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[SPIEL\'18]「アサシン クリード」が“Legacy系”の協力型ボードゲームに。チームプレイでステルスミッションをクリアせよ
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印刷2018/11/02 21:23

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[SPIEL'18]「アサシン クリード」が“Legacy系”の協力型ボードゲームに。チームプレイでステルスミッションをクリアせよ

 PCゲームの有名タイトルがボードゲーム化されるという話も,そろそろそれだけでは「注目すべき事件」とは言えなくなりつつある昨今だが,そのタイトルが「アサシン クリード」となればまた話は別だろう。
 国内外に無数のファンを有するこの作品は,2014年にも「Assassin's Creed: Arena」と題されたボードゲームになっているが,残念ながらその評価はあまり芳しいものではなかった。だが,2018年11月13日にKickstarterキャンペーンが始まる「Assasin's Creed: Brotherhood of Venice」は,PCゲームをかなり強く意識した作品として,大きな期待を集めている。SPIEL'18の会場で短いシナリオをプレイできたので,その模様をお届けしよう。

画像集 No.013のサムネイル画像 / [SPIEL'18]「アサシン クリード」が“Legacy系”の協力型ボードゲームに。チームプレイでステルスミッションをクリアせよ

「Assasin's Creed: Brotherhood of Venice」公式サイト(英語)



困難なミッションを達成するには,良好なチームワークが必須


 「Assasin's Creed: Brotherhood of Venice」は最大4人までの協力型ゲームで,いわゆる“Legacy系”のデザインとなっている。本作の場合,非公開のシナリオを順にプレイしていくとともに,キャラクターが装備を引き継いでいく形だ。
 本作をデザインしたTriton Noirは,前作として「V-Commandos」という協力型のゲームをリリースしている。この作品は,ざっくり言ってしまえばステルスゲームの金字塔「コマンドス」をボードゲーム化したといった趣の強いものだったが,再現度が非常に高く,またボードゲームとしても評価の高いタイトルだった。
 「Assasin's Creed: Brotherhood of Venice」は,この「V-Commandos」のシステムを利用した作りなので,結果的に「アサシン クリード」のステルス色をより強めにしたゲームになっている。いわゆるゴリ押しは,まったく不可能とは言わないが,可能な限り避けたほうがよいというバランスだ。

 ゲームシステムは,(もちろん細かい部分でいろいろあるものの)基本はいたってシンプルだ。プレイヤーは各自が1人のキャラクター(アサシン)を担当する。アサシンごとに特殊能力は異なっており,荒事が得意だったり,暗殺が得意だったり,他人のサポートが得意だったりする。これらの個性的なキャラクターが相互に協力しながら,シナリオで与えられたミッションをクリアしていく……というのがゲームの目的になる。

キャラクターにはHPや行動力以外にも,装備品や消耗品がカードで与えられる
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このシナリオの場合,マップ上の右端,ないし左下に見える,白い丸が3つ連なったようなオブジェクトが「ミッション」となる。そのエリアに行って,指定された数のアクションを消費するとミッションクリアとなる――が,その後マップから脱出しなくてはならない
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 プレイヤーは“よく相談したうえで”,毎ラウンドそれぞれのキャラクターに与えられたアクションキューブを消費して行動を行う。キューブは3つあり,そのターンに使わなかったキューブは,1つまで次のターンに持ち越される(可能な限りアクションを持ち越すようにプレイしたほうがよいだろう)。
 アクションキューブを消費して行える行動は,「タイルを1枚移動する」「塔の上でシンク(全体を見渡す)する」「敵兵を暗殺する」「死体を隠す」などなど多彩だが,1キャラにつき3アクションと考えると,これはけして多くないことが分かる。たとえ非警戒状態でも,敵となる警備兵の数が多いのだ。

白いベルアイコンの下に書かれているのが,非警戒時の増援の数。4か所(ABCD)のスポーンポイントから,合計で6人が入ってくる。端的に言って数が多い。警戒されようものなら参照欄は赤いベルアイコンの下になって,合計で12人が増援として登場する
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「言うても6人程度の増援でしょ?」と思うかもしれないが,実際に登場すると盤面はあっという間にこんな感じになる。警備兵が渋滞するレベル。これで非警戒状態である
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ターン開始時にはランダムでイベントが発生する。またこのカードに従って敵の警備兵が移動する
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塔に登ってシンクロすると,隠された宝物が発見できたりする
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倒した敵の警備兵から装備品を剥ぎ取ることもできる。装備品が引き継がれるキャンペーンシナリオであることを考えると,余裕があるなら装備の剥ぎ取りも行っておきたい
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 このため,本作において最もやってはならないのは「孤立すること」だ。イベントカードによる突発的事態のことも考えると,最低でも2人1組となり,互いに互いをカバーできるようにしておきたい。戦闘や暗殺の判定にも運が絡む(専用のダイスを使う)ため,「運が悪かった場合」に対するバックアッププランも必要だ。

判定は専用のダイスを使う
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 しかしながら,なるべく団子になって行動していれば良いかといえば,それもまた微妙な選択だ。状況によっては2手に分かれて別々の作業をしたほうが良いこともあるし,敵の警備兵が増援としてどんどん押し寄せることを考えると,できるだけ早く任務を遂行することが望ましい。

ミッションを達成したら,エントリーポイントに全員で戻って脱出する
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「ステルス」で「協力型」に潜む,ちょっとした問題点


 試遊は体験セッションということで,非常に簡単なミッションとなっていた。移動と暗殺が得意なペアがミッションエリアにいる護衛を投げナイフで暗殺,すばやくミッションを達成して脱出するという,ごくシンプルな展開だ(実プレイ時間にして30分かからなかった)。とはいえ,それでも1手差で大量の警備兵との戦闘になった可能性もあり,ベストムーブだったからこその短時間決着だったとも言える。

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 そして実のところ,これはステルス型協力ゲームの弱点でもある。
 ステルスが強く要求されるゲームで,しかも暗殺がテーマともなれば,プレイヤーは「可能な限り,手際よく行動する」ことが理想となる。そういうプレイは「アサシン クリードらしい」とも言えるし,プレイヤーとしても「そうあるべきだ」と思える。
 だがその一方で,手際よくプレイすればするほど,各プレイヤーのアクション数は減り,プレイ時間は短くなる。また「プレイ中,ほとんど何もしなかったキャラクターがいた」ことは,チームの手際の良さの象徴ではあるが,ではそのキャラクターを担当したプレイヤーにとって,そうした手際の良さがゲームの面白さにつながったのかといえば……やはり別の問題があるだろう。
 要するに,ステルス&協力系のゲームは,「プレイヤーがうまくやればやるほど,ゲームが淡白に終わりやすい」のだ。

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 この問題は,基本的にはシナリオのデザインによって克服可能かと思われる。
 また本作はキャンペーンを完走するために20時間くらいのプレイ時間が必要と言われており,それだけのボリュームがあれば「際どかったが,なんとかなった」状況も増えるだろう。
 ともあれ,先行作品となる「V-Commandos」はとてもよくできた作品であり,拡張セットも発売されるなど,多くのファンを有している。そしてその人気は,Triton Noirが作るシナリオの良さにも裏付けられていると考えるべきだ。
 「V-Commandos」のシステムを基盤とした「Assasin's Creed: Brotherhood of Venice」もまた,まずは大いに期待できる作品として,発売日を待ちたいところだ。

SPIEL'18会期中,試遊卓はほぼ常に満席だった
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「Assasin's Creed: Brotherhood of Venice」公式サイト(英語)

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