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「Intel Performance For The Real World」レポート。ノートPC分野で優位性を強調
終始,プレゼンターを務めたのはRyan Shrout氏(Chief Performance Strategist)とMartyn Stroeve氏(Senior Director,Technology Marketing)の2人だった。内容としては,製品や新技術の発表ではなく,「競合製品とIntel製品の性能比較とその解説」がメインで,おまけとして明日開催されるプレスカンファレンス内容の予告を付け加えたものとなっていった。まさに「プレCESイベント」といったものだっと言える。
ハイエンドノートPC向けCPU製品においてIntelに敵なしと強調
まず取り上げられたのは,2019年春にリリースされたハイエンドノートPC向けCPUの第9世代Core i7-9750H(ベース2.6GHz,6C12T)の性能についてだ。
そのライバルとして取り上げられたのはAMDのRyzen 7-3750H(ベース2.3GHz,4C8T)だ。
そのベンチマーク結果は,Intelの調査によれば以下のようになったとのことで,いずれもIntelのCore i7-9750H側の圧勝となっている。
コア数も動作クロックもCore i7-9750Hのほうが上なので,結果は半ば当然といえば当然なのだが,AMD側はハイエンドノートPC,ゲーマー向けノートPC向けのCPUラインナップにおいて,6C12T以上のCPUを現状はラインナップできておらず,Intelとしては「AMDは我々に拮抗する製品を持ち合わせていない」ということを訴えたいわけである。
続いて,追い打ちをかけるように「我々には,さらに上のクラスのノートPC向けCPUをラインナップしている」と述べ,第9世代Core i9-9980HKを搭載し,なおかつGeForce RTX 2080をも搭載したゲーマー向けノートPCのベンチマーク結果を,前出の結果に付け加える形で示した。これについては「すでにこれは公平な性能比較ではないのは分かっている。我々のプラットフォームでは,競合に比べてこれは,ここまで上位の性能を提供できるソリューションを持ち合わせているということを見せるためのグラフである」と補足解説が入った。
Ryzen 7-3750Hは3000型番ではあるが12nm製造プロセスのZen+ベースである。なので,いずれ,AMDも7nm製造プロセスベースのZen2ベースのノートPC向けCPUを出してくるはずで,そのときはそのときでAMD側がこのようなベンチマークテストの結果グラフの高さ競争を仕掛けてくることだろう。
Intelとしては,昨今のAMD/Ryzenブームの中にあって,「現状では」という条件を掲げつつも,「ゲーマー向けノートPCを選択する際,最高性能を提供できるのはIntel側のプラットフォームである」ということは事実であり,そのことを強調したいということは理解はできる。
薄型軽量ノートPCにおいてもIntelに敵はなし!?
ハイエンドノートPCやゲーマー向けノートPC関連のあとには,薄型軽量(Thin and Light)クラスのリアルモバイル系PC関連の話題も取り上げられた。
「新世代の薄型軽量ノートPCの性能指標規格」ともいうべき「Project Athena」は,製品化の第1ウェーブが進行中であり,この勢いは今後さらに強まっていくと予告した。
これを踏まえたうえで,Intelは,同社のIce Lake世代,Comet Lake世代の薄型軽量ノートPC向けCPUに対向できる製品が,競合AMDにはないことを指摘した。
薄型軽量ノートPC向けのCPUとしては,AMDも「U」型番のRyzenシリーズを投入しているが,同等クラス製品のAMD Ryzen 7 3700UとCore i7-10710U(Comet Lake世代)やCore i7-1065G7(Ice Lake世代)と性能を比較したときには,圧倒的にIntel側のほうが高い性能を示す主張した。内蔵GPUのグラフィックス性能も,Ice Lake世代になると,Ryzen 7-3700U内蔵のVega10と同等以上の性能を発揮できるため,ゲームプレイにおいてもRyzen 7-3700Uと比較して遜色ないことを強調していた。
バッテリー駆動時間についても,Ice Lake世代のCore i7-1065G7では,Ryzen 7-3780Uの最大で1.5倍近く長くなるというテスト結果を披露し,Ice Lake世代のCoreプロセッサの高性能と省電力性能の両立ぶりをアピールしていた。
また,Ice Lake世代のCoreプロセッサには,世界初の推論アクセラレータの「Deep Learning Boost」機能が搭載されることにも言及した。AI技術は確かに,これまでのCPUやGPUのソフトウェア技術でも処理はできるが,今後のアプリケーションに広くAI技術の応用が浸透した際に,最重要視されるのは,その「レスポンスの速さ」であると力説する。そのAI処理の加速化には専用のアクセラレーションか不可欠であり,それを実現するのが,Deep Learning Boost機能であるという。そして,競合のAMDには,この技術をも持ち合わせていない,と暗にほのめかし,現在の代表的なAI処理事例,AI処理採用アプリをRyzen 7-3700UとCore i7-1065G7とで実行した際のパフォーマンス比較グラフを示してみせた。結果は,専用の推論アクセラレーション機構を持つCore i7-1065G7が圧勝である。
プレスカンファレンスの内容を予告
カンファレンスの後半は,北米時間で1月6日に開催されるCES 2020のIntelプレスカンファレンスで発表される内容の先見せ(Sneak Peek)パートへと移行した。
最初に紹介されたのは「Ghost Canyon NUC」という,5リットル体積サイズのコンパクトPCで,最高Core i9-9980HクラスのCPUを選択でき,さらにPCIe x16スロットのディスクリートGPUカードを搭載できるという特徴を持つ。コンパクトPCサイズで,フルスペックハイエンドなゲーミングPCを実現できるソリューションとして訴求されるというから興味深い。詳細情報は明日以降解禁されるようだ。
また,第10世代CoreプロセッサのHシリーズの登場も予告された。
Core i7ではついにノートPC向けCPUでオーバー5GHzが実現されるとのこと。またCore i9モデルでもさらに動作クロックが高くなり,8コア16スレッドモデルが広範囲に拡大するとのことである。
- 関連タイトル:
第10世代Core(Ice Lake,Comet Lake)
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