インタビュー
「ディアブロ イモータル」開発者インタビュー。αテストで得られたフィードバックや,スマホ向けMMORPGとしての本作の楽しさを聞いた
「ディアブロ イモータル」は,どこでも「ディアブロ」体験ができるというコンセプトを前面に押し出した,スマートフォン向けのアクション要素の強いMMORPGだ。「ディアブロ II」の終了後から「ディアブロ III」が始まるまでの知られざる時代を背景に,炎に包まれた漁村ワーザムに足を踏み入れたプレイヤーが,ウェストマーチをハブとして,ゾルタン・クールの図書館など,さまざまな舞台で冒険を重ね,大魔王ディアブロを蘇らせようとするスカーンの陰謀を阻止する物語が展開する。
NetEase Gamesとの協力で開発が進められている本作。1月9日に掲載した記事では,昨年12月18日から3週間ほど実施されたαテストのプレイレポートを掲載しているので,ゲームの詳細について知りたい人は,合わせてお読みいただきたい。
スマホ向けMMORPG「ディアブロ イモータル」のαテストプレイポートをお届け。PCやコンシューマ機と比べても遜色ないハクスラ体験
Blizzard Entertainmentは2020年12月18日から2021年1月6日にかけて,「ディアブロ イモータル」のテクニカルαテストを実施した。4Gamerでは以前,ファーストインプレッションを掲載しているが,今回のαテストではそこで触れられなかった要素も含めて体験できたので,その内容をお届けしよう。
今回のイベントでは,「ディアブロ イモータル」の新発表はなかったものの,リードプロデューサーであるケイレブ・アーセノウ(Caleb Arseneaux)氏と,シニアシステムデザイナーのクリス・ジアハット(Kris Zierhut)氏が,日本のメディアの質問に答えてくれた。αテストで学んだ事柄や,スマートフォン向けMMORPGの楽しさなどを尋ねた。
――「ディアブロ イモータル」のαテストはどれほどの規模だったのでしょうか。
ケイレブ・アーセノウ氏(以下,アーセノウ氏):
オーストラリアの一般ユーザーに加え,その他の地域の一部のメディアやインフルエンサーを加えて,数千人の規模で実施しました。この規模は,用意したテストサーバーがクラッシュせずスムーズに稼働することを前提にしたものです。これからローンチまでにテストを繰り返しますが,テスター枠は大きくしていく予定です。
――テストで得たフィードバックはどのようなものですか。
クリス・ジアハット氏(以下,ジアハット氏):
今回のテストはプレイにフォーカスしたものではなかったのですが,何がうまくいき,何がうまくいかなかったのかという,有益な情報を得ることができました。
多かったのが,ウィザードクラスはほかと比べて弱いのではないかという意見ですが,これは,「ディアブロ III」でポピュラーなプレイスタイルだった「カイティング」に起因するものだと考えています。カイティングとは,凧(カイト)のようにモンスターと一定の距離を保ち,相手を凍らせてスピードを遅らせたうえでアタックして,また離れてという攻撃を繰り返すことでこちらのダメージを少なくするというスタイルです。それを使うプレイヤー達にウィザードの使う「Ray of Frost」というスキルが問題視されました。
Ray of Frostでは,ウィザードは同じ場所に停止して氷結光線をずっと放たなければならず,光線に当たらなかったり,ほかの方向から出現した敵によるダメージを受けてしまったのです。この報告を聞き,我々はRay of Frostの氷結時間を増やし,長く照射することで,敵の移動速度が遅くなるという対処を施しました。これなどは,フィードバックによる改善点の一例といえますね。
――ほかには,どのようなものがあったのですか。
ジアハット氏:
もう1つの例として挙げられるのが,ほかのプレイヤーが存在することによるゲームバランスの調整です。「ディアブロ イモータル」がこれまでのDiabloシリーズと異なるのは,スマートフォン向けというだけでなく,MMORPGであることです。
つまり,プレイヤーが「12体のゾンビをキルする」というクエストを進めているところに通りがかったほかのプレイヤーが,獲物を奪ってしまうということが起きるんですね。MMOではごく初歩的な問題ですが,実際にどれだけの頻度で起きるのかは,開発段階で把握できていませんでした。
それで,テストが始まってみると,参加人数がそれほど多くないにもかかわらず,予想よりも大きな問題になりましたので,我々は,1回でもアタックがヒットしたモンスターについては,ほかのプレイヤーにキルされても,最初に攻撃したプレイヤーにポイントが加算されるというシステムに修正しています。
――αテストには,ストーリーが時代を遡ったことで,若返ったデッカードなど,ファンにはおなじみのキャラクターが登場します。プレイヤーキャラクターのルックスが全体的に若返った印象を受けますが,これはアジアなど,特定の市場を意識した措置ですか。
アーセノウ氏:
「ディアブロ イモータル」はスマートフォン向けであるため,これまでより幅広い層のプレイヤーがアクセスしてくると想定しています。外見はともかく,ヘルメットやフードのようなアイテムでプレイヤーを強化し,よりハードなルックスのキャラクターにすることができますし,1つのクラスにつき複数のオプションが存在しています。我々の企業理念の1つに「Think Globally」(グローバルな視点で考えろ)がありますので,アジア市場だけでなく,すべての市場にアピールし,広い世代に受け入れられることを最も重要視しています。
――「World of Warcraft」では,コアなゲーマーなら1日に10時間プレイするであろうことを前提にデザインされていたにもかかわらず,熱中したプレイヤーがそれ以上の時間プレイに費やしたため,レベルアップなどのペースが付いていけなかった,という話を聞いたことがあります。スマートフォン向けという性質上,「ディアブロ イモータル」は非常に多くのプレイ時間を投資するゲーマーがでてきそうですが,それについてはどう考えますか。
ジアハット氏:
その問題は,スマートフォンのためのシステムを付け加えていることで解決できると思います。例えば,バウンティモードがその1つですが,1日にプレイできるバウンディは20種類(αテストでは1日に12種)に限定されています。経験値を上げるには良いオプションですが,プレイヤーはそれぞれの時間に合わせた数のバウンティを使うわけです。バウンティの中には,高い経験値が必ず得られるものが3種類用意されていて,つまり,その3つを消化すると,残りは経験値よりもアイテムの獲得などに使うことになります。
これは,ペース対策として「World of Warcraft」で導入された「疲労システム」に似たものだといえるでしょう。我々は「長くプレイするほど得をする」といったゲームにしたくはないのですが,ゲーマーがゲームを楽しむことを阻害するようなこともしたくありません。
――「World of Warcraft」といえば,αテストでは,PvPイベントが「World of Warcraft」のような雰囲気でした。お二人が最も好きなPvPイベントを紹介してください。
アーセノウ氏:
私は,バーバリアンになって相手をぶっ叩けるものならなんでも好きです。バイルフェンという地域で発生するPvPイベントは,中央に宝箱があるアリーナのような狭いマップが舞台になるのですが,宝箱を開けるのに5秒かかるため,近くにほかのキャラクターがいると倒さなければならず,混戦状態になるんです。私は何本もの鎖が出る「Chained Spear」を強化して鎖を1本にするというレジェンダリーアイテムを持っていて,そのパワーでほかのプレイヤー達を一網打尽にしてしまったのですが,達成感は格別でしたね。
――ちょっとチートっぽいですね。
ジアハット氏:
私はオールド・トリストラム・ロードの「Haunted Carriage」です。これは,複数の仲間と一緒に,移動を続ける幽霊の馬車を,湧き出てくる敵やほかのプレイヤーから守り,目的地まで到達できたら馬車の荷台が開いてアイテムが得られるというものです。「ディアブロ イモータル」の中でも,仲間達と協力して戦うという雰囲気がよく味わえて,こちらも,うまくいったときの達成感は高いですよ。
――エンドゲームのコンテンツについて説明してもらえますか。
アーセノウ氏:
αテストでは,最大レベルを45まで上げられましたが,正式サービスではこれをLv60にします。つまり,αテストはゲームの序盤から中盤までをプレイしてもらって,サーバーのストレステストを行ったわけです。その後の展開については現状,いろいろな計画があるのですが,今の時点ではまだお話できません。とにかく,長く楽しめるものにしていきたいですね。
――コントローラには対応していますか。
アーセノウ氏:
αテストで最も多かったリクエストの1つです。現時点ではお約束できませんが,我々開発チームが常に議題に上げているポイントです。
――分かりました。本日はどうもありがとうございました。
「ディアブロ イモータル」公式サイト
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