される部分もありますが,それでも実感できるほど短くなっているはずです。ロード時間については今後も改善を続けたいと考えています。
4Gamer:
ほかにもアンケートには,タップによる移動など操作面の要望もありましたが,その点はいかがでしょうか。
山本氏:
その要望に対するアプローチではありませんが,操作方法に関してはいくつか変更を加えています。タップ操作があまりにも多いと,それはそれで疲れを感じてしまうんですよね。ロングタップで攻撃を繰り出せたり,キャラを移動させる操作をスムーズにしたり,よりストレスのない形を目指しています。
吉田氏:
ゲーム全体的の難度が高いというご意見も寄せられていまして,その点は操作面に関わる部分も多かったかと思います。たとえばタンクについては,移動スピードを上げたり,移動していなければオートガードが発生したりといった具合に調整しています。
4Gamer:
ほぼ全般的に見直されているんですね。
山本氏:
はい。βテスターの皆さまが正式版をプレイすると,かなり違うなと感じてもらえるかと思います。
吉田氏:
操作面だけでなく,ステージのギミックや障害物の配置も変更し,余計なストレス要素を排除していますので,正式版の感触にご期待いただきたいです。
4Gamer:
さて,そんなβテストから大幅に見直されている「戦国ASURA」の配信日は,いつ頃を予定されているんでしょうか。
山本氏:
我々としても早く皆さまにお届けしたいと思いますが,現段階でハッキリとしたことは言えません。でも,本当にもうすぐです。
吉田氏:
リリース直前の段階まできているのは確かです。
少人数マルチプレイやPvPの導入も?
正式サービス後の展開とは
4Gamer:
では,正式サービス後の展開についてお聞かせください。
先ほど少しお話しした,ちょっとした合間に楽しめるようなコンテンツの展開を,正式サービス後に行うつもりです。まだゲームのコンセプトを崩さない折衷案の状態で,検討中ではありますが,継続的に取り組んでいきたいと思います。
4Gamer:
それはシングルプレイですか?
吉田氏:
具体的な人数は決まっていませんが,少人数でサクっと遊べるなど,昇華の仕方はさまざまな形があるかと思います。ここはプレイヤーの反応や動向を見つつ,それに寄り添って進めていきたいです。
山本氏:
まだ言える段階ではありませんが,コラボに関しても進めています。ご期待に添えるコラボイベントを用意していますので,ぜひ楽しみにしてください。ほかにもチャレンジしたい施策は多く,たとえば本作のアクションゲームライクな持ち味を活かして,コンシューマゲームっぽく遊べるステージデザインや,PvP要素などを何かしら入れたいと考えています。
4Gamer:
PvPとは驚きました。そのために新しいシステムを構築されるんでしょうか。
山本氏:
その足がかりとしては,マルチプレイによる協力の中で,人と競うということもできるかと思います。PvPといってもさまざまな形があるので,どういった形が理想なのかも試行錯誤していきたいですね。現在はバトルフィールドでの自由度を活かした,バトル以外での遊びなどを考えています。
吉田氏:
本作はマルチプレイが前提なので,一緒にプレイする人がいなければ成り立たないゲームです。ロールを意識して,味方と連携をとらないとボスには勝てません。しかし,ボスを倒したときの達成感はその分格別のものです。そこを広げるような機能を入れていきたいですね。
いわゆるギルド的な機能を盛り込んで,協力者を集めやすくしたり,それこそGvGで競い合ったりもアリかもしれません。
4Gamer:
正式サービス後もさまざまな施策が検討されているようで楽しみです。開発側としては,プレイヤーにどんなゲーム体験を提供したいとお考えですか。
山本氏:
たとえばファミレスで集まって料理が届くまでのあいだ「じゃあ1戦しようか」というような形で,身近な人や友達とのコミュニケーションとして溶け込めるゲームを作れたら,開発者としては最高な気持ちです。目指すところはそういったゲーム体験の提供ですね。
吉田氏:
アンケートでは,マルチプレイ参加者がそれぞれロールの役割をまっとうして,見事ボスを倒したときは本当に楽しいという感想も多かったので,この体験をもっと多くの人に味わってほしいです。リアルでは知らない人とも,ゲーム内では強く結びつける。そういったゲームになれると嬉しいですし,運営しながら目指していきたいです。
4Gamer:
それでは最後に,正式サービスに向けての意気込みをお願いします。
発表から今まで長いことお待たせしており,大変申し訳ございません。時間をかけた分,多くの人が楽しめるようなゲームに仕上がっているので,リリースまでもう少しお待ちください。
山本氏:
開発期間が長かったので多くのスタッフがゲームに関わっており,リリースへの想いも強いです。これはもちろん配信がスタートしたら終わりという意味ではなく,まずは皆さまに最高のゲームを届けるために,100%の力を出し切っていきます。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
──2018年1月25日収録
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