レビュー
恋愛ADV「LoverPretend」を紹介。偽物の恋人を演じることから始まる恋の行方は?
2021年3月25日にアイディアファクトリーから発売されたNintendo Switch用ソフト「LoverPretend」。本作は,恋をしたことがない主人公・宇枝ちゆき(※名前のみ変更可能)が,さまざまな事情から男性達の“偽物の恋人役”を演じることになるという,女性向け恋愛アドベンチャーゲームです。
偽物の恋から始まる,主人公の初めての恋を描いた本作を紹介します。
主人公の夢は脚本家になることと父親を探し出すこと
主人公は,都内にある光葉文化大学の文学部国文科で,文芸を専攻する大学生。文芸を専攻する生徒は小説家やシナリオライターを目指す学生が多いのですが,主人公も脚本家を目指す1人です。
主人公の書いた脚本に的確な指摘をするのは,客員講師の浅木詠一郎(CV:森川智之)。彼いわく主人公の脚本は,しっかり書けているものの,恋愛シーンになると途端に台詞のリアリティがなくなるようです。
主人公にもその自覚はあり,いままで恋をしたことがないから,リアリティのある恋が書けないと思っているようでした。
しばらく浅木と会話をしたあと,大学をあとにして,主人公は幼馴染の上久保数馬(CV:古川 慎)との待ち合わせに向かいます。ヘアメイクアーティスト見習いである数馬は,元気で明るい性格で,主人公にとっては友人であり唯一の親友とも呼べる存在です。
そんな彼が奢ってくれるというのですが,数馬が目をつけたのはカップル専用のデザートプレート! 店員の前でカップルである証明をしなくてはいけないという表記をみて,主人公が慌てている一方で,10年もの付き合いがある主人公となら,カップルのふりも楽勝だと考えているようです。結局,主人公は数馬の勢いに負けて,カップルのふりをすることになります。
ここで初めて,さまざまな選択肢が連続で出題される「プリテンドタイム」が発生します。
プリテンドタイムには制限時間が設定されているので,素早く,的確に選択していきましょう。また,シーンバックなどもできないので,事前にセーブしておくことをおすすめします。
実際にプリテンドタイムをやってみたのですが,結構ミスをしてしまい,なんとか成功させることができましたが,途中はかなり慌ててしまいました。
カップルのふりをして購入したデザートプレートを食べながら,大学で浅木に提案された話をすることに。浅木は真木野雄三監督という大御所に頼まれ,映画の脚本を手掛けることになったそうなのですが,その期間,助手をしてくれないかと言われたのです。
脚本家になりたい主人公にとっては,実際の現場に行けるという大きな第一歩になりそうな提案でしたが,それでも主人公は“ある理由”からすぐに返事をすることができずにいました。
その理由というのは,真木野監督がいまは亡き母親が脚本家を務めた20年前のドラマ「Pretend to love」の監督だからです。
主人公には父親がいません。母親と祖母に育てられた主人公でしたが,2人ともすでに亡くなっています。亡くなる前の祖母からドラマの存在,そして時期的に考えて父親がドラマの関係者ではないかということを聞かされていた主人公は,真木野監督が父親である可能性も考えてしまうのでした。
しかし,数馬に背中を押されたことをきっかけに,主人公は浅木の提案を受け入れ,彼の助手として映画撮影の現場へと通うことになるのでした。
オーディションのための合宿では,さまざまな出来事が待ち受けています
真木野監督との打ち合わせに出向くことになった主人公と浅木ですが,そこで出会ったのは,名バイプレーヤーとして活躍する俳優の花井隆也(CV:千葉進歩),そして真木野監督の息子である真木野春三(CV:河西健吾)でした。
主人公と春三の2人は,おやつの買い出しを命じられて,街へと繰り出すのですが,そこで春三の大学の同級生に遭遇! 彼女らに関係を疑われ,プリテンドタイムでその関係を否定することになります。
買い出しを終え,打ち合わせの場に戻ると,オーディションに参加する主演候補者達の履歴書が並んでいました。その履歴書を観てみると,なんとPretend to loveに携わっていた人物の関係者が数名いて……主人公は動揺を隠せませんでした。
映画製作の現場というのは,オーディションの前から大忙しです。主人公も忙しい日々を過ごしているうちに,あっという間に第一次オーディションの日を迎えます。
第一次オーディションが終わると,そこで選ばれた数名が参加するオーディション合宿を行うことに。主人公や春三はもちろん,数馬もスタッフとして参加し,なんだかにぎやかになりそうですね。
主人公達が任されたのは,主に合宿での雑用……というのは,仮の姿で候補者達の人となりを観察するというのが一番の仕事でした。演技力はもちろんですが,今回の映画では役者の人となりも見て,候補を選びたいということで,3人はそれぞれ候補生達と交流しながら,その人となりを観察することになります。
ところが合宿中に,主人公はある事実を知ることになります。それは浅木の父親が自身の母親と師弟関係にあったということです。
ドラマの関係者ではなかったとしても,師弟関係ともなれば,それなりに親しい間柄だったはず。そこで浅木の父親が自分の父親である可能性,そして浅木が実の兄である可能性があるということに気付き,動揺してしまうのです。
一方,候補生達の人となりを観察し終え,すべてを報告したあとに告げられたのは,合宿の大詰めとなるミニドラマの監督を春三に,脚本を主人公に担当させるというとんでもない話でした。
ミニドラマの出来は,オーディションの結果にも大きくつながるということで,プレッシャーがかかるなか,主人公と春三,数馬。そしてミニドラマに参加する演技経験者達は一丸になって,ミニドラマの撮影を進めます。
オーディション合宿は,攻略対象キャラクターと親しくなれるチャンス! 選択肢を的確に選んで,気になる彼の好感度を上げていきましょう。
合宿の最後に,好感度の高いキャラクターとのイベントが発生するので,お楽しみに。
合宿が終わると,個別ルートに突入。偽りの恋人役を演じることに
今回は,西嶋理玖(CV:前野智昭)の個別ルートを紹介します。
合宿が終わって数日後,理玖から電話がきます。なぜか主人公に会いたいらしく,予定を聞かれ,翌日の夕方に2人きりで会うことになってしまいます。
待ち合わせの場所に到着すると,隠れていたという理玖が顔を出します。変装のためでしょうか,普段はしていないサングラスをしています。
理玖の家に付き,ソファに腰掛けているとさっそく大事な話が……と思ったら,いきなり「僕と――結婚して下さい」と言われてしまいます。とんでもない爆弾発言に主人公は混乱します。思わず瀬名由稀人(CV:鈴木達央)と同じで,女の子だったら見境なく――というタイプなのかと訪ねると,ようやく爆弾発言の真意を教えてくれました。
どうやら理玖は,婚約者のフリをした主人公を父親に紹介したいらしいのです。どうして,そこまでして父親に婚約者を紹介したいのかというと,理玖が“俳優を辞めたい”と思っているからでした。
理玖は,前々から俳優を辞めたいと思っていたものの,同じ俳優である父親が次々に仕事をもってきてしまうため,辞めるに辞められない状態が続いていました。
そこで理玖が考えたのが“自分と父親以外の他人を巻き込んだ問題に発展させること”でした。
結局,考えさせてほしいと伝えた主人公でしたが,結論が出るまでの期間は,理玖の付き人をすることになってしまって……。
理玖以外のキャラクターとも,さまざまな理由から“偽物の恋人”になってしまう主人公。はたして偽物の恋から始まる関係は……?
夢を持つ大学生の恋を描いた本作は,ファンタジー要素が物語に華を添える作品を多数発売しているオトメイトの作品としては,少し珍しい作品となっています。
有名な俳優やモデルが登場するという点は,非日常感がありますが,それでも日常に近い作品になっているのは間違いありません。たまには現実の恋愛に近い乙女ゲームが楽しみたいという人におすすめな作品です。
「LoverPretend」公式サイト
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