プレイレポート
再現されたオフィシャルコースを楽しめるFIA WRC公式ラリーゲーム「WRC7」プレイレポート。18年ぶりにラリー復帰するトヨタのヤリスWRCも登場
本作はWRCの世界を忠実に再現した「WRC」シリーズの最新作で,今回もFIA公認ゲームとなっており,参戦しているMスポーツ・ワールドラリーチーム,シトロエン,トヨタなどのマニュファクチャラー(製造者)チームや,セバスチャン・オジェ,ヤリ=マティ・ラトバラ,ヘイデン・パッドンなどのドライバー,フォード フィエスタRS,シトロエン C3 WRC,18年ぶりにラリーに復帰するというトヨタのヤリスWRCといったラリーカーがすべて実名で登場する。
「WRC 7」公式サイト
メインとなるのが“ソロ”モード(シングルプレイ)の“キャリア”で,下位カテゴリのジュニアWRCのドライバーとしてチームと契約し,ラリーを戦って,ジュニアWRC,WRC2,WRCと上位カテゴリにステップアップしながら,WRCでの優勝を目指して奮闘していく。契約するチームごとにラリーで達成すべき目標が設定されていて,その目標をクリアしてラリーを終えることが重要になる。
2017年のWRCを再現しているということで,最上位カテゴリのWRCでは,スウェーデン,メキシコ,フランス,アルゼンチン,ポルトガル,フィンランド,ドイツ,スペイン,イギリスなどの13の国と地域にて繰り広げられるチャンピオンシップで競い合う。
ラリーは,大自然の中にレイアウトされたスペシャルステージ(以下,S.S.)と呼ばれるコースのスタートラインからゴールであるフィニッシュラインまでをいかに速く走り抜けるかで競うことになる。
1つのS.S.の中に,それぞれの国の特徴的な部分が凝縮されており,田園風景や高低差の激しい山岳地帯,埃っぽい砂地や車にダメージを与える岩がゴロゴロしている場所を走らされたり,車幅ギリギリの森林の中を走らされたと思ったら,起伏やうねりの激しい地帯に入るなど,ほかのラリーゲームと比べてもテクニカルなレイアウトのコースばかりが登場する。コースによっては,路面もターマック(舗装路)からグラベル(非舗装路),スノー(積雪)からアイスバーン(凍結)などへ同じS.S.内でも刻々と変化するし,スタートからフィニッシュまでリラックスできる時間は少ない。
本作では,国や地域ごとにS.S.が3コースずつ用意されており,3つを繋げたロングコースであるエピックステージ(ES)も用意されている。ESの中には総走行距離が23km,走行時間が15分を超えるものも用意されており,走り終わると良い意味でグッタリできる。
また,S.S.とは別に,周回コースでライバルと1対1で走行してタイムを競うスーパースペシャルステージ(S.S.S.)も用意されている。
実際にラリーで使用しているS.S.S.を忠実に再現しているとのことで,このあたりもラリーファンは見逃せないところだ。
1つのラリーは,DAY1,DAY2,DAY3の3日間で構成されている。ラリーごとに1日にこなすステージの本数に違いがあり,例えば,DAY1にS.S.を2本,S.S.S.を1本,DAY2はESを1本だけで,DAY3にS.S.を2本という感じに構成される。
3日間の日程は良いのだが,前述のとおり,本作では国や地域ごとに3つのS.S.と1つのS.S.S.,それとS.S.を繋げたESの5つのコースがあるため,例えば,イギリスでは,DAY1にGreat Orme(S.S.1),Hafren(S.S.2),Hafren 2(S.S.3),DAY2にDyfi(ES),DAY3にGreat Orme(S.S.4),Hafren(S.S.5)という具合に,Great OrmeとHafrenを2本ずつ走り,さらにESであるDyfiには,Great OrmeとHafrenの区間も含まれている。時間帯や天候が異なるとはいえ,同じS.S.を複数回走ることになってしまうところは少し気になった。
ラリーカーの挙動は,一言で表すと「アーケード調の味付け」で,慣れてくると比較的コントロールしやすい印象だ。“慣れてくると”と付け加えたのは,アクセルオフではタイヤは抵抗にしかならず全く曲がらないため,アクセルを踏み込んでタイヤにトラクションをかけないとフロントの向きが変わりにくいという特徴があるからだ。この辺の挙動特性が掴めると,コーナー進入時にアクセルオフでコーナーに入り,ステアリングとアクセルをコントロールしながらコーナーを立ち上がったり,リアを微妙に流しながら走るといったこともできるようになる。
とはいえ,長い時間ドリフトを維持するのは難しく,急激なステアリング操作(あるいはスティック操作)で挙動を乱すとフラついてコントロールできない状況に陥って慌てることも多かった。この辺はサスペンション,デフギア,ブレーキバランスなどのセッティング調整で対応することも可能だ。
また,コース幅も狭く,路肩にタイヤを落とすと挙動を乱しやすいせいか,少しでも無理をしたり,頑張りすぎると,大きくコースアウトしたり,なんでそんなところにいるの? という場所で観戦しているギャラリーに突っ込んでタイムペナルティを食らうこともある。スタートからのやり直しはできるが,ミスをなかったことにできる機能はないので,慎重に攻めなければならない。
また,過酷な走りを強いられるラリーだけに,速く走るだけでなく,できるだけラリーカーを壊さない走りも求められる。ステアリング,ギアボックス,ブレーキ,タイヤ,サスペンション,電装系,ボディにダメージが蓄積し,ダメージが増えれば機能低下して,最悪は走行不能になってしまう。そしてそのダメージは自動で回復するということもない。
車両へのダメージは,キャリアでは1日が終了するとサービスパークで修理することができる。ダメージによって必要な修理時間が変わるが,合計で45分ならばノーペナルティで修理できる。それ以上の時間が必要ならば60分まではペナルティを受けることで修理が可能だが,すべてを完璧に修理できない場合もあるため,次のS.S.などへの影響を最小限にするために修理箇所を選択する必要がある。どこを修理すべきか分からない場合は,自動で選択してくれる機能があるので,ラリーカーに詳しくない人も安心だ。
初心者向けの機能としては,プレイヤーを補助するアシスタントヘルプがあり,本作にはスタート支援とブレーキ補助,それとダメージを車の挙動に反映させるかといったものが用意されている。また,ライバルの速さをイージー,ミディアム,ハード,ハードコアから選択して楽しめるようになっている。
なお,今回は純正ゲームパッド(DUALSHOCK 4)とステアリングコントローラ(ロジクール G29 ドライビングフォース)を使ってプレイしたが,意外にも純正ゲームパッドのほうがプレイしやすかった。
また,筆者はラリーゲームをボンネットビューでプレイすることが多いのだが,その視点ではラリーカーの揺れが激しくてコントロールを失うことが多く,普段はあまり使わないラリーカーを後方から見下ろすようなビハインドビューのほうが遊びやすいという印象だ。この辺りは慣れの問題かもしれないが。
キャリア以外のゲームモードは,各国のステージやラリーカーを自由に選択して走ることができる“クイックゲーム”,ラリーカレンダーを自由に設定してオリジナルのチャンピオンシップを楽しめる“カスタム・チャンピオンシップ”が用意されている。
筆者のお気に入りは,コースやラリーカーなど同条件で世界中のプレイヤーとタイムを競い合う“チャレンジ”だ。タイムが縮まらず,最下位あたりのタイムばかり出して悲しい思いをしているが,速い人のリプレイが見られるので,それを参考すると徐々に上達できそうだ。
もちろん,“マルチプレイヤー”も用意されており,世界中のプレイヤーとリアルタイムに競い合える“オンライン・マルチプレイヤー”のほか,一つのテレビで2人対戦が可能な“画面分割”,最大8人で順番にプレイする“ホットシート”も用意されており,家族や友達と顔を見合わせながら対戦ができるのも嬉しいところだ。
移り変わる美しい風景の中,コ・ドライバー(走行を補助する選手)のナビゲーションに耳を傾けながら,暴れるラリーカーをコントロールし,スタートからフィニッシュまで無心で駆け抜ける,これぞラリーだ! という醍醐味を存分に味わえる。
コーナーをドリフトさせて抜けるといった感じではなく,コーナーでしっかりブレーキングしてグリップ走行で抜けていくといった感じなので,ラリーゲーム初心者でもプレイしやすいと思う。コーナーでカウンターステアを当てて,カッコ良く駆け抜けたいなんていう上級者プレイヤーには物足りなさがあるかもしれないが,ラリーファンであればプレイしてみてほしい。
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WRC 7 FIA WORLD RALLY CHAMPIONSHIP (C) 2017 published by Bigben Interactive S.A. and developed by Kylotonn Racing Games. All rights reserved. An official product of the FIA World Rally Championship, under licence of the WRC Promoter GmbH and the Federation Internationale de l’Automobile. Manufacturers, cars, names, brands and associated imagery featured in this game are trademarks and/or copyrighted materials of their respective owners. “WRC” and the WRC logo are registered trademarks of the Federation Internationale de l’Automobile. All rights reserved. Licensed and published in Japan by Oizumi Amuzio Inc.