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「遊戯王 マスターデュエル」で改めて注目された遊戯王OCGの世界観。イラストで紡がれる物語や,テーマ化する前に存在が示唆されていたカードなどを紹介
配信から約半年が経った現在では,ランク戦以外にも「エクシーズ フェスティバル」「シンクロフェスティバル」「NR レアリティ フェスティバル」「フュージョンフェスティバル」といった特殊なレギュレーションで行われるイベントバトルが定期的に開催されている。
そして,4月には初となる追加カードの実装,5月9日からは新リミットレギュレーションの適用,そして直近でも6月10日に新セレクションパックが追加されるなど,カードプールのアップデートも実施され,新たな盛り上がりを見せている。
対戦シーンが盛り上がる一方で,遊戯王オフィシャルカードゲーム(以下,遊戯王OCG)の世界観や物語にも改めて注目が集まっている。マスターデュエルには,1人で遊べるソロモードが実装されており,そこでは,「帝」や「ジェムナイト」など,さまざまなテーマやモンスターたちにまつわる物語が楽しめるようになっているからだ。
本稿では,そんな遊戯王OCGにおけるイラストやテキストから生まれた世界観や物語。カードテーマについて紹介していきたい。遊戯王OCG初期から現在にいたるまで描かれるイラストストーリーの形式や,本格的な登場前に存在が示唆されたカードテーマなどを紹介している。
遊戯王OCGのイラストで描かれる物語。1体のキャラクターにスポットを当てたものや,大規模な長編ストーリーなどさまざま
マスターデュエルのソロモードでは,多くのカードのイラストに関連した物語が語られるが,その歴史はかなり古く,遊戯王OCG初期にまでさかのぼる。
古くからのデュエリストの中には,「成金ゴブリン」の人生を描いた映り込む一連のカードや,「戦士ダイ・グレファー」「切り込み隊長」がほかのカードイラストで活躍する様子が印象深く残っているという人も多いのではないだろうか。
イラストを使った物語は,シリアスなものからコミカルなものまでさまざま。中には「サモン・ゲート」のように,禁止・制限カードだったモンスターたちがイラスト内に複数登場しているカードもあり,眺めているだけでも楽しい。
個人的におすすめしたいのは,「クリッター」が登場している「魔界発現世行きバス」「魔界発冥界行きバス」「手違い」「相乗り」「捕違い」「濡れ衣」といったカードのイラストだ。次々と災難に見舞われるクリッターは少々不憫ではあるものの,感情が豊かに描かれており,とてもかわいい。
ちなみにこれらのクリッターの物語については,マスターデュエルのメイト(対戦中にプレイヤーの横でリアクションしてくれるパートナー)の説明文でも触れられている。そのほか,アイコンの説明文にもカードに関連するネタが入っているので,必見だ。
以上のようなキャラクターやカードテーマ単体に焦点を当てたカードというのは古くから存在する一方で,現在遊戯王OCGの展開で大きな1つの柱になっているのが,複数の商品にわたって,展開されている大型のストーリー群だ。
今でこそ当たり前になった大型ストーリーだが,遊戯王OCGで初めて登場したのは,2008年4月に稼働を開始したアーケードゲーム「遊☆戯☆王ファイブディーズ デュエルターミナル」だった。
デュエルターミナルで描かれた物語は,当時の遊戯王OCGでは前例が見ないほど大規模なもので,「氷結界」「ワーム」「ドラグニティ」「ジェムナイト」「セイクリッド」「ヴェルズ」など,多数の新テーマが登場。個々のカードやテーマの強さだけでなく,物語性を含んだコンテンツの展開に胸躍ったデュエリストは多かったはずだ。
その後,2013年にデュエルターミナルの稼働は終了するが,2014年には基本パックに活躍の場を移し,ストーリーが継続され,2017年1月に発売された基本パックまで9年にわたって物語が展開された。
マスターデュエルのソロモードでは,それぞれのカードテーマに焦点を合わせた物語が定期的に追加されており,直近では「天気」や「宣告者」をフィーチャーしたストーリーが実装されている。
「帝」や「カラクリ」など,マスターデュエルで初めて詳細設定が明かされるものも少なくないので,マスターデュエルで久しぶりに遊戯王OCGに触れる人はもちろん,現役プレイヤーでも意外な設定に驚かされることだろう。
マスターデュエルにおいて,もう1つ注目してほしいのが,「召喚カットイン」である。これは特定のモンスターの召喚時にアニメーションが入るというもの。静止画だけでは分からなかったモンスターの一面が見えることもあるので,召喚カットインが出るときに注意しておくと,新しい発見があるかもしれない。対応しているモンスターは,カードリストの検索機能で「召喚カットイン→有り」のフィルターをONにすると見分けられる。
数年前すでに,設定だけは存在した? カードテーマ化する前に登場していたカードたち
このようにイラストでも世界観を深めている遊戯王OCGだが,通常モンスターに書かれているフレーバーテキストでも,世界観を広げてきた。代表的なのが,過去にテキストで設定だけ登場していて,後にテーマとして成立したというカードたちだ。ここでは,いくつか代表的なテーマ(+α)を紹介していこう。
・紫炎,六武衆
侍や忍者をモチーフにしたテーマ「六武衆」。遊戯王OCGでは,「真六武衆−シエン」をエースに据えたデッキが猛威を振るった時代があったが,そのルーツは,1999年に発売された,遊戯王OCG史上初の基本パックに登場する通常モンスター「紫炎の影武者」にまでさかのぼる。
紫炎の影武者のフレーバーテキストには,「シエンに仕える影武者。鋭い切れ味の名刀を持つ」とあるのだが,初登場時には主君であるシエンは収録されておらず,ずっと謎の存在だった。それから約6年後の2005年に,「天下人 紫炎」が,その後2006年に「大将軍 紫炎」が六武衆の関連カードとして登場した。
・暗黒界
2005年発売にテーマ化した「暗黒界」は,カードの効果で手札から捨てられると発動する能力を持つ悪魔族のモンスターたち。ゴルド(金),シルバ(銀)などそれぞれが色を彷彿とさせる名前を持っており,構築済みのストラクチャーデッキも発売されている人気テーマだ。
そんな暗黒界の存在は,2003年に登場した通常モンスター「ジェノサイドキングサーモン」のフレーバーテキストで示唆されている。
その卵は暗黒界一の美味として知られているというジェノサイドキングサーモン。もともとは「ジェノサイドキングデーモン」と名前が似ているパロディモンスターだったが,後に設定が拾われ,暗黒界と世界観を共有していることが見受けられる。
・幻煌龍
2017年に登場した「幻煌龍」は,通常モンスター「幻煌龍 スパイラル」,ルール上「海」として扱われる「幻煌の都 パシフィス」,そして「海」がフィールドにあるときに手札から使用できる各種魔法・罠を使用して戦うテーマだ。マスターデュエルでもメインパーツのレアリティが低くて強いことから,普段使用しているという人もいるのではないだろうか。
幻煌龍におけるキーカードの1枚である「幻煌龍 スパイラル」は,テーマ化する11年前に,元となるモンスター「スパイラルドラゴン」が登場していた。
面白いのは,初登場時の「スパイラルドラゴン」が,特別何かプッシュされていたカードでもなければ,環境で目立った活躍をしたというわけでもない,ただの通常モンスターカードの1枚だったということだ。そんなカードを元にしたテーマが10年以上経ってから登場したことで,当時驚いた人もいたはず。
・S−Force(セキュリティ・フォース)
正面に置かれた相手モンスターに対して,さまざまな効果を発揮するという個性的な能力を持つ「S−Force」(セキュリティ・フォース)は,2021年に登場したテーマだ。
その存在は,約5年前の2016年に登場した通常モンスター「PSYフレーム・ドライバー」のフレーバーテキストで名前だけが明かされていた。
実際にS-Forceの通常罠カード「S−Force スぺシメン」のイラストでは,「PSYフレーム・ドライバー」と,「S−Force プロフェッサー・Ϝ」が戦っている様子が描写されている。
・番外編:サンダー・ドラゴン
フレーバーテキスト絡みの登場ではないが,遊戯王OCG黎明期のカードで一躍環境の最前線に躍り出たテーマとして紹介しておきたいのが,サンダー・ドラゴンだ。サンダー・ドラゴン自体は,遊戯王の歴史の中でも最古参に位置するカードで,初登場は2000年。手札から捨てると「サンダー・ドラゴン」を2枚まで手札に加えるというシンプルな効果を持ち,古くから手札コストや,ペンデュラム召喚を使った展開に使用されてきた。
そんなサンダー・ドラゴンが本格的にテーマ化したのは,2018年のこと。「雷神龍−サンダー・ドラゴン」「超雷龍−サンダー・ドラゴン」をはじめとした強力なカードの登場により,一躍,大会環境に躍り出ることになった。こういった,昔なつかしのカードが不意に取り上げられることがあるのが,遊戯王OCGの面白いところだ。
20年以上の歴史に育まれた世界観は見応えあり。対戦だけでなく,カードイラストやテキストを眺めるのも面白い
以上のように遊戯王OCGのカードは,世界観やテーマが生まれ,膨らんでいくケースが多く存在する。例に挙げたように数年経ってから過去の設定やテーマ,イラストが掘り下げられるという事例も少なくなく,久しぶりにマスターデュエルで遊戯王OCGに触ったという人も,昔懐かしのカードを調べてみると,まったく関連性のないカードで,いつの間にか活躍が描かれていた――なんてこともあるかもしれない。
さらに,近年は公式でもカードの背景にあるバックボーンを重視する傾向がより強くなっており,遊戯王OCGの公式Twitterでは,新登場するカードの設定画が公開されることもある(関連リンク)。こういった設定資料と照らし合わせながら,ゲーム内で改めてイラストを眺めてみるのもいいだろう。
カードゲームというコンテンツの中心は,言うまでもなく対戦だ。しかし,遊戯王OCGの20年以上の歴史の中では,それ以外のキャラクター性や物語性が年を追うにつれ磨かれていき,それが今や1つの柱として作品の魅力にもなっている。
デュエルに明け暮れ少し疲れたという時は,ソロモードをプレイして物語を楽しんだり,イラストやテキストを見ながらバッグボーンに触れてみるのもおすすめだ。
「遊戯王 マスターデュエル」公式サイト
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