レビュー
じわりと来る精神的な恐怖が味わえる「DYING:Reborn」レビュー。魚頭の男に閉じ込められたホステルから,謎を解いて脱出しよう
主人公のマシューは,失踪した妹シェリーを探すため,寂れた港町ハーバータウンを訪れる。しかし,捜索を始める前に何者かに襲われて意識を失い,気がつくと古びたホステルに閉じ込められてしまう。
途方に暮れるマシューの前に「案内人」を名乗る魚頭の男が現れ「お前を新しい世界へ連れて行く」と宣言。奇怪な仕掛けが施された部屋を用意し,マシューに試練を与えるのだった。果たしてマシューは妹に再会できるのか? そして,魚頭の男の正体とは……?
主人公のマシューは,古びたホステルに閉じ込められてしまう |
ホステルの各所にはTVが備え付けられており,魚頭の男がメッセージを送りつけてくる |
魚頭の男はホステル内をうろついているようだ。果たしてその正体は……? |
本作はアクション要素が無く,閉ざされた部屋でアイテムや手がかりを集めて謎を解いていくスタイルとなっている。2017年5月にはPS4版(PS VR対応)とPS Vita版が配信されているので,プレイした読者もいるのではないだろうか。PC版ではVR HMDは使えないものの,一人称視点で臨場感のあるホラー体験が楽しめる。
マシューが閉じ込められたホステルは,ハーバータウンの没落と共に営業を停止し,そのまま放置された建物らしく,かつては観光客で賑わっていたようだ。しかし,壁に意味不明のメッセージが書かれていたり,拷問用にしか見えない鋼鉄のベッドが置かれていたりと,今ではあまり長居したくない場所になっている。
部屋のあちこちには,当時の客が残したものなのか,魚頭の男が配置したものなのか,いろいろなアイテムが存在している。プレイヤーは,これらを利用して謎を解いていく。
ここで重要になるのが,2つのアイテムを組み合わせて新しいアイテムを作り出す「融合」のコマンドだ。例えば「ドライバーの刃」はそのままでは使えないが,別の場所で手に入れた「取っ手」と融合させることでドライバーが完成。これを目覚まし時計に使えば,ネジを外して蓋を開くことができ,中に隠された鍵が手に入るのだ。
この鍵を使って扉を開き,その中にあるスイッチを入れると,電気が通ってスタンドに明かりが灯る。すると,スタンドの明かりをさえぎるものがあり……といった具合に,融合コマンドをキッカケにしてゲームが展開していくこともあるというわけだ。
ホステルの各所には,暗証番号でロックされた金庫や,パズルを解かないと開かない引き出しなどの仕掛けが用意されている。周囲を調べるとヒントが見つかるので,行き詰まった場合は,あらためて探索し直すと道が開けることも多い。
一部のアイテムはマウスで動かすこともできる。例えば,ビンを逆さにして振れば中に入っていたコインが手に入るし,汚れたプレートをこすれば綺麗になるといった感じだ。
本作はホラーアドベンチャーだが,不気味なモンスターや惨殺された死体など,直接的な恐怖描写があるわけではない。薄暗いホステルの中を歩いていると突然悲鳴が響き渡ったり,ドアがガタガタとなったり,窓の向こうに魚頭の男が歩いているのが見えたりと,ジワジワと精神を追い詰めてくる演出が多い。描写が間接的なだけに恐怖が増すという感じで,ホラーに弱い筆者などは,怖くなって何度かプレイを中断してしまった。
ガタガタとなるドアに近づいたら,向こうから魚頭の男がこちらをのぞき込んでいた。心臓が止まりそうになる一瞬だ |
魚頭の男はマシューに奇怪な指示を出す。腐った心臓を食べさせたり,マネキンを拷問ベッドに乗せさせたりと,その目的は不明だ |
そして,何より怖いのが,ホステルの各所に落ちている文書だ。パズルのヒントから当時の雑誌まで,内容はさまざま。これを読んで過去に何があったかを推察するのだが,明確な答えが示されるわけではないので,かえって想像力が刺激されてしまう。
謎解きの中にはいくつか突拍子もないものもあり,ノーヒントですべてのアイテムや文書を集めるとなると,難度がやや高く感じられる。
直接的な描写なしで恐怖を感じさせる演出はなかなか興味深く,ホラーアドベンチャーとしては面白い方向性だ。ホラーファンはもちろん,グロが苦手だがアドベンチャーは好きな人にオススメの作品と言えるだろう。
本作は章仕立てになっており,一度クリアした章ならいつでも遊ぶことができるため,エンディングを迎えた後で,もう一度ホステルをめぐってみるのも面白いのではないだろうか。
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