インタビュー
「LoL」の世界が舞台となる新作DCG「レジェンド・オブ・ルーンテラ」開発者インタビュー。「完全無料で遊べる」システムとは?
このイベントのために来日していたLoRのクリエイター,Shaun氏とAlex氏にインタビューを行う機会があったので,その内容を掲載しよう。
「レジェンド・オブ・ルーンテラ」公式サイト
「完全無料で遊べる」システムとは
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まずは簡単に自己紹介をお願いします。
Shaun氏:
私はライアットゲームズの本社にて,LoRのシニアゲームデザイナーを務めています。開発の初期段階ではゲームシステムのデザインを,現在はカスタマイズ要素のデザインを担当しています。
Alex氏:
私も同じく,初期段階のゲームデザインに関わっていました。その後,チュートリアルモードやドラフトモードのデザイン,新たなコンテンツの考案に携わっています。
4Gamer:
ライアットゲームズがデジタルカードゲーム(以下,DCG)を作っているという発表は,世界中のゲーマーを驚かせました。LoRのプロジェクトはいつ頃からスタートしたのでしょうか。
Shaun氏:
アイデアや構想はずっと以前からありましたが,現在の形につながるものを作り始めたのは約2年前です。
Alex氏:
Rioter(ライアットゲームズのスタッフ)には,カードゲームが好きな人が多いんです。「もし,LoL以外のゲームを作るとしたら?」という話題になったら,「もちろんカードゲームだ!」と答えるくらい,私もカードゲームが好きです(笑)。だから,プロジェクトが立ち上がったときは本当に嬉しかったです。
4Gamer:
今回のイベントではLoRだけでなく,格闘ゲームやFPS,アニメシリーズなど,さまざまなジャンルの新作が発表されました。
「リーグ・オブ・レジェンド」10周年感謝祭レポート。Riot Gamesが手がける格闘ゲームやデジタルカードゲーム,アニメシリーズなど新情報が続々
2019年10月16日,「リーグ・オブ・レジェンド」の10周年を記念したイベントが東京・池袋サンシャインシティにて開催された。Riot Gamesが手がけるさまざまな新プロジェクトが発表され,多数のファンが詰めかけた感謝祭の模様をお伝えする。
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Shaun氏:
ライアットゲームズには多種多様な「ゲーム好き」が働いていて,常に「Riotとして新しいゲームは作れないか」ということを考え,複数のプロジェクトが走っていたんです。今回の10周年というタイミングに合わせて,そのなかから公開できるものを発表した形ですね。
Alex氏:
いくつかのプロジェクトが進行していますが,とくに制作期間の締め切りを設けていません。開発チームには十分な時間を渡して,「本当にスペシャルなゲームが作れそうだ」という段階になるまで放っておく――というのが会社の方針なんです。
ですから,LoLのような「長くプレイヤーに愛されるゲーム」を目指して,LoRも水面下で開発を続けてきました。
ただ,さまざまなプロジェクトが存在する一方で,核となるLoLがすさまじい速度で巨大化したため,会社としてはそこに注力せざるを得なかったことも事実です。ここ数年で,こうした社内体制のバランスがようやくとれるようになってきたということですね。
4Gamer:
それでは,LoRの開発体制について教えてください。
Alex氏:
さまざまなジャンルのプロフェッショナルが集まって,チームを組んでいます。開発の初期段階では社内のカードゲーム好きが中心になって動いていましたが,現在は他社でDCGの開発に携わっていた人も加わっています。テストプレイヤーやイラストレーターなども含めると,100人を超える規模になっていると思います。
4Gamer:
LoRの開発において,とくに注力しているポイントはどこでしょうか。
Shaun氏:
プレイヤーが行うアクションのすべてで,はっとするようなインパクトを残すためにデザインに力をかけています。ただカチカチとマウスをクリックして,作業的にプレイするゲームは面白いと言えません。
とくにスペルカードを相手に使われたときは,「カウンターのアクションをしなくては!」と思わせる演出を心がけています。LoRは1ターンの間,相手と何度もやり取りが発生しますが,そこでプレイヤーが楽しめるゲームにしたいですね。
Alex氏:
私は「完全無料で遊べる」という点にこだわっています。
子供の頃はトレーディングカードゲームに熱中していましたが,お金があまりなかったので強いデッキを組めませんでした。既存のDCGにおいて,強いカードを集めるためにランダム性の高いカードパックに多額を費やしたり,無課金の場合は長い時間をかけてカードを集めるしかなかったりするのを見ていると心が痛みます。その点,LoRでは割と早い段階に複数のデッキを組めるようになっています。
4Gamer:
では,最も苦労しているポイントは?
Shaun氏:
たった今,お話したばかりですが,やはり「完全無料で遊べる」システムを作ることが大変でした。カードが全然手に入らないのは論外ですが,それが簡単すぎるのもいけません。適切なバランスをとることに苦労しました。
プレイヤーが充実感を持ってカードを集められるバランスを目指し,開発チームはさまざまな方法を考え,何度も作り直してきました。
Alex氏:
私もまったく同じ意見です(笑)。本当に大変な作業でした。
4Gamer:
そうなると,プレイヤーが課金をする要素は何になるのでしょうか。
Shaun氏:
ゲーム内通貨の「コイン」を購入し,アイコンやボード,エモートといった要素のカスタマイズができるようにしたいと考えています。
また,カードの収集要素では,好きなカードを生成できる「ワイルドカード」を枚数の制限つきで販売する予定です。
LoRにはオリジナルキャラクターが登場
4Gamer:
LoLの世界が舞台ですが,LoRには多数のオリジナルキャラクターが登場するそうですね。こうしたキャラクターはどのようにして生まれたのでしょうか。
Alex氏:
最初はそれぞれの地域のチャンピオンを見つめ直し,「彼らの周りにはどのようなキャラクターがいるのか?」ということを考えました。たとえばLoRにはヤスオの兄が登場しますが,「ヤスオの兄だったら,どのような見た目や雰囲気がふさわしいのか? そして,どのような強さや技を持っているのか?」ということを想像していきました。
4Gamer:
LoLと言えば,世界設定やキャラクターの背景と物語を大切にしているタイトルです。
Alex氏:
そのとおりです。LoRのキャラクターデザインでは,LoLの開発チームと協力体制を取っています。互いにアイデアを出し合い,良いものを取り入れていくという方針で進めてきました。
Shaun氏:
カードのキャラクター制作には,主に3つのチームが関わっています。アートチームとストーリーチーム,そしてデザインチームです。デザインチームは「この地域で,こういう性能を持つカードを作りたい」という提案を出すことが仕事です。それを受けて,ストーリーチームがキャラクターの設定を考え,アーティストが絵を描いていきます。
その結果,完成したキャラクターがすごくカッコよかったり,面白かったりしたときには,カードの性能を考え直すこともあるんです(笑)。
4Gamer:
オリジナルのキャラクターやスペルのなかで,ご自身のお気に入りを教えてください。
Shaun氏:
私は「司令官レドロス」です。このキャラを手札としてプレイすると,「この試合はそろそろ終わりだな」と感じさせる存在感があります。キャラクターの声や話し方もカッコいいですよ。
4Gamer:
確かにLoLのチャンピオンとして,すぐにでも登場できそうな存在感があります。実際のところ,LoLにキャラクターを逆輸入するといった可能性はあるのでしょうか。
Alex氏:
ラックスの叔母である「ティアナ」というキャラクターが,LoLのコミックスに採用された事例があります※。彼女はLoRのチームが考え出したキャラクターなんですよ。
将来的には,LoRのキャラクターがサモナーズリフトに登場するようなことがあれば嬉しいですが……。今はまだ,何とも言えません(笑)。
※ライアットゲームズとマーベルによる共同制作コミック「ラックス」。第1話にティアナが登場する。
4Gamer:
Alexさんのお気に入りはいかがですか。
Alex氏:
「進歩の日!」というカードが好きですね。これを使用すると花火が打ち上がる演出が入り,「3枚のカードを引いて,そのコストが安くなる」効果が発動します。その演出と効果が相まって,すごくハッピーな気持ちになれます(笑)。
4Gamer:
2020年内のリリースに向けて,プレビュー版やクローズドβ版の公開が予定されています。プレイヤーに伝えたいポイントがあれば教えてください。
Shaun氏:
まずはゲームとして興奮して,楽しんでもらいたいですね。いろいろなキャラクターやカードの効果など,遊び方にはさまざまな可能性がありますが,「プレイヤーがどの部分を楽しんでいるのか」という点に注目しています。
Alex氏:
好意的なコメントをいただければ嬉しいですが,今後の参考にするためにネガティブな意見もたくさん欲しいと思っています。自分達もテストプレイを繰り返してきましたが,より多くのプレイヤーに遊んでもらって,まったく想定していないデッキが見られるといいですね。
今回の開発にあたり,DCGの良い点と悪い点を洗い出し,LoRが特別なゲームになることを目指しています。さまざまなDCGが遊ばれている日本で,LoRに対してどのような反応があるのか,とても楽しみにしています。
「レジェンド・オブ・ルーンテラ」プレビュー版のプレイレポート。大作を予感させる新作DCGは「M:tG」と「ハースストーン」の良いとこどり
ライアットゲームズは2019年10月16日から10月20日までの5日間,新作デジタルカードゲーム「レジェンド・オブ・ルーンテラ」のプレビュー版を限定配信していた。4Gamerもさっそく遊んできたので,本作がどのような作品なのかプレイレポートで紹介したい。
「レジェンド・オブ・ルーンテラ」公式サイト
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