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ZOTAC製「GeForce RTX 2070 SUPER AMP Extreme」&「GeForce RTX 2060 SUPER MINI」レビュー。リファレンスとの違いをチェック
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印刷2019/07/18 00:00

レビュー

3連クーラー搭載の2070 SUPERカードとカード長212mmの短尺版2060 SUPERカードを試す

ZOTAC GAMING GeForce RTX 2070 SUPER AMP Extreme
ZOTAC GAMING GeForce RTX 2060 SUPER MINI

Text by 宮崎真一


画像集 No.018のサムネイル画像 / ZOTAC製「GeForce RTX 2070 SUPER AMP Extreme」&「GeForce RTX 2060 SUPER MINI」レビュー。リファレンスとの違いをチェック
 ミドルクラスからハイエンド市場をターゲットに,NVIDIAが投入した新型GPU「GeForce RTX 2070 SUPER」(以下,RTX 2070 SUPER)と,「GeForce RTX 2060 SUPER」(以下,RTX 2060 SUPER)を搭載するグラフィックスカードが,メーカー各社から登場した(関連記事)。

 そこで今回は,各社新製品の中からZOTAC Technologyの「ZOTAC GAMING GeForce RTX 2070 SUPER AMP Extreme」(以下,ZOTAC 2070 SUPER AMP Extreme)と「ZOTAC GAMING GeForce RTX 2060 SUPER MINI」(以下,ZOTAC 2060 SUPER MINI)をテストして,オリジナルデザインのGeForce RTX SUPER搭載カードが持つポテンシャルに迫りたい。

ZOTAC GAMING GeForce RTX 2070 SUPER AMP Extreme(型番:ZT-T20710B-10P)
メーカー:ZOTAC Technology
メーカー想定売価:未定(※2019年7月18日現在)
画像集 No.002のサムネイル画像 / ZOTAC製「GeForce RTX 2070 SUPER AMP Extreme」&「GeForce RTX 2060 SUPER MINI」レビュー。リファレンスとの違いをチェック

ZOTAC GAMING GeForce RTX 2060 SUPER MINI(型番:ZT-T20610E-10M)
メーカー:ZOTAC Technology
問い合わせ先:アスク(販売代理店) info@ask-corp.co.jp
実勢価格:税込5万6000円前後(※2019年7月18日現在)
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デフォルトで2GHz超えを実現したZOTACのRTX 2070 SUPER搭載カード


 GPUそのものについての解説は,GeForce RTX SUPERシリーズ発表時の記事を参照してもらうとして,ここではカードそのものについて見ていこう。まずは,ZOTAC 2070 SUPER AMP Extremeからだ。
 名称から明らかなように,本製品は,GPUにRTX 2070 SUPERを採用し,ZOTAC製グラフィックスカードの最上位である「AMP Extreme」の名を冠したカードである。

ZOTAC 2070 SUPER AMP Extremeの製品ボックス(左)。右はカード本体と付属品の電源ケーブルを並べたところ
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 動作クロック設定だが,ベースクロックは非公開ながらも,ブーストクロックは1830MHzと,リファレンスの1770MHzから60MHz高いクロックアップモデルとなっている。なお,メモリクロックはリファレンスと同じ14GHz相当だ。
 ちなみに,後述するテスト環境において,ZOTAC製の付属アプリケーション「FireStorm」(Version 3.0.0.010E)を用いてコアクロックを追ってみたところ,2070MHzまで上昇していることを確認できた。出荷時設定で2GHzを上回っているあたりは,なかなかインパクトがある。

テスト中にFireStormでコアクロックを追ってみたところ,最高で2070MHzに達した
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ZOTAC 2070 SUPER AMP Extremeのカード長は約308mm
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 カード長は実測で約308mm(※突起部除く)で,RTX 2070 SUPER Founders Editionのカード長が約266mmだったのに比べると,42mmほど長い。GPUクーラーは2.5スロット占有タイプで,90mm角相当のファンを3基搭載したZOTACオリジナルクーラー「IceStorm 2.0」を採用する。IceStorm 2.0は,従来モデルと同様に,銅製ベースプレートから伸びる8mm径のヒートパイプでGPUや電源部の熱を拡散する構造によって,高負荷時でも高い冷却性能と静音性を両立している。なお,性能重視の製品だからなのか,GPUの負荷が低い場合にファンの回転を停止する機能は用意されていない。

長いカードサイズに90mm径のファンを3基横に並べた2.5スロット占有タイプのGPUクーラーを搭載しているだけあって,かなり大きい(左)。基板の背面側には,放熱板を兼ねた金属製の保護プレートが取り付けられている(右)
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 今どきのグラフィックスカードは,分解の難度が高いうえに,うかつに外して組み立てると,グラフィックスメモリや電源回路などの放熱に支障を来す可能性があるので,GPUクーラーを取り外して基板やチップを確認するのは避けた。しかしZOTACによると,ZOTAC 2070 SUPER AMP Extremeの電源部は,8+2フェーズ構成とのこと。このクラスの製品としては,電源周りは十分なスペックを有すると言っていい。
 補助電源コネクタは8ピン+6ピンという構成で,このあたりはRTX 2070 SUPER Founders Editionと同じだ。なお,ZOTACによるとZOTAC 2070 SUPER AMP Extremeの消費電力は215Wとのこと。

補助電源コネクタはFounders Editionと同じ8ピン+6ピン構成。消費電力が215Wであれば,合点のいく構成だ(左)。NVLink用のブリッジ端子には,劣化防止のためかカバーが取り付けられている(右)
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FireStormで「SPECTRA」タブをクリックすると,LEDの設定項目が現れる
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 なお,GPUクーラーの背に当たる部分には,カラーLEDを埋め込んだ「ZOTAC GAMING」ロゴがあり,FireStormから発光色や発光パターンのカスタマイズが可能だ。発光パターンは,常時点灯の「STATIC」,早い点滅を繰り返す「STROBE」,点灯したまま次第に色が変化していく「WAVE」,ゆっくりした明滅を繰り返す「BREATHE」,色を変えながら点灯と消灯を繰り返す「CYCLE」の5種類で,工場出荷時設定はSTATICの青色だった。

LEDの色を工場出荷時設定の青(左)から,プリセットの赤(中央),緑(右)へと変えてみた
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ZOTAC 2070 SUPER AMP Extremeのインタフェース部。USB Type-Cポートは備えていない
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 映像出力インタフェースは,DisplayPort 1.4aが3ポートで,HDMI 2.0b Type Aが1ポートという構成だ。RTX 2070 SUPER Founders Editionが備えるVirtualLink向けのUSB 3.1 Gen.2 Type-Cは備えていないわけだが,VirtualLink対応のVRヘッドマウントディスプレイがまだ市場に出回っていない現状を考えれば,妥当な判断なのだろう。


212mmの短さが魅力のZOTAC 2060 SUPER MINI


 続いてZOTAC 2060 SUPER MINIを見ていく。
 GPUそのものの説明は,こちらも発表時の記事を参照してもらうとして,本製品でまっ先に目を惹くのは,カードの短さであろう。

ZOTAC 2060 SUPER MINIのカード長は実測で約212mm。最小のRTX 2060 SUPER搭載カードではないものの,かなり小さいほうだ
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 ZOTAC 2060 SUPER MINIのカード長は実測で212mm。RTX 2060 SUPER Founders Editionが同230mmほどだったので,18mmも短い。このカードサイズに魅力を感じるユーザーも多いのではないだろうか。ただ,背丈はやや大きめで,マザーボードに装着すると,ブラケットから垂直方向に20mmほどはみ出ていた。

 ZOTAC 2070 SUPER AMP Extremeと同様に,ZOTAC 2060 SUPER MINIのベースクロックは非公開だが,ブーストクロックは1650MHzで,リファレンスどおりの仕様となっている。メモリクロックも14GHz相当と,こちらもリファレンスから変わりはない。
 ちなみに,テスト中の動作クロックをFireStormで追ってみたところ,コアクロックは1950MHzまで上昇していることを確認できた。

テスト中の最大動作クロックは1950MHzだった
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 GPUクーラーには,90mm角相当のファンを2基搭載した2スロット占有タイプのIceStorm 2.0を採用する。ZOTAC 2070 SUPER AMP Extremeと同名ではあるが,形状はまったく別物で,基本的な構造が同じということだろう。
 なお,ZOTAC 2060 SUPER MINIはLEDを装備していない。また,GPUが低負荷時にファンの回転を停止する機能もなかった。

90mm径と大きめのファンを2基並べている(左)。背面の保護プレートは,カードの後端や背を大きく覆っているのが目を惹く(右)
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 補助電源コネクタは8ピン×1という構成で,これはRTX 2060 SUPER Founders Editionと変わらない。なお,ZOTAC 2060 SUPER MINIの補助電源コネクタは,PCケースと干渉しにくいように,GPUクーラーから一段低い位置に実装されている。
 なお,映像出力インタフェースはDisplayPort 1.4a×3,HDMI 2.0b Type A)×1で,ZOTAC 2070 SUPER AMP Extremeとまったく同じだ。RTX 2060 Founders EditionにあるDual-Link DVI-D出力が省略されているが,ブラケット部分のスリットを多めにすることで,少しでも排気孔を確保するのを優先したいという意図かもしれない。

補助電源コネクタの周囲は切り欠きのようになっており,一段低い位置にある(左)。映像出力インタフェースはDisplayPort 1.4a×3,HDMI 2.0b×1の4系統(右)
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ZOTAC製2製品の性能をFounders Editionと比較


 それでは,テスト環境の解説へ進もう。
 今回の比較対象には,RTX 2070 SUPER Founders EditionとRTX 2060 SUPER Founders Editionを用意した。ZOTAC製の2製品が,リファレンススペックと比べて性能差があるのかを確認しようというわけである。

 利用したグラフィックスドライバは,テスト期間の都合上,NVIDIAがRTX 2070 SUPERならびにRTX 2060 SUPERのテスト用に配布した「GeForce 431.16 Driver」である。そのほかのテスト環境はにまとめたとおりだ。

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 テスト内容は,4Gamerのベンチマークレギュレーション22.1に準拠。ただし,時間の都合から「Overwatch」「Middle-earth: Shadow of War」「Project CARS 2」のテストを省略し,一方でレギュレーション23.0を先取りするものとして,「Far Cry 5」に代えて「Far Cry New Dawn」を,「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」に代えて「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」(以下,FFXIV漆黒のヴィランズ ベンチ)のテストを追加した。
 具体的なテスト方法だが,まずFar Cry New Dawnは,ゲームに用意されたベンチマークモードを,最高プリセットを選択したうえで2回実行して,その平均をスコアとして採用する。FFXIV漆黒のヴィランズ ベンチは,グラフィックス設定を最高品質にしたうえでベンチマークを実行し,レポートファイルから得られる総合スコア,平均フレームレート,最小フレームレートをスコアとして用いるという内容だ。

 解像度は3840×2160ドット,2560×1440ドット,1920×1080ドットの3種類を選択。なお,テスト環境およびテスト方法は「Radeon RX 5700 XT」および「Radeon RX 5700」のレビュー記事とまったく同じであるため,RTX 2070 SUPER Founders EditionとRTX 2060 SUPER Founders Editionのスコアは,同記事から流用していることをお断りしておく。


4%ほど高性能なZOTAC 2070 SUPER AMP Extreme


 以下で扱うグラフ内では,ZOTACの2製品をそれぞれZOTAC 2070 SUPERとZOTAC 2060 SUPER。Founders Edition版をそれぞれRTX 2070 SUPER,RTX 2060 SUPERと略していることを断ったうえで,「3DMark」(Version Version 2.9.6631)の結果からチェックしていこう。

 グラフ1は「Fire Strike」の総合スコアをまとめたものだが,ZOTAC 2070 SUPER AMP ExtremeとRTX 2070 SUPERの差は,3〜4%程度といったところ。ブーストクロックの差が3%であることを踏まえると,その差がスコアにそのまま反映されていると理解してよさそうだ。
 一方,ZOTAC 2060 SUPER MINIは,RTX 2060 SUPERに1〜2%程度ほど離されてしまった。短尺カードを採用したことで,冷却能力面でFounders Editionに差を付けられたのであろうか。

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 総合スコアから「Graphics score」を抜き出したものがグラフ2となる。ZOTAC 2070 SUPER AMP ExtremeとRTX 2070 SUPERの差は4〜5%程度で,若干差が広がったものの,総合スコアの結果を基本的には踏襲したものと言えよう。
 一方,ZOTAC 2060 SUPER MINIはRTX 2060 SUPERに1〜2%程度の差をつけられており,総合スコアと同様の傾向が見られる。

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 グラフ3は同じくFire Strikeの総合スコアからソフトウェアベースの物理演算テスト結果を「CPU score」として抜き出したものだ。テストを通じてCPUを統一しているため,スコアはキレイに並んでいる。

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 総合スコアから,GPUとCPU両方の性能が効いてくる「Combined test」のテスト結果を抜き出したものがグラフ4だ。ここでもZOTAC 2070 SUPER AMP ExtremeとRTX 2070 SUPERでは,約4%のスコア差が付いている。
 その一方で,ZOTAC 2060 SUPER MINIは,Fire Strike UltraとFire Strike Extremeでこそ総合スコアと似たような結果なのだが,Fire Strikeでだけは,RTX 2060 SUPERに約9%もの差を付けて上回った。正直に言って,なぜこのテストでだけ総合スコアとまったく異なる傾向になったのかは分からない。

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 続いては,DirectX 12世代のテストとなる3DMarkの「Time Spy」における総合スコアをまとめたものがグラフ5だ。ZOTAC 2070 SUPER AMP ExtremeとRTX 2070 SUPERとの差は約3%で,Fire Strikeの結果を踏襲する形となった。
 ZOTAC 2060 SUPER MINIがRTX 2060 SUPERに届いていない点もFire Strikeと同様で,その差は約2%ほどだ。

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 グラフ6は,Time SpyのGPUテスト結果を抜き出したものだが,ここでもZOTAC 2070 SUPER AMP ExtremeとRTX 2070 SUPERの差は約4%ほどである。
 ZOTAC 2060 SUPER MINIとRTX 2060 SUPERとの差も2%前後であり,これまでのテストと同じ傾向と言ってよいだろう。

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 なお,グラフ7はCPUテストの結果をまとめたものだが,Fire StrikeのPhysics testと同様,CPUが揃っているためスコアも横並びだ。

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 3DMarkで一通りの傾向を把握したところで,実際のゲームでの評価を進めていこう。
 グラフ8〜10はFar Cry New Dawnの結果だが,平均フレームレートにおけるZOTAC 2070 SUPER AMP ExtremeとRTX 2070 SUPERとの差は3〜5%程度といったところで,3DMarkの総合スコアと似た傾向だ。
 また,ZOTAC 2060 SUPER MINIがRTX 2060 SUPERに1〜2%程度の差を付けられている点も,3DMarkの結果を踏襲している。

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 続くグラフ11〜13は,「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」(以下,PUBG)の結果をまとめたものだ。
 2560×1440ドットだけは,平均フレームレートにおいてZOTAC 2070 SUPER AMP ExtremeがRTX 2070 SUPERの後塵を拝する結果となったが,それ以外の解像度では4〜5%程度の差を付けているので,実ゲームのテストで起こりえる数値のブレと捉えるのが妥当だろう。
 一方,ZOTAC 2060 SUPER MINIは,やはりRTX 2060 SUPERに2%ほど差を付けられている。

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 「Fortnite」の結果をまとめたグラフ14〜16では,平均フレームレートにおいてZOTAC 2070 SUPER AMP ExtremeがRTX 2070 SUPERを3〜4%程度安定して上回る性能を発揮した。また,ZOTAC 2060 SUPER MINIとRTX 2060 SUPERの差は約5%ほどで,少し差が開いた格好だ。

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 グラフ17はFFXIV漆黒のヴィランズ ベンチにおける総合スコアをまとめたものである。ここでは,ZOTAC 2070 SUPER AMP ExtremeとRTX 2070 SUPERとの差は1〜3%程度と詰められ気味だ。同ベンチマークはCPU負荷が相応に高く,その一方で,グラフィックスカードの性能差が小さいとスコアに出にくいためと思われる。
 それは,ZOTAC 2060 SUPER MINIも同様で,RTX 2060 SUPERとの差も2560×1440ドット以下の解像度では1%に満たないなど,両者の差が詰まっている。

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 FFXIV漆黒のヴィランズ ベンチにおける平均フレームレートと最小フレームレートをまとめたものが,グラフ18〜20だ。平均フレームレートは総合スコアを踏襲している一方で,最小フレームレートはCPU性能の影響が色濃く表れるため,スコア差はあまり見られない。

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ZOTAC 2070 SUPER AMP Extremeの消費電力は20Wほど増加。ZOTAC 2060 SUPER MINIはリファレンスと同等


 さて,クロックアップ仕様のグラフィックスカードでは,消費電力の増大が懸念材料となりがちだ。高クロック動作が売りのZOTAC 2070 SUPER AMP Extremeも例外ではない。ZOTAC 2060 SUPER MINIの消費電力も気になるところだ。
 そこで,「4Gamer GPU Power Checker」(Version 1.1)を用いて,FFXIV漆黒のヴィランズ ベンチ実行時におけるカード単体の消費電力推移をまとめたものがグラフ21となる。

 この結果を見ると,やはりZOTAC 2070 SUPER AMP Extremeのほうが,RTX 2070 SUPERより若干消費電力が高いようだ。実際,250Wを超える場面をカウントしてみると,RTX 2070 SUPERが66回であるのに対して,ZOTAC 2070 SUPER AMP Extremeは98回と,消費電力は確実に増えていた。
 一方,ZOTAC 2060 SUPER MINIは,RTX 2060 SUPERとあまり大きな差がないように見える。

※グラフ画像をクリックすると横に引き伸ばした拡大版を表示します
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 線が重なって少々見にくいグラフ21から,中央値を求めたものがグラフ22だ。
 これを見ると,ZOTAC 2070 SUPER AMP ExtremeはRTX 2070 SUPERから20W弱ほど消費電力が増大しており,クロックアップの代償は小さくないようだ。一方,ZOTAC 2060 SUPER MINIとRTX 2060 SUPERの差は5Wほどで,ほぼ同じと言ってしまっても差し支えないだろう。

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 カード単体の消費電力だけでなく,システム全体の最大消費電力もログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて計測してみた。
 テストにあたっては,Windowsの電源プランを「バランス」に設定。さらに,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点をタイトルごとの実行時,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」としている。その結果がグラフ23だ。

 グラフを見ると,ZOTAC 2070 SUPER AMP ExtremeとRTX 2070 SUPERとの差は26〜60Wと,差がだいぶ広がった。これはピーク値をスコアとして採用するテストのため,どうしても差が広がる傾向にあるのだが,それでも消費電力が増えていることは確認できる。
 一方,ZOTAC 2060 SUPER MINIとRTX 2060 SUPERは勝ったり負けたりのいい勝負で,やはり消費電力は同程度と捉えるのが妥当だろう。

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 「GPU-Z」(Version 2.22.0)を用いて計測したGPU温度も確認しておきたい。ここでは,室温約24℃の環境で,テストシステムをPCケースに組み込まない,いわゆるバラック状態から,3DMarkの30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともども,GPU-Zから温度を取得している。なお,今回使用した4製品では,温度の制御法もGPUクーラーも異なるため,横並びの評価にあまり意味はない。それを踏まえて結果をまとめたグラフ24を見ていこう。
 ZOTAC 2070 SUPER AMP Extremeは,高負荷時でも70℃を切っており,GPUクーラーの冷却性能は優秀だ。一方,ZOTAC 2060 SUPER MINIは,RTX 2060 SUPERとあまり変わらない。短尺カードとはいえ,Founders Editionと同等の冷却性能を実現できているようだ。

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 最後に,ZOTAC 2070 SUPER AMP ExtremeとZOTAC 2060 SUPER MINIの動作音を確認しておこう。今回は,カードに正対する形で30cm離した地点にカメラを設置し,アイドル状態でシステムを約1分間放置したあと,FFXIV漆黒のヴィランズ ベンチを約4分間実行したときの様子を約5分のビデオにまとめてみた。
 ビデオを見てもらえばわかるのだが,ZOTAC 2070 SUPER AMP Extremeの静音性はかなり良好だ。もちろん,ベンチマーク実行3分後(=ファイル冒頭から4分後)にはそれなりの動作音はするものの,ケースの中に入れると聞こえないレベルにまで音量は抑えられている。その一方で,ZOTAC 2060 SUPER MINIの動作音は大きめだ。短尺カードゆえに回転数を高くすることで冷却性能を稼いでいるのだろうが,それゆえ動作音も大きくなってしまっている。




費用対効果の高いZOTAC 2070 SUPER AMP Extreme

ZOTAC 2060 SUPER MINIは短尺カードを求める人向け


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 以上のテスト結果を踏まえると,ZOTAC 2070 SUPER AMP Extremeは,クロックアップによって,それに見合った性能向上を果たしている。とはいえ,リファレンスからの性能向上は総じて5%未満であり,過度の期待は禁物だ。GPUクーラーの冷却性能と静音性はともに優秀であり,高性能かつ静かなグラフィックスカードとして,有力な選択肢に挙げられることは間違いない。本稿執筆時点で国内での想定売価は明らかになっておらず,おそらく7万円台後半になると思われるのだが,十分価格に見合った製品となりそうだ。

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 一方で,ZOTAC 2060 SUPER MINIは予想どおり,Founders Editionにやや性能面で及ばず,GPUクーラーの動作音が大きめであるなど,短尺カードであるがゆえのデメリットも抱えている。その代わり,212mmというサイズは,小さめのグラフィックスカードしか装着できないMini-ITX仕様のPCケースにも対応可能というメリットをもたらす。税込の予想実売価格は5万6000円前後だが,短尺カードを求める人にとっては,価値のある製品となるのではなかろうか。

ZOTACのZOTAC 2070 SUPER AMP Extreme製品情報ページ

ZOTACのZOTAC 2060 SUPER MINI製品情報ページ


  • 関連タイトル:

    GeForce RTX 20,GeForce GTX 16

  • 関連タイトル:

    ZOTAC GAMING(旧称:ZOTAC Gaming)

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