プレイレポート
F1シリーズ最新作「F1 2018」プレイレポート。より現実的に再現された世界で,F1ドライバーの苦悩も体験しよう
「F1 2018」公式サイト
本作はこれまでと同様,国際自動車連盟(FIA)の公式ライセンスゲームとなっており,2018年のF1世界選手権に参戦しているコンストラクターズ(チーム),ドライバー,サーキットなどがすべて実名で収録されている。
登場するマシンは2018年のレギュレーション規定に基づいて再現されており,今シーズンから採用されたコクピット保護システム「HALO(ハロ)」が目新しいところだ。
ゲームモードなどを含めて前作から大きな変更はなく,上記のような2018年F1のレギュレーションの採用,2018年仕様のF1マシンの挙動の再現などを中心に前作をブラッシュアップした内容になっている。とはいえ,メインモードのキャリアモードに,“メディアとの質疑応答”という新たな要素が追加されたので,そのあたりを中心に紹介していこう。
メディアとの質疑応答がキャリアに影響する,F1ドライバーの苦悩を体験
実際のF1やレース映像などで,フリー走行や予選,決勝レースのあとに,パドックなどでメディアからさまざまな質問を受けるレーシングドライバーの姿を見たことがあるだろう。
レーシングドライバーは車を速く走らせることが一番の仕事だが,こういったメディアへの対応も重要なのだ。メディアに答えた一言が,評価されることもあれば,あとで大問題へと発展することもあるため,慎重に対応しなければならない。
本作では,そういったメディアへのやり取りが質疑応答という形で再現されており,そこでのやり取りにより,チームやチームスタッフ,さらに他チームからの評価などが変化し,その後のキャリアに影響が出るようになっている。
この要素について,現役レーシングドライバーの宮田莉朋選手もインタビューの際に,「レーシングドライバーの大変さを知ってもらえる,味わってもらえるのは本当に嬉しいです」とコメントしており,速く走るだけではない,F1ドライバーの苦悩をより現実的に体験できるようになった。
「F1 2018」,「レーシングドライバーの大変さを知ってもらえて嬉しい」と語った現役レーシングドライバー“宮田莉朋選手”のインタビューをお届け
ユービーアイソフトが,2018年9月20日に発売を予定しているFIA公式F1ゲーム「F1 2018」。その発売に先だって,現役レーシングドライバー“宮田莉朋選手”から,キャリアモードの新要素“メディアへの対応”などを含め,気になるところをじっくりと聞いてみた。
キャリアモードは,実際のF1と同じく,フリー走行(3回),予選,決勝とセッションごとに進められるが,セッション終了後にレポーターの“クレア”が登場して,さまざまな質疑をしてくる。
クレアが登場するタイミングは不明で,1回目のフリー走行終了時に現れたこともあれば,なかなか現れないと思っていたら予選終了時に突然現れたり,セッションごとに頻繁に登場したこともあった。
クレアからの質疑は,チームやF1マシンのほか,チームメイトやライバルのことなどさまざまで,1つの質疑に対して2つから4つの応答文が用意され,その中から選んで答えることになる。応答までに12秒という制限時間があるため毎回少々慌てててしまうが,ノーコメントという選択も可能だ。
ここで,どのような質疑応答があるのかピックアップしてみよう。
●今日は最大限にポイントを稼ぐことができたわけですが,楽勝でしたか?
・マシンは完璧でした!ダウンフォースが絶妙だったんです!
・何の問題もありませんでしたが,チームのバックアップがあっての結果です!
・ええ!マシンはバッチリでした。どんなに攻めても音を上げませんでしたよ。
・最高でしたよ!マシンも,エンジンも,チームもです!完璧でした!
●今日の接触について何かコメントは?
・マシンの消耗が激しく,挙動を予想できませんでした。
・わざとではないんですが,マシンのレスポンスが悪く,避けきれませんでした。
・パワーデリバリーが不安定だったせいで,ちょっと危険なオーバーテイクになりましたね。
・ダウンフォース不足で,クリーンにオーバーテイクするのが非常に難しかったんです。
ずらりと列挙してみたが,こんな感じの質疑応答が行われ,どう答えたかにより,さまざまな影響が出てくる。
実は,チームごとに“望まれる態度”という項目があり,人気重視と誠実さ重視のどちらかが設定されている。この質疑応答により,「私には素晴らしいチームがついています」というお手本のような答えならば誠実さ重視が上がり,「このコースで一番速いのは私ですからね」と答えれば人気重視が上がるという具合だ。
人気重視のチームに所属しているのに,誠実さ重視ばかりが高まることもあり,そうなるとチームが求めているドライバーとはいえず,チームからの評価も下がることになる。
また,望まれる態度以外にもチーム評価,チームスタッフ,さらにライバルチームなどの評価にも影響が出てくる。たとえば「ダウンフォース不足で……」のような答えはエアロ部門に伝わりチームスタッフからの評価に影響し,「バカな選手たちに囲まれてしまいましたね」などと答えれば,所属チームだけでなく他チームからの評価は大きく下がることになる。当然,評価の悪いドライバーに他チームからオファーが来るはずもなく,移籍もできない状況になってしまうのだ。
良いことも悪いことも,何にどんな影響があったのかは,答えた直後に分かるようになっているが,後になってジワジワと影響してくるところがちょっと怖い。「〜と話していましたが」など,以前の回答について質問されることもあるので,現実味を強く感じられる。
そのせいか,クレアが登場するとドキッとしてしまうようになり,「ドライバーたちの大変さを味わってほしい」と言っていた宮田選手の言葉が分かったような気がした。そんな,今までのF1ゲームでは再現されていなかった,レーシングドライバーの苦悩を体験できるようになっている。
エネルギー回生システム(ERS)を使いこなして有利なレース展開に
メディアとの質疑応答以外には,キャリアモードのプラクティス・プログラムに“ERSマネージメント・プログラム”が追加されている。
プラクティス・プログラムとは,前々作のF1 2016からキャリアモードに登場したコンテンツで,3回のフリー走行中にさまざまな課題をこなすことで,自然とプレイヤースキルが上達していくというものだ。さらに研究開発に使えるポイントが獲得できるので,そのポイントでF1マシンのアップデートもできる。
フリー走行というと,適当に走り,予選や決勝へとスキップしてしまうことも多いが,プラクティス・プログラムをこなすことで,予選・決勝レースに向けたコース攻略が万全になるため,筆者はコースごとにすべてのプログラムでパーフェクトが取れるまで走り込んでいる。
プラクティス・プログラムには,前作と同様にさまざまなプログラムが用意されているが,本作で新たに“ERSマネージメント・プログラム”が追加された。
ERSとは,エネルギー回生システム(Energy Recovery System)のことで,ブレーキング時に発生する運動エネルギーと排気ガスなどの熱エネルギーを回生(電気エネルギーに変換して充電する)し,それを駆動系モーターに供給することで,エンジンパワーに最大160馬力ほど追加できるシステムだ。コーナーの立ち上がりやオーバーテイク時など,よりパワーが必要なときに利用することができる。
ERSマネージメント・プログラムでは,そのコースにおいてエネルギーを回生しやすい走り方が学べるもので,より多くのエネルギーを回生し,追加パワーを多くの時間で利用できれば,おのずとタイムやレース結果に影響が出る。そのため,ERSマネージメント・プログラムで,そのコースにおける回生のコツをしっかり身につけておいて損はないだろう。
ちなみに,ERSはボタンなどを押して使用するのではなく,常時作動している状態となっており,ドライバーはERS作動モードを切り替えて利用する。本作では,すべてお任せのオートマチックのほかに,オフ,ミディアム,ハイ,オーバーテイク,ホットラップの5種類を手動で切り替えられる。
ただし,プレイ画面右下に表示されるメニュー(MFD:マルチファンクションディスプレイ)を操作して切り替えなければならず,使い勝手は非常に悪い。そのため,レース中に頻繁にモードを変えたい場合には,コントローラ設定からMFDショートカットのERSモード・アップ/ダウンに,任意のキーを割り当てておくのがオススメだ。
より現実的になった世界で20人しか味わえないF1サーカスを存分に体感しよう
本作では,サスペンションの動きやタイヤ管理などもより緻密に再現されるようになり,前作以上のリアリティで2018年のF1マシンが再現されている。
実際のF1では,今年のマシンは昨年のマシンに比べると,おおよそ2秒ほどラップタイムが向上しているのだが,いくつかのコースで本作と前作の同一マシンで走り比べをしてみると,本作においても2秒ほどのラップタイム向上が確認できた。
それだけで,今年のマシンを忠実に再現していることにはならないが,ブレーキング時の安定性が向上しており,コーナーリング時のグリップ感やコーナーからの立ち上がりのパワー感の違いなど,F1マシンの進化を感じ取ることができた。
毎年改良を重ねてきたF1シリーズだが,完成度の高かった前作を2018年仕様にブラッシュアップして,さらにメディアとの質疑応答など,これまでない視点からのアプローチを加えて,よりリアルに世界最高峰のモータースポーツF1を再現した本作。速く走るだけが仕事ではない,レーシングドライバーの苦悩を多くの人に体験してほしいところだ。
もちろん,キャリアモード以外にも,クラシックマシンでオーバーテイクやタイムアタックを楽しめるなど,バラエティに富んだゲームモードは健在だ。プレイヤーに合わせて細かく設定できるアシスト機能も充実しており,これまでF1ゲームをプレイしたことがない人や,これからレースゲームを始めるという人も,この機会に挑戦してほしい。
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