プレイレポート
Nintendo Switch版「囚われのパルマ」のプレイレポートをお届け。大画面に彼を映して,面会画面のリアルな大きさを体感!
カプコンの女性向け体感恋愛ADV「囚われのパルマ」のSwitch版が2019年8月30日に発売となる。本作は,2016年に同社より配信されたスマホアプリ「囚われのパルマ」をNintendo Switchに移植した作品で,携帯モード,TVモード,テーブルモード,どのプレイスタイルでも楽しめるよう操作が最適化されている。本稿では,スマホ版を遊び尽くした筆者によるプレイレポートをお届けしていく。Nintendo Switch版ならではの魅力をお伝えするので,シリーズのファンも未プレイの人もぜひ目を通してほしい。
「囚われのパルマ」公式サイト
ハルトとアオイ,どちらを選ぶ?
本作では,どこかミステリアスな雰囲気を持つ記憶喪失の青年「ハルト」と,見た目は少し派手で恋人の記憶を失っている「アオイ」という2人のどちらかを選んでゲームがスタートします。
データはキャラクターごとにセーブされるうえ,互いに干渉しない独立したストーリーが展開されるので,気になるキャラクターを選んでスタートすれば問題ありません。「今日はハルトの気分」「今日はアオイの気分」という風に,交互に遊ぶのも面白いですよ。
ハルトは過去のすべての記憶を失っているのと,生来の性格もあって,無口で無愛想という,影のあるキャラクター。閉ざされた彼の心を開いていくストーリーが展開しますが,この“徐々に縮まっていく距離感”こそが,ハルト編の醍醐味と言えるでしょう。また,メインストーリーはミステリーのような緊迫感に満ちているため,ドキドキハラハラな展開を楽しみたい人にはぴったりな内容です。
一方,アオイは交通事故にあって,恋人の記憶を失っています。プレイヤーは恋人と偽って彼と接することになるため,ハルト編とは違い,いきなり恋人同士という関係からスタートしますが,実際は見も知らぬ他人(本当はアオイにとっても,プレイヤーは見も知らぬ他人ですが……)。そこから始まる嘘の恋人関係はどうなっていくのか,隠された謎が分かっていくにつれて,ハルト編とはまったく違った緊張感に包まれるストーリーが展開されていきます。
ゲーム本編には面会延長とメモリアル面会のすべてが収録
スマホ版とSwitch版でストーリーの違いはありませんが,スマホ版では課金コンテンツだったメインエピソードの「面会延長」がデフォルトで収録されています。これにより本編のすべての面会が延長可能となるため,いつもと違う雑談やちょっとしたハプニングで,より彼と親密なコミュニケーションが楽しめます。
また,同じく課金コンテンツだった「メモリアル面会」も収録されているので,今回初めてシリーズに触れる人はもちろん,アプリ版のメインストーリーだけ遊んだという人も十二分に楽しめます。
そのほかにSwitch版には,「アートギャラリー」が追加されており,実田千聖さんの美麗なイラストや設定画などを収録。TVにつなげば大きなサイズで見られますし,未公開イラストも何点かあるのでファンの人は必見です。
気になる横画面モードと縦画面モードを比較
Nintendo Switch版には,通常の「横画面」モードと,スマホ版とほぼ同じように遊べる「縦画面」モードが用意されています。まずはその違いをわかりやすく同一の画像で比較していきます。
横画面時の全画面モード。Switchの大画面いっぱいにアオイの表情が広がっています |
もちろん,イラストの全景は横画面モードでもしっかりと確認できます |
縦画面モード時は画面をいっぱいに使ったイラストの全体像を見られます |
左の画像は拡大表示となっていますが,スマホ版のサイズでも堪能できます |
横画面と縦画面で大きく利便性が異なると感じたのは島内のマップ画面。縦画面ではスマホ版と同じようにスライドさせることで全体を確認できますが,横画面ではいっぺんに島内全域が確認できます。イベントがどこで発生するか一目瞭然できるのはとても便利に感じました。
縦画面モード |
横画面モードでは島内全域マップが一望できます |
縦画面と横画面はほぼいつでも「設定」から変更できます。設定画面ではほかにも,言語やオートプレイのオンオフ,BGMやボイスの音量などを変えられますので,シーンにあわせて好みのスタイルで遊ぶとよさそうです。
Switch版でプレイヤーがもっとも気になっている「TVモード」ですが,ゲーム画面自体は基本的に横画面モードとまったく同じです。ですが,その圧倒的な違いは,やはり大画面に出力できる点。筆者はパルマのVR面会にも通い,何度も実寸大の彼との面会を果たしていますが,それが自分の家で可能になるのはうれしい限り。実際に我が家のテレビで試した面会がこちらになります。
写真では,若干ハルトとの距離感が分かりにくいとは思うのですが,手を合わせているので大きさの感覚は大体伝わるのではないでしょうか。とはいってもテレビはタッチパネルじゃありませんので,実際に手を合わせようとするとコントローラを使うしかないのですが……。手を合わせつつ操作をすると,少し怪しい動きになりますが,周囲を気にしないでいられる時にはぜひリアルな彼の大きさを感じていただきたいです。
ガラス越しに進行するストーリー
メッセージでは彼の意外な一面を知ることも
未プレイの人に向けた,ゲーム内容の紹介をお届けしていきます。「囚われのパルマ」は,ハルト編もアオイ編も「ガラス越しの面会」を通してメインストーリーを進めていきます。プロローグを除き,章ごとの面会回数は4回が基本で,4回目の面会は延長がなく,かならず次のエピソードに進みます。
面会中の会話では選択肢が出現することもあります。ここで選んだ選択肢は後々の会話にふっと出てくることもあるので,彼によく思われそうな選択肢を選ぶよりも,自分の気持ちに一番近いものを選ぶほうがより感情移入できてオススメです。
また,面会時間は残念ながら有限なので,面会時以外はゲーム内の携帯端末の「メッセージ」機能を使ってコミュニケーションを取っていきます。この時に送るメッセージの話題をゲットするのも,このゲームの主目的のひとつ。メッセージの話題は島内の施設を巡って見つけることもあれば,「監視」を通じて見つけることもあります。
しれっと「監視」という言葉が出ましたが,彼の部屋には内緒で監視カメラが仕掛けられており,プレイヤーはそれを通じていつでも様子を確認できます。監視カメラには,お風呂上りにパンツ一丁であなたのメッセージに返信を打ち,歯を磨く姿も……! な,なんたる無防備な姿……! でもそこが! たまらないのです!
これまでに,好きな彼を監視カメラで24時間いつでも監視できる乙女ゲームがこの世にあったでしょうか? 多分,ない!! そのあまりの斬新さに,スマホ版の配信時には「ありがとうカプコン,あなたが神か……!」とカプコン本社がある大阪に向かって五体投地する女子が続出したほどです。
メッセージにはさまざまな話題があり,ストーリーとは完全に無関係のものも多いですが,彼の内面をより深く知るためにドンドン送りましょう。大抵の話題は一度しか送れませんが,中には何度も送れるものがあり,その時の親密度によって同じ話題でも反応が変わったりします。
「!」マークが出ている場所へ行くと,スチルを見られるアイテムや話題をゲットできたりします(※メインストーリーが進む場所は「!!」マーク)。これは「監視クエスト」と言われるもので,差し入れ,監視,メッセージを繰り返して,クリアすると専用のスチルがゲットできます。スチルが見られる話題は,メッセージの「クエスト」欄に表示されている話題なので,これらの話題を優先的に振っていきましょう。監視クエストの一部には,メモリアル面会へとつながるものもあります。
そのほかに,「寝ている彼を優しくタッチして起こす」ミニゲーム「夢アプリ」もあります。妄想の中で,寝ている彼の身体をつんつんと突いていくのですが,これがまた……二人とも実に悩ましい声を出すんですよ……! 「く,悔しい,こんなものに釣られるなんて! でもイイ! やっちゃう! ツンツンしちゃう! イイ声出させてやるよ……!」と,違う何かに目覚めるミニゲームですので,ぜひ新しいステージが追加されるたびにプレイしてみてください。
また,彼との電話越しでの会話を楽しめる「テレフォンイベント」もいくつかデフォルトで収録されています※。内容は「誕生日に彼の声が聞きたい」「休日,家に1人きりで寂しい」といった恋人同士らしい甘いやりとりから,中には「たまたまお風呂上がりに電話がきた」なんていうコミカルなものまで。あなたと電話しながら「下着,どこ置いたっけ……」と聞こえてくる電話越しの声に,いやでも彼の全裸を想像してしまうのですが……これ以上はイケナイところですね……。
※テレフォンイベントの収録内容は公式サイトで確認できます
ハルト編の魅力はサスペンス要素の強いシナリオとゆっくりと育む愛
ハルト編では,プレイヤーとの交流を介してハルトの失われた記憶を取り戻すストーリーが展開されます。彼はとある事件に関与しているとのことで,彼の記憶を取り戻すことが事件への鍵になっているので,先が気になり,とてもハラハラします。絶海の孤島の個室に監禁されている生活ですし,かなり大きな事件に巻き込まれていることが想像できます。
ハルトはこれまで何人もの相談員を相手にしてきたようですが,その誰ひとりとして彼の記憶を取り戻すことはできなかったようです。ちなみにプレイヤーの職業は相談員ではありません。知らない間に孤島に連れてこられ,本土へ戻りたければ相談員として彼の記憶を取り戻すように言われます。なかなかすごい設定ですが,とりあえずそういうものなのだと受け入れましょう。
頑なに閉ざされている彼の心を開くには,ありのままのあなたとして接することが一番です。差し入れやメッセージ,面会を通して“あなたの言葉”を伝えていけば,彼は徐々に心を開いていきます。また,ハルト編のメインストーリーはかなりのサスペンス展開。「乙女ゲーはあまり得意ではない……」という人でもぐいぐい引き込まれていく内容になっています。
ハルトの心を開いていく過程でお互いにゆっくりと歩み寄っていくのですが,これが自然と恋に落ちていく流れそのもの。筆者は今ではすっかり「パルマ」シリーズにハマっていますが,このハルト編の影響がもっとも大きかったと感じています。
アオイ編の魅力は恋の駆け引きと,そこから生まれるドキドキ感
交通事故で彼女の記憶を失ってしまったアオイ。プレイヤーは偶然居合わせた交通事故から彼を助けてあげただけなのですが,その時に一緒にいたことでアオイとその彼女にかけられていた“とある薬物への関与疑惑”を,自身に向けられてしまいます。プレイヤーは疑惑を晴らすために,恋人のフリをしつつ,本当の彼女の居場所を探し当てることになります。
彼女の記憶を失っているアオイは,最初はつっけんどんな態度を取ってきます。「どうして彼女の記憶だけが抜け落ちてしまっているのかわからない」「どうやってプレイヤーに接すればいいのかわからない」と戸惑う彼に声をかけると,「でも,必ず思い出すから」と真剣なまなざしを向けられ,プレイヤーは罪悪感を抱きながらメインストーリーを進めていくことになります。
ですが,アオイはプレイヤーのことを悲しませないように,と,記憶がないなりに“彼氏らしく”あろうと頑張ってくれているので,ハルト編と違い,比較的序盤から打ち解けてくれます。また,ハルトと違ってすべての過去を失っているわけではないので,話題に困ることもそこまでありません。
金髪に長髪というスタイルで,ちょっと派手な雰囲気があるアオイですが、ストーリーが進むにつれて最初の印象とは違う彼の側面が見えてきます。そんな彼に「ガラス越しでキスをできるかどうか」と迫られると,素直にドキドキしてしまう感情と,誰とでもこんなこと出来ちゃうのかな? という嫉妬のような感情の間で揺れてしまったりもします。
ハルト編が王道路線を突き進む純愛に対して,アオイ編は彼にも自分にも嘘をつきながら,それでも恋の駆け引きをしていく,といった変化球のストーリーが楽しめます。ハルト編でハマった人にとっては躊躇う部分もあるかと思いますが,アオイ編もただの疑似恋愛では終わりません。
新事実が判明していくほどアオイのことを好きになっていくのに,彼には別の彼女がいる……。そんなプレイヤーだけが知っている事実に胸が張り裂けそうになりながら進めていく物語は,本当に素敵なものに仕上がっています。
Switch版で拡張された「パルマ」ならではの魅力を堪能しよう
ガラス越しの面会でしか会えないもどかしさ,身体が触れ合えないからこその心の触れ合いには,「パルマ」でしか体感できない魅力が詰まっています。彼との間を隔てるガラスを画面に見立てたスマホ版も素晴らしかったですが,Switch版でもまったく同様のプレイスタイルで楽しめるうえ,さらにテレビの大画面に彼を映せるので,スマホ版を遊びつくした人でも新しい体験ができる作品になってると感じました。
なお,本作はパッケージ版とダウンロード版がそれぞれ販売されますが,さまざまな追加コンテンツやオリジナルグッズが付属される豪華版も用意されています。商品ラインナップは公式サイトにまとめられているので,一通り目を通して購入を検討してはいかがでしょうか。
「囚われのパルマ」公式サイト
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