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多くの困難を乗り越え,理想のメカゲームを目指す「Mecha BREAK」。プロジェクトプロデューサーのKris Kwok氏にその苦労や見どころを聞いた
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印刷2024/03/08 12:00

インタビュー

多くの困難を乗り越え,理想のメカゲームを目指す「Mecha BREAK」。プロジェクトプロデューサーのKris Kwok氏にその苦労や見どころを聞いた

 「チカラ!スピード!一斉砲火!」をキャッチフレーズとする「Mecha BREAK」。近未来の地球を舞台に,さまざまな機能を持つ人型戦闘メカ「メカブレイク」で,3vs.3,6vs.6,そして広大なマップに最大60人のプレイヤーが入り乱れる「Mashmak」といったモードで戦う対戦メカアクションゲームだ。昨年の12月にはクローズドαテストが行われ,日本のメカファンの間でも話題となった。

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 本作はAmazing Seasun Gamesが開発を進めるタイトルだが,その道のりは平坦なものではない。9年前となる2015年から紆余曲折を重ね,何回もリブートを繰り返したのだという。苦難を乗り越えてメカゲームを作り続ける理由は何か。そして「Mecha BREAK」の見どころについて,プロジェクトプロデューサーのKris Kwok氏にメールインタビューを行った。

「Mecha BREAK」公式サイト



4回のプロジェクトリブートを経て,自分たちが目指すべきメカゲームを見出す


4Gamer:
 「Mecha BREAK」の概要と見どころについて,あらためて教えてください。

Kris氏:
 「Mecha BREAK」は近未来を舞台とした,SFメカテーマのマルチプレイヤー対戦ゲームです。このメカアクションシューティングゲームでは,プレイヤーはさまざまな戦闘スタイルを持つメカを操り,火力全開の立体空間戦を体験できます。「チカラ!スピード!一斉砲火!」というキャッチコピーのとおり,空中での激しい戦い,近接戦闘,火力の炎で覆われる視覚的衝撃が体験できます。

 そして,3vs.3,6vs.6,60人参加の大規模なMashmakモードでは,チームが協力し合う,激しい感情の動きを感じられます。さらに,メカファンの皆様向けに塗装カスタマイズ機能も提供しており,各パイロットが専用のメカを作り上げられます。

 現在「Mecha BREAK」は開発を加速しており,近い将来に再びテストを開始する予定ですので,どうぞお楽しみに。

4Gamer:
 「Mecha BREAK」という企画の成り立ち,制作の経緯について教えてください。

Kris氏:
 このゲームは9年前の2015年から構想をスタートし,4回もプロジェクトを立ち上げ直しました。「Mecha BREAK」というタイトルになってからの正式な制作開始は2021年11月からですが,「着実に」長い時間をかけて作り上げてきたということです。

4Gamer:
 4回のプロジェクト立ち上げ直しについて教えてください。

Kris氏:
 最初は2014年のことで,SF分野で優れた作品を持つイギリスのチームに投資しました。しかし,プロジェクトの核心的な体験がチームの期待と一致しなかったため,最終的にプロジェクトは終了しています。
 次が2016〜2017年で,イギリスのチームと日本のメカデザイナーによる共同開発を行いましたが,方向性の違いから協力がスムーズに進みませんでした。そこで,2018年には我々自身でプロジェクトを主導することにして,何度も挫折しながら,プロジェクトの実現可能性を再評価するプロセスを進めました。
 そして,2021年に自分たちの方向性を見つけ出した後に,プロジェクトは正しい軌道に乗り始めたわけです。

 もう10年近くになりますが,プロジェクトを立て直す度にちゃぶ台を返して再スタートするの繰り返しで,チーム全体にとって大きな試練でした。
 私たちはSFメカの分野に触れたことがなく,この分野における認識とリソースが非常に不足していました。それでも,私とチームはメカへの情熱を胸に,経験がなければ達人に学び,リソースがなければ共同開発を試み,理想の形態に達しなければさらに多くの時間とリソースを投入して磨き続けました。「Mecha BREAK」は,このような背景のもとで誕生した作品なんです。

プロジェクトプロデューサーのKris Kwok氏
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4Gamer:
 プロジェクト立ち上げ直しは大変だったと思いますが,そこまでしてメカゲームを作ろうと考えた理由はなんでしょう?

Kris氏:
 私たちの目標は常に「高品質なPvPのSFゲームを作り,グローバルな作品にすること」でした。2014年にイギリスのチームへ投資協力をしたときから中国・日本・イギリスの共同開発に至るまで,紆余曲折に満ちた過程を経ましたが,メカゲーム制作に関する一部の認識と経験を蓄積できました。
 まだ多くの重要な問題に直面し,大量の時間とリソースを探求と実践に費やす必要があるかもしれませんが,熱心なメカファンとして,私の心は「立ち止まらずに,メカゲームの制作を続けるべきだ!」と叫んでいます。

 私はチームに対し,「このプロジェクトが必ず利益になる,ということは保証できない」とさえ伝えました。もっとも重要なのは,私たち自身が満足しているかどうか。メカファンとして,まず自分たちが満足できるメカ作品を作ることに焦点を当てるべきだと思っています。
 チーム全体がメカに対して情熱を持っていることをプレイヤーに感じ取ってもらえるのは,恐らくはこのような持続性を通じてのみでしょう。

4Gamer:
 2017年には日本のメカデザイナーとコラボしたそうですが,このときの学びが現在の「Mecha BREAK」に活かされたところはありますか?

Kris氏:
 日本のデザイナーとの協力の中で,私たちは非常に重要な点を学びました。それは「メカデザインは,実際には工業デザインの延長である」ということです。工業化のルールに従わない場合,メカデザインは低品質に見えがちです。
 モデル内のメカの細部は,工業デザインの縮小版といったもので,例えるならプラモデルでいうところの1/144や1/100のスケールです。これらの細部は一見して単なる刻み線のデザインのように見えますが,実際のサイズ……例えば14〜18メートルのメカとして見れば,装甲の接合部を表現しています。

 つまり,メカデザインにおいては,板金の切断と組み立て方法について,工業デザインの深い理解が必要となります。単なる刻み線のデザインだけでなく,どの装甲を開くことができ,装甲と装甲の間をどう接続するか,その方法までを設定することが含まれているということです。
 さらに,メカの骨格構造は人体のそれと大きく異なっています。その核心は機械骨格であり,これがメカの動作と動きの基礎を作っていくわけです。メカをデザインする際,外観の美しさだけでなく,動きの流れや動作の範囲が機械骨格の動作ロジックに合致する必要があるということを意味します。そして,これらの知見は「Mecha BREAK」の開発にも十分に活用されているんです。

日本のメカ原案デザイナーの初期原稿
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4Gamer:
 メカの機能性をデザインとして表現すること,リアルな機械としてのメカを表現するために心がけたことで,どのような試行錯誤があったのか教えてください。

Kris氏:
 以前の協力過程で得た貴重な認識の1つは,「メカデザインは美的デザインではなく,軍事的な現実に基づいた工業デザインである」ということです。私たちは以前のデザインラインを一新し,工業デザインの要求に基づく製作基準を深く学び,研究する必要がありました。

 先ほどお話ししたメカの表面にある線のデザインにしても,工業デザインにおける板金の切り方を深く理解する必要があります。骨格の構造についても知識が必要です。メカの機械骨格にはいかなる板金も含まれず,もっとも基本的な構造となります。人間の骨格と機械骨格は比率が異なっていますが,これは最終的な組み立て時に,メカがさまざまな板金や武器を装備する必要があるためです。
 人間の場合,伝統的な服のモデルデザインでは,柔らかい素材を扱った上で,技術を用いることにより服が人体にフィットし,クリッピング(3Dグラフィックスにおいては,特定範囲から外にはみ出した部分を描写しないようにする)に関する問題を解決します。
 しかし,メカデザインでは,柔らかい素材ではなく硬質の基本骨格を中心に外部構造を構築します。これは,主骨格の下に多くの補助骨格を追加し,各板金をサポートする必要があることを意味します。

 腕を例に取ると,メカの板金が運動に適応するための十分な細かい骨格が必要であり,これは柔らかい素材を使った服におけるしわの処理とはまったく異なります。メカデザインでは,単純に板金をクリッピングするのではユーザーの要求を満たすことができません。腕を動かすにしても,上下の板金が協調して動くようにする,複雑な子骨格システムが必要です。
 つまり,重厚な板金の下でメカが流れるような豊かな動きを実現するためには,多くの複雑な二次子骨格が必要となります。これは,私たちが工業デザインで克服すべき難題の1つです。

 結論として,工業技術上の技術的な難題が私たちのチームにかなりのプレッシャーを与えていますが,私たちは常に1つの目標に向かっています。それは,高精度,高品質のモデルを製作することであり,この点に関しては妥協することはありません。

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工業デザインにおけるモデリングプロセス
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4Gamer:
 「Mecha BREAK」の機体が14〜18メートルなのは,どういった理由なのでしょうか? マルチプレイゲームはある程度のスピード感を求められますが,これがMBの身長設定に影響を及ぼした部分はあるのでしょうか。

Kris氏:
 おっしゃるとおり,メカに身長のパラメータを設定する際には,スピード感の表現を前提に,そのメカが示せる運動の軌跡,そして動作の効果を組み合わせることで設計しています。
 もちろん,機体が14〜18メートルという設定は,ほとんどのメカファンがメカ作品に対して持つ認識と理解にも合致していますし,視覚効果の観点からも,プレイヤーが期待するメカ表現を実現しやすくなります。日本のアニメで言うところの「王道設定」ということになるでしょう。

4Gamer:
 「Mecha BREAK」で表現しようとしているメカは,どのようなものなのでしょうか。ほかのメカが登場するコンテンツを例に取ると,「機動戦士ガンダム」では現用兵器のような開発体系を持つ人型兵器,「装甲騎兵ボトムズ」においては使い捨てられる道具かつ鋼鉄の棺桶,「新世紀エヴァンゲリオン」では謎めいたものとして扱われています。

Kris氏:
 私は未来に対してブレイクスルーを遂げることを期待していて,これは個人的に「Mecha BREAK」へ期待するところにも合致しています。
 未来へのブレイクスルーを実現するため,作品の時間軸を現代の技術からそれほど遠くない未来に設定し,「EIC原石」というエネルギーと知能が融合した独特の資源コンセプトを導入しました。これにより「炭素生命とシリコン生命の共生」というテーマと,それに伴う各大陣営どうしの衝突や対立が導き出されています。

 言うまでもなく,EIC原石によってもたらされる技術進化と,人とメカの位置付けは,私たちが紡ぎ出す世界観の根本を形作っています。EIC原石によって,人間の脳が直接機体の計算に参加し,ほかの乗り物をはるかに超える強大な戦闘力を与え,通常の数倍の性能を発揮することが可能になりました。これはいわゆる「自己の限界を突破する」ということです。そして,プレイヤーもこの設定のもとで戦うパイロットとして,メカと自身の限界を突破し,戦場の一瞬一瞬を楽しむことになります。

EICのコンセプトデザイン画
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4Gamer:
 メカゲームには「現代戦的なリアルさを重視すると遠距離戦がメインになり,豆粒のような相手を撃つことになって視覚的な面白さが薄れる」というジャンル特有のジレンマがあります。「Mecha BREAK」における主な交戦距離はどれくらいなのでしょうか。

Kris氏:
 開発初期にこの問題を考慮していたため,遠距離戦と近距離戦のバランスを取り,それぞれの距離で戦うのに適したメカを特化して開発しました。遠距離戦に適した機体には,プレイヤーが没入感を持って遠距離のスリルを体験できるような照準器メカニズムを提供します。一方,近距離戦に適した機体には,相手に素早く近づき近距離で攻撃を行うための突進能力を持たせました。
 また,性能にバランスが取れた総合型とも言える機体もあり,プレイヤーは状況を判断して遠距離攻撃と近距離での突撃を選択しなければなりません。こうした設計を通じて,より多様な戦術的選択を提供し,プレイヤーが戦場の一瞬一瞬を存分に楽しめるようにしたいと考えています。

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自分の腕前で状況をひっくり返せる小規模戦から60人の大規模戦まで,個性的なメカで戦いに挑む


4Gamer:
 「Mecha BREAK」にはどんな特徴のメカが,何体くらい登場するのでしょうか。

Kris氏:
 現在は5タイプのメカが登場します。チーム戦で身を隠しつつ合理的な位置から超長距離スナイプを行う「狙撃型」。敵陣に突入して要所を攻撃する「攻撃型」。堅固な装甲を持ち,チームに定点火力支援を提供する「防御型」。近接戦に特化した能力を持つ「格闘型」。そしてチームにタイムリーな医療支援を提供する「支援型」があります。
 現在のバージョンでは,各タイプに1〜2機のメカが登場しています。そして,これからは各タイプの特徴とプレイヤーのフィードバックに基づいて,より特徴的で革新的なメカを皆さんに提供する予定です。

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4Gamer:
 スタッフの皆さんがお気に入りのメカはどれですか。

Kris氏:
 特定のメカをお気に入りとするのは難しいでしょうね。チームは各メカを制作する際にすべての情熱と心血を注ぎ込んでおり,各メカが私たちの理想だと言えるからです。
 例えば,「龍淵」は,主役機体として位置づけられているため,デザインにおいては性能の全面性と総合性にこだわり,塗装や装甲の製作では主役感を際立たせ,ストーリーにも対応するプロットと導入を設定し,プレイヤーが主役機と共に成長し強くなる体験を楽しめるようにしています。
 定点防御に長けた「トライセラ」,飛行射撃の「ファルコン」,遠距離スナイプの「鳴神」,近接突撃の「パンサー」といった特定の能力に特化したメカに関しても,それぞれの能力に基づいた革新的なデザインを行い,骨格や装甲の製作においても適切な調整をしています。プレイヤーが一目で「ああ,このメカは近接戦/遠距離が強いんだ」と分かるようにしているわけです。
 もちろん,ここで触れていないメカも同様のコンセプトに基づいてデザインされています。私たちは,すべてのメカが自身の特性を発揮し,戦場でその力を発揮できるようにすること,そしてメカファンが自分のスタイルに合ったメカを見つけられるようにと考えています。

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4Gamer:
 3vs.3,6vs.6,60人参加の「Mashmak」と多彩なモードが存在しますが,それぞれの見どころについて教えてください。

Kris氏:
 「チカラ!スピード!一斉砲火!」のコンセプトを表現するため,いろいろなタイプのプレイヤーがメカの魅力を体験できるよう,3vs.3,6vs.6,そしてMashmakモードを開発しました。
 「3vs.3モード」は,プレイヤーが自らの高度な操縦技術を披露するステージです。プレイヤーはメカ間の接近戦と火力交換のスリルを存分に楽しめます。個々の操作が勝利の鍵となり,自らの力で戦況を変えることさえ可能です。

 「6vs.6モード」は,中型マップを舞台に,プレイヤーの小隊は敵の小隊と競いながら任務目標を時間内に達成しなければなりません。小隊の戦術配置,攻撃の支援,援護や撤退など,チーム勝利に影響する決断が試されることになります。プレイヤー間の協力とチームワーク,および戦場全体を把握することが必要なわけです。

 Mashmakモードでは,ゲーム史上最大級となる,256平方キロメートルにおよぶ1つの戦場をデザインしました。そして,開発が進んだことで,1ゲームあたりの参加人数を48人から60人に増やすことができました。
 1小隊は6人で編成され,10の小隊が広大な戦場に投入されます。広大なマップで巨大メカや戦艦級ボスに挑むPvEを楽しみつつ,大量のインタラクティブな要素やリアルな破壊効果を体験できます。
 そして,生存に必要な各種物資を獲得したり,ランダムイベントに対処したりしながら,ほかのプレイヤーからの攻撃に注意し,最後まで生き残り,自チームを勝利に導くことが求められます。
 この過程で,プレイヤーの運,戦略,決断,操作,そしてチームメイトとの協力が最終結果に影響を与えます。この一連の刺激的な体験は,プレイヤーを失望させることはないでしょう。Mashmakモードは近い将来,大規模テストを迎える予定で,具体的な情報については,引き続き公式SNSにご注目ください。

4Gamer:
 それぞれのモードで参加人数が異なりますが,同じメカでも参加するモードで性能が変わったりするのでしょうか。

Kris氏:
 すべてのモードでメカの性能に変更はありません。ただ,MashMakでは,プレイ内で戦闘能力を強化するアイテムがあります。一度メカに慣れれば,さまざまなモードを楽しめるわけです。私たちは,バランスのとれたメカをプレイヤーに提供する自信がありますし,プレイヤーからのフィードバックにも細心の注意を払います。

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4Gamer:
 モードごとに参加人数が違うとゲームバランスを取るのも大変だと思います。苦労話があれば教えてください。

Kris氏:
 メカにはそれぞれ独自の戦術的位置付けがあり,実際に3vs.3と6vs.6のテスト状況から見ると,プレイヤーは自身のメカへの理解と各タイプのメカのチーム構成をもとに,自分に合ったプレイスタイルを見つけられます。
 Mashmakモードでは,いくつかの異なる機能を導入します。例えば,空中飛行に長けた「ファルコン」と,定点防御に優れた「トライセラ」では,マップを駆けめぐる効率が大きく異なるかもしれません。さらに,各プレイでは6人小隊が10個投入され,多くの不確定要素をもたらします。
 Mashmakモードのマップには多くの拠点やボスを含むPvE要素も取り入れていますが,これはPvPの圧力を適切に緩和するためです。最終的な戦いに挑む前に,プレイヤーたちがそれぞれの小隊で選択に応じた成長を遂げてもらい,そのあとは徐々にほかのプレイヤーと対峙するわけです。私たちは,皆さんのプレイヤーとしての検証を非常に楽しみにしています。

4Gamer:
 先に行われたテストにおいて,反響が大きかった地域はどこですか。また,国や地域によって反応の違いはありましたか。

Kris氏:
 反響が大きかったのは日本と欧米地域で,これは予想したとおりでした。もっとも印象深かったのは,私たちが心を込めてメカを作っており,メカを理解している,メカのユーザーを理解している……と多くの海外プレイヤーが感じてくれたことで,これはチーム全体に大きな自信を与えてくれました。
 海外市場にはすでに一定のSFの基盤があり,メカジャンルでも先輩と言える人気作が多数存在します。今回のテストにおいて,とくに日本のプレイヤーは古いブランドのいくつかの有名メカゲームと「Mecha BREAK」を比較した上で,パフォーマンスを高く評価してくれました。
 そして,欧米のプレイヤーはメカのデザイン表現に対してさらに多くの提案と期待を寄せています。私たちも各地域のプレイヤーからのフィードバックと提案を十分に吸収し,次回のテストでプレイヤーにより良い体験を提供することを目指しています。

4Gamer:
 リリース以降のマネタイズに関して教えてください。

Kris氏:
 現在,チームはテストの結果とフィードバックに基づいて機能開発と調整を行っており,まだ結論を出すことはできません。「Mecha BREAK」は公平な競技ゲームとして,P2W(Pay to Win,勝つためには支払わなければならない)モデルにはしない予定です。
 ゲーム内でプレイヤー間に唯一の違いがあるとすれば,それはプレイスキルであり,私たちは公平かつ公正な原則を守り,誰もが負担なくメカの楽しさを存分に味わえるゲーム環境を提供することを目指しています。

4Gamer:
 家庭用ゲーム機版()について公開できる情報はありますか?

※PC版のほか,家庭用ゲーム機版の開発も発表している

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 東京ゲームショウ2019に,中国の西山居(SEASUN)がブース出展しており,ChinaJoy 2019にも出ていたロボットモノの3Dアクション「CODE B.R.E.A.K.」が展示されている。ブースでプロデューサーに話を聞いたので,どのようなゲームなのか紹介しよう。

[2019/09/14 22:10]

Kris氏:
 現在,家庭用ゲーム機における最適化を全力で進めており,サービス開始後,すぐに「Mecha BREAK」の操作に慣れていただけるようにしていきます。我々の目標は,全プラットフォームのサービス開始時期を統一し,ゲームをすぐに体験できるようにすることです。


メカの魅力は「火力感」「スピード感」「パワフル感」


4Gamer:
 スタッフの皆さんが考えるメカの魅力とは何でしょうか。

Kris氏:
 もっとも魅力的な3つの要素は,広大な天空を全力で進む「スピード感」。さまざまなビーム砲の轟音が戦場全体を覆う「火力感」。そして白兵戦で光剣がぶつかり合う振動のもたらす「パワフル感」だと考えています。これは私とチームにおいて一致した認識です。
 「Mecha BREAK」では「チカラ!スピード!一斉砲火!」というキャッチフレーズを書きましたが,これは「Mecha BREAK」を通して伝えたいメカの魅力であるからです。

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4Gamer:
 中国におけるメカものコンテンツはどれくらい人気があるのか教えてください。日本において,例外はあるものの,メカゲームは比較的ニッチなジャンルと見なされています。中国ではどうなのでしょう?

Kris氏:
 中国のSFメカ市場は以前,抑圧された状態にあって,市場規模は世界水準を大きく下回っていました。日本と比較しても,さらに細分化された市場かもしれません。
 幸いなことに,今はSF分野の育成と奨励が行われており,とくに映画やテレビドラマの分野では「三体」「流浪地球」といったSFのIPが登場し,多くの人々へのSF入門となりました。国内でより多くの人々がSFに触れているということで,これはチャンスとなるでしょう。
 しかし,中国のゲーム業界においてSFコンテンツの割合は依然として低いままで,人材とデザイン理念において顕著です。通常,中国のデザイナーは個人の想像に基づいてメカをデザインするかもしれませんが,そのようなデザインがどの程度世界観と融合し,またはメカの骨格運動のロジックに合致するかは問題です。
 幸いなことに,私たちのチームはこの10年間の経験を経て,国内で一定のメカデザイン技術力を備えましたので,高品質のSFメカ作品を世界に提供する自信があります。

4Gamer:
 中国において人気があるメカものコンテンツについて教えてください。また,中国産のメカものコンテンツはどういったものがあるのでしょう?

Kris氏:
 残念ながら,世界でプレイヤーに深い印象を残す高品質のメカテーマかつPvPとなると,そうした作品は多くありません。SFテーマは近年,大きな発展と突破を遂げましたが,メカという分野に限定すると,名を挙げられる作品は確かに少ないです。したがって,私は「Mecha BREAK」が中国のメカ作品史上のマイルストーンとなることを期待しています。これも私たちのチームが一貫して努力している目標です。

4Gamer:
 スタッフの皆さんの心に残っているメカコンテンツ(ゲームでも漫画でもアニメでも構いません)について教えてください。

Kris氏:
 私個人としては「機動戦士ガンダム」シリーズ,宇宙世紀ものの中でも「機動戦士Zガンダム」「機動戦士ガンダムZZ」が印象深いです。長年の趣味としてアニメやガンプラもずっと追い続けていて,こうした追求を諦めたことは決してありません。例えば,オフィスにあるガンプラの中には長い時間を掛けて集めたものもありますし,これはお金を手に入れてから買ったものではないわけです。
 チームメンバーの中にも,私と似たような経験を持つ人がたくさんいます。みんなガンダムや「新世紀エヴァンゲリオン」を見ながら,最初の「スーパーロボット大戦」や「アーマード・コア」をプレイした,つまりは古典的なアニメやゲームで成長してきた世代です。そして,早い段階で心の中に「メカゲームを作る」という種をまいていたんです。


Kris氏のオフィス
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4Gamer:
 日本ではメカアニメ黄金時代と比べると作品数も減ってきていますが,こうした現状についてどう思われますか?

Kris氏:
 熱心なメカファンとして,非常に残念なことだと感じています。日本のメカアニメは私にとってSFを啓蒙してくれるかのような存在です。これらの古典的な作品から受けた影響も今に受け継がれています。こうした作品があったからこそ,私とチーム全体がメカの精密さ,動き,デザインに対して深い認識と一貫したこだわりを持ち,メカへの愛情と情熱を常に保持できています。メカというテーマが業界で引き続き輝き,より多くの人に認識され,愛されることを願っています。
 同時に,私たちにとってこれは1つのチャンスかもしれません。それは,私たち自身のメカへの愛と理解を込めた作品を携え,世界の舞台に踏み出す試みにもなるからです。「Mecha BREAK」の登場を通じて,日本や世界中のメカファンの共鳴を再び呼び起こすことを期待しています。

4Gamer:
 日本のプレイヤーに向けて,メッセージをお願いします。

Kris氏:
 「Mecha BREAK」に対する日本のプレイヤーの皆さんからの応援と愛情に心から感謝します。日本はメカ文化の発祥地の1つであり,メカゲームに対する期待も非常に高いです。幸いなことに,以前のテストで,日本のメカプレイヤーの皆さんから「Mecha BREAK」への認可と肯定を十分に感じ取ることができました。これは非常に喜ばしいことです。
 もちろん,ここで満足することはありません。認めていただけたこと,肯定していただけたことに応えて「Mecha BREAK」の改善を進め,皆さんに合格をいただけるような作品を提示するために努力していきます。
 近い将来,「Mecha BREAK」を通じて,日本のメカプレイヤーの皆さんと一緒に,メカへの愛と喜びを共有できることを願っています。プレイヤーの皆さんの継続的な応援をお願いします。

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