インタビュー
イザナギゲームズのCEO梅田慎介氏にインタビュー。設立5年で約8億円の資金調達に成功したベンチャーゲーム会社の目標とは
さらには,いずれのタイトルも豪華クリエイター陣を起用,かつ目を引くビジュアルを備えており,「何だ,この新興パブリッシャ?」と注目している人も少なくないのではないだろうか。
その一方でイザナギゲームズは,コロプラやアカツキといった国内企業に加え,中国のNetEaseやHODE HK Limited(ビリビリグループ)と業務提携し約8億円の資金調達を実現したり,ウェブトゥーン事業(関連記事)に乗り出したりと,ビジネス面でも目覚ましい動きを見せている。
一体この会社はどんな会社なのか。イザナギゲームズのプロデューサー兼CEOを務める梅田慎介氏(以下,梅田氏)にズバリ聞いてみた。
「イザナギゲームズ」公式サイト
ゲーム市場の変化により,新興パブリッシャでも世界で勝負できるようになった
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まずは,イザナギゲームズがどんな会社なのか教えてもらえますか。
会社を興した経緯から説明すると,僕はもともとゲームの大手受託開発会社出身で,そのあと大手IT企業の傘下でスマートフォンゲームの運営・開発を手がける会社の代表を務めていました。その中で,僕自身の活動のフィールドを,スマホゲームからコンシューマゲームに移したいと考えたんです。
スマホゲーム自体は素晴らしいし,グループ内に素晴らしい会社もあったのですが,僕自身はIPを作り出すことに興味があったので,強いストーリー性を持ち,その上でキャラクターの個性も強いゲームにチャレンジしたかったんです。
そんなことを考えていた頃,市場に変化が生まれ,小規模のゲーム会社やインディーズがSteamを介して世界展開できる環境が整っていきました。そうやって,世界に向けてパイを広げていけばコンシューマゲームでも十分勝負できるんじゃないかと考え,ベンチャーキャピタルのMakers Fundから出資を受けて,立ち上げたのがイザナギゲームズです。
4Gamer:
これまでに発表されているタイトルは,いずれも新規IPですよね。何かこだわりがあるのでしょうか。
梅田氏:
新しくベンチャー企業を始めてエンタメでやっていこうというとき,本質的には新しいものを作らないと勝負にならないだろうと考えています。新しいものを今ある僕らのリソースで作っていきながら,ゆくゆくは新規IPのオープンワールドアクションRPGを作れるようになるところまで行かなければならない。新規IPを出すごとに打席に立ってフルスイングしつつ,出資していただいたり,少しずつ利益を積み重ねたりしてチームを育てていき,その結果として世界的にプレゼンスのあるゲーム会社になれると考えています。したがって,新規IPで勝負しなければならないと。
僕自身,10年前だったらゲーム業界の中だけ見てしまって「そんなところで勝負しても勝てるわけないよ」と思ったでしょうが,エンタメ業界として考えて,世界的なプレゼンスに到達するとなると,自分たちでIPを作って勝負しないと勝ち筋が見えないんですよね。
4Gamer:
イザナギゲームズに関しては資本系のニュースもたくさん配信されていますが,日本の独立系ゲーム会社でこれだけ資金調達しているところも珍しいと思います。
梅田氏:
そうしないと勝負にならないからです。資本を集めて,かつ自分達のIPと人的資産を積み上げていかないと,大きな目標には届かないんです。
4Gamer:
IPが大ヒットして世界的に浸透したとしたら,続編なりシリーズ化なりといった展開はするわけですよね。
梅田氏:
それはもちろんです。そこが新規IPの重要なポイントで,大ヒットしたときに大きなメリットを得られるわけです。そこは狙わなければいけません。
4Gamer:
2月18日には,ウェブトゥーン事業への本格参入を発表されましたよね。これもまた驚きでした。
梅田氏:
ウェブトゥーンは,スマホでストーリーを読ませるという部分において,スマホゲームに近いというのが僕の解釈なんです。実際,ウェブトゥーンの読まれ方は漫画ともまた違っています。単行本や雑誌を買って漫画を読むのと,ちょっとした空き時間にスマホでウェブトゥーンを読むのとは全然違う体験で,後者は本当にスマホゲームを遊ぶことに近い。極端な話,ウェブトゥーンの場合は難しい話だとあまり頭に入ってこなかったりもします。
だからウェブトゥーンは,いわゆる「悪役令嬢」「異世界転生」といったステレオタイプのジャンルが多いんだろうなと。僕の解釈だと,すでに同じジャンルのタイトルを何作か読んでいるので,設定がすんなり入ってくるんですよね。だから隙間時間でも,「異世界転生ものだったらいいかな」という感じで気軽に読めてしまう。かつ作り手としては,ストーリーの展開や終わりを自由に決められるという利点があります。
4Gamer:
なるほど。では,ウェブトゥーン事業に参入した狙いについて教えてください。
梅田氏:
狙いは2つあって,まず1つはIPを育てることです。ゲームでIPを作ろうとすると,ものすごくお金と時間がかかるんですよね。しかしウェブトゥーンであれば,あくまでゲームと比較した場合の話ですが,そこまでコストはかかりません。創出したIPをウェブトゥーンで市場に出してみて,反応がよければそれをゲーム化するといった取り組みができます。
もう1つの狙いは,ウェブトゥーンの2Dアーティストやシナリオライター,アートディレクターといった人材を採用・育成し,ゲーム側にも活用することです。
4Gamer:
たしかに,ゲームと比較した場合はコストが良さそうです。ちなみに,ウェブトゥーンは自社で制作するのでしょうか。
梅田氏:
自社スタジオの「ツクヨミ」では,オリジナルタイトルを作ります。それに加えて,受託で僕らが作画を担当したり,協業でオリジナルタイトルを作ったりもします。
4Gamer:
ウェブトゥーンで育てたIPを,ゲーム以外に展開するお考えはありますか。
梅田氏:
もちろんあります。例えば「冤罪執行遊戯ユルキル」は,4月23日から舞台「冤罪執行遊戯ユルキルTHE STAGE」の公演を行いますが,そういったIPの舞台化に関するプロジェクトも進めていますし,その他さまざまなメディアや媒体との取り組みによる展開を検討しています。
また谷口 崇というWebアニメ作家が,先日イザナギゲームズに入社しまして。代表作には「森の安藤」や「むきだしの光子」「おしり前マン」というものがあります。社内に“谷口 崇部”を立ち上げ,まずはYoutubeでアニメを発表していこうとしています。そういったアプローチでも,新しいIPを作っていこうと。
4Gamer:
イザナギゲームズに出資しているアカツキやNetEaseは,IPのアニメ化などメディアミックスが得意なイメージがあります。イザナギゲームズも,同じような路線でいくのでしょうか。
梅田氏:
個人的なエンタメの市場感ですが,IPのメディアミックス展開自体は当たり前というか。それが有機的に融合してコストダウンになったり,認知度と利益が有機的に増えたり,ユーザーがゲームとアニメの両方に触れることで,より楽しめたりするようなことが重要なんです。単にIPをウェブトゥーンやゲーム,アニメにするのではなく,有機的に融合することで,何かしらのメリットが生ずることをやっていきたいですね。
例えばテレビドラマを作るとき,その撮影時にゲーム用の素材も撮っておいて実写のゲームも作る。ドラマサイドとゲームサイドの主人公がそれぞれ違っていて,ドラマでは見えなかったストーリーの背景が,ゲームで「実はこうなっていた」と描かれていてユーザーがハッとするみたいな,有機的なことができると面白いですよね。作り手としてはコストダウンになりますし,ユーザーにとっては両方観ることでよりよい体験になる。もっとも,いずれか一方を観ただけできちんと完結する形に仕上げないと,炎上してしまいますけど(笑)。
4Gamer:
実際,そういったお考えと,アカツキやNetEaseとの業務提携はどこまで関係があるのでしょう。
梅田氏:
資本とイザナギゲームズのメディアミックス展開とは,まったく関係ないです。僕たちは単純に今できていること以上のことをやっていきたいですし,そこに対して出資していただいている皆さんから何か言われることはまったくありません。
むしろビリビリさんとの業務提携では,イザナギゲームズのIPを世界展開する上で,一緒にいろいろやりたいとおっしゃっていただいてます。メディアミックス云々というよりは,中国本土を含めた世界への展開でご協力いただいているイメージですね。
4Gamer:
やはり,中国を含むアジア圏での展開も視野に入れているのでしょうか。
梅田氏:
そうです。コンシューマゲームは売りきりですから,「ARPPUを高めて,1人のユーザーからLTV(Life Time Value,顧客生涯価値)でどれだけお金を出してもらうか」という運営型のゲームと違い,ユーザーの数そのものを増やしてパイを広げていく必要があります。そのために,世界展開は最初から考えていました。
4Gamer:
たしか「ワールズエンドクラブ」のインタビューでは,中国展開への言及もありましたが,その後の進捗はいかがですか。
梅田氏:
ご存じのとおり,現在の中国はゲームに対する規制が大変厳しいです。当時も大手のテンセントやNetEaseですら版号取得の順番待ちという状態でしたが,今は未成年に対する規制が課され,さらに厳しくなっています。結論としては,残念ながら中国展開はできていません。ただ中国は,日本から近くて,マーケットボリュームがある国ですから,今後も動向には注視していきます。
逆にいえば,中国のゲーム会社も困っているので,中国以外の世界に展開できるIPやゲーム会社に注目しているというところがあるかもしれません。中国本土での展開が難しくなったことをマイナスに捉えるのではなく,その中国本土で稼いでいた会社の資本が,今度は日本や世界に向いていくというポジティブな考え方もできます。
ビリビリさんやNetEaseさんとの業務提携は,長期的な視野では今後中国本土で日本のゲームを扱えるとなったときにスムーズに進められるようにと考えています。一方,短期的な視野では,繰り返しですがビリビリさんと一緒に中国本土を含めた世界展開──中国以外のアジアや北米,欧州に展開していきます。業務提携している皆さんに一番評価していただいているのは,イザナギゲームズのIPを作るという意思なんじゃないかと捉えています。
4Gamer:
すごく根本的なところなんですが,イザナギゲームズは自社に開発スタジオを持つパブリッシャという認識でいいのでしょうか。
梅田氏:
ええ,自社スタジオは徐々に育てているという感じです。設立当初は,ほぼ僕1人でやっていて,プロデューサーとしてお金を集めてパブリッシュしていました。お話ししたとおり,もともと大手の受託開発会社にいて,元請けした仕事をいろんな受託開発会社に割り振っていました。その業務を通じて,僕自身と相性がよくて,かつ僕がお願いしたいジャンルや領域に強いところを把握していたので,イザナギゲームズ設立後もご協力いただいています。
4Gamer:
以前の職での人脈が活きたと。
梅田氏:
そのとおりです。ゲーム業界は狭いですからね。今はそれと並行して,社内の開発チームを育成しています。例えばプログラマーが5人必要なら,リードプログラマーは社内から出したり。そうやってプログラマーや2Dアーティスト,3Dアーティスト,アートディレクター,シナリオライター,プランナー,ディレクターといったところを育てています。この1年くらいで,自社スタジオをより強化していく予定です。
4Gamer:
ゆくゆくは,社内でゲーム開発の大半を手がけるようになるのでしょうか。
梅田氏:
未発表の開発中タイトルが4作ほどあるんですけれども,そのうち2作くらいは社内だけで作れる見込みです。
4Gamer:
これまでに発表されているタイトルでは,小高和剛さんや打越鋼太郎さん,竹さん,河本ほむらさん,清原 紘さんなど豪華クリエイターを起用していますよね。これも前職のつながりですか。
梅田氏:
何かしらつながりのある人が多いんですけれども,だいたい僕からオファーしてますね。TwitterのDMでオファーした人もいます(笑)。それに,何かしらのつながりがあったとしても,こちらから「こういうことやりたいんで,一緒にやりませんか」とお声がけしないとなかなか実現しないんですよ。だから,怖れずオファーするようにしています。例えば「僕,○○さんの作品がすごく好きなんです。○○さんとこんなコンセプトのゲームを作りたいんですよ!」と言われて,先方も嫌な思いはしないはずですから。タイミングが合わないなどの理由で断られることもありますが,それはそれで。
4Gamer:
断られることもあるわけですね。
もちろん,あります。とくに今だと,キャラクターデザイナーは忙しいですから。ただ一度断られても,しばらく経って先方から連絡があって……なんてこともあります。一度お声がけしてこちらの熱を伝えておくと,また別の機会が生まれるんですよね。
4Gamer:
やはり新規IPを作るにあたっては,フックになる部分が必要ですよね。起用するクリエイターの選定も,それを意識しているのかなと。
梅田氏:
確かに,「あ,あの人が作ってる! ……けど,これってどんなゲームになるの?」というような引っかかりはすごく大事にしています。例えば「ワールズエンドクラブ」では,「小高さんと打越さんの合作って,どうなるの?」といった引っかかりを作りました。僕らは,まだそこまで大きな認知を得ているわけではないので,そうした引っかかりを作ることが重要なんです。
ただ,そうした引っかかりが,必ずしもクリエイタードリブンである必要はないとも考えています。社内のシナリオライターを育てていったり,さまざまなジャンルにチャレンジしていったりすることで,「え,どういうこと?どんなゲームなの?」という引っかかりを作れると思います。
時価1兆円のエンタメ企業と勝負するために,尖ったものを作り続ける
4Gamer:
現在リリースしている「Death Come True」と「ワールズエンドクラブ」,5月リリースの「冤罪執行遊戯ユルキル」のいずれもアドベンチャーゲームですよね。イザナギゲームズは,アドベンチャーゲームを作る会社という認識で正しいのでしょうか。
梅田氏:
僕自身,「ダンガンロンパ」や「ZERO ESCAPE」「428 封鎖された渋谷で」といったアドベンチャーゲームが好きですから,今後も1つのジャンルとして作っていきたいという思いがあります。しかし,そこだけに注力するのではなく,段階を追ってチームの力を伸ばしていき,ゆくゆくは3DのオープンワールドアクションRPGなどにもチャレンジしたいですね。その意味では,オープンワールドやアクションRPGであっても,ストーリーや世界観が面白いものは好きです。
4Gamer:
今のところはアドベンチャーゲーム中心ですが,今後どのようにイザナギゲームズのカラーを出していくのでしょうか。
梅田氏:
ストーリーや世界観を大切にしているというイメージを打ち出していきたいですし,ゲームのクオリティとしてもそこを誇りにしたいですね。「イザナギゲームズのタイトルといえば,ストーリーと世界観がしっかりしている」と思ってもらいたいです。
あとは,驚かせたいという気持ちがありますね。引っかかりの話とも関わりますが,「何これ?」というところは大事にしたいです。ゆくゆくは,皆さんが「こういうゲームがやりたいんだよね」というものを,しっかり作っていきたいです。例えば人気の若手俳優を3Dモデル化したアクションアドベンチャーって,皆プレイしてみたいですよね。
4Gamer:
実際,まだ設立5年めなのに新規IPのタイトルしかリリースしないことや,ウェブトゥーン事業を始めるなど,驚かされてばかりです。
梅田氏:
やっぱり新興のゲーム会社が認知してもらおうと思ったら,何かしないとダメなんです。とくにゲーム開発はお金がかかりますから。加えて今のエンタメは,余剰余暇時間の取り合いになっています。その中で,僕らのような新興企業が世界に新たなエンタメ会社として認知されるには,スピード感があるとか,やると決めたらやりきるとか何かで頑張らないといけないということを意識しています。
僕らの規模だと,時価総額1兆円の企業と真っ向勝負なんてできないですからね。でもユーザーにとっては,僕らのゲームも大企業の手がけたゲームも,同じ店頭に並ぶゲームなんです。“尖る”というと陳腐な表現ですが,僕らは何かしら“尖る”ものを作り続けることで,お金と人材を集めて,技術力を高めて,さらにお金を集める……というループを作らなければなりません。そのためには,失敗を怖れずにやり続けることが大事だと捉えています。失敗は絶対にしますから(笑)。
4Gamer:
将来的に,ウェブトゥーンや舞台などのゲーム以外の事業の扱いはどうなっていくのでしょう。あくまでもIPに紐付く存在という扱いなのでしょうか。
梅田氏:
まず,今後もゲームに軸足を置いていきたいと考えています。やはりゲームはインタラクティブなエンターテイメントですから,僕自身が好きですし,一番ドキドキするものだと思います。ただIPを作る手段としては,いろんな方向性があるなと。例えばウェブトゥーンから生まれたものがユーザーの支持を集めた場合に,ゲームを差し置いて舞台化したり,逆に舞台からウェブトゥーンが生まれたり,それが最終的にゲームになったりといったように,順番はどうでもいいかなと思います。ゲーム,ウェブトゥーン,舞台,あるいはほかの何かもそうですが,「このIPはすごく話題になったけど,漫画には向いてないね」といったように,それぞれに適したIPがありますから。
4Gamer:
必ずしも,すべてがゲーム化されるわけではないと。
梅田氏:
そうですね。その一方では,あるIPのスピンオフがゲームという形になるということもあるかと思います。まとめると,面白い世界観を作ることが大事だと捉えています。
4Gamer:
例えば,「クトゥルフ神話」のような壮大な世界観を作って,その中で複数のIPを展開するようなことはお考えですか。
梅田氏:
そういうのも面白いですよね。TYPE-MOONさんのやっていることが,それに近いのかなと。でも狙ってできるかというと,かなり難しいです。NEXT“奈須きのこ”みたいな人材が,イザナギゲームズから出てくるといいんですが(笑)。ただ,いきなりそこにたどり着かなくとも,マグマのように煮えたぎった才能を持つ人はいるはずなので,そういった人材を狙って採用と育成を続けていきます。
4Gamer:
今後もずっと,売りきりのゲームをリリースしていくのでしょうか。
梅田氏:
皆さんが「これをやりたい」というものであれば,Free-to-Playのゲームも視野に入れています。そのときは,やっぱり「これ,しばらく音沙汰なかった領域だけど,イザナギがやるのか」というような驚きのあるものにしますよ。自社IPとして展開できつつ,自分達がコントロールしやすいやり方を模索しています。でも,主軸はコンシューマの売りきりですね。
4Gamer:
分かりました。それでは,イザナギゲームズの中長期的な目標を教えてください。
梅田氏:
まず,今イザナギゲームズ設立5年めで,初期に考えていたことはやれていると捉えています。これは短期的な視点で,僕らくらいの規模の会社が,世界に向けて「ワールズエンドクラブ」と「Death Come True」をリリースするという目標を達成できたということです。
中長期的にやりたいことは2つあり,1つは人材を育成し,その人材からインタラクティブエンターテイメントを中心とした新しいエンターテイメントコンテンツを生み出していくことです。それも徐々にできてきています。
もう1つは,大ヒット作を出すことです。とくに何年めまでに,みたいなことは意識していませんが,イメージとしては設立10年め以内に。チャレンジし続けることが大事だと捉えているので,もし「10年で大ヒットを出す」と決めて実現できなかったら,「終わりだね」という気分になるじゃないですか(笑)。僕としては「10年でダメだったから,11年めは頑張る!」となりたいんです。何年というのではなく,大ヒットを出したときが1つの区切りですね。
4Gamer:
これまでにリリースした,「ワールズエンドクラブ」と「Death Come True」の手応えはいかがですか。
目的を満たした部分と,そうでない部分があります。まず小高さんや打越さんに代表される,才能のあるクリエイターと一緒にものを作りきったということです。また自画自賛ですけれども,独立系のパブリッシャとして新規IPを世界に向けて展開することは決して簡単ではありませんから,やりきったというところがあります。ただ,それらが世界的な大ヒットになっていないというのは事実です。なぜそうなったのか分析して糧にしつつ,次につなげていきたいですね。
その一方では,一定数の皆さんがゲームをすごく楽しんでくださったり,キャラクターをすごく愛でてくださったりもしました。そこも目的を達成できた部分であり,手応えのあった部分ですね。
4Gamer:
そうした分析が,3作めの「冤罪執行遊戯ユルキル」にも反映されていると。
梅田氏:
「冤罪執行遊戯ユルキル」に関しては,前2作とほぼ並行して作っているのでそうとも言えないのですが。改めて紹介すると,「冤罪執行遊戯ユルキル」は「賭ケグルイ」の河本ほむら先生に原作をお願いしたタイトルで,シューティングとアドベンチャーを融合させた,これまた尖った内容です。「なんだこれ?」とよく言われるんですけれども,結構しっかり融合しているのがセールスポイントで,ストーリーと世界観がメチャクチャ面白いですし,キャラクターもすごく魅力的です。こういった尖ったタイトルをしっかり作りきって,それを次につなげるということを続けながら,繰り返しですが大ヒットを狙っていきます。
結局,ほかのエンタメ会社もそうなんでしょうが,ゲーム会社は大ヒットを1本出せるかどうかなんですよね。いくら「資金調達が云々」と喧伝しても,「お前ら大ヒット出してないじゃん」と言われたらそれまでなんです。1つの大ヒットがすべてを生み出す世界ですから,そこを目指してフルスイングし続けつつ,より大きなヒットを生み出すべく努力を継続していきます。
4Gamer:
「冤罪執行遊戯ユルキル」は,東京ゲームショウ 2021 オンラインでの反響もよかったと記憶しています。
梅田氏:
一定層には響いていると捉えています。ゲームに限らず,エンタメの特徴として実際にリリースしてみるまでユーザーの反応って分からないんですよね。今までにないジャンルですから,遊んでみないと分かりづらいので,無料体験版を配信する予定です。
今回シューティングパートは,開発をグレフさんにお願いしているので,ミニゲームレベルではなく超本格的に仕上がりました。ストーリーだけを追いたいという人向けに,超簡単なイージーモードも用意しています。インタラクションのあるストーリーの楽しみ方を提示できていると思いますので,そこは作りきれたかなと。
4Gamer:
期待が高まります。話が変わりますが,今回オフィスにお邪魔して少々驚いたのですが,スタッフの皆さんは出社しているんですね。ご時世柄,在宅ワーク中心というところもまだまだ多いので。
梅田氏:
そうなんです。もちろん,緊急事態宣言時はリモートにしますが,それ以外は基本的に出社してもらってます。それは採用時に,1人1人了承を得ました。今の時代,リモートにすることはいつでもできると思うんですよ。そのための環境も整えていて,例えば2Dアーティストには1人につきペンタブを2台支給して,社内でも自宅でも作業できるようにしています。
ただリモートだと,同じ画面を見ながら話し合ったり,常日頃の人間関係を構築したりすることができなくなってしまいますよね。とくに,イザナギゲームズのように出資を受けて人を増やしている段階の会社がリモートにしてしまうと,「あの人,3か月前に入社したのに一度も会ったことない」なんて事態になったとき,本当に芯を食った熱のある議論を交わせるかというと,難しいと思うんです。常日頃から笑い合ったりして人となりを理解し,信頼関係を築き上げて初めて,プログラマーの「この仕様は,こう変えたらダメなのか」という質問に,プランナーが「いや,この仕様はこういう理由で必要なんだ」と返答するような議論が成立するんじゃないでしょうか。オフィスで一緒に仕事をするということには,相当の意味があると捉えています。
4Gamer:
分かりました。それでは最後に,イザナギゲームズに注目している人たちに向けてメッセージをお願いします。
梅田氏:
いろんなエンタメが溢れている時代に,イザナギゲームズが関わっているタイトルに興味を持っていただいて,本当にありがたいです。皆さんの期待に応えられるよう,ちょっとした驚きがあったり,ほかとは違ったりするものを出していきたいと考えています。皆さんそれぞれにプレイしたいゲームがたくさんあると思いますが,その1つに僕らのタイトルが入っているとしたら,とてもうれしいです。
また,イザナギゲームズは現在,絶賛人材募集中です。エンタメ業界の方で,オリジナルIPを作りたいという人は,ぜひご連絡ください。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
「イザナギゲームズ」公式サイト
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