イベント
「あんさんぶるスターズ!!追憶セレクション『エレメント』」先行上映会 昼公演トークパートをレポート。登壇キャストへのインタビューも掲載
2023年4月2日,東京ガーデンシアターにて,Happy Elementsが展開する「あんさんぶるスターズ!!」の新作アニメプロジェクト「追憶セレクション『エレメント』」の先行上映会が開催された。本イベントはYouTubeでの全話配信に先駆けて行われ,新作アニメの全話一挙上映と,上映後に出演キャストによるトークパートが行われた。登壇者は朔間 零役の増田俊樹さん,逆先夏目役の野島健児さん,青葉つむぎ役の石川界人さん,天祥院英智役の緑川 光さん。収録エピソードやおすすめシーンなどの話に花を咲かせた昼の部のトークパートのレポートとともに,キャスト4人のインタビューをお届けしよう。インタビューの内容はネタバレを含むので鑑賞後に読むのがおすすめだ。
なお,先行上映会の特典として来場者に配布された「日日日先生書き下ろし短編『Blackbird』小冊子」を,読者プレゼントとしていただいた。登壇キャスト4人のサイン入りとなっているので,ぜひ応募してもらいたい。応募方法は,4月17日に掲載する記事「Weekly 4Gamer」をチェックしよう。
「あんさんぶるスターズ!!追憶セレクション『エレメント』」公式サイト
お気に入りのシーン発表ではあの場面の再現も……
トークパートをレポート
本編の上映終了後,キャストがステージに登壇。MCを務める原田修佑氏が,満員の会場について感想を求めると,キャスト陣は「こんなにびっしり埋まった客席を見るのは久しぶり」と喜びの顔を見せた。
最初のトークテーマ「アフレコの思い出」では,野島さんが今より感情の振り幅が大きい“当時の夏目”の役作りを意識したと語った。制作スタッフには「(映像と合わせることは気にせず)好きなようにやってください」と言われたため,テンポを遅めに話したところもあると明かすと,石川さんのほうは絶対に合わせてくださいと言われたと反論し,客席から笑いが起こった。
増田さんは,零はいろいろな人の気持ちを汲む人間であり,自らが引っ張っていくタイプではないと考えていたため,それをどう表現するかをスタッフと作り上げていったそうだ。すると緑川さんが,ライブではいつも増田さんが“零に寄せる”ところがすごいと感心しているが,アフレコでもそうなのかと質問。増田さんは,自分にとってスタッフは戦友のようなものだから,特にそうしたことはしていないと答えた。
次のトークテーマ「自分だけが気に入っていそうな細かいおすすめシーン」では,事前のアンケートで答えたシーンを1人ずつ紹介していく。増田さんは,第2話で零が去り際に後ろ向きで手を振るシーンを挙げ,男っぽくてかっこいいからと理由を述べた。すると緑川さんが「やってみたい」と実演。大きな拍手が上がり,良い場面を選んだね! と増田さんに笑顔を向けた。次に野島さんは,零に頭を撫でられて涙ぐむ夏目のシーンを選んだ。映像を見た野島さんは思わず「かわいい!」と声を上げつつ,自分もあんなふうにされたら泣くと思うと話した。
石川さんが選んだのは,第3話でつむぎが英智に「『fine』に何かあったら自分を切り捨てればいい」と話す場面だ。ここでつむぎが見せる手の動きに,(後に結成することになる)「Switch」や夏目の雰囲気を感じ,つむぎが夏目に対する意識が表れているのではと語った。そして緑川さんは,第1話でつむぎとともに「五奇人」を選ぶ会話をしているシーンを挙げた。選んだことに深い理由はなかったそうだが,3DCGを中心としたアニメーションということを踏まえてあらためて映像を見ると,長めのカットにも関わらず細かい髪の毛などの動きがすごいと感心したそうだ。
そしてトークパートの最後には新情報の目玉として,2023年4月15日より「五奇人」と旧「fine」が登場する大型イベントと連動スカウトの開催が発表され,大歓声が上がった。なお,今回上映された「追憶セレクション『エレメント』」は,2023年4月6日よりYouTube「あんスタチャンネル」にて好評配信中だ。新しいストーリーを楽しむためにも,ぜひ何度でも見てみてほしい。
YouTube公式チャンネル「あんスタチャンネル」
トークパート登壇キャストインタビュー
4Gamer:
ついに「追憶セレクション『エレメント』」がお披露目となりましたが,トークショーを終えて今のお気持ちをお聞かせください。
朔間 零役・増田俊樹さん(以下,増田さん):
すでに多くの皆さんがご存じのストーリーですが,今回初めて映像化されたことで,新しい表現を楽しんでいただけたかなと思います。上映が終わった後,登壇する直前に袖で待機していたら客席のざわめきが聞こえてきて,皆さんが作品に心を動かされたのが伝わってきました。楽しんでいただけて良かったです。
青葉つむぎ役・石川界人さん(以下,石川さん):
昼公演で登壇した瞬間,映像を見て涙していたお客さんもいらっしゃったので「やっぱりな!」と思いました。というのも,僕もストーリーで描かれている“痛み”を演者として理解していたので,何度触れても泣けてしまうんだろうなと。演じた側としては「愛されている作品なんだな」とも感じられ,あたたかい気持ちになりました。
逆先夏目役・野島健児さん(以下,野島さん):
会場にいらしてくださった皆さんの歓声を生でたくさん浴びることができて,期待や想いの大きさを肌で感じることができましたね。皆さんには今日,初めてアニメとなった「エレメント」を見ていただきましたが,ここからさらに作品が未来につながっていく予感もあり,胸が熱くなりました。
天祥院英智役・緑川 光さん(以下,緑川さん):
ファンの皆さんにとってはとても重要なストーリーで,何度も演じさせていただくのはありがたくも(ストーリー的に)心が痛いところもありました。とはいえ今回は大きなスクリーンで観ていただけて僕らも嬉しかったし,皆さんも好きな人たちと好きなものを観る醍醐味を感じてくださったのではないかなと思います。
4Gamer:
トークパートでの話題と少し被りますが,今作はMVを除けばほぼ初めての「あんスタ!!」3Dアニメになります。ご覧になった感想をお聞かせください。
緑川さん:
今でこそCGのMVはたくさん発表されていますが,今回は作品が作られていく過程で何度か映像を拝見させていただいたので,「最終的にはこうなるのか!」というのがすごく新鮮でしたね。
石川さん:
昔からCG作品には「不気味の谷※」という言葉があるように,本物の人間に近い動きになってきたら,そこを越えないと違和感が出てくるんです。でも今作はその先をいった気がしました。CG技術の進化もそうだし,モーションアクターさんの動きもすごかったなと。それぞれのキャラ感をしっかり捉えていましたし,この作品はみんなで作ったものなんだなという気持ちになりました。
※不気味の谷とは:ロボットなどの見た目や動きが人間に近づき,ある一定のレベルまでくると違和感や嫌悪感が生まれる現象
増田さん:
(モーションアクターに)聞いてみたいよね,「どうしてこの動きをしたんですか?」って。振り返るにしても,一瞬外側に揺れてから振り向いたりとか。
石川さん:
なんで零は背中越しに手を振って去っていったんですか? とか。
増田さん:
あれはかっこいいだろう!(笑)
野島さん:
僕の世代だとCGどころかドット絵とかになっちゃうんですが,そこから考えると本当にすごい進化ですよね。「あんスタ!!」自体が,こういう最新の技術とともにどんどん進化していく作品なんだなと思いました。数年後にはさらなる技術革新もあるだろうし,この先はどんなふうになっていくんだろうって期待も生まれましたね。
4Gamer:
今回はストーリーが夏目視点ということもあり,夏目の表情の細かさにも目を引かれました。
野島さん:
すごく細かいお芝居をつけてくださってましたよね。ある意味,収録の時に映像が出来上がっていなくて助かりました(笑)。もちろんやりがいはあったと思いますが,ある程度制限があるなかで声をつけることになったと思うので。
緑川さん:
これだけすごいものを作っちゃうと,似たようなものを作りたい会社にとってはハードルが高くなりますよね。きっと「『あんスタ!!』と比べるとね……」って言われちゃうじゃないですか。他の追随を許さない感じになっていると思います。
4Gamer:
本当ですね。またトークパートと少し被る内容ですが,収録では印象深かった出来事はありましたか? 皆さん,一部を除いてほぼ別々の収録だったということですが……。
緑川さん:
とにかく自分のことでいっぱいいっぱいでした。ゲーム内でのボイス収録(本作のベースとなった【追憶*集いし三人の魔法使い】は2023年4月13日からフルボイス化)もあったので……。
石川さん:
人によっては,元の音声を聴きながら収録するかどうかもありましたしね。
4Gamer:
そうだったんですね。トークパートではお気に入りシーンの話が出ていましたが,皆さんが挙げた以外の場面で気になるところはございましたか。
野島さん:
英智が最初に「三奇人」を選ぶじゃないですか。あそこで奏汰が噴水のなかにいる場面が出てきたのが衝撃的でしたね(笑)。
増田さん:
僕は,本作が夏目視点ということもあって,さまざまなところに夏目の描写が隠れているなと感じたところです。MVのなかの目線一つとっても,このストーリーがあったからこそ感じられるものがあったんじゃないかなと。細かいですが,そういった楽しめるといいなと思った瞬間が随所にあった気がします。
緑川さん:
今作がヒットしたら,ぜひ零視点も見てみたいよね。
増田さん:
いやー,でも零はほとんど海外に行っちゃってましたからね……。このストーリーはやっぱりつむぎと夏目の2人がいて,そこに英智と零がいて……っていうのが面白いのかなと思います。そういえば,TVアニメではつむぎ視点でしたよね。
石川さん:
確かに僕,めちゃくちゃ喋りました。
緑川さん:
僕も。だけど今回は夏目視点だというから,(英智の)セリフは多少減るのかなと思ったらそんなことはなかった(笑)。
石川さん:
ですね。あと本作の話に戻ると,僕は最後のほうの英智くんのモノローグがすごく好きです。歌い始めにつむぎが浮かない顔をしてしまって,英智くんも心の中はぐちゃぐちゃになってるのに,表情は崩さず笑顔なんですよ。本当ならこういう時にお互い助け合えた2人だったかもしれないのにと思うと,胸に迫るものがありました。
4Gamer:
観ている側としても,そのシーンは本当にいろいろな想いがこみあげました。では皆さんが演じる各々のキャラクターに,もしこのとき声をかけられるとしたら,どんなことを言ってあげたいですか?
野島さん:
僕だったら何も言わないかもしれません。夏目くんにはちゃんと見守ってくれるにいさんたちがいるし,自分の頭で考えて行動して成長していくっていうのが大事なのかなと思うので。もちろん,もし怪我をしそうとか危ない目に遭いそうだったら助けてあげたいですが。
緑川さん:
僕もないですね。というより,英智に何か言うのが怖い(笑)。笑顔で「それってどういうことなのかな?」って言われそうで……!
石川さん:
僕はつむぎに言ってあげられることがたくさんあると思うんですけど……「この先ちゃんと自分に目を向けられるようになるよ」とか「素晴らしい仲間に出会うよ」とか。だけどそれを先に伝えちゃうのは,彼にとって嬉しくないのかなって。野島さんと同じく,自分で模索しながら生きていくのが人生だと思うんです。だからつむぎが歩いている先の壁とかにこっそり書いておきます(笑)。
増田さん:
僕も,こんなに懸命に生きている子たちに声をかけられるほど一生懸命生きていないので……。
石川さん:
増田さんは一生懸命生きていると思いますよ!
増田さん:
ありがとう(笑)。
4Gamer:
今日のイベントではアプリ内の展開として,「五奇人」と旧「fine」が登場するゲーム内イベントが発表されました。今後の展開にもますます期待が高まるところですが,それをふまえて読者の皆さんへのメッセージをお願いします。
増田さん:
こういう新しい展開が決まっている段階で「追憶セレクション」を観ることは,「こういうことがあったから今があるんだな」と,もう一度原点を振り返ることのできる機会かなと思います。この先の物語はもちろん,そこへ続いていく「エレメント」を,ぜひ何度も楽しんでいただければと思います。
野島さん:
まだまだこの先も新しいストーリーが展開していきますし,すでに皆さんも十分に期待してくださっていると思いますが,必ずそれを越えてくるようなものになると思います。とはいえ,まず今はこの「エレメント」を配信で観ていただいて気持ちを高めつつ,作品を深く愛していただき,この先の展開も合わせて楽しんでいただけたら嬉しいです。
石川さん:
あれだけの出来事があった「五奇人」と旧「fine」がまた再集結とは,きっと何かしら理由があるんだと思います。新曲も出るということですが,きっとストーリー中の彼らも練習して本番に向けてリハーサルをして……と,どういう気持ちで取り組んだんだろうというのを想像するのも楽しいし,考察が捗るのかなと。実装までの時間をドキドキしながら待っていただけると嬉しいです。
緑川さん:
次のアプリ内イベントでは「五奇人」と旧「fine」が再び登場するということで……これまでしこりのある関係でしたが,ここにきて新しいお話もあって新曲もあってというのは,僕としてはとても興味深いですね。それぞれ魅力的ですし,また再集結するストーリーを個人的にすごく楽しみにしています。ぜひ,「エレメント」とともに楽しんでください。
4Gamer:
本日はありがとうございました!
「あんさんぶるスターズ!!追憶セレクション『エレメント』」公式サイト
(C)2014-2019 Happy Elements K.K