インタビュー
[インタビュー]「三國志 覇道」漢朝vs.群雄たちの“漢朝激震”始動。呂不韋の参戦や,恒例のクリスマス黄巾討伐も
防衛向けの都市特性などを利用して戦う「城塞陣略」も終わりを迎え,今年最後のシーズン「漢朝激震」がまもなく始動する。
今季は,2021年12月16日に行われた「漢朝争乱」のルールをベースに,新要素を追加したイベントだ。多数派の漢朝陣営と,上位軍団の独立勢力が対峙し,2024年最初の戦火を巻き起こす。
今回もイベント内容をはじめ,新規LR武将「黄忠」「呂不韋」,新規UR「蔡琰」「程昱(シーズンUR)」,クリスマスイベントなどについて,覇道プロデューサーの伊藤幸紀氏に話を聞いてきた。
[インタビュー]「三國志 覇道」都市を守って勝つ“城塞陣略”開幕。サービス3周年を機に,これまでのシーズンや公孫瓚の思い出を聞いた
コーエーテクモゲームスのスマホゲーム「三國志 覇道」の新シーズン“城塞陣略”が,2023年9月14日にスタートする。その翌日はサービス3周年の当日とあり,これまでの思い出も含めてプロデューサーの伊藤幸紀氏に尋ねてきた。
漢朝を守るか,滅ぼすか。「三國志 覇道」の新シーズン“漢朝争乱”の開幕や,黄色いクリスマスについてインタビュー
コーエーテクモゲームスのスマホ向けシミュレーションゲーム「三國志 覇道」の新シーズン“漢朝争乱”が,2021年12月16日からはじまる。漢朝を守護するか,独立するか。これら新要素についてプロデューサーの伊藤幸紀氏に話を聞いた。
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多数派vs.独立派の「漢朝激震」
4Gamer:
覇道も三度目の年末。恒例の心境のほどはいかがでしょう。
伊藤幸紀氏(以下,伊藤氏):
今年はLR武将と古(いにしえ)武将を実装したのが,プレイヤーの皆さんにとって最も影響が大きく,記憶に新しいかと思います。
これらで環境に変化をもたらせられた反面,やはり皆さんの戦力がどんどん底上げされてきているので,今後の運営をとおして戦力格差の縮小にもしっかりと対応していきたいところです。
4Gamer:
そこは上をせき止めるのではなく,下を引き上げる方向で?
伊藤氏:
ええ。そうしたフォローができればと思っています。
4Gamer:
では本題へ。前シーズン「城塞陣略」の感触はいかがでしたか。
伊藤氏:
自分で都市特性を配置できるという仕様については,皆さん思い思いに楽しんでもらった印象です。各特性の使用率についても,シーズン途中でバランスの調整をできたのがよかったです。
一方で,プレイヤーの皆さんのなかには不首尾に終わってしまったと思われてしまうシーズンだったかなと認識しています。
本来は攻城戦を活発に起こしてもらう手はずでしたが,ランキング上位に位置できたら「戦わないほうが低リスク」という選択肢ができてしまいました。そうならないよう調整したつもりでしたが,あまりうまく機能しなかったところは今の反省点としています。
4Gamer:
戦わない選択肢の抜け道は,どうしてもネックですかね。
伊藤氏:
ランキング上位を目指すための手段にはならなかったものの,ポジションの維持はできたため,盤面の硬直状態が広がりましたしね。もっといろいろなプレイスタイルをフォローできるルール作りが必要でした。
4Gamer:
もっとルールを複雑化すれば問題は防げる。
けれど,やりすぎるとゲームも複雑になる,といった点は。
伊藤氏:
そこのせめぎ合いが,毎シーズンいまだに大変です。
4Gamer:
それでも次のイベントはすぐやってくると。続く今季の「漢朝激震」(かんちょうげきしん)について,説明をお願いします。
伊藤氏:
今回は2021年12月に実施した長期イベント「漢朝争乱」をベースとし,名称と仕様を変えての再チャレンジとなります。
最初の1か月は,勢力分けなく軍団単位で戦う期間であり,各都市に一定時間ごとに現れる「宝珠」を奪い合います。宝珠は“6時間キープすることで獲得”といった仕様で,出現数も日ごとに限界があるため,どのタイミングで取りにいくかの駆け引きが発生します。
4Gamer:
前回にはなかった要素ですね。
伊藤氏:
そうです。対象ランクごとに宝珠の獲得量も異なるため,競争率の高い低いも含め,いつ戦いを仕掛けるかの心理戦が生じると思います。
獲得した宝珠の数で週ごとの順位が決まり,勝ち点と言える「名声Pt」を積み重ねていく。これが第一期の内容です。
4Gamer:
下位のC〜Dランク都市は,現行の仕様のとおり保護されますか?
伊藤氏:
はい。B都市以上を有していたらC〜Dは攻められない仕様のままです。初心者の方々はうまく活用してイベントを楽しんでください。
4Gamer:
その後,第二期からはどうでしょう。
伊藤氏:
第二期ではランキング上位の軍団を独立勢力化させ,多数派の漢朝陣営との対立構造を作り出します。
また,第三期ではさらなる変化を生もうと思っています。
4Gamer:
今回は一応,限りなくリメイクに近い復刻の部類ですが。今後も過去イベントの復刻施策は検討していくのでしょうか。
伊藤氏:
やっていきたいですね。「漢朝争乱」も2年前のイベントなので,この間に遊びはじめてくれた人たちには新鮮な体験になるはずです。ただ,皆さんに「またこれか」と思われてしまうのは本意ではないため,取捨選別や調整の足し引きはちゃんとやっていきます。
それに新しいものを作らなくなると「運営をサボってる」と思われても仕方なくなるので,復刻ばかりにはしません。
4Gamer:
やっぱり,運営型ゲームで「復刻開催」が根付くと,サービス的に水平飛行がはじまったイメージもついてしまいますしね。
伊藤氏:
同じものを繰り返すとそうなりますよね。ですから,なるべくマンネリ感を与えないよう調整し,目新しさを追求していきます。
「呂不韋」のイメージ
4Gamer:
続いては,ゲームのアップデート情報について。
まずは新規武将4名のうち,LR「黄忠」「呂不韋」からお願いします。
伊藤氏:
「黄忠」はURのとき,弓兵兵科の戦法で撃心(クリティカル)が発生するようになる技能「弓神」を搭載しました。LRでもそこは維持したいと思ったので,この延長線上で能力を強化しています。
あとは部隊撃破時と戦法連鎖時にバフが付与されたり,「敵部隊の士気を奪う効果」「攻撃/速度低下を低下させる効果」を受けなかったりする技能も備えています。基本的に,長く戦わせると強い武将です。
4Gamer:
呂不韋のほうはどうでしょう。
伊藤氏:
「呂不韋」は古武将で,中国戦国時代の秦国の基礎を作った人物です。「奇貨居くべし」(チャンスは逃さず利用すべし)という言葉や,投資が花開くときを待つといった姿勢,食客をたくさん雇っていた逸話など,多彩であった人物像を表現できるように制作しました。
能力的には,強化を弱化に逆転させる効果や,敵部隊の攻撃・知力・戦法威力を一定時間ごとに累積で低下させる能力があります。
4Gamer:
今までのシリーズ作品の古武将でも,呂不韋はいましたよね。
伊藤氏:
いましたね。
4Gamer:
そのうえで呂不韋というと,今どきはやはり,彼が生きた時代をもはや唯一無二で牛耳ったと言えるコンテンツ「キングダム」(集英社)の印象が強い人も,少なくないのではと思っていまして。
伊藤氏:
ああ,そうですよね。
4Gamer:
その点,顔の印象が他作品に引きずられる,なんてことは?
そうならないよう制作しているとしても,つまるところイメージに先例があるときのお話ですね。三国時代はそれこそコーエーテクモゲームスの十八番ですが,戦国時代ではほかが台頭してきたりで。
伊藤氏:
難しいところです。同じ人物でも,違う作品のイメージが強すぎると,「これは呂不韋じゃない」と思われたりするでしょうしね。
ただ,今回は過去に「三國志14」で制作した呂不韋をベースにしていますし,当社の場合は“当人の伝承や背景からイメージして制作”しているため,人物像の描き方も一貫しているとは言えます。
4Gamer:
まあ,これは物言いというより,私などは「三國志の武将イラストは史実的なノンフィクション」と思っているというか。
実際は創作だと分かっていても,(個人的な)写実的イラストの正解はコーエーテクモゲームスのそれ,と考える節があるというか。つまり「呂不韋の正解も今回のこれか?」と感じるんだろうなと(笑)。
伊藤氏:
ここ数十年,いろいろな作品で「関羽が緑色」で描かれているのは,おそらくウチにも多少の原因があるでしょうしね(笑)。昔の「三國志」だとイメージカラーが青だった作品もあるのですが。
4Gamer:
話を戻して,新規UR「蔡琰」「程昱」の特徴はいかがですか。
伊藤氏:
「蔡琰」は“編制しやすい武将”として,負傷兵を回復する効果や戦法速度向上の技能「敏活」を持たせた騎兵武将です。部隊に組み込むだけで戦力を向上させられるので,さまざまな編制に合わせられます。
「程昱」のほうはシーズンURで,イメージ通りのからめ手なデバフを敵部隊に与え,戦局を変える知将といったところです。
4Gamer:
私,「三國志」のヒロインは蔡琰だったんです。
伊藤氏:
ほお,珍しいですね。
4Gamer:
今現在,リメイク版を絶賛開発中であろう「三國志8」で,武将ではなかったものの,長安にずっといた彼女の印象がとても強くて。
彼女よりも前に「貂蝉」や「祝融」が女性武将として登場していましたが,個人的には蔡琰が一番ヒロインだったなと(笑)。
伊藤氏:
貂蝉も最初は武将扱いではなく,董卓関連の展開で出現するイベントキャラクターでしたが,シリーズのそのあたりから武将同士の結婚システムも導入されて,女性武将も増えていったのですよね。
女性武将は文献をひも解いても「名前が分からない」ことが多いため,蔡琰のように氏名が残されている人物は,我々としても貴重です。
4Gamer:
もし多く残っていたら,昔からもっと出ていたでしょうしねえ。
伊藤氏:
現実問題,歴史の人物が増えることはないので,あとは掘り出すか,生み出すか。一応,我々もそうした試みで「呂玲綺」や「鮑三娘」といった女性武将をひねり出してきましたが,やりすぎると創作感が強くなりすぎる,かといって少ないと華がなさすぎるので,難題ですね。
4Gamer:
今後のナチュラルな女性武将発掘に期待しておきます。
続けて,「検証編制」が改修されるとのことですが。
伊藤氏:
これまでは通常の部隊編制のみ検証可能でしたが,今季からは「自都市の駐屯編制」「詰所の防衛編制」も検証できるようにしました。これであらかたの状況をテストできるようになります。
しかし,より実戦的な,例えば模擬戦のようなシミュレートは今回も導入しません。今後も,と言ってもよさそうですが。
4Gamer:
SLGやRTSでトレーニングモード的な機能が充実しすぎると,熱心な人に即日で最適解を導き出されるでしょうし。武将や部隊が増えると,プレイヤー的にはどうしても正解を求めたくなるものの。
伊藤氏:
編制の研究が効率的に進みすぎて,限りなく正解に近い最適解が一瞬で広まるようになってしまうと,対戦ゲームとしての寿命も縮まりかねませんからね。遊びの発想力も狭めたくないですし。
4Gamer:
では今回の対応が,すり合わせのギリギリのラインに?
伊藤氏:
私としてはそうだと思っています。残された研究の余地は,皆さんで実戦をとおして追求していってください。
4Gamer:
続いて,細かなアップデート関連についても。
まず「SSR宝物をドロップする賊」が追加されるようですね。
伊藤氏:
「賊が弱い」という意見は長らく届いていましたが,ただ強くするのは簡単でも,そこに対してなにかしらの意味やインセンティブを持たせたかったため,これまで対応を後回しにしてきました。
そして今回は,賊を強くする意味をSSR宝物に持たせたわけです。
4Gamer:
賊の強化も含めたのですね。
伊藤氏:
そうです。純粋にレアな強敵が追加されたと思ってください。効率的な経験値対象などでもなく,見つけたらラッキーくらいの存在で。
4Gamer:
出現割合はどんなもんで。
伊藤氏:
精鋭賊と同じ,あるいはそれ以下の確率で検討中です。
4Gamer:
あと「攻城戦における耐久面の向上」もありますね。
伊藤氏:
本作の課題になっている,守る側の防御力向上の一環です。武将のパワーは年々上がっているので,定期的に手を入れる必要があります。
なんなら,毎シーズン調整したい部分でもありますね。
クリスマスは黄巾をたたこう!
4Gamer:
今回のサーバー動向を教えてください。
伊藤氏:
新11と新12を統合して「刺史サーバー08」を作り,新15(S29)とS30も統合。それと初心者サーバーS32を新設します。
S29とS30に関してはオープンから2年ほど経ち,両サーバーの戦力もほぼ同等に並んできたため,片方に一方的な損失は起きないだろうと判断してのことです。一応,S30の方々向けには応援キャンペーンを実施して,育成差を埋めやすいようサポートはします。
4Gamer:
サーバーの予約人数・混雑状況の反映時間も変更されるとのことで。
伊藤氏:
前回は移動先のサーバーの予約人数を表示に反映するまでが遅く,予約結果が翌日まで分かりませんでした。
そこで反映時間を1時間ごとの更新に変更し,なるべくリアルタイムで混雑状況を確認できるようにしています。
これでサーバー移動時の相談もしやすくなったかと思います。
4Gamer:
前期アップデートでは「各サーバーの人数差の是正」を目的に,サーバーごとの人口がならされましたが,成果はどうでしたか。
伊藤氏:
プレイヤーの皆さんがとても協力的で,おかげさまでキレイに分かれてもらうことができました。当初の目的であった「人数の偏りによるサーバー処理の負担」も軽減されましたし,イベント報酬の数も人口に対してより適切なバランスで配布できるようになっています。
4Gamer:
近い話題だと,昨今の刺史サーバー間の移動状況はどうでしょう。
伊藤氏:
刺史サーバーについては人数というより,我々には見えないところでの情報戦が繰り広げられ,戦力的な偏りが生まれているサーバーもいくつか確認しています。そのあたりの均等化も懸念事項ではありますが,サーバー移動を強要したいわけではないので,難しいところです。
4Gamer:
シーズン結果で自動で割り振り先が決まる固有サーバー,などは。
伊藤氏:
それをやるにしても,それ以前の意思確認は必要ですよね。「私たちの軍団はどこに振り分けられてもいい証明」などを用意して。
そうすれば,同様の軍団がサーバー間のバランスに応じてランダムで振り分けられますが,「以前できたことができなくなる」と拒否反応を生みかねないので,なにをするにも慎重に検討したいポイントです。
4Gamer:
分かりました。次にクリスマス施策はどうですか。
伊藤氏:
クリスマスシーズンには「名士紹介人来訪」を実施します。目玉の商品は,今年1月に実装したUR 袁紹の交換です。
このほか毎日「クリスマス抽選箱」がもらえて,12月25日には最大で「極求賢札×20枚」が当たる豪華版もプレゼントされる「クリスマスログインボーナス」を開催します。
4Gamer:
さらに,今年もクリスマスの「黄巾大討伐」をやるとのことですが。
伊藤氏:
毎年恒例です。「幻術要塞」もクリスマスバージョンとなり,ツリーを立たせるなど見た目をにぎやかにしました。
それと,今後は「福」要塞(今回はクリスマスバージョンなので「聖」要塞)が討伐札の使用時以外にも出現するようにします。運次第でランキングptを大きく稼げる逆転要素と思ってください。
試行回数を稼げる人のほうが有利になりすぎる懸念はあるものの,今回はお試しで取り入れることにしました。
4Gamer:
クリスマスに黄巾を倒そうって,あらためて考えると不思議な味わいですよね。じっくり考えないくらいがちょうどいい感じの。
伊藤氏:
ほんと,本来はなんの縁もないんですけどね(笑)。
4Gamer:
そして,今年もまもなくおしまいという時期ではありますが。
2024年の展望や抱負はすでにありますか。
伊藤氏:
2024年に関しては,もっとコラボを仕込みたいですね。横山光輝さんの「三国志」以来ですので。体感ではすぐにまた4周年がやってきてしまいそうですが,楽しんでもらえる施策は準備していきます。
それと,9月の公式オフ会が参加者の皆さんに喜んでいただけたようなので,来年もやりたいですね。こうしたイベントは定期的に行い,皆さんと双方向でコミュニケーションしていけたらうれしいです。
4Gamer:
「三國志」的には,3.5周年も語呂合わせで祝えそうな。
伊藤氏:
ありですね。それで言うと初代「三國志」(1985年12月10日発売)が再来年で40周年を迎えるので,2025年に向けてもなにか仕掛けていきたいところです。まずは2023年を走りきるところからですが,プレイヤーの皆さん,来年以降もどうぞ「三國志 覇道」をよろしくお願いします。
【超難問「三国志」クイズ】
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(C)2020-2023 コーエーテクモゲームス All rights reserved.
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